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第2部 『神樹の里』環境整備と不満の解決 第3章 美術館と海族館
45.幻獣たちの像並べ
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すべてのエリアに暮らしていた幻獣や精霊、妖精の像を造ってから1日休みをもらい、僕とリンは再び美術館へとやってきました。
相変わらずニンフやエアリアルもいますが……今日はトルマリンを除いた五大精霊たちも勢揃いですね。
どういうつながりでしょうか?
『おう、契約者。また派手に動いとるけんの』
「僕が好きで動き回ってるわけではありませんよ、ヴォルケーノボム。それでみんなはなぜ集まっているのですか?」
『儂らはエアリアルに集められた。美術館の3階を整備したいそうじゃ』
「3階。一番上の階ですか」
確か、あそこはだだっ広い草原地帯でしたね。
あそこを整備?
『申し訳ありません。この子たちがどうしてもと言って聞かず……』
「僕はかまわないのですが……なにを作るんですか?」
『みんなが暮らしている環境を再現するんです。あとでアルラウネやドライアドも来てくれます』
「ローズマリーにツリーハウスまで」
どんどん話が大きくなっていっていますが、大丈夫ですかね、これ?
ともかく、みんな一緒に3階へ移動。
そこに作られた景色に一同感心していました。
『よくもまあ、これだけのもんを……』
『契約者、大変だったのでは?』
『音楽堂の時のような無理はしておらぬよな?』
「今回はすぐにできましたよ。クリスタルを二重にして、その隙間にニンフが水を張っただけですから」
『ならばよいのじゃが。それでニンフたちよ、我々に何を望む?』
『幻獣や精霊、妖精の暮らしている環境を再現していただきたいのです。具体的にいえば小規模な山や岩山、火山、湖、海などを』
『このスペース内に作ろうとしたら狭くもなるけん』
『構いませんが、なにをどう飾るのでしょう?』
『それはそのあとのお楽しみと言うことで!』
『……とりあえず始めるか』
『そうすっぞ』
『そういたしましょう』
『申し訳ありません。この子たちのわがままに付き合っていただき……』
ニンフとエアリアルの指示の元、整地作業が始まりました。
山はそれほど高くせずに広めで、岩山も切り立った崖などは作らず段差をつけるように作っています。
ヴォルケーノボムが担当している火山は、実際に溶岩は吹き出させずに湯気だけを出してほしいと指示が出ていました。
ヴォルケーノボムに言わせれば「穴を開けて温泉でも作っとくけんの」となりましたが。
アクエリアの担当した湖と海は僕たちのくるぶしくらいまでしか深さのない遠浅のものを作ってもらったようで、マインには海のエリアに砂浜も作ってもらっています。
……なかなか本格的ですね。
遅れてやってきたローズマリーとツリーハウスも合流し、森と花畑を作りました。
ただの草原だった一面が急に豪華になったものです。
『……すごい、豪華な作りになっています』
「テイラーメイド?」
『あ、はい。テイラーメイドです』
更にテイラーメイドまでやってきましたがなにをするのでしょうか?
『あ、アラクネ様も来てくださいました。これで本格的な作業が始められます』
「本格的な作業?」
『はい。像の配置です。まずは……駆け回るユニコーン様の像から置きましょう。ええと……あちらの草原に置いてください』
「わかりました。このあたりでいいですか?」
『そのあたりです。よろしくお願いします』
「では」
僕は保管庫にしまってあった駆け回るユニコーンの像を取り出して草原に置きました。
ただ、この像って立つのですが不安定なんですよね……。
『契約者様、限りなく透明で破壊できないクリスタルって作れませんか?』
「限りなく透明で破壊できないクリスタル……何度か試せばできそうですがなんのために?」
『ユニコーン様の像が倒れないためです。それを支柱として倒れないように支えたいと』
「わかりました。試してみましょうか」
僕はこの建物などの素材になっているクリスタルを元に更に透明度を増し強固なクリスタルを創造魔法で作りあげていきます。
ただ、透明度は上がったのですが強度はあまり上がらず、壊れないようにするための強化魔法で代用することにしました。
そして、そのクリスタルを何本か支柱としてユニコーンの像の下に埋め込み、支えとしてあげればユニコーンの像の設置完了です。
『ふむ、これは面白いのう』
『確かに。よくできたユニコーンの像が走るように再現されておる。創造魔法でもなければここまでの躍動感は出ないであろう』
『ええ。それで、置く像はもっとたくさんありますよね?』
『はい。まずは草原エリアから設置して回りましょうか』
僕はニンフたちに指示されるままたくさんの像を置いて回ります。
そのすべてに地面へと支柱を伸ばすようにも指示され、動かないよう固定するのだとか。
確かに、これなら多少蹴られた程度ならびくともしないでしょう。
『では、空の幻獣様も飾りましょう』
「空の? ペガサスや鳳凰などですか?」
『はい。そのためにアラクネ様に来ていただきました』
「テイラーメイドに?」
『ええと、失礼いたしますね。私は天井に張り付きますので』
そう言うとテイラーメイドは糸を出して天井に張り付き、移動をして糸を垂らし始めました。
これって?
