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深淵の原生林
渾身の演技!記憶喪失作戦
しおりを挟む「やなぎ……」
言いかけた口を、あなたは寸前で食い止めました。
(待てよ……『ヤナギハラ・ツトム』なんて響き、この世界の人間が聞いたら異様すぎる!?出身を聞かれても『日本』なんて答えようがないし、余計に不審がられるだけだ……!)
あなたは咄嗟に、頭を押さえてフラリとよろけて見せました。
「……くっ、思い出せない。……名前を言おうとしたが、頭の中に霞がかかったみたいだ……。気がついたら、この森に倒れていたんだ。自分がいったい誰なのか、ここがどこなのかも分からない……」
あなたはうつむき、演技半分、本音半分の悲痛な声を絞り出しました。
少女の反応はというと、剣の柄にかけていた彼女の手が、わずかに緩みます。
「……記憶喪失? 嘘を言っているようには見えないが……。そういえば、あんたの着ている服、見たこともない奇妙な仕立てだな。どこの属国の民だ?」
彼女は少し毒気を抜かれたようで、呆れたようにため息をつきました。
「……チッ、放っておいて魔物に食い殺されても寝覚めが悪い。私はエリス。しがない駆け出しの冒険者だ。おい、歩けるか? この先にある『ルミナスの街』まで連れて行ってやる。ただし、街に着いたら自力でなんとかしろよ!」
彼女の話から、以下のことが判明しました。
異世界の知識
• ルミナスの街: 近くにある拠点。
• 魔物の存在: この森は放っておくと命が危ない場所。
• 冒険者: 魔物が多い地域のため、エリスのような職業が一般的。
エリスはあなたに背を向け、「さっさと来い!」と歩き出しました。エリスの歩みは意外と早いです。置いていかれないようにしないといけませんね!
「そういえばあんた、名前聞いた時『なぎ』って…身体が名前を覚えてたのか?ラッキーだな!まあ、違ったとしても、思い出すまではナギって呼ぶぞ?いいか?」
エリスの言葉が響いた瞬間、視界の端でウィンドウがピカッと激しく明滅しました。
「ナギ、か。……悪くない響きだよな」
あなたがそう納得した瞬間、システム音が脳内に直接響きます。
『個体識別名が確定しました。世界の理(ことわり)に登録されます――』
ステータスウィンドウ(更新)
新しい項目を表示
名前:ナギ (NAGI)
職業:見習い魔道士
【称号の変化】
名前が確定したことで、この世界のシステムに正式な「住人」として認識されました。職業が「見習い魔導士」になったのは、あなたが先ほどから魔力を無意識に操作(ステータス操作)していたためのようです。
スキル『等価交換(ギフト)』の胎動
名前が決まった影響か、右手のひらに奇妙な紋章が浮かび上がっては消えました。
「おい、ナギ! さっさと歩かないと、本当に置いていくからな!」
エリスが振り返り、少し呆れたように呼びかけてきます。どうやら彼女には、あなたの目の前のウィンドウは見えていないようです。置いていかれないように急ぎましょう!
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