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1巻
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木製ながら頑丈な椅子に王者の如く座していた、一体の黒い大鬼が立ち上がった。
「さて」
立ち上がり、小さく呟く。
たったそれだけの動作で、周囲に居た意思無き骸骨兵士以外全ての生者の意識が一瞬で黒いオーガに集中した。
迫るスケルトンの剣を防ぎ、その頭蓋をショートソードなどで叩き潰している最中の者でさえ、戦いながらも意識の半分は背後で立ち上がった黒いオーガに向けられているほどだ。
そうなってしまうほど、黒いオーガの行動には影響力があった。
集約される視線、向けられる信頼、これから何をするのか期待しているような表情、どんな命令にも即座に応えるべく準備する者達。
それら全てを知覚し、把握しつつ、黒いオーガはゆっくりと戦場に足を踏み入れた。
「終わらせるから、全員下がれ」
それと同時に静かに下した命令。
決して大きな声ではなかった。十数メートルも離れた場所で今も激しく剣戟を打ち鳴らせている戦場には小さすぎて届かない程の音量でしかなかったのだが、しかし戦場に立っていた生者達は即座に応えた。
迫るスケルトンの剣を弾き、あるいは横に流すのと同時に高台にて休憩し、戦闘の様子を見ていた同胞達の元まで逃走。先ほどまで互いに殺し合っていたスケルトン達に背を向けて、必死の形相を浮かべながら戦場から退いていく。
勿論その後を追い、無防備な背中を斬りつけ殺さんがため、カタカタと特徴的な騒音を撒き散らしながら追走するスケルトンも多数居た。だがそれ等は全て、突如進行方向から発生した白炎に全身を包まれ、黒煙を出し、十数秒と経たずに一握の灰だけを残してこの世から消失していった。
先頭に立っていた数体を焼かれ、その灰を前に動きが止まったスケルトン達。
とはいえ恐怖や畏怖などのくだらない感情によって止まったのではない。
死の恐怖など、自らの消滅を恐れる意思など、造られたスケルトンには存在しえないのだから。例え目の前に絶対に勝てない【知恵ある蛇】と言われ恐れられている【竜/龍】が数十体居たとしても、迷わず本能のままに、あるいは主の為に突っ込んで行くのがスケルトン達の特徴の一つである。
なのになぜ、本来なら止まる筈の無いスケルトン達が止まったのか。
その理由は簡単で、逃げていくゴブリンやホブゴブリン達と入れ違う様に、スケルトン達とその灰を隔てて、唯一近づいてくる黒いオーガが居たからだ。
スケルトン達は虚ろな闇を宿した眼窩を黒いオーガへと一斉に注ぎ、顎骨を高速で動かした。
「カタカタカタ」
「ガタガタガタ」
「カタタタタタ」
顎骨が高速で動き、白い歯が衝突する毎に甲高く耳障りな音と黄色い火花が散っていく。
まるで周囲の同胞と意思疎通を図るようなその特異な行動、徐々に黒いオーガを包囲するように移動する統率のとれた動き、統率された陣形――盾と剣などを装備したソルジャーやナイト系のスケルトンは前衛となって壁を作り、ランスやハルバードなどの長物を装備したスケルトンはその後ろに。
魔法を扱うメイジや弓矢を使うアーチャー系のスケルトンは今回居なかったので前衛と中衛だけの陣形だが、それでも数十の鬼達と争っていた数十のスケルトンがただ一体だけの黒いオーガに対して敵対行動をとっている。
それはスケルトン達に『最も近く、より危険な敵を集中して殺せ』と刷り込まれた君主命令に忠実に従った結果だった。
先ほどまで黒いオーガは高台の椅子に座し、静観していた。
だが今は戦場に立ち、スケルトン達に最も近しい場所に居る。だから、スケルトン達は黒いオーガただ一体を屠る為に全てを注ぐ。
「十秒、って所か」
黒いオーガの呟きは小さく響き――
まるでそれが切っ掛けだったかのように、黒いオーガを完全に囲んだスケルトン達が動いた。
まず強固な盾を構えたソルジャーやナイト系のスケルトンがカタカタと骨を打ち鳴らし、間の空間を白骨によって塗りつぶし始める。
普通、一対多の場合は例え一対千の戦いだろうとも実際に攻撃できる者の数は限られている。
距離が近過ぎれば魔法などの大威力を誇る技法は敵よりも味方の方に被害を出してしまうので、よほどの事でなければ行われない。剣や斧など近接武器を手に持った戦いでもそれは同様だ。ほんの少しの手違いで、味方を背中から斬り殺しかねない。
だから今回のように完全に包囲された場合でも、多くて八方からの攻撃を捌けばよいのだが、今回の攻撃者はスケルトン達だ。