『契約者様、これにまずはペガサス様の像を乗せてください』
「構いませんが……テイラーメイドの糸でもいつかは切れてしまうのでは?」
『高さを決めたら、糸の周りを先ほどのクリスタルで天井と固定してください。そうすれば落ちません』
なるほど、確かにそれなら多少のことでは落ちてこないでしょう。
テイラーメイドが垂らしてきている糸にシエロの像を乗せると引っ張り上げられ、ある程度の高さで固定。
そこからは僕の仕事でクリスタルを使った固定になりました。
同じ要領で空飛ぶ幻獣などを固定していき、空にも像が増えましたね。
『空はこれでいいでしょう。シルフィード様の像も飾ることができましたし』
「だからウィンディの像は飛んでる姿のものだったのですね……」
『はい。ほかのエリアにも像を設置して回りましょう』
ほかのエリア、森や山、岩山、火山、湖に海にもそれぞれの像を配置していきます。
マインの像は岩山の頂上に、ヴォルケーノボムの像は火山の麓に、トルマリンの像は山の山頂に、アクエリアの像は湖の中心に飾られることとなりました。
しかしここで問題がひとつ。
「海のエリア、つまりマーメイドやマーマンを配置する場所ですが遠浅では転がってしまいますよ?」
『像の形に添った穴って開けられませんか? 2階に貫通しないような』
「2階の天井、つまりこの床もかなり厚いので可能です。そのようにして固定します」
マーメイドとマーマンも配置して海も完成。
最後に花畑にローズマリーとディーヴァ、ミンストレルの像を置けばこの階は終了のようです。
『にきやかになったのう』
『ああ。だが、大変素晴らしい空間だ』
『本当に。幻獣たちの美術館なんていうからどのようなものを作るのか心配していたのだけれど……』
『五大精霊様に褒められると頑張った甲斐があります』
「像を造ったのは全部僕ですけどね……」
「シントも頑張ったね……」
3階に飾られなかった像はすべて2階と1階に分けて展示するそうです。
2階に展示する分だけは今日中に終わらせてしまい、1階の分は翌日の作業となりました。
気がつけば1階の床で石だったところにはテイラーメイド製の敷物が敷かれていますし、準備万全というところなのでしょう。
1階の準備が整った翌日には開館するそうですが、どれくらい幻獣や精霊、妖精たちは来るのでしょうね?
相変わらずニンフやエアリアルもいますが……今日はトルマリンを除いた五大精霊たちも勢揃いですね。
どういうつながりでしょうか?
『おう、契約者。また派手に動いとるけんの』
「僕が好きで動き回ってるわけではありませんよ、ヴォルケーノボム。それでみんなはなぜ集まっているのですか?」
『儂らはエアリアルに集められた。美術館の3階を整備したいそうじゃ』
「3階。一番上の階ですか」
確か、あそこはだだっ広い草原地帯でしたね。
あそこを整備?
『申し訳ありません。この子たちがどうしてもと言って聞かず……』
「僕はかまわないのですが……なにを作るんですか?」
『みんなが暮らしている環境を再現するんです。あとでアルラウネやドライアドも来てくれます』
「ローズマリーにツリーハウスまで」
どんどん話が大きくなっていっていますが、大丈夫ですかね、これ?
ともかく、みんな一緒に3階へ移動。
そこに作られた景色に一同感心していました。
『よくもまあ、これだけのもんを……』
『契約者、大変だったのでは?』
『音楽堂の時のような無理はしておらぬよな?』
「今回はすぐにできましたよ。クリスタルを二重にして、その隙間にニンフが水を張っただけですから」
『ならばよいのじゃが。それでニンフたちよ、我々に何を望む?』
『幻獣や精霊、妖精の暮らしている環境を再現していただきたいのです。具体的にいえば小規模な山や岩山、火山、湖、海などを』
『このスペース内に作ろうとしたら狭くもなるけん』
『構いませんが、なにをどう飾るのでしょう?』
『それはそのあとのお楽しみと言うことで!』
『……とりあえず始めるか』
『そうすっぞ』
『そういたしましょう』
『申し訳ありません。この子たちのわがままに付き合っていただき……』
ニンフとエアリアルの指示の元、整地作業が始まりました。
山はそれほど高くせずに広めで、岩山も切り立った崖などは作らず段差をつけるように作っています。
ヴォルケーノボムが担当している火山は、実際に溶岩は吹き出させずに湯気だけを出してほしいと指示が出ていました。
ヴォルケーノボムに言わせれば「穴を開けて温泉でも作っとくけんの」となりましたが。
アクエリアの担当した湖と海は僕たちのくるぶしくらいまでしか深さのない遠浅のものを作ってもらったようで、マインには海のエリアに砂浜も作ってもらっています。
……なかなか本格的ですね。
遅れてやってきたローズマリーとツリーハウスも合流し、森と花畑を作りました。
ただの草原だった一面が急に豪華になったものです。
『……すごい、豪華な作りになっています』
「テイラーメイド?」
『あ、はい。テイラーメイドです』
更にテイラーメイドまでやってきましたがなにをするのでしょうか?
