ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

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第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第5章 冬到来、〝ペットテイマー〟の弟子

21. 今日もウルフ狩り

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「《魔の鉤爪》!」

 これでまたウルフの頭がクシャって潰れた。
 今回は単独行動をしていたウルフだからこれで終了。
 キントキが手早く解体と収納を済ませてこちらへと戻ってくる。

「やっぱり林は安全だね」

『見ていて安心できるわい』

『そうだね。シズクが安心して狩りができるから僕としても安心だよ』

『わちは出番が少なくて暇だわさ』

『あたちも』

「ごめんね、モナカもシラタマも。次の群れは任せるから」

『そこまで気を遣ってくれなくてもいいわさ』

『シズクは早く5つ同時にスキルを使えるようになってほしいの』

「精進します」

 そうなんだよね。
 日々の訓練によってようやく私のスキル同時借り入れ数も4つに増えた。
 4つに増えたからといっても、普段は《高速移動》《超聴覚》《隠密行動》《周囲警戒》の4つを借りているだけなんだけど、それでも狩りの効率は段違いに上がったからね。
 この4匹には本当に助けられているよ。
 あ、また《超聴覚》にウルフの音を発見。
 今度は2匹かな。

「モナカ、シラタマ。2匹の群れがいるけれどどうする?」

『1匹はわちがもらうわさ。1匹はシズクが仕留めるわさ』

『シズク、楽するのはメッなの』

「楽しようとしていたわけじゃ、ないんだけどなあ」

 ともかく、この2匹もお肉と毛皮になりました。
 林のウルフ狩りも慣れてきたけど、森でウルフ狩りはしたくない……。


********************


「ふう、今日もいっぱい狩れたね」

『47匹か。まずまずの成果じゃ』

『あんまり多いとお肉屋さんたちが困りそうだもんね』

『それにしても、毎日これだけ狩っても減らないウルフは何匹いるわさ?』

『あたちも知りたい』

「さぁ……秋みたいに分裂して数を増やしているんだろうけれど、狩り尽くさなければ、いい狩り場だよ」

『そうじゃの。ん? 若い人間の集団がこの時間から森に入っていくようだぞ?』

「この時間から? 日が暮れるまではまだ時間があるけれど……森の中は薄暗いし大丈夫かな?」

『声をかける?』

「んー、多分冒険者だろうし、冒険者の命は自己責任らしいからパスかな」

『シズクにしては冷たいわさ』

「こっそりあとはつけるけど」

『そんなことだと思った』

 反対意見も出なかったので、とりあえずの行動方針は決まった。
 森の中に入っていった6人の、多分人間と獣人のパーティを離れた場所から追跡して様子を見る。

 案の定、ウルフの集団に襲われるけど、そちらは……ぎりぎり倒せた。
 というか、森や林の中にロングランスなんて持って来ちゃだめでしょ!

 そのあと、ウルフの解体を始め、途中まで進んだところで別のウルフが襲いかかってくる。
 慌てて武器を取りだし対応する冒険者たち。
 でも、危なっかしいなぁ。
 今回はウルフが8匹もいたせいで手傷も負わされたみたいだし、どうしたものか。

 また、最初のウルフたちの解体に戻っていったけれど、間髪を入れずにウルフの奇襲が。
 今度は女の子のひとりがウルフに押し倒され、いまにもかみ殺されそうになってる!
 もうダメ、見ちゃいられない!

「助けに入るよ、みんな!」

『そうするかのう』

『死人は出したくないしね』

『《魔爪》でバッサバッサ切り倒すわさ』

『《パワフルキック》も出番がほしい』

 私たちは木陰から飛び出し、まずは押し倒されて殺されかけていた女の子に噛みついていたウルフの首をはね飛ばした。
 他のペットたちもそれぞれ別のウルフを仕留めているし、これなら安心かな。
 今回は10匹もいたけれど、なんとか死人は出ずに倒せたよ。
 6人それぞれボロボロになっちゃったけど。

「……お前、臆病者のステップワンダーか?」

「臆病者、まあ、林の方でしか狩らないからそうかもね」

「なんでこんなところにいるんだよ!」

「今日の分の狩りを終えたところで、あなた方が森に入っていくところを見かけたからかな? こっそり後をつけていたけど、それにも気がついていなかったでしょう?」

「な……最初からつけられてたのかよ」

「そうだよ。それから、この森のウルフと戦うときにロングランスなんて役に立たない。森の木々に引っかかって、戦えてなかったじゃない」

「それは……」

「お説教はあと、まずは森を出るよ。ウルフの血の臭いでこれ以上ウルフが集まってくる前にね」

「このウルフは解体しないのかよ?」

「解体していたらまた襲われるよ?」

「でも、蓄えが……」

「じゃあ、持ち運べる分だけ持ち運んで森の外まで引っ張り出して。そこで解体すれば多少は安全だから」

 この6人もさすがに自分たちが殺されかけていた自覚があったのか、私の言葉に従いそれぞれ持てる分だけのウルフの死体を担いで森を抜け出た。
 そこでウルフの解体を始めたけれど……全然なってない!