痛覚は無く、骨と多少の装備だけなので隙間が多い。それに例え仲間に踏み潰されようが、貫かれようが気にする事無くただただ敵を殺す為に消滅するまで動き続ける。
「カタカタカタ」
「ガタガタガタ」
「カタタタタタ」
顎骨を動かし、歯を打ち鳴らして音と火花を発しながら、黒いオーガに肉薄したスケルトン達はそれぞれの武器――ショートソード、スクラマサクス、コピス、バデレール、ファルシオンなど多種多様――を骨だけの見た目からは想像できない速度で振り下ろした。
そしてそれだけでなく、その背後に居た長物を装備したスケルトン達は突きを繰り出した。
前衛のスケルトン達の隙間を縫う様にして、一斉に突き出されたそれ等。
中心地に向かって数十と繰り出された攻撃が黒いオーガを穿つかに見えたのか、周囲で様子を見守っていた生者達が小さく息を飲む。
だが、次の瞬間に起こったのは予想を覆す圧倒的な破壊の暴風だった。
朱と銀の輝きを纏った黒い暴風はただ一閃によって周囲八方を埋め尽くしていたスケルトン達を瞬殺――するだけでなく、半径五メートル内の敵を全て一掃してしまう。
黒い暴風に巻き込まれたスケルトン達は白骨を散らばらせ、それぞれの武器を消滅させながら動きを停止した。
一瞬でできた空白地帯。
その中心に君臨しているのは、銀腕と朱槍を持った黒いオーガ。
足下には白骨という敵の残骸を敷き詰め、まだ残っているスケルトン達を見据えるその瞳は意思ある者ならば一瞬で動けなくなってしまうほどの魔力を秘めていた。
「一秒」
ただそれだけ呟いて、黒いオーガは左に一歩動く。
その巨躯の歩みはたった一歩とて大きく、左側に残っていたスケルトン全てを射程に収めた。
ゴッ、とまるで空間を消し飛ばす様な勢いで朱槍が振られ、範囲内に十数体は居たスケルトン達は骨を砕いたような音を発し、最終的には全て残骸と化した。
誰にも朱槍を目で捉える事はかなわなかったが、空間を薙ぎ払った赤い軌跡から何が起こったのかは把握できる。
「二秒」
黒いオーガは、今度は右に二歩動いた。
一歩で最初の立ち位置を越え、さらに一歩進んだ場所には住処に残った最後のスケルトン達が居る。
今度は何とか反応し、スケルトン達が黒いオーガを斬り殺さんと襲いかかり、だが、一閃。
左から右に駆け抜けた朱色の閃光が残りのスケルトンを全て吹き飛ばし、その骨を粉砕。白骨の残骸が広範囲に散らばり、頭骨がコロコロと黒いオーガの足下に転がった。
カタカタカタ、と恨めしそうに歯を打ち鳴らすそれを、一踏み。
抵抗などできるはずもなくアッサリと踏み砕かれたそれを見もせずに、黒いオーガは出入り口へ走り出す。
「三秒、四秒」
踏み締められた地面に痕跡を刻みながら十数メートルはあった距離をたったの二秒で踏破して、夜明け前のまだ薄暗い森へ飛び出した。
それと同時に、黒いオーガの頭上に月光に照らされた凶刃が迫る。
それは成人男性の身の丈以上の大きさを誇る大剣の鋭い刃であり、スケルトン達を延々と生成し、住処へと送りこんでいた元凶――スケルトンを二回りほど大きくし、太い骨を保護する武具を数段豪華にしたような外観をしたグレータースケルトン――が放った必殺の一撃だった。
大質量の大剣が風切り音を響かせるほどの速度で振られたそれを防ぐのは至難の業であり、加えて多少は明るかった住処からまだ薄暗い外へと出た事によって、僅かな時間ではあるが黒いオーガの視界は黒く染まっていた。
見えるには見えるが、完全に暗順応できていない状態では高速で動く物体を見る事は難しい。
あまりにも致命的な生者の姿に、外で黒いオーガを待ちうけていた元凶は顎骨を打ち鳴らし――
「五秒」
だが大剣の刃がその脳天を斬り裂く寸前、小さく弧を描きながら高速で動いた銀腕の手の甲がその側面に炸裂した。
大剣と銀腕の衝突――甲高い金属の悲鳴が上がり、まるで散弾のような勢いで飛び散る鋼色の金属片。
側面という耐久度的に劣った部分に、例外を除いて基本的に破壊する事が不可能とされている神造の銀腕による強烈な一撃を叩きこまれれば、例え分厚い大剣だとて壊れるのは必然だった。
木っ端になった愛剣を一瞬だけ驚愕の目で見たグレータースケルトン――かつては名高き魔道騎士の亡骸を使った為、僅かながらに意思がある特別な個体――は、しかし即座に反撃を行うべく一歩踏み出そうとして。
己が両脚の脛の部分から下が切り落とされているのを、前のめりで倒れていく時になってようやく気が付いた。
黒いオーガが大剣を粉砕するのと同時に、朱槍を使って切り落としていたからだ。
「ガカ――」
