ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

文字の大きさ
44 / 100
第2部 街を駆け巡る〝ペットテイマー〟 第1章 〝ペットテイマー〟センディアの街に向かう

44. ブルブルブル!

しおりを挟む
 さて、面倒なゴミ掃除も終わったし今度こそブル退治だ!
 空から偵察してみて……ああ、あれかな?
 アイリーン冒険者ギルドの魔獣図鑑に載っていた通りの特徴、頭に長い2本角を持った大きな4本足をした魔獣!
 群れる習性はないらしいから1匹ずつになっちゃうけど、景気よく倒していこう!

「それじゃあ、1匹目! いっきまーす!」

 私はオリハルコンのダガーを構えて一気に急降下。
 そのままの勢いでキラーブルの首へと切りつけ離脱する。
 さあ、死んでくれたかな?

「あれ!? まだ死んで……ああ、即死しなかっただけか。生命力があるね」

 首の骨を切った感触もあったし、そこまでの肉だって深々と切り裂いた。
 なのに、キラーブルはこちらの方を振り向いてから倒れたよ。
 驚いちゃった。

「さて、解体魔法ディスアセンブルを使ってと」

 解体魔法で解体すると様々に切り分けられたお肉と皮に魔石、それから角も含めた頭骨に全身の骨まで残った。
 解体魔法って使えない部位は消えてなくなるから骨もなにかにつかえるのかな?
 とりあえず《ストレージ》にしまって帰るけれど。

「さて、次のブルはどこにいるかなー」

《猛禽の目》を使っても見渡せる範囲にブルはいない。
 群れる習性はないっていう話だし、かなり広範囲にばらけて生息しているのかも。
 これは《静音飛行》と組み合わせて飛びながら探すべきだね。

 みんなを連れて飛び上がったのはいいけれど2匹目のブルはなかなか発見できない。
 川辺に生息することが多いって聞くんだけど、森の方にはあんまり生息していないのかな?
 あれ、でも、森の中に巨大な反応がひとつ、《気配判別》で見つかった。
 じっとしていて出てくる気配はないし……どうしよう?

「ねえ、ミネル。森の中に巨大な生物の反応があるんだけど、どうしようか?」

『ふむ? 降りて調べてみるか?』

「そうしてみようか」

 私たちが空から川辺に降りて森の中をのぞき込もうとしたところ、森の中から巨大な魔獣が飛び出してきた!
 一体なに!?

『皆、無事か!?』

『平気だよ!』

『わちもだわさ!』

『ビックリしたの』

「平気だけど……4本角ってことはこいつがフォーホーンブル!」

 フォーホーンブルの大きさって人間サイズなんてものじゃなかった!
 私の4倍くらいある!
 こんなに大きな魔獣だったの!?

『どうする、シズク!?』

「獲物を見つけたからには倒す!」

『わかった。角や頭骨には傷をつけないようにするのじゃったな』

『結構難しい……』

『わちは《魔爪》で首狙い!』

『あたちは《ミラクルキック》で頭を蹴っ飛ばしてやるの!』

『儂はモナカがつけた傷を《風魔法》で広げるか』

『僕は《草魔法》で動きにくくするね!』

「みんな、お願いね! 私は首を切り落とす!」

 私たちが動き始めると同時にフォーホーンブルも動き始めた。
 最初の狙いは私か!
 都合がいいね!

「よーし、こっちについてきなさい!」

 フォーホーンブルの足も速いけれど《俊足迅雷》で強化されている私よりは遅かった。
 このまま走り去ってしまうとみんなの攻撃が届かないから途中で折り返して、って!?

「岩を飛ばしてくるなんて卑怯!」

 フォーホーンブルが自慢の4本角を地面に突き刺し、地面を、岩を持ち上げて投げつけてきた!
 私は横っ飛びで回避したけど、今度はフォーホーンブルが突っ込んできたよ!?
 ええい、まだ負けてあげない!

「まだまだ! 追いつかせないんだから!」

 私はフォーホーンブルの横をすり抜け、みんなの方へ走り出した。
 フォーホーンブルもそれに続いて私を追いかけてきたんだけど、まだまだ甘いよ!

「みんな、よろしく!」

『わかった!』

『任せるわさ!』

『ドカーンといくの!』

『お主も気をつけろよ!』

「わかってるよ!」

 私がみんなの横を走り抜けるタイミングで仲間ペットたちが行動を開始。
 まずはキントキが《草魔法》の《バインディンググラス》でフォーホーンブルの足を絡め取った。
 さすがのフォーホーンブルも魔法による拘束はすぐに解けなかったみたいで、前につんのめったところにシラタマの《ミラクルキック》が炸裂、横倒しに倒れたよ。
 そこをすかさずモナカが《魔爪》で首を深々と切り裂き、さらにミネルが《風魔法》の《ブラストセイバー》でさらに深い傷にした。
 私も、折り返して戻ってきてその傷を広げるように切り裂いていくけど……なにこれ、すっごく硬い!?
 私のダガーは、オリハルコンの鎧も切れるって太鼓判を押されたはずなのにものすごく切るのに苦労する!
 ともかく傷を広げることに成功し、そこから血があふれ出したんだけど……フォーホーンブルはまだ立ち上がってこちらを睨み付けてきた。
 そして、なぜかしたたり落ちていく血の量も減っていっていて、なにが起きてるの!?

『シズク! フォーホーンブルの傷口が再生した!!』

「再生!?」

『こいつ、ものすごい生命力だよ!』

『何回も攻撃して傷を深めないと倒せないわさ!』

『頑張らないと負けちゃうの!』

 ふぇーん!?
 フォーホーンブルってこんなに強かったの!?
 でも、戦い始めたからには逃げ出したくないし!
 ええい、なにがなんでも狩ってやる!


********************


「……フォーホーンブル、倒せたけど4時間もかかっちゃったね」

『首以外は綺麗なまま倒せたので収穫も山じゃが、厳しかったのう』

『2本角が4本角になるだけでこんなに変わるの?』

『ともかく、疲れた、わさ』

『うん、たくさん蹴ったよ』

「みんな、お疲れ様。私のダガーも刃こぼれしちゃっているししばらく休憩にしよう」

 このダガー、本当に刃こぼれしても自動で修復されていくけれど、どうなっているんだろう?
 ううん、それ以上にこのダガーが刃こぼれするほど強いフォーホーンブルってなんなんだろう?
 こんな強い魔獣がそこら中にいるわけ?
 センディアって街を作れるような場所じゃないよね?

『のう、ふと思ったのじゃが』

「ミネル、どうしたの?」

『このフォーホーンブル、特殊変異個体ではないかの?』

『ミネル、〝特殊変異個体〟ってなにさ?』

『うむ。魔獣やモンスターの中で稀に生まれてくる凶悪な強さを持った個体じゃ。オーク軍と戦った時のオークエンペラーのような存在だな』

『それって、この辺のキラーブルやフォーホーンブルをまとめていた王様、ってことだわさ?』

『いや、キラーブルやフォーホーンブルは群れを作らないのじゃろう? まとめていたというよりも同族を食い荒らしていたのではないか?』

『そんなすごい個体だったの……』

『おそらくは。普通のフォーホーンブルならばシズクのダガーで切り裂けるじゃろう』

「そうであってほしいね。オリハルコンより硬い皮や筋肉ってもう切りたくない」

『まあ、これからもう1匹探せばわかる。ダガーは直ったか?』

「ええと、うん、直ったみたい。これなら、次のブルを狩れるよ」

『では次を探しにいくぞ。いま倒したフォーホーンブルが通常個体であれば、フォーホーンブルはもう手を出すべきではないな』

「そうしよっか。みんな、いこう」

『僕ももうこんなのと戦いたくない』

『わちもだわさ』

『あたちも』

 そのあと、河川をたどりながら飛び回った結果、この日は12匹のキラーブルと7匹のフォーホーンブルを倒せたよ。
 やっぱり、最初に戦った個体が〝特殊変異個体〟とかいうやつで間違いなかったみたい。
 次のフォーホーンブルからは急降下斬撃1回で死んでくれたものね。
 1匹目の収穫は大きかったけれど、強かった……。

 さて、日も暮れてきたので居心地の悪いセンディアの街に戻ってきた。
 エンディコットさんの宿に戻ろうとしたんだけど、《気配判別》に不思議な反応が引っかかった。
 街壁近くの路地裏で敵対反応がある存在ふたつとそれと対立して怒りを露わにしている存在がふたつ、それから生命反応が弱っている存在がひとつ。
 一体なにが起こっているんだろう。
 私はちょっと気になってそちらの方へ寄り道することに決めた。
 するとそこで行われていたのは、子供に対する大人によるいじめだった。

「ふん! 〝ビーストテイマー〟などという惨めな『天職』を授かった小娘め!」

「今日こそは逃がさん! 我ら〝真理同盟〟が滅してくれる!」

「グルル……!! (小煩い人間どもが!!)」

「フシャァァァ!! (これ以上近寄るなら真っ二つにゃ!!)」

 あれ?
 あの子たちって魔獣じゃなくて小動物?
 どういうこと?
 ともかく助けてあげないと!

「みんな!」

『わかっておる』

『僕はあいつらを動けなくするね!』

『わちは視界を塞ぐわさ!』

『《ミラクルキック》でお仕置きなの!』

「殺すと厄介だから殺さない程度にね!」

 キントキが男たちを《バインディンググラス》で包み込み、モナカが《大砂嵐》で辺り一面を砂嵐で包み込んでなにも見えなくしてくれた。
 そのあと、シラタマが《ミラクルキック》で男たちを後ろから蹴り倒し、私は全員を抱え込むと、奥にいた子供を守っていた小動物と子供を拾い上げて別の路地裏へと飛び移る。
 突然の出来事に小動物たちは理解が追いついていないようだね。
 でも、気が立っているようだし、邪魔されないうちに子供を回復してあげないと!

「シラタマ!」

『わかっているの! 《ハイヒール》!』

 シラタマの魔法で子供の傷はみるみるうちに回復していく。
 やがて、目に見える外傷がなくなると、子供も目を覚ましてくれた。
 これなら一安心かな?

「う、ううん? ここは?」

「あ、気がついた?」

「ひぅ!? お姉さん、誰!?」

「大丈夫、怖いことはしないから。君を守っていた動物たちもそっちにいるよ」

「え。ニベラマ! ベルン!」

「ニャウン! (気がついてよかったにゃ!)」

「ワフ! (心配していたぞ!)」

 よかった、この動物たちも落ち着いてくれたみたい。
 これなら話を聞いてくれそうかな?

「ねえ、あなたたち。どうして人間なのに人間に追われていたの?」

「ニャフン……(ミーベルンが私たちの主になったせいにゃ)」

「ワフ……(この街ではテイマーも迫害の対象なのだ)」

「なるほど。亜人だけじゃなくてテイマーも傷つけているんだ」

「ニャウ(そうなのにゃ)」

「ワフ、ワウ?(そうなる。ん、なぜ我らと話ができている?)」

「あ、私、〝ペットテイマー〟なの。だから小動物たちと話せるんだ」

「お姉さんも〝ペットテイマー〟なの?」

「うん、そうだよ。……ひょっとしてあなたも?」

「うん。私は〝ペットテイマー〟のミーベルン」

 嘘、こんなところに〝ペットテイマー〟がいるなんて。
 でも、この猫と犬が従っているし嘘じゃなさそうだよね。
 どうしよう……。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...