98 / 100
第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める エピローグ 凱旋
98. 本営への帰還
しおりを挟む
洞窟の破壊を終え、サンドロックさんたちと合流した私は守備隊の待つ本営へと帰還することになった。
ただ、本営の前にはたくさんのかがり火がたかれているけれど、なにかあったかな?
「ああん? 本営の前にずいぶんと火が並んでいるが、なにか緊急事態か? デイビッド、どう思う?」
「いえ、のろしは上がっていませんし……サンドロックギルドマスター、どうしますか?」
「そうだな。全員、疲れているところを悪いが少し急ぎ足で本営に戻るぞ」
私以外の全員が駆け足になって本営へと急いで戻っていく。
私はキントキに乗っているから、ねぇ。
その後、本営の様子が見えるところまで来たんだけれど、たくさんの冒険者が臨戦態勢でこちらを待ち構えていた。
本当になにかあったのかな?
「ん? なにがあったんだ?」
「いえ、私にも……」
「シズク、お前に預けてあった松明を1本出してくれ。こっちの姿を見せる」
「わかりました。どうぞ」
「おう。誰か火を頼む」
サンドロックさんは火属性の魔法を使える先輩冒険者に頼み、松明に火を灯してもらった。
そうすると、本営前にいた冒険者たちは驚いたような様子でこちらを見ていたね。
本当になにがあったんだろう?
「んん? 本当にどうしたんだ、あいつら?」
「私にもわかりません。ああ、守備隊長がこちらに駆け寄ってきました」
あ、本当だ。
デイビッド教官が言う通り、本営の守備隊長さんがこっちにやってくる。
本営になにか異変でもあったのかな?
「サンドロックギルドマスター、ご無事でしたか!?」
「ん? ああ、無事だが……どうしたんだ、この防衛体制は? なにかあったのか?」
「いえ、〝オークの砦〟方面から大きなものが崩れる音が2度聞こえてきたために臨戦態勢をと」
「ああ」
「サンドロックギルドマスター?」
「悪い。そいつは俺たちの仕業だ」
「え?」
「〝オークの砦〟を攻略し終わったあと、砦を再利用されないように崩してもらったんだ。んでそのあと、シズクに頼んで裏口にあたる洞窟も崩してもらった。その音だな」
「そうでしたか。ご無事でしたらなにより……ん? 砦を崩した?」
「ああ。〝オークの砦〟にいたオークどもは全滅させた。そのあと、使えそうなものは根こそぎかき集めてもらってから砦そのものを破壊してもらった。これでもう、アイリーンの街が〝オークの砦〟を恐れることはない」
「その……本当ですか?」
「ああ。俺にとっても賭けだったが、〝オークの砦〟完全制圧完了だ。オークども首魁もぶっ殺してきた。大物は解体せずにシズクが《ストレージ》で運んでいるから、明日の朝にでも見せてやるよ」
「……お、おお! 本当に〝オークの砦〟を!?」
「本当だっつってんだろう? ほれ、お前はさっさとあっちにいる冒険者どもの臨戦態勢を解かせろ。俺たちが帰って行きにくい」
「はい! 失礼いたします!」
守備隊長さんってば、飛び跳ねて駆け出していったよ。
あ、その報告を聞いた冒険者たちまで飛び跳ねだしたし。
私も本来だったらあちら側だったんだよね。
なんでこっち側にいるんだろう?
「よし、俺たちもさっさと本営まで戻るぞ。さっさと報告を済ませて寝ちまおう。祝勝会は明日だ」
サンドロックさんを初めとする前線部隊を迎え入れてくれた本営の冒険者たちはお祭り騒ぎだった。
自分たちを襲ってきたオークたちを完全にたたきのめせたんだから嬉しいんだろうね。
サンドロックさんやデイビッド教官も嬉しそうだったし、私も嬉しそうな顔をしているのかな?
ただ、今日は本当に眠い……。
********************
「はーい、ウルフ肉のソテー。お代わり焼き上がりましたよー」
私たち前線部隊が帰ってきた翌日は本営にいたみんなで派手に祝勝会!
食料もたくさん残っていたから、それらを使っていろんな料理が作られている。
私も《ストレージ》に保管されていた新鮮なウルフ肉を使ってみんなに手料理をふるっている最中。
家ではメイナお姉ちゃんが全部の料理をしてくれるけれど、たまにはこういうのも楽しいかな?
「……お前、こんなところでなにをしている?」
「あ、サンドロックさん。見ての通り料理を作っています」
「いや、そうなんだけどよ。そうじゃなくて、お前も祝福される側だろうが」
「でも、私、Dランクの冒険者ですよ? 参加している冒険者の中でも最下位ランクの私が……」
「今回、一番活躍していたやつがのんびり手料理を作ってるんじゃねぇ! 誰か! ここの料理担当を代われ!」
「はーい。だから言ったのに、功労者がのんびり料理なんてしているなって」
「いや、でも……」
「キントキ、食材を出して置いていけ。こいつが戻ってこなくてもすむようにな!」
『はーい』
「じゃあ、このステップワンダーは預かっていくぞ。料理は任せた」
私はサンドロックさんに担がれて祝勝会の輪の中へ。
その中でもサンドロックさんやデイビッド教官の座っている席にほど近い場所にどんと置かれてしまった。
お尻、痛い……。
「サンドロックギルドマスター、ようやくシズクを連れてきましたか」
「ああ。このバカ、ウルフ肉の料理を作ってやがった。通りでどこを探しても見つからないはずだぜ」
「シズク、お前……」
なぜだろう、デイビッド教官だけじゃなく他の先輩冒険者たちからも呆れられたような視線を感じる……。
「シズク、今回の攻略戦はお前が戦功1位だ。その主役がいなくてどうするよ?」
「え? 1位はサンドロックさんじゃないんですか?」
「馬鹿言え。俺が倒したのはオークジェネラルにオークエンプレス程度だ。ポイゾネスワイバーンの特殊変異個体なんて特上の大物を狩ってなんていない。あんな化け物、俺だってソロで倒せないぞ」
「そうだな。今回の戦功1位はシズクだろう。オーク鉱山の発見および壊滅。本営の救援。隠密行動部隊としての活躍。そして、特殊変異個体の討伐。前回はサンドロックギルドマスターがオークエンペラーを倒したからこそ戦功1位だったが、今回の戦功1位は文句なしでお前だ」
「いや、でも。それは、仲間たちのおかげもあるわけで」
「テイマー系の冒険者がテイムしている仲間を使っているんだ、それも含めてお前の戦功だよ。それに、砦を崩したのだってキントキだろう? なら、お前が戦功1位を持っていけ。誰も文句を言わねぇからよ」
「うぅ……」
どうやら、私の戦功1位は冒険者仲間では確定らしい。
最終的に決めるのはケウナコウ様だけど、サンドロックさんの推薦もあるからなぁ。
ともかく、いまはこの場を乗り切ることを考えよう。
私、お酒とか飲んだことないからどうなるかわからないし……。
ただ、本営の前にはたくさんのかがり火がたかれているけれど、なにかあったかな?
「ああん? 本営の前にずいぶんと火が並んでいるが、なにか緊急事態か? デイビッド、どう思う?」
「いえ、のろしは上がっていませんし……サンドロックギルドマスター、どうしますか?」
「そうだな。全員、疲れているところを悪いが少し急ぎ足で本営に戻るぞ」
私以外の全員が駆け足になって本営へと急いで戻っていく。
私はキントキに乗っているから、ねぇ。
その後、本営の様子が見えるところまで来たんだけれど、たくさんの冒険者が臨戦態勢でこちらを待ち構えていた。
本当になにかあったのかな?
「ん? なにがあったんだ?」
「いえ、私にも……」
「シズク、お前に預けてあった松明を1本出してくれ。こっちの姿を見せる」
「わかりました。どうぞ」
「おう。誰か火を頼む」
サンドロックさんは火属性の魔法を使える先輩冒険者に頼み、松明に火を灯してもらった。
そうすると、本営前にいた冒険者たちは驚いたような様子でこちらを見ていたね。
本当になにがあったんだろう?
「んん? 本当にどうしたんだ、あいつら?」
「私にもわかりません。ああ、守備隊長がこちらに駆け寄ってきました」
あ、本当だ。
デイビッド教官が言う通り、本営の守備隊長さんがこっちにやってくる。
本営になにか異変でもあったのかな?