歯を打ち鳴らし、まるで何が何やら、といった理解不能の事態に対する困惑のような音を響かせ――それを見た。
「六秒」
まるで銀色の彗星のような勢いで迫る鋭い抜き手。
槍の穂先のように真っ直ぐ伸びた銀色の五指はピタリと揃えられ、鋭く尖った銀色の爪は胸骨に刹那で迫る。
「カカカ」
己に終わりを与える銀色の一槍を、僅かに意思を残していたグレータースケルトンは歓喜を持って受け入れた。
かつて仇敵の手によって仕える主を目の前で殺された恨みと、拷問の末に己が死骸を弄ばれた事による怨念からか、不幸にもスケルトンとされた後でも意思を繋ぎ止めてしまった事に始まり――
時たま現れる侵入者によって破壊されようとしても、刷り込まれた君主命令によってただひたすらに殺し続けた過去。
やがて過ぎていく時は、気が付けば意思の大半が消えうせてしまいそうな程経過していた。あと数年もすれば、意識は完全に消滅していたに違いない。
だが今、あるかないか分からないくらい小さくなった意識の中で、これまでの地獄のような時が終わるのだと理解できたから――
「カカカ」
だから、終焉の一槍を、歓喜を持って受け入れた。
「――七秒」
ザクン、とやけに小さな音が鳴る。
金属製の堅牢な防具に護られた、分厚く頑丈なはずの胴体は、しかし銀腕の一突きによって一切無駄な破壊をせずに貫通していた。背中にまで突き抜けた銀腕は即座に引き抜かれ、そのついでとばかりに胸椎を掴み、取り出した。
銀腕に宿った神性の高い魔力によって存在する力を消し飛ばされたグレータースケルトンの骨はその結合力を失い、バラバラと周囲に散らばった。
「予想よりも三秒早い、か。……思ったより、脆かったな。いや、銀腕と朱槍が強過ぎるんだろうけど。……ん?」
スケルトン達を全て屠り終えると己が所業を客観的に分析し始めた黒いオーガは、コロコロと足下に転がってきて、僅かにだがカタカタと動く頭骨を見下ろした。
頭骨が僅かに動いているのは、感謝の意を伝えたかったからなのだが。
「五月蠅い」
黒いオーガにその思いは伝わる事は無く、巨大な歯によってバリバリと噛み砕かれて動かなくなったのである。
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スケルトン達を全て壊したあと、最後に残ったカタカタと恨めしげに微動するグレータースケルトンの頭蓋を拾い、ガリッと喰って耳障りな音を黙らせる。
その後はもちろん全身の骨も喰らいます。
それにしても、流石スケルトン達の上位種だ。壊して得られた経験値や、喰った時の美味さがスケルトンの比では無い。
それに骨がココまで美味く感じるとは、流石に思ってもいなかった。
何だろう、高級骨? 歯応えもいいな、これ。うん、美味い。
[能力名【下位アンデット生成】のラーニング完了]
[能力名【上位装具具現化】のラーニング完了]
[能力名【魔力吸収】のラーニング完了]
[能力名【下位ダメージ軽減】のラーニング完了]
[能力名【下位魔法ダメージ軽減】のラーニング完了]
いやはや、最初はよくも厄介事を持ってきてくれたな、と思っていたコボルド達だが、今の俺にとっては幸運を運んでくる犬のように見えた。
とりあえず、牢屋に赴いて一人だけクレリックなゴブ治くんが必死に重傷のコボルドを治す様子を見ながら、その他のコボルド達全員の治療を俺がパパっと終わらせて、その後睡眠性の毒で全員を眠らせる。
眠らせたのは寝ている隙に暴れられると、それなりに困るからだ。
俺達は俺達で、祭りで疲れたのでグッスリと寝ました。
そして夕方。
毒で眠らしていたコボルド達を叩き起こし、その集団のリーダーだという短槍を装備した〝足軽コボルド〟とその側近数名に事情を聞いてみる。
その結果、こうなった流れとしては以下の通りだと判明。
彼等は最初の俺達と同じような洞窟――ただしほぼ天然のヤツ。俺達のように拡張とかはしていなかった――で暮らしていたコボルド氏族の一つである。
森と山での狩猟によって生活していた訳だが、オークを殺し、鉄のピッケルを得た事から全ては変化した。
最近は食料を得るための狩猟に雄コボルド連中が出ている間、雌コボルド達がピッケルを使って住処の拡張作業で穴を掘る事にしていたそうだ。
それにより洞窟の快適化に成功。これ幸いと、さらに広げる。
するとベルベットのダンジョンに繋がるというハプニング発生。
当初はその空間が何なのか分からず、明日の朝にでも雄コボルド達が調査する事が決定されて一応簡単な埋め立て作業を行っていたのだが、夜、そこからスケルトンの大軍が這い出てきてしまった。
