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外伝
外伝-11
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「ウォォォォオオオアアアアアアッ!!」
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【引き寄せる敵意の咆哮】を繰り出した]
走りながら、私に敵意を集める効果がある戦技を使用。その咆哮によって周囲には赤い波動が浸透していった。
すると狙い通りに、波動を浴びた護衛フォモール達の敵意が、私に集中するのが分かった。燃えそうなほどの怒気を荒々しい呼吸に混ぜ、興奮からか血走った眼をした護衛フォモールが、岩石製の棍棒を振り上げた。
棍棒を振り上げたのは予定と違って一体ではなく二体だったが、問題ない。そのまま戦場へと突き進む。
「「ブモォォオオオオオオオオッ!!」」
二体の護衛フォモールの咆哮によって周囲の積雪が舞い上がる。
凄まじい音撃に耳を塞ぎたくなるが、歯を食いしばって耐える。走る速度が僅かに落ちたが、動きを止められるほどではない。
だが私の疾走速度が落ちたのを逃さず、棍棒を振り上げていた護衛フォモール二体が、同時に棍棒を振り下ろした。
(今だッ)
まるで天が落ちてきたかのような攻撃だった。人間一人を潰すには過剰としか言えない一撃、それが二発同時。攻撃範囲が大きく、そして速い。左右に逃げようにも手遅れだ。
視界のほぼ全てが棍棒で埋め尽くされる。既に数メルトルにまで迫っている。
ヒトとヒトに叩き潰されそうになっている虫、という構図のようにも見える瞬間が生まれた。
だがその結果、巨大棍棒が邪魔をして、護衛フォモールからは私の姿が見えない。
その瞬間を待っていた私は、静かに笑みを浮かべる。
それと同時に起死回生の戦技を発動。棍棒が私を叩き潰す一瞬前、私の肉体に白い光が灯った。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【我が身は光となりて】を繰り出した]
そして、世界が止まったとさえ感じてしまうほどに私は加速する。
【光の神の加護】によって得た私だけが使える戦技――【我が身は光となりて】は、私の肉体と感覚を大幅に加速・強化するという効果を持っている。
効果が切れた時に肉体で代償――筋繊維の切断、神経の壊死、骨折など――を払う事になるので、余り多用はできない。だがココぞという時に大いに役立ってくれる、優秀な戦技の一つだ。
飛躍的に加速した私の世界においては非常にゆっくりと、ただし確実に近づいてくる棍棒の下を悠々と走り抜ける。
そして走り抜けた先には、棍棒に隠れた私を認識できていない護衛フォモールの無防備な太い足が、まるで大樹のようにそびえ立っている。
あれほどの体格を支える骨格は、魔法金属と同等かそれ以上の硬度があるはずだ。分厚く強靭な筋繊維や血管、皮膚や体毛は生半可な武器では掠り傷一つつけられない。
そうなると、やはり足首の関節を、骨の隙間を狙うしかない。
判断すると同時に柄を握っていた手に力を込め、抜剣。小気味いい音を立てて抜き放たれた十字型の聖剣【不治の傷を刻む聖剣】による斬撃を繰り出す。
そして【我が身は光となりて】によって加速した状態で繰り出した一撃に、同じく【光の神の加護】によって私だけに行使可能となった戦技を上乗せした。
聖なる金色の光を宿した【不治の傷を刻む聖剣】の刀身に、聖剣には不釣り合いな黒く淡い殺意の光が宿った。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【光熱の灼刃】を繰り出した]
【我が身は光となりて】によって加速・強化された肉体で繰り出した聖剣の斬撃。私の動きは【光熱の灼刃】発動時の斬撃軌道を予めなぞっていた為、発動した後に軌道修正をするような無駄はない。