「だめたよ! そんな毛皮の剥ぎ取り方じゃ! 上手に剥ぎ取れていない!」

「え、でも……」

「冒険者ギルドに納めるときだも、うまく剥ぎ取れているかどうかで評価が変わるはずなの! 私が1匹お手本を見せてあげるからよく見ていて!」

 久しぶりに解体魔法ディスアセンブルなしの解体だったけどうまくいった。
 というか、私、解体魔法ディスアセンブルって時間短縮にしかなっていない?
 それとも、解体魔法ディスアセンブルの経験がそのまま私の技術にも反映されているのかな?

「はい、解体終了! ウルフの解体ってこうやるの」

「すげぇ、早いし正確だ」

「ああ。俺らの解体とはわけが違う」

「もう毎日毎日、何十匹と解体しているからね。ほら、あなたたちもいまのを参考にして始める!」

「「「はい!」」」

 私の号令で彼らも解体を再開した。
 冒険者たちの解体も少しはうまくなっているし、見せた甲斐はあるかな?
 それぞれ、持ち出せたウルフの数は2匹か3匹だったので解体もすぐに終了。
 背負い袋に詰めて……って、この背負い袋、なんだか臭う!

「ねえ、背負い袋って毎日洗っている?」

「え、毎日洗う必要ってあるんですか?」

「当然でしょ! ウルフの肉と毛皮を一緒に持ち歩くんだよ!? 臭いが毛皮に移ったらそれだけで買い取り価格に影響が出るでしょう!」

「私たち、そんなことも知らなかったんだ……」

「……そういえば、あなたたちの冒険者ランクは?」

「……Gです」

「Gなら、街の雑用依頼をこなしながらギルドの資料室で魔物の知識を深めるのがいい、ってB+ランクの人が言っていたよ」

「……それも聞いたことがありませんでした。冒険者になったあとは、まずウルフを倒してお金を稼げばいいって聞いていて」

「冒険者に1年間もなれなくてウルフ狩りばかりしていた私が言うのもなんだけれど、しっかり足元から固めていった方がいいよ? さっきのウルフ狩りだって見ていて危なっかしかったし」

「だよな。ウルフがあんなに凶暴な生き物だなんて思ってもみなかった」

「俺、噛みつかれた腕がまだ痛むぞ……」

「あ、噛みつかれた人は傷薬を塗って治した方がいいよ。早く治す意味もあるけれど、傷口が膿んだり、病気が移る可能性があるから」

「……それも知らなかった」

「ともかく、あなた方は知識が不足しすぎ! 雑用依頼をこなしながら資料室で知識を深めなさい! 今日のところは傷薬だけ分けてあげるから!」

「え? いいんですか?」

「今日だけ特別だよ。これからは噛みつかれないようにするか、噛みつかれても大丈夫な、厚手のレザーアーマーを用意して」

「はい!」

「よし結構! 街門が閉まるから早くいくわよ」

 こうして私たちは街門に向けて歩き始めたんだけれど、一番小柄な女の子……さっき狼に押し倒されて喉笛を噛みちぎられそうになっていた子が側によってきた。

「あの、ありがとうございました。助けてもらえなかったら、私……」

「私も秋の終わり頃に失敗して喉笛を噛みちぎられそうになったからね。怖かったでしょう?」

「……はい、とっても」

「冒険者、続けていく自信はある?」

「私の『天職』は〝治癒術士〟なんです。冒険者で実力をつけて、施療院に入るつもりです」

「見習いとして施療院に入ることはできないの?」

「頼み込んだんですが、断られました……」

「そう。じゃあ、今後は無理をしないようにしてね。冒険者として成り上がるのが夢じゃないんでしょう? なら、冒険者活動はほどほどに、魔法を鍛えた方がいいんじゃないかな?」

「そう言ってもらえると助かります。今日は助けていただき本当にありがとうございました」

 その女の子は私に小さく一礼をすると他のパーティメンバーのところによっていった。
 あの子にとって、あそこは大切な居場所なんだろうな。
 私にとって家族ペットやメイナさんとの時間がそうなように。

 さて、時間が遅くなっちゃったけど、肉と毛皮を売りにいかなくちゃ。
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