スケルトンはコボルド達が敵うような生易しいレベルの敵ではなく、取る物も取らずに急いで逃走。だが疲労とは無縁なスケルトンにやがて追いつかれ、しかも能力的に劣るので抵抗むなしく仲間が何体も殺される。
女子供老人戦士関係なしに、追いつかれた者は悉く殺された。
そしてしばらく逃げた後、『何処に逃げればいいんだ? そうだ最近有名なオーガが居るあの洞窟に行けば何とかなるんじゃないか!?』『でも殺されるんじゃ』『このままじゃどうせ死ぬ。なら賭けるしかないだろう』とリーダーが叫び――
そして現在に至る。
……なんぞこれ。
いや、うん。良いんだ、結果さえよければな。
話を聞き終わり、考えを纏めながら角を擦ったり摘まんだりしていると、足軽コボルドやその他のスケルトンと戦っていた戦士階級のコボルド一同が整列し、土下座してきた。
どうも、コボルドの【存在進化】した先が〝足軽〟とあったように、コボルドの性格は基本的に武士とか侍系であるらしい。今まで何頭も殺して喰ってきたが、初めて知った。
一応、俺達は同族を何体も喰ったんだぞと言ってみたが、ござる口調で弱い者が強い者に喰われるのは必然、そして我らが〝殿〟にならば同族も殺され、喰われたのは本望だろう、などなど色々言われた。
そう、〝殿〟だ。
俺の事を、足軽コボルドを筆頭としてコボルド達は〝殿〟と呼ぶ。
命を助けられた、これはもう命で返すしか道はなし。という思考回路であるらしい。
単純明快、しかしそれ故に一度主君と見定めた相手に裏切る事などありはしない、命令されれば喜んで自刃する、らしい。
これ等は自己申告だ。本当かどうか疑わしい部分が多過ぎる。
とはいえ、あの真剣な瞳を見れば全てを否定するのもどうかと思う。あそこまで真剣な瞳は、そうそう見れるものではない。
と言うわけで、保険を用意する事にした。
アイテムボックスからとあるマジックアイテムを取り出し、それを俺は喰った。全部で十個あったそれを、一欠片も残す事無く全て嚥下する。
[能力名【隷属化】のラーニング完了]
喰ったマジックアイテムは、ベルベットのダンジョンで殺した冒険者達が所持していた〝隷属の首輪〟という名称の品である。効果は名称そのままだ。
さて、この〝隷属の首輪〟を喰えば非常に便利なアビリティを得られるのが分かっていたのに何故今まで喰っていなかったのか。
その理由は単純明快、以前一つ試しに喰ってみたんだが、酷く不味かったからだ。
舌触りからして気持ちが悪い。表面は何処かネバネバしているし中身はやけに硬く、噛めば噛むほど吐き気を催す。
しかも味は苦くて酸っぱくて辛い、という三重苦が何とも言えない絶妙な味わいを醸し出す、と言えばいいのだろうか。とりあえず、言葉で表現し難い程に不味いのだ、コレは。
ここまで不味いと思ったのは本当に久しぶりで、それ以後あれば便利だなとは思いつつも喰わずにいて、現在に至った訳だ。
だけど流石に、必要にかられれば我慢して喰うしかなかった。
そんな訳で得た【隷属化】。
反逆防止となるこのアビリティだが、これを持っているだけでは効果を発揮しないので、それを解決する為に追加のイヤーカフス型通信機の製造に取り掛かる。
ん? それでコボルド達をどうするかだって? 取りあえず明日になったら待遇を決めるから、今は牢屋で寝てろと押し込んでいる。
コボルド達は本当に従順に従ってくれたので、あまり無碍にはしたくないと思ってしまう。
しかし、うーむ、コボルド達は殺して喰うべきか、戦力として保持しておくべきか、これはゆっくり考える事にしよう。
それに今考えなければならない問題と言えば、エルフや人間達の事だろうか。
色々と分体なども使って集めた情報からして、もうすぐ両者の戦争が始まるのは間違いない。
森の中でハンティングしていると、今まで以上にエルフの歩哨やら人間の隠密やらの気配を探知する事が多くなった事からもそれは窺える。
それだけならまだいいが、この間など隠密行動中の人間に襲われ、手傷を負って逃げ帰ったゴブリンも出てしまったほどだ。取りあえず無関係といってもいい俺達を巻き込むなと言いたいが、それはさて置き。
俺達は今後どうするべきなのか。
どのような行動をすれば一番利益があるのだろうか。
それを考えつつ。まあ、例え問題があっても、喰い破ればいいだろう。と思う事にして、作業を全て終えてからベッドに寝そべった。
それにしても戦争、か。個人的にはアビリティ確保の為に参加したいのだが、コチラが被る被害と釣り合うかどうか、考える必要があるだろう。
とりあえず、そろそろ本格的にエルフと接触してみようかと思っている。
さて、俺達の未来は今後、どうなっていくのだろうか。