多くの者達がそれと気付かず損なっているこの無駄を技術で補った結果、戦技の補助を受けた私は最短距離を最速で駆け抜けた。
私の限界を遥かに超えた速度による一閃は、私自身にも視認する事すらできない。大気を斬り裂き、音すら断つ。
これが、現在の私が体得した技術である。
攻撃系の戦技は決められた軌道しか描けず、未熟な者が使うほど無駄が多い。結果として弱く、遅いモノになり果てる。強くなりたいのならば、動きの無駄を無くす事が前提条件となる。
その事を、私は旅の最中、とある山中にて遭遇した、若者にしか見えない老人――肉体一つで竜すら屠ってしまう【仙人】であると後から知った――から教えられた。
あの時は彼が何を言っているのか理解できなかったが、今なら断言できる。
これはこの世界の【真理】の一端に関わる事だ、と。
一般にはあまり知られていない事なのだが、神々の慈悲であり、【世界の理】たる戦技は、必ず一定の軌道を、僅かな狂いもなく描く。
例えば基礎中の基礎である【斬撃】なら、敵の中心を起点とした左右に縦横斜めの八パターン。
【刺突】なら敵の心臓部を狙う直線の一パターン。
【足払い】なら敵の足下を狙う左右横一閃の二パターン、といった具合だ。
戦技から補助を受ければ、未熟な使い手でも自動的に本来以上の速度と威力の攻撃を繰り出せる。
上位の【職業】を得て、より強力な戦技を使えるようになれば、実力だけでは勝てないような相手にも勝ててしまう。
だから多くの者は、大量のモンスターを殺してレベルを上げようとする。より強い戦技を獲得できるように、レベルを上げる事に邁進する。
しかしそんなやり方では、一定の段階を超えて強くなる事は絶対にない。過去、私達もその壁に阻まれ、停滞していた時期があったからこそ分かるのだ。
本当に強くなるには、戦技によって補助された力に振り回されるだけでは駄目なのだ。自分が使える戦技を深く理解し、戦技と同等の、否、それ以上に洗礼された肉体操作技術を自分で会得しなければならない。
肉体に動きが刷り込まれるほど何度も何度も訓練を繰り返した先に、本当の強さがある。
戦技に使われるのではなく、戦技を使いこなす。それこそが、強くなる上で必要な事だった。
それをもう少し早く理解できていさえすれば、アリアを助けられたかもしれない――そんな考えを即座に振り払い、湧き上がる想いすらも吐き出すように力を込める。こうして、絶大な破壊力を得た一撃は、一瞬にも満たない交差の間に護衛フォモールの足首を深々と切り裂いた。
私が駆け抜けた後に、風が渦巻く。護衛フォモールの傷口からは赤黒い血が大量に噴き出し、その口からは苦痛に染まった悲鳴が上がる。そして戦技によって聖剣の刀身に宿っていた灼熱が傷口を焙り、風に舞って血煙が上がる。
ジュゥゥゥゥ、と分厚い肉が鉄板で焼けるのに似た音が聞こえた。振り返り、結果を確認する。
「ッチ。思った以上に分厚いな」
再生力の強いフォモールとて、傷口が焼かれれば、普通に斬られた時とは比べ物にならないほど回復に時間を要するだろう。
尤も、私の攻撃を受けた敵が回復してしまうのを心配する必要はない。
【不治の傷を刻む聖剣】には常時発動型の【不治の斬痕】という能力が付いている。
コレによって、この護衛フォモールの足首は私が解呪しない限り、どんな魔法や魔法薬を使っても癒える事はない。このまま放置しても、この護衛フォモールは失血死するだろう。とはいえ、まだ死んではいないので油断はできない。
しかしそれにしても、岩さえ容易く切り裂ける【不治の傷を刻む聖剣】の一撃でも足を完全に切り離す事ができなかったとは。思わず舌打ちが漏れた。
そもそもフォモールの足首が巨大過ぎたからというのもあるのだろう。しかしそれに加えて高密度の肉や太い腱、屈強な筋繊維や特殊な形状をした骨が、思っていたよりも強靭だったようだ。