『あ、アラクネ様も来てくださいました。これで本格的な作業が始められます』
「本格的な作業?」
『はい。像の配置です。まずは……駆け回るユニコーン様の像から置きましょう。ええと……あちらの草原に置いてください』
「わかりました。このあたりでいいですか?」
『そのあたりです。よろしくお願いします』
「では」
僕は保管庫にしまってあった駆け回るユニコーンの像を取り出して草原に置きました。
ただ、この像って立つのですが不安定なんですよね……。
『契約者様、限りなく透明で破壊できないクリスタルって作れませんか?』
「限りなく透明で破壊できないクリスタル……何度か試せばできそうですがなんのために?」
『ユニコーン様の像が倒れないためです。それを支柱として倒れないように支えたいと』
「わかりました。試してみましょうか」
僕はこの建物などの素材になっているクリスタルを元に更に透明度を増し強固なクリスタルを創造魔法で作りあげていきます。
ただ、透明度は上がったのですが強度はあまり上がらず、壊れないようにするための強化魔法で代用することにしました。
そして、そのクリスタルを何本か支柱としてユニコーンの像の下に埋め込み、支えとしてあげればユニコーンの像の設置完了です。
『ふむ、これは面白いのう』
『確かに。よくできたユニコーンの像が走るように再現されておる。創造魔法でもなければここまでの躍動感は出ないであろう』
『ええ。それで、置く像はもっとたくさんありますよね?』
『はい。まずは草原エリアから設置して回りましょうか』
僕はニンフたちに指示されるままたくさんの像を置いて回ります。
そのすべてに地面へと支柱を伸ばすようにも指示され、動かないよう固定するのだとか。
確かに、これなら多少蹴られた程度ならびくともしないでしょう。
『では、空の幻獣様も飾りましょう』
「空の? ペガサスや鳳凰などですか?」
『はい。そのためにアラクネ様に来ていただきました』
「テイラーメイドに?」
『ええと、失礼いたしますね。私は天井に張り付きますので』
そう言うとテイラーメイドは糸を出して天井に張り付き、移動をして糸を垂らし始めました。
これって?
『契約者様、これにまずはペガサス様の像を乗せてください』
「構いませんが……テイラーメイドの糸でもいつかは切れてしまうのでは?」
『高さを決めたら、糸の周りを先ほどのクリスタルで天井と固定してください。そうすれば落ちません』
なるほど、確かにそれなら多少のことでは落ちてこないでしょう。
テイラーメイドが垂らしてきている糸にシエロの像を乗せると引っ張り上げられ、ある程度の高さで固定。
そこからは僕の仕事でクリスタルを使った固定になりました。
同じ要領で空飛ぶ幻獣などを固定していき、空にも像が増えましたね。
『空はこれでいいでしょう。シルフィード様の像も飾ることができましたし』
「だからウィンディの像は飛んでる姿のものだったのですね……」
『はい。ほかのエリアにも像を設置して回りましょう』
ほかのエリア、森や山、岩山、火山、湖に海にもそれぞれの像を配置していきます。
マインの像は岩山の頂上に、ヴォルケーノボムの像は火山の麓に、トルマリンの像は山の山頂に、アクエリアの像は湖の中心に飾られることとなりました。
しかしここで問題がひとつ。
「海のエリア、つまりマーメイドやマーマンを配置する場所ですが遠浅では転がってしまいますよ?」
『像の形に添った穴って開けられませんか? 2階に貫通しないような』
「2階の天井、つまりこの床もかなり厚いので可能です。そのようにして固定します」
マーメイドとマーマンも配置して海も完成。
最後に花畑にローズマリーとディーヴァ、ミンストレルの像を置けばこの階は終了のようです。
『にきやかになったのう』
『ああ。だが、大変素晴らしい空間だ』
『本当に。幻獣たちの美術館なんていうからどのようなものを作るのか心配していたのだけれど……』
『五大精霊様に褒められると頑張った甲斐があります』
「像を造ったのは全部僕ですけどね……」
「シントも頑張ったね……」
3階に飾られなかった像はすべて2階と1階に分けて展示するそうです。
2階に展示する分だけは今日中に終わらせてしまい、1階の分は翌日の作業となりました。
気がつけば1階の床で石だったところにはテイラーメイド製の敷物が敷かれていますし、準備万全というところなのでしょう。
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