そして明日の食事をどうするか考えながら、俺は眠りに落ちた。
木製ながら頑丈な椅子に王者の如く座していた、一体の黒い大鬼が立ち上がった。
「さて」
立ち上がり、小さく呟く。
たったそれだけの動作で、周囲に居た意思無き骸骨兵士以外全ての生者の意識が一瞬で黒いオーガに集中した。
迫るスケルトンの剣を防ぎ、その頭蓋をショートソードなどで叩き潰している最中の者でさえ、戦いながらも意識の半分は背後で立ち上がった黒いオーガに向けられているほどだ。
そうなってしまうほど、黒いオーガの行動には影響力があった。
集約される視線、向けられる信頼、これから何をするのか期待しているような表情、どんな命令にも即座に応えるべく準備する者達。
それら全てを知覚し、把握しつつ、黒いオーガはゆっくりと戦場に足を踏み入れた。
「終わらせるから、全員下がれ」
それと同時に静かに下した命令。
決して大きな声ではなかった。十数メートルも離れた場所で今も激しく剣戟を打ち鳴らせている戦場には小さすぎて届かない程の音量でしかなかったのだが、しかし戦場に立っていた生者達は即座に応えた。
迫るスケルトンの剣を弾き、あるいは横に流すのと同時に高台にて休憩し、戦闘の様子を見ていた同胞達の元まで逃走。先ほどまで互いに殺し合っていたスケルトン達に背を向けて、必死の形相を浮かべながら戦場から退いていく。
勿論その後を追い、無防備な背中を斬りつけ殺さんがため、カタカタと特徴的な騒音を撒き散らしながら追走するスケルトンも多数居た。だがそれ等は全て、突如進行方向から発生した白炎に全身を包まれ、黒煙を出し、十数秒と経たずに一握の灰だけを残してこの世から消失していった。
先頭に立っていた数体を焼かれ、その灰を前に動きが止まったスケルトン達。
とはいえ恐怖や畏怖などのくだらない感情によって止まったのではない。
死の恐怖など、自らの消滅を恐れる意思など、造られたスケルトンには存在しえないのだから。例え目の前に絶対に勝てない【知恵ある蛇】と言われ恐れられている【竜/龍】が数十体居たとしても、迷わず本能のままに、あるいは主の為に突っ込んで行くのがスケルトン達の特徴の一つである。
なのになぜ、本来なら止まる筈の無いスケルトン達が止まったのか。
その理由は簡単で、逃げていくゴブリンやホブゴブリン達と入れ違う様に、スケルトン達とその灰を隔てて、唯一近づいてくる黒いオーガが居たからだ。
スケルトン達は虚ろな闇を宿した眼窩を黒いオーガへと一斉に注ぎ、顎骨を高速で動かした。
「カタカタカタ」
「ガタガタガタ」
「カタタタタタ」
顎骨が高速で動き、白い歯が衝突する毎に甲高く耳障りな音と黄色い火花が散っていく。
まるで周囲の同胞と意思疎通を図るようなその特異な行動、徐々に黒いオーガを包囲するように移動する統率のとれた動き、統率された陣形――盾と剣などを装備したソルジャーやナイト系のスケルトンは前衛となって壁を作り、ランスやハルバードなどの長物を装備したスケルトンはその後ろに。
魔法を扱うメイジや弓矢を使うアーチャー系のスケルトンは今回居なかったので前衛と中衛だけの陣形だが、それでも数十の鬼達と争っていた数十のスケルトンがただ一体だけの黒いオーガに対して敵対行動をとっている。
それはスケルトン達に『最も近く、より危険な敵を集中して殺せ』と刷り込まれた君主命令に忠実に従った結果だった。
先ほどまで黒いオーガは高台の椅子に座し、静観していた。
だが今は戦場に立ち、スケルトン達に最も近しい場所に居る。だから、スケルトン達は黒いオーガただ一体を屠る為に全てを注ぐ。
「十秒、って所か」
黒いオーガの呟きは小さく響き――
まるでそれが切っ掛けだったかのように、黒いオーガを完全に囲んだスケルトン達が動いた。
まず強固な盾を構えたソルジャーやナイト系のスケルトンがカタカタと骨を打ち鳴らし、間の空間を白骨によって塗りつぶし始める。
普通、一対多の場合は例え一対千の戦いだろうとも実際に攻撃できる者の数は限られている。
距離が近過ぎれば魔法などの大威力を誇る技法は敵よりも味方の方に被害を出してしまうので、よほどの事でなければ行われない。剣や斧など近接武器を手に持った戦いでもそれは同様だ。ほんの少しの手違いで、味方を背中から斬り殺しかねない。
だから今回のように完全に包囲された場合でも、多くて八方からの攻撃を捌けばよいのだが、今回の攻撃者はスケルトン達だ。
痛覚は無く、骨と多少の装備だけなので隙間が多い。それに例え仲間に踏み潰されようが、貫かれようが気にする事無くただただ敵を殺す為に消滅するまで動き続ける。