私が得意とする戦技の中でも高い威力を誇る今の一撃でさえ、護衛フォモールの足首の四分の三ほどまでしか斬る事ができていない。
護衛フォモールですらこれなのだ。それより強く巨大なバロールの防御力は、想像を絶するだろう。
ただ厄介ではあるが、まだ対処できるレベルなのが救いだった。
『ギガァァアアアアアアッ』
『中々速いじゃキン、でもリスクは有りソウな技みタイヤンナァァァアアアアアア』
周囲を囲う岩壁に、足首を斬られた護衛フォモールの悲鳴と、バロールの怒声が反響する。
それはもはや音の攻撃ともいえる。私は今度こそ耐えきれずに耳を手で塞いでしまった。
その隙を敵が見逃す事は無く、反撃も防御もままならない私に護衛フォモールの蹴りが迫る。先ほど棍棒で攻撃してきた二体の片割れだ。
残念な事に、既に戦技【我が身は光となりて】の効果は切れていた。身体は普段の速さに戻り、代償として幾らか筋繊維が断裂している。
身体全体に拡がる鈍痛と熱感が集中力を削いでいく。何より、蹴りを避けるにも体勢が悪過ぎた。
完全に回避できる可能性は三割程度だろうか。下手に回避を選択する方が被害は大きくなりそうだ。
だから回避を諦め攻撃を受け止めようと、超重の衝撃に対する覚悟を決め――
「うわッ」
――しかし蹴りは軌道を逸らし、私のすぐ横を通り過ぎた。
直撃しなかったとはいえ、生じた轟風が襲いかかる。咄嗟に手で顔を守り、流されかけた体勢を整える。何が起きたのかと顔を上げると、遠くにセレスの姿と、顔を押さえて苦悶する護衛フォモールの姿が見えた。
どうやら蹴りを繰り出した護衛フォモールの顔――恐らくは眼球だろう――にセレスが放った矢が深々と突き刺さり、その痛みで巨躯が大きく揺らいだようだ。
「ありがとうセレスッ」
私は大声で感謝の意を伝え、足首を押さえて悶絶している護衛フォモールに止めを刺そうと狙いを定める。ここで先んじて一体を殺せば、戦況は少しコチラに優位になる。
だが、咄嗟にバックステップ――その直後に振り下ろされたバロールの棍棒。
私という標的は逃したが、振り下ろされた棍棒は地面を砕いて大きなクレーターを造り、まるで地震のような揺れを発生させた。更に土石が周囲に飛び散り、雪混じりの土煙が巻き起こる。
何という馬鹿力だろう。あんなモノを受ければ一撃で肉片になるどころか、ただの地面のシミになってしまうのは間違いない。直撃は回避しているというのに、生じた轟風だけでも私の肉体が数メルトルほど空を泳いだのだから。
背筋を伝う冷たい汗。心臓を締め付けるような悪寒。迫る死の臭いを嗅いだ気がした。私は確かに、フォモールに対する【恐怖】を抱いた。
【恐怖】は心身を蝕み、行動を阻害する状態異常の一つだ。
一瞬だけ身体が強張るが、しかしそんな負の感情に起因した状態異常は、【職業・勇者】が備える【不屈なる精神】の効果によって自動的に消し去られる。
恐怖で固くなっていた身体から無駄な力が抜け、弱まった力は戻り、やる気も鼓舞される。胸の奥底から、マグマのように熱い何かが湧き上がってくるような感覚を抱く。
大丈夫、私はまだまだ戦える。
――ならば、前へ。敵の喉を斬り裂き、心臓を貫く為に。
再び疾走する私に向けて、再度振り下ろされた棍棒。ただ今回はバロールの連撃ではなく、隙を窺っていた護衛フォモールの一体が繰り出した一撃だった。
バロールの一撃の後で間髪入れずに振り下ろされた棍棒を、私は回避するのではなく、真正面から迎え撃つ事を選ぶ。
聖剣の刃に、恐るべき破壊を宿した淡く黒い光が灯った。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【飛翔する光重刃】を繰り出した]
聖剣を横一閃に振ると、刀身から黒混じりの黄金色の、飛翔する斬撃が発生した。
私が使用可能な遠隔攻撃系の戦技の中でも、特に一撃の重さに優れた【飛翔する光重刃】と巨大な棍棒が衝突。一瞬の拮抗、その後に衝撃波を撒き散らしながら光重刃は砕け散ったが、棍棒の破壊という役目は見事に果たす。
