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第二章 世界樹の枝と外の状況

22. 世界樹の精霊からの贈り物

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 世界樹の精霊様との食事会は和やかに終わった。
 僕たちの作ってきたパンを喜んでくれて本当によかった。

『ごちそうさまでした、猫の賢者、バオア。人の手が加わった物をいただくのはいつ以来でしょう』

「もしよろしければ、またお持ちいたします」

『そうですね……どれではこうしましょう』

 世界樹の精霊様が手をかざすと、かざした手の前に光の玉が出来上がった。
 そして、光の玉がなくなるとそこには一本の苗木が。
 見たところ普通の苗木なんだけど?

『これは私の分身です。言ってしまえば、これもまた世界樹の枝になります』

「その、これをどうすれば?」

『あなた方の住処のそばに広場を作っておきます。そこの中心に植えておいてください。そうすれば私が好きなときにそちらに行くことが出来ます。あなた方もここまで来なくとも私に語りかけることが出来ますよ』

「それはありがたいものを。でも、広場って……?」

『私がいま土地を整備して作りました。あと、あなた方が住んでいる小屋の隣に屋敷を建てましたので今後はそちらで寝起きしなさい。いままで使っていた小屋は物置小屋にするとよいでしょう』

 家までもらえるんだ。
 確かにあの小屋だと部屋とかがないからいろいろ不便だったんだよね。
 トイレに行くにも一度小屋を出る必要があったし。
 新しい家ってどれくらいの家なんだろう?

『ひとまずあなた方の住環境については整えました。他にほしいものはありますか?』

「ほしいもの……ホーフーン、なにかある?」

「そうですにゃあ……では、近くに小川がほしいのですにゃ。魚や貝は捕れなくても構いませんので用意していただけますかにゃ?」

『その程度でしたら。あなた方にとって肉や魚は大切な食べ物でもあるのでしょうが、ここは世界樹の森、殺生は御法度です』

「承知しておりますにゃ。あと、塩が取れる場所もほしいですにゃ。山菜やキノコは採れるのですが、味付け用の塩が足りなくなってきましたにゃ。そちらもお願いできますかにゃ?」

『いいでしょう。あなた方の家の近くに塩湖を用意しておきます。塩分濃度をかなり高くしておきますので簡単に塩を取れるはずですよ』

「ありがとうございますにゃ。吾輩からは以上ですにゃ。バオアはなにかありませんかにゃ?」

 僕か……結構満ち足りた生活をしているからあまりないんだよね。
 あ、でも、あれがあるともう少し彩りが出るかも?

「世界樹の精霊様、この森に香辛料はありますでしょうか?」

『香辛料ですか? 自生しているものであれば多くありますよ。……ああ、自生していてもどれが香辛料だかわからないのですね』

「お恥ずかしながらそうなります」

『よいでしょう。あなた方の家にこの森に自生している植物の図鑑を置いておきます。それを見ながらどれが食用に適した植物なのか見極めなさい』

「はい。ありがとうございます。これで大丈夫です」

『わかりました。この先、なにか望みが増えましたら今度はそちらの苗木から私を呼び出しなさい。では、今日はこれで』

 世界樹の精霊様の体がゆっくりと薄くなっていき、やがて姿を消した。
 残されていたのは世界樹の枝のひとつだという苗木だ。
 ちゃんと持ち帰って広場に植え、育てなきゃね。
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