「カタカタカタ」
「ガタガタガタ」
「カタタタタタ」
顎骨を動かし、歯を打ち鳴らして音と火花を発しながら、黒いオーガに肉薄したスケルトン達はそれぞれの武器――ショートソード、スクラマサクス、コピス、バデレール、ファルシオンなど多種多様――を骨だけの見た目からは想像できない速度で振り下ろした。
そしてそれだけでなく、その背後に居た長物を装備したスケルトン達は突きを繰り出した。
前衛のスケルトン達の隙間を縫う様にして、一斉に突き出されたそれ等。
中心地に向かって数十と繰り出された攻撃が黒いオーガを穿つかに見えたのか、周囲で様子を見守っていた生者達が小さく息を飲む。
だが、次の瞬間に起こったのは予想を覆す圧倒的な破壊の暴風だった。
朱と銀の輝きを纏った黒い暴風はただ一閃によって周囲八方を埋め尽くしていたスケルトン達を瞬殺――するだけでなく、半径五メートル内の敵を全て一掃してしまう。
黒い暴風に巻き込まれたスケルトン達は白骨を散らばらせ、それぞれの武器を消滅させながら動きを停止した。
一瞬でできた空白地帯。
その中心に君臨しているのは、銀腕と朱槍を持った黒いオーガ。
足下には白骨という敵の残骸を敷き詰め、まだ残っているスケルトン達を見据えるその瞳は意思ある者ならば一瞬で動けなくなってしまうほどの魔力を秘めていた。
「一秒」
ただそれだけ呟いて、黒いオーガは左に一歩動く。
その巨躯の歩みはたった一歩とて大きく、左側に残っていたスケルトン全てを射程に収めた。
ゴッ、とまるで空間を消し飛ばす様な勢いで朱槍が振られ、範囲内に十数体は居たスケルトン達は骨を砕いたような音を発し、最終的には全て残骸と化した。
誰にも朱槍を目で捉える事はかなわなかったが、空間を薙ぎ払った赤い軌跡から何が起こったのかは把握できる。
「二秒」
黒いオーガは、今度は右に二歩動いた。
一歩で最初の立ち位置を越え、さらに一歩進んだ場所には住処に残った最後のスケルトン達が居る。
今度は何とか反応し、スケルトン達が黒いオーガを斬り殺さんと襲いかかり、だが、一閃。
左から右に駆け抜けた朱色の閃光が残りのスケルトンを全て吹き飛ばし、その骨を粉砕。白骨の残骸が広範囲に散らばり、頭骨がコロコロと黒いオーガの足下に転がった。
カタカタカタ、と恨めしそうに歯を打ち鳴らすそれを、一踏み。
抵抗などできるはずもなくアッサリと踏み砕かれたそれを見もせずに、黒いオーガは出入り口へ走り出す。
「三秒、四秒」
踏み締められた地面に痕跡を刻みながら十数メートルはあった距離をたったの二秒で踏破して、夜明け前のまだ薄暗い森へ飛び出した。
それと同時に、黒いオーガの頭上に月光に照らされた凶刃が迫る。
それは成人男性の身の丈以上の大きさを誇る大剣の鋭い刃であり、スケルトン達を延々と生成し、住処へと送りこんでいた元凶――スケルトンを二回りほど大きくし、太い骨を保護する武具を数段豪華にしたような外観をしたグレータースケルトン――が放った必殺の一撃だった。
大質量の大剣が風切り音を響かせるほどの速度で振られたそれを防ぐのは至難の業であり、加えて多少は明るかった住処からまだ薄暗い外へと出た事によって、僅かな時間ではあるが黒いオーガの視界は黒く染まっていた。
見えるには見えるが、完全に暗順応できていない状態では高速で動く物体を見る事は難しい。
あまりにも致命的な生者の姿に、外で黒いオーガを待ちうけていた元凶は顎骨を打ち鳴らし――
「五秒」
だが大剣の刃がその脳天を斬り裂く寸前、小さく弧を描きながら高速で動いた銀腕の手の甲がその側面に炸裂した。
大剣と銀腕の衝突――甲高い金属の悲鳴が上がり、まるで散弾のような勢いで飛び散る鋼色の金属片。
側面という耐久度的に劣った部分に、例外を除いて基本的に破壊する事が不可能とされている神造の銀腕による強烈な一撃を叩きこまれれば、例え分厚い大剣だとて壊れるのは必然だった。
木っ端になった愛剣を一瞬だけ驚愕の目で見たグレータースケルトン――かつては名高き魔道騎士の亡骸を使った為、僅かながらに意思がある特別な個体――は、しかし即座に反撃を行うべく一歩踏み出そうとして。
己が両脚の脛の部分から下が切り落とされているのを、前のめりで倒れていく時になってようやく気が付いた。
黒いオーガが大剣を粉砕するのと同時に、朱槍を使って切り落としていたからだ。
「ガカ――」
歯を打ち鳴らし、まるで何が何やら、といった理解不能の事態に対する困惑のような音を響かせ――それを見た。
「六秒」
まるで銀色の彗星のような勢いで迫る鋭い抜き手。