砕けた棍棒の残骸が周囲に飛散し、護衛フォモールの顔が驚愕に歪んだ。
「来いッ。私はコッチだッ。私を殺しに、かかって来いボンクラ共ッ!!」
降ってくる破片を弾きながら、敵の意識を前衛である私に引きつける為に大声で挑発し、それと同時に手頃な場所に居た護衛フォモールの脛を深く抉る。
噴き出す鮮血を避け、敵の攻撃を退け弾き、それによって生まれた隙をついて幾度も剣を振った。血飛沫が上がり、怒りの咆哮が轟く。
(やれるか……いや、やるんだッ)
神によって課せられた最後の試練を、誰一人として犠牲を出さず突破する。誰も死なず、誰も欠けずに終わらせてやる。
そう決意を新たにすると共に、私達とバロール達は激突した。
◆◆◆
私達がどれほどの時間をバロール達と戦っていたのかは分からない。
全身に刻まれた傷から流れた血が多過ぎて私の意識は朦朧とし、体力を失い過ぎて身体が重い。戦技の反動で体内にも無数の損傷が発生しており、それに加えて折れた左腕に宿る熱によって思考が定まらず、能力は大きく低下している。
しかしそんな私の状態などとは無関係に、刻々と決着の瞬間は迫っていた。
『コレでオッツダルジャッキン。ワイが最高の魔術ニヨッテ滅びシャインなってヨオオオオオオオ!!』
バロールは嬉々とした声で高らかに宣言する。
まるで既に勝利しているかのように、何があろうとも己は死なぬと確信しているかのように。笑みさえ浮かべながら朗々と詠唱を開始した。
ギリリ、と歯を食いしばる。それはバロールが言っている事が現実になるのだと、私が正確に理解しているからだ。
「くそ。死ぬ訳には、いかないのに。ここまで来て、あと少しのところで」
届かないのか、と歯噛みした。
現在、戦力差はそれほど無い。バロールは健在だが、護衛フォモールは四体とも殺している。
最初に死んだのは私が足首を切断した護衛フォモールで、もう片方の足首をアイオラが切り裂き、転倒した隙に身体を駆け上がった私が首を刎ねて止めを刺した。
アイオラが片足を斬り落とした二体目は、チェロアイトの全力突撃が額を穿ち、周囲に脳漿をぶちまけた。
クレリアが練り上げた雷光系統第五階梯魔術〝焦がし尽くす雷鳴〟による雷の乱舞によって肉も魂も纏めて焼き尽くされた三体目は、全身から肉が焼き焦げる臭気を発して転がっている。
そして最後の四体目は、セレスの矢による援護を受けながら私とチェロアイトで両腕を斬り落とし、最終的に私が首を刎ねた。
ココに至るまでの旅を通して、私達は強くなっている。
旅立った最初の頃の私達では、到底バロールには敵わなかっただろう。だが、今なら護衛フォモール四体を殺し、バロールに大怪我を負わす事もできている。
試練を乗り越える度につけていった力は、存分に発揮されていた。
しかし、敵もそう甘くはなかった。コチラの被害も、大きい。
まず最初にアイオラがやられた。
彼は二体目の片足を斬り落とした後、バロールに狙われたコライユを護る為、バロールの馬鹿げた威力を秘めた棍棒の乱打を真正面から受け止め続ける事になった。
地面を陥没させるほどの攻撃を十数発以上もたった一人で防ぎ、しかしついに愛用の大盾を失ったその直後、側面から襲いかかった護衛フォモールの棍棒によって殴り飛ばされた。
パーティー内で最高の防御力を誇るアイオラも、疲労困憊の上に大盾を失った状態では、流石に本来の実力を発揮できなかった。
殴り飛ばされたアイオラの身体は岩壁にめり込んだが、それでも全身を護る鎧と持ち前の頑強さのお陰か、ギリギリ死んではいない。
意識は無いようだが、治療すれば十分助かるだろう。しかし、回復する間をバロールが与えてくれるはずがなかった。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【引き寄せる敵意の咆哮】を繰り出した]
走りながら、私に敵意を集める効果がある戦技を使用。その咆哮によって周囲には赤い波動が浸透していった。
すると狙い通りに、波動を浴びた護衛フォモール達の敵意が、私に集中するのが分かった。燃えそうなほどの怒気を荒々しい呼吸に混ぜ、興奮からか血走った眼をした護衛フォモールが、岩石製の棍棒を振り上げた。
棍棒を振り上げたのは予定と違って一体ではなく二体だったが、問題ない。そのまま戦場へと突き進む。
「「ブモォォオオオオオオオオッ!!」」
二体の護衛フォモールの咆哮によって周囲の積雪が舞い上がる。
凄まじい音撃に耳を塞ぎたくなるが、歯を食いしばって耐える。走る速度が僅かに落ちたが、動きを止められるほどではない。
だが私の疾走速度が落ちたのを逃さず、棍棒を振り上げていた護衛フォモール二体が、同時に棍棒を振り下ろした。
(今だッ)
まるで天が落ちてきたかのような攻撃だった。人間一人を潰すには過剰としか言えない一撃、それが二発同時。攻撃範囲が大きく、そして速い。左右に逃げようにも手遅れだ。
視界のほぼ全てが棍棒で埋め尽くされる。既に数メルトルにまで迫っている。
ヒトとヒトに叩き潰されそうになっている虫、という構図のようにも見える瞬間が生まれた。
だがその結果、巨大棍棒が邪魔をして、護衛フォモールからは私の姿が見えない。
その瞬間を待っていた私は、静かに笑みを浮かべる。
それと同時に起死回生の戦技を発動。棍棒が私を叩き潰す一瞬前、私の肉体に白い光が灯った。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【我が身は光となりて】を繰り出した]
そして、世界が止まったとさえ感じてしまうほどに私は加速する。
【光の神の加護】によって得た私だけが使える戦技――【我が身は光となりて】は、私の肉体と感覚を大幅に加速・強化するという効果を持っている。
効果が切れた時に肉体で代償――筋繊維の切断、神経の壊死、骨折など――を払う事になるので、余り多用はできない。だがココぞという時に大いに役立ってくれる、優秀な戦技の一つだ。
飛躍的に加速した私の世界においては非常にゆっくりと、ただし確実に近づいてくる棍棒の下を悠々と走り抜ける。
そして走り抜けた先には、棍棒に隠れた私を認識できていない護衛フォモールの無防備な太い足が、まるで大樹のようにそびえ立っている。
あれほどの体格を支える骨格は、魔法金属と同等かそれ以上の硬度があるはずだ。分厚く強靭な筋繊維や血管、皮膚や体毛は生半可な武器では掠り傷一つつけられない。
そうなると、やはり足首の関節を、骨の隙間を狙うしかない。
判断すると同時に柄を握っていた手に力を込め、抜剣。小気味いい音を立てて抜き放たれた十字型の聖剣【不治の傷を刻む聖剣】による斬撃を繰り出す。
そして【我が身は光となりて】によって加速した状態で繰り出した一撃に、同じく【光の神の加護】によって私だけに行使可能となった戦技を上乗せした。
聖なる金色の光を宿した【不治の傷を刻む聖剣】の刀身に、聖剣には不釣り合いな黒く淡い殺意の光が宿った。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【光熱の灼刃】を繰り出した]
【我が身は光となりて】によって加速・強化された肉体で繰り出した聖剣の斬撃。私の動きは【光熱の灼刃】発動時の斬撃軌道を予めなぞっていた為、発動した後に軌道修正をするような無駄はない。
多くの者達がそれと気付かず損なっているこの無駄を技術で補った結果、戦技の補助を受けた私は最短距離を最速で駆け抜けた。
私の限界を遥かに超えた速度による一閃は、私自身にも視認する事すらできない。大気を斬り裂き、音すら断つ。
これが、現在の私が体得した技術である。
攻撃系の戦技は決められた軌道しか描けず、未熟な者が使うほど無駄が多い。結果として弱く、遅いモノになり果てる。強くなