ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

文字の大きさ
96 / 100
第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第5章 最終決戦

96. ポイゾネスワイバーン戦

しおりを挟む
 さて、目の前にいる巨大なポイゾネスワイバーンだけど、どうやって倒そうか?
 ブレス攻撃は効かないみたいだけど、あの牙で噛まれたらこの鎧でも危険そうだよね。

「ミネル、どうしよう?」

『まずは《嵐魔法》を当ててみるぞ。《ストームエッジ》!』

 ミネルが放った《嵐魔法》の《ストームエッジ》だけど、ポイゾネスワイバーンの表皮にすら傷をつけることができない。
 逆にポイゾネスワイバーンの気に障ったみたいで、勢いよく突っ込んできた!

「ミネル!」

『あの程度ならばかわせる!』

 ポイゾネスワイバーンの突撃はかわせたけど、すれ違いざまにトゲ付きの尻尾で殴られた!
 鎧を貫通することはなかったけどとっても痛い!
 あれで頭を殴られたら気絶して墜落しちゃうかも。

『シズク、無事か?』

「無事だけど……痛かった」

『鎧も一部欠けておる。何度も攻撃を受ければ鎧を破壊されるぞ』

「だよね。どうやって攻めようか」

『危険だが接近戦しかあるまい。《魔獣の鉤爪》で攻めてみるぞ』

「わかった。近づくのは危なそうだけど、いこう!」

 私とミネルはポイゾネスワイバーンを追いかけるように飛び始める。
 あちらが本気で飛んでいないのか、飛ぶ速度が遅いのかわからないけれど、追いつくことは簡単にできて《魔獣の鉤爪》の射程圏内に頭部を捉えることもできた。

「いくよ、《魔獣の鉤爪》!」

『《魔獣の鉤爪》!』

 私とミネル、二重になった《魔獣の鉤爪》がポイゾネスワイバーンの頭部を締め付けた。
 はずなんだけど、今度も傷ひとつついていない。
 そして、また煩わしく思われたのか、ポイゾネスワイバーンに毒のブレスを吹きかけられて、姿をくらまされた。
 毒は効かないんだけど、至近距離で受けるとなにも見えなくなるのが困りものなんだよね。

「まったくもう! このブレス、邪魔!」

『ワイバーン種はブレスを吐けないはずじゃが、さすがは特殊変異個体じゃな。さてどこに……シズク! 上じゃ!』

「えっ!?」

 毒の霧を抜けると影が差し込み、真上からポイゾネスワイバーンが降ってきた!
 私狙いだったから慌てて避けたけど、完全に避けきることはできず、翼の鉤爪が左肩を直撃、肩の部分の鎧を破壊し左腕にも力が入らなくなってしまう。
 これって左肩の骨を折られたの!?

『シズク! 大丈夫か!?』

「つぅ……あまり大丈夫じゃない。《セイントヒール》」

 私がシラタマから借りていた《命魔法》の効果で左肩の痛みも治まり、左腕にも力が入るようになった。
 でも、肩の鎧はなくなっちゃったし、次に攻撃をもらえば左腕がなくなっちゃうよね。
 気をつけないと。

 私たちに急降下攻撃を仕掛けてきたポイゾネスワイバーンは勢いそのままに、再び舞い上がってきて今度は噛みつこうとしてきた。
 今度こそ尻尾の攻撃にもあたらないように余裕を持ってかわすけれど、反撃の糸口が見つからない!

「ミネル! どうしよう!?」

『とりあえずいまは耐えしのげ! 反撃の糸口はそこから見いだすのじゃ!』

「うん! わかった!」

 飛ぶ速度そのものは私たちの方が速いから逃げ回るのは楽。
 でも、ポイゾネスワイバーンも毒のブレスをまき散らし、姿をくらませようとするから気が抜けない。
 ときどき、すれ違いざまにオリハルコンのダガーで攻撃してみるけれど、その表皮もとても硬くダガーが刃こぼれする。
 ダガーの再生を待って翼膜を切りつけても同じ結果だから本当に硬い!

 そのまま空中戦は日が沈み始めるまで続いた。
 お互いに決め手を欠くからなかなか決着がつかず、じれったいことこの上ない!
 でも、表皮はオリハルコンでも傷がつかなかったし、一体どうすれば?

「ああ、もう! どうやれば倒せるの!?」

『落ち着け、シズク。あちらも相当いらだって攻撃が大振りになってきている。いまなら隙を見て首をはねることができるのではないか?』

「それに賭けてみよう! いこう、ミネル!」

『承知!』

 また突っ込んできた私たちに向かって毒のブレスを吐き、目潰しをしようとするけれどそうはいかない。
 今度は私たちが急上昇して毒のブレスをかわした。
 そしてそのまま、真下に向かって急降下しながらの斬撃!

「《魔爪刃》!!」

「Gugya!?」

 よし、効いた!?

『シズク、上から追って来ておる!』

「えぇ!?」

『横に逃げるぞ!』

「うん!」

 私たちは大慌てで角度を急変更し、ポイゾネスワイバーンの攻撃を回避。
 そのとき背中に衝撃を受けたから、また尻尾の攻撃を食らったみたい。
 首を切り落とすこともできていないの!?

『シズク! レザーアーマーの背中も破壊されているぞ!』

「そんな気がした!」

 うう、だんだんボロボロになっていっているよ……。
 この鎧、本当に再生していっているんだけど、それ以上の速度で破壊されているから気が抜けない。
 頭に攻撃を受けていないだけいいんだけど、頭に攻撃を受けたらそれだけで墜落死一直線な気がする!
 くっ、このままじゃ本当に反撃する余地がない!
 でも、逃げ回ってばかりでアイリーンの街の方へ向かわれてもまずいし!

「どうすればいいの、ミネル!? 攻撃手段がないよ!?」

『儂も考えておる! ええい、ここまで頑丈なモンスターがいるとは……』

 そのあとも、空が赤く染まり日が沈みきるまであまり意味のない攻撃と死ぬ寸前の回避を繰り返し続けた。
 でも、やっぱり打つ手が見つからない!

「ミネル! このままじゃ私の魔力が切れちゃう!?」

『マジックポーションも品切れか!?』

「あと1本しか残ってないよ!」

『ええい、どうすれば……』

 空を飛び回りながらポイゾネスワイバーンと追いかけっこをしていたそのとき、急にやつの動きが止まりもがき苦しみ始めた。
 一体なに?

「おーい! シズク! 待たせたな!」

 この声は……サンドロックさん?

「そいつを操っていたオークエンプレスは始末した! 今がチャンスだ! なんとかしろ!」

「いや、なんとかしろと言われても……」

 なんとかしようと思ってもすべての攻撃がはじかれるんですけれど!?
 ええい、どうすれば!?

『シズク、喉元を狙ってみよ! そこならば柔らかいかもしれぬ!』

「喉元……そうか!!」

 私はミネルの助言通り勢いをつけ、もがき苦しんでいるポイゾネスワイバーンの喉元めがけ突っ込んでいった。

「《魔爪刃》!」

 やった!
 今度はダガーが突き刺さってくれた!
 突き刺したダガーを再度《魔爪刃》で押し込もうとしたけど、そっちは無理だったので喉元を《魔爪刃》で切り裂いて一度離れ頭部にはりつく。

「目玉なら切れるでしょう! 《魔爪刃》!」

 そう考えてダガーを目玉に突き刺そうとしたんだけど、目玉も硬い!
 ダガーが欠けなかっただけよかった。
 でも、次の攻撃手段が……そうだ!
 一旦離れて、勢いをつけなおす準備をして……。

『シズク、どうする気じゃ?』

「解体してみる!」

『解体?』

「解体の基本は下腹部から引き裂く!」

 私は喉元を切り裂かれ、血を吹き上げながら苦しんでいるポイゾネスワイバーンの真下に回り、勢いよく跳び上がりながらダガーを突き刺した!

「《魔爪刃》!」

 すると、ダガーは綺麗にポイゾネスワイバーンの下腹部に突き刺さり、血がこぼれ落ち始めた!
 これならいける!

「《魔爪刃》! 《魔爪刃》! 《魔爪刃》! 《魔爪刃》!!」

 したたり落ちる血を浴びることも気にせず、私は下腹部から胸の方めがけてダガーで切り裂いていく。
 うん、バッチリ切れるね!

 そして胸まで切り裂き終わったところ、心臓の隣に紫色に輝く石が見えた。
 あれって……。

「んふふ……さすがにがなくなればモンスターは死ぬでしょう!!」

 私は再び胸めがけて突撃し、魔石の周囲にダガーを突き刺す。
 そのままダガーで魔石の周囲を切り裂いていけば……。

魔石採取完了!」

 私が魔石を取り出すと心臓も止まり、ポイゾネスワイバーンの体が地面に落ち始めた。
 私を巻き込んで。

「ちょ!? 待って!?」

 私はなんとか抜け出す事に成功。
 ポイゾネスワイバーンは……〝オークの砦〟砦前広場に落ちたみたい。
 なんにしても、私の勝利だ!

「勝ったぞー!!」

 私の雄叫びが既に暗くなった夜空に響いた。
 これで〝オークの砦〟攻略戦、完全勝利だ!
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...