槍の穂先のように真っ直ぐ伸びた銀色の五指はピタリと揃えられ、鋭く尖った銀色の爪は胸骨に刹那で迫る。
「カカカ」
己に終わりを与える銀色の一槍を、僅かに意思を残していたグレータースケルトンは歓喜を持って受け入れた。
かつて仇敵の手によって仕える主を目の前で殺された恨みと、拷問の末に己が死骸を弄ばれた事による怨念からか、不幸にもスケルトンとされた後でも意思を繋ぎ止めてしまった事に始まり――
時たま現れる侵入者によって破壊されようとしても、刷り込まれた君主命令によってただひたすらに殺し続けた過去。
やがて過ぎていく時は、気が付けば意思の大半が消えうせてしまいそうな程経過していた。あと数年もすれば、意識は完全に消滅していたに違いない。
だが今、あるかないか分からないくらい小さくなった意識の中で、これまでの地獄のような時が終わるのだと理解できたから――
「カカカ」
だから、終焉の一槍を、歓喜を持って受け入れた。
「――七秒」
ザクン、とやけに小さな音が鳴る。
金属製の堅牢な防具に護られた、分厚く頑丈なはずの胴体は、しかし銀腕の一突きによって一切無駄な破壊をせずに貫通していた。背中にまで突き抜けた銀腕は即座に引き抜かれ、そのついでとばかりに胸椎を掴み、取り出した。
銀腕に宿った神性の高い魔力によって存在する力を消し飛ばされたグレータースケルトンの骨はその結合力を失い、バラバラと周囲に散らばった。
「予想よりも三秒早い、か。……思ったより、脆かったな。いや、銀腕と朱槍が強過ぎるんだろうけど。……ん?」
スケルトン達を全て屠り終えると己が所業を客観的に分析し始めた黒いオーガは、コロコロと足下に転がってきて、僅かにだがカタカタと動く頭骨を見下ろした。
頭骨が僅かに動いているのは、感謝の意を伝えたかったからなのだが。
「五月蠅い」
黒いオーガにその思いは伝わる事は無く、巨大な歯によってバリバリと噛み砕かれて動かなくなったのである。
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スケルトン達を全て壊したあと、最後に残ったカタカタと恨めしげに微動するグレータースケルトンの頭蓋を拾い、ガリッと喰って耳障りな音を黙らせる。
その後はもちろん全身の骨も喰らいます。
それにしても、流石スケルトン達の上位種だ。壊して得られた経験値や、喰った時の美味さがスケルトンの比では無い。
それに骨がココまで美味く感じるとは、流石に思ってもいなかった。
何だろう、高級骨? 歯応えもいいな、これ。うん、美味い。
[能力名【下位アンデット生成】のラーニング完了]
[能力名【上位装具具現化】のラーニング完了]
[能力名【魔力吸収】のラーニング完了]
[能力名【下位ダメージ軽減】のラーニング完了]
[能力名【下位魔法ダメージ軽減】のラーニング完了]
いやはや、最初はよくも厄介事を持ってきてくれたな、と思っていたコボルド達だが、今の俺にとっては幸運を運んでくる犬のように見えた。
とりあえず、牢屋に赴いて一人だけクレリックなゴブ治くんが必死に重傷のコボルドを治す様子を見ながら、その他のコボルド達全員の治療を俺がパパっと終わらせて、その後睡眠性の毒で全員を眠らせる。
眠らせたのは寝ている隙に暴れられると、それなりに困るからだ。
俺達は俺達で、祭りで疲れたのでグッスリと寝ました。
そして夕方。
毒で眠らしていたコボルド達を叩き起こし、その集団のリーダーだという短槍を装備した〝足軽コボルド〟とその側近数名に事情を聞いてみる。
その結果、こうなった流れとしては以下の通りだと判明。
彼等は最初の俺達と同じような洞窟――ただしほぼ天然のヤツ。俺達のように拡張とかはしていなかった――で暮らしていたコボルド氏族の一つである。
森と山での狩猟によって生活していた訳だが、オークを殺し、鉄のピッケルを得た事から全ては変化した。
最近は食料を得るための狩猟に雄コボルド連中が出ている間、雌コボルド達がピッケルを使って住処の拡張作業で穴を掘る事にしていたそうだ。
それにより洞窟の快適化に成功。これ幸いと、さらに広げる。
するとベルベットのダンジョンに繋がるというハプニング発生。
当初はその空間が何なのか分からず、明日の朝にでも雄コボルド達が調査する事が決定されて一応簡単な埋め立て作業を行っていたのだが、夜、そこからスケルトンの大軍が這い出てきてしまった。
スケルトンはコボルド達が敵うような生易しいレベルの敵ではなく、取る物も取らずに急いで逃走。だが疲労とは無縁なスケルトンにやがて追いつかれ、しかも能力的に劣るので抵抗むなしく仲間が何体も殺される。
女子供老人戦士関係なしに、追いつかれた者は悉く殺された。
そしてしばらく逃げた後、『何処に逃げればいいんだ? そうだ最近有名なオーガが居るあの洞窟に行けば何とかなるんじゃないか!?』『でも殺されるんじゃ』『このままじゃどうせ死ぬ。なら賭けるしかないだろう』とリーダーが叫び――
そして現在に至る。
……なんぞこれ。
いや、うん。良いんだ、結果さえよければな。
話を聞き終わり、考えを纏めながら角を擦ったり摘まんだりしていると、足軽コボルドやその他のスケルトンと戦っていた戦士階級のコボルド一同が整列し、土下座してきた。
どうも、コボルドの【存在進化】した先が〝足軽〟とあったように、コボルドの性格は基本的に武士とか侍系であるらしい。今まで何頭も殺して喰ってきたが、初めて知った。
一応、俺達は同族を何体も喰ったんだぞと言ってみたが、ござる口調で弱い者が強い者に喰われるのは必然、そして我らが〝殿〟にならば同族も殺され、喰われたのは本望だろう、などなど色々言われた。
そう、〝殿〟だ。
俺の事を、足軽コボルドを筆頭としてコボルド達は〝殿〟と呼ぶ。
命を助けられた、これはもう命で返すしか道はなし。という思考回路であるらしい。
単純明快、しかしそれ故に一度主君と見定めた相手に裏切る事などありはしない、命令されれば喜んで自刃する、らしい。
これ等は自己申告だ。本当かどうか疑わしい部分が多過ぎる。
とはいえ、あの真剣な瞳を見れば全てを否定するのもどうかと思う。あそこまで真剣な瞳は、そうそう見れるものではない。
と言うわけで、保険を用意する事にした。
アイテムボックスからとあるマジックアイテムを取り出し、それを俺は喰った。全部で十個あったそれを、一欠片も残す事無く全て嚥下する。
[能力名【隷属化】のラーニング完了]
喰ったマジックアイテムは、ベルベットのダンジョンで殺した冒険者達が所持していた〝隷属の首輪〟という名称の品である。効果は名称そのままだ。
さて、この〝隷属の首輪〟を喰えば非常に便利なアビリティを得られるのが分かっていたのに何故今まで喰っていなかったのか。
その理由は単純明快、以前一つ試しに喰ってみたんだが、酷く不味かったからだ。
舌触りからして気持ちが悪い。表面は何処かネバネバしているし中身はやけに硬く、噛めば噛むほど吐き気を催す。
しかも味は苦くて酸っぱくて辛い、という三重苦が何とも言えない絶妙な味わいを醸し出す、と言えばいいのだろうか。とりあえず、言葉で表現し難い程に不味いのだ、コレは。
ここまで不味いと思ったのは本当に久しぶりで、それ以後あれば便利だなとは思いつつも喰わずにいて、現在に至った訳だ。
だけど流石に、必要にかられれば我慢して喰うしかなかった。
そんな訳で得た【隷属化】。
反逆防止となるこのアビリティだが、これを持っているだけでは効果を発揮しないので、それを解決する為に追加のイヤーカフス型通信機の製造に取り掛かる。
ん? それでコボルド達をどうするかだって? 取りあえず明日になったら待遇を決めるから、今は牢屋で寝てろと押し込んでいる。
コボルド達は本当に従順に従ってくれたので、あまり無碍にはしたくないと思ってしまう。
しかし、うーむ、コボルド達は殺して喰うべきか、戦力として保持しておくべきか、これはゆっくり考える事にしよう。
それに今考えなければならない問題と言えば、エルフや人間達の事だろうか。
色々と分体なども使って集めた情報からして、もうすぐ両者の戦争が始まるのは間違いない。
森の中でハンティングしていると、今まで以上にエルフの歩哨やら人間の隠密やらの気配を探知する事が多くなった事からもそれは窺える。
それだけならまだいいが、この間など隠密行動中の人間に襲われ、手傷を負って逃げ帰ったゴブリンも出てしまったほどだ。取りあえず無関係といってもいい俺達を巻き込むなと言いたいが、それはさて置き。
俺達は今後どうするべきなのか。
どのような行動をすれば一番利益があるのだろうか。
それを考えつつ。まあ、例え問題があっても、喰い破ればいいだろう。と思う事にして、作業を全て終えてからベッドに寝そべった。
それにしても戦争、か。個人的にはアビリティ確保の為に参加したいのだが、コチラが被る被害と釣り合うかどうか、考える必要があるだろう。
とりあえず、そろそろ本格的にエルフと接触してみようかと思っている。
さて、俺達の未来は今後、どうなっていくのだろうか。
そして明日の食事をどうするか考えながら、俺は眠りに落ちた。
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