ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める エピローグ 凱旋

98. 本営への帰還

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 洞窟の破壊を終え、サンドロックさんたちと合流した私は守備隊の待つ本営へと帰還することになった。
 ただ、本営の前にはたくさんのかがり火がたかれているけれど、なにかあったかな?

「ああん? 本営の前にずいぶんと火が並んでいるが、なにか緊急事態か? デイビッド、どう思う?」

「いえ、のろしは上がっていませんし……サンドロックギルドマスター、どうしますか?」

「そうだな。全員、疲れているところを悪いが少し急ぎ足で本営に戻るぞ」

 私以外の全員が駆け足になって本営へと急いで戻っていく。
 私はキントキに乗っているから、ねぇ。
 その後、本営の様子が見えるところまで来たんだけれど、たくさんの冒険者が臨戦態勢でこちらを待ち構えていた。
 本当になにかあったのかな?

「ん? なにがあったんだ?」

「いえ、私にも……」

「シズク、お前に預けてあった松明を1本出してくれ。こっちの姿を見せる」

「わかりました。どうぞ」

「おう。誰か火を頼む」

 サンドロックさんは火属性の魔法を使える先輩冒険者に頼み、松明に火を灯してもらった。
 そうすると、本営前にいた冒険者たちは驚いたような様子でこちらを見ていたね。
 本当になにがあったんだろう?

「んん? 本当にどうしたんだ、あいつら?」

「私にもわかりません。ああ、守備隊長がこちらに駆け寄ってきました」

 あ、本当だ。
 デイビッド教官が言う通り、本営の守備隊長さんがこっちにやってくる。
 本営になにか異変でもあったのかな?

「サンドロックギルドマスター、ご無事でしたか!?」

「ん? ああ、無事だが……どうしたんだ、この防衛体制は? なにかあったのか?」

「いえ、〝オークの砦〟方面から大きなものが崩れる音が2度聞こえてきたために臨戦態勢をと」

「ああ」

「サンドロックギルドマスター?」

「悪い。そいつは俺たちの仕業だ」

「え?」

「〝オークの砦〟を攻略し終わったあと、砦を再利用されないように崩してもらったんだ。んでそのあと、シズクに頼んで裏口にあたる洞窟も崩してもらった。その音だな」

「そうでしたか。ご無事でしたらなにより……ん? 砦を崩した?」

「ああ。〝オークの砦〟にいたオークどもは全滅させた。そのあと、使えそうなものは根こそぎかき集めてもらってから砦そのものを破壊してもらった。これでもう、アイリーンの街が〝オークの砦〟を恐れることはない」

「その……本当ですか?」

「ああ。俺にとっても賭けだったが、〝オークの砦〟完全制圧完了だ。オークども首魁もぶっ殺してきた。大物は解体せずにシズクが《ストレージ》で運んでいるから、明日の朝にでも見せてやるよ」

「……お、おお! 本当に〝オークの砦〟を!?」

「本当だっつってんだろう? ほれ、お前はさっさとあっちにいる冒険者どもの臨戦態勢を解かせろ。俺たちが帰って行きにくい」

「はい! 失礼いたします!」

 守備隊長さんってば、飛び跳ねて駆け出していったよ。
 あ、その報告を聞いた冒険者たちまで飛び跳ねだしたし。
 私も本来だったらあちら側だったんだよね。
 なんでこっち側にいるんだろう?

「よし、俺たちもさっさと本営まで戻るぞ。さっさと報告を済ませて寝ちまおう。祝勝会は明日だ」

 サンドロックさんを初めとする前線部隊を迎え入れてくれた本営の冒険者たちはお祭り騒ぎだった。
 自分たちを襲ってきたオークたちを完全にたたきのめせたんだから嬉しいんだろうね。
 サンドロックさんやデイビッド教官も嬉しそうだったし、私も嬉しそうな顔をしているのかな?
 ただ、今日は本当に眠い……。


********************


「はーい、ウルフ肉のソテー。お代わり焼き上がりましたよー」

 私たち前線部隊が帰ってきた翌日は本営にいたみんなで派手に祝勝会!
 食料もたくさん残っていたから、それらを使っていろんな料理が作られている。
 私も《ストレージ》に保管されていた新鮮なウルフ肉を使ってみんなに手料理をふるっている最中。
 家ではメイナお姉ちゃんが全部の料理をしてくれるけれど、たまにはこういうのも楽しいかな?

「……お前、こんなところでなにをしている?」

「あ、サンドロックさん。見ての通り料理を作っています」

「いや、そうなんだけどよ。そうじゃなくて、お前も祝福される側だろうが」

「でも、私、Dランクの冒険者ですよ? 参加している冒険者の中でも最下位ランクの私が……」

「今回、一番活躍していたやつがのんびり手料理を作ってるんじゃねぇ! 誰か! ここの料理担当を代われ!」

「はーい。だから言ったのに、功労者がのんびり料理なんてしているなって」

「いや、でも……」

「キントキ、食材を出して置いていけ。こいつが戻ってこなくてもすむようにな!」

『はーい』

「じゃあ、このステップワンダーは預かっていくぞ。料理は任せた」

 私はサンドロックさんに担がれて祝勝会の輪の中へ。
 その中でもサンドロックさんやデイビッド教官の座っている席にほど近い場所にどんと置かれてしまった。
 お尻、痛い……。

「サンドロックギルドマスター、ようやくシズクを連れてきましたか」

「ああ。このバカ、ウルフ肉の料理を作ってやがった。通りでどこを探しても見つからないはずだぜ」

「シズク、お前……」

 なぜだろう、デイビッド教官だけじゃなく他の先輩冒険者たちからも呆れられたような視線を感じる……。

「シズク、今回の攻略戦はお前が戦功1位だ。その主役がいなくてどうするよ?」

「え? 1位はサンドロックさんじゃないんですか?」

「馬鹿言え。俺が倒したのはオークジェネラルにオークエンプレス程度だ。ポイゾネスワイバーンの特殊変異個体なんて特上の大物を狩ってなんていない。あんな化け物、俺だってソロで倒せないぞ」

「そうだな。今回の戦功1位はシズクだろう。オーク鉱山の発見および壊滅。本営の救援。隠密行動部隊としての活躍。そして、特殊変異個体の討伐。前回はサンドロックギルドマスターがオークエンペラーを倒したからこそ戦功1位だったが、今回の戦功1位は文句なしでお前だ」

「いや、でも。それは、仲間ペットたちのおかげもあるわけで」

「テイマー系の冒険者がテイムしている仲間を使っているんだ、それも含めてお前の戦功だよ。それに、砦を崩したのだってキントキだろう? なら、お前が戦功1位を持っていけ。誰も文句を言わねぇからよ」

「うぅ……」

 どうやら、私の戦功1位は冒険者仲間では確定らしい。
 最終的に決めるのはケウナコウ様だけど、サンドロックさんの推薦もあるからなぁ。
 ともかく、いまはこの場を乗り切ることを考えよう。
 私、お酒とか飲んだことないからどうなるかわからないし……。
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