「サンドロックギルドマスター、ご無事でしたか!?」
「ん? ああ、無事だが……どうしたんだ、この防衛体制は? なにかあったのか?」
「いえ、〝オークの砦〟方面から大きなものが崩れる音が2度聞こえてきたために臨戦態勢をと」
「ああ」
「サンドロックギルドマスター?」
「悪い。そいつは俺たちの仕業だ」
「え?」
「〝オークの砦〟を攻略し終わったあと、砦を再利用されないように崩してもらったんだ。んでそのあと、シズクに頼んで裏口にあたる洞窟も崩してもらった。その音だな」
「そうでしたか。ご無事でしたらなにより……ん? 砦を崩した?」
「ああ。〝オークの砦〟にいたオークどもは全滅させた。そのあと、使えそうなものは根こそぎかき集めてもらってから砦そのものを破壊してもらった。これでもう、アイリーンの街が〝オークの砦〟を恐れることはない」
「その……本当ですか?」
「ああ。俺にとっても賭けだったが、〝オークの砦〟完全制圧完了だ。オークども首魁もぶっ殺してきた。大物は解体せずにシズクが《ストレージ》で運んでいるから、明日の朝にでも見せてやるよ」
「……お、おお! 本当に〝オークの砦〟を!?」
「本当だっつってんだろう? ほれ、お前はさっさとあっちにいる冒険者どもの臨戦態勢を解かせろ。俺たちが帰って行きにくい」
「はい! 失礼いたします!」
守備隊長さんってば、飛び跳ねて駆け出していったよ。
あ、その報告を聞いた冒険者たちまで飛び跳ねだしたし。
私も本来だったらあちら側だったんだよね。
なんでこっち側にいるんだろう?
「よし、俺たちもさっさと本営まで戻るぞ。さっさと報告を済ませて寝ちまおう。祝勝会は明日だ」
サンドロックさんを初めとする前線部隊を迎え入れてくれた本営の冒険者たちはお祭り騒ぎだった。
自分たちを襲ってきたオークたちを完全にたたきのめせたんだから嬉しいんだろうね。
サンドロックさんやデイビッド教官も嬉しそうだったし、私も嬉しそうな顔をしているのかな?
ただ、今日は本当に眠い……。
********************
「はーい、ウルフ肉のソテー。お代わり焼き上がりましたよー」
私たち前線部隊が帰ってきた翌日は本営にいたみんなで派手に祝勝会!
食料もたくさん残っていたから、それらを使っていろんな料理が作られている。
私も《ストレージ》に保管されていた新鮮なウルフ肉を使ってみんなに手料理をふるっている最中。
家ではメイナお姉ちゃんが全部の料理をしてくれるけれど、たまにはこういうのも楽しいかな?
「……お前、こんなところでなにをしている?」
「あ、サンドロックさん。見ての通り料理を作っています」
「いや、そうなんだけどよ。そうじゃなくて、お前も祝福される側だろうが」
「でも、私、Dランクの冒険者ですよ? 参加している冒険者の中でも最下位ランクの私が……」
「今回、一番活躍していたやつがのんびり手料理を作ってるんじゃねぇ! 誰か! ここの料理担当を代われ!」
「はーい。だから言ったのに、功労者がのんびり料理なんてしているなって」
「いや、でも……」
「キントキ、食材を出して置いていけ。こいつが戻ってこなくてもすむようにな!」
『はーい』
「じゃあ、このステップワンダーは預かっていくぞ。料理は任せた」
私はサンドロックさんに担がれて祝勝会の輪の中へ。
その中でもサンドロックさんやデイビッド教官の座っている席にほど近い場所にどんと置かれてしまった。
お尻、痛い……。
「サンドロックギルドマスター、ようやくシズクを連れてきましたか」
「ああ。このバカ、ウルフ肉の料理を作ってやがった。通りでどこを探しても見つからないはずだぜ」
「シズク、お前……」
なぜだろう、デイビッド教官だけじゃなく他の先輩冒険者たちからも呆れられたような視線を感じる……。
「シズク、今回の攻略戦はお前が戦功1位だ。その主役がいなくてどうするよ?」
「え? 1位はサンドロックさんじゃないんですか?」
「馬鹿言え。俺が倒したのはオークジェネラルにオークエンプレス程度だ。ポイゾネスワイバーンの特殊変異個体なんて特上の大物を狩ってなんていない。あんな化け物、俺だってソロで倒せないぞ」
「そうだな。今回の戦功1位はシズクだろう。オーク鉱山の発見および壊滅。本営の救援。隠密行動部隊としての活躍。そして、特殊変異個体の討伐。前回はサンドロックギルドマスターがオークエンペラーを倒したからこそ戦功1位だったが、今回の戦功1位は文句なしでお前だ」
「いや、でも。それは、仲間たちのおかげもあるわけで」
「テイマー系の冒険者がテイムしている仲間を使っているんだ、それも含めてお前の戦功だよ。それに、砦を崩したのだってキントキだろう? なら、お前が戦功1位を持っていけ。誰も文句を言わねぇからよ」
「うぅ……」
どうやら、私の戦功1位は冒険者仲間では確定らしい。
最終的に決めるのはケウナコウ様だけど、サンドロックさんの推薦もあるからなぁ。
ともかく、いまはこの場を乗り切ることを考えよう。
私、お酒とか飲んだことないからどうなるかわからないし……。
11
あなたにおすすめの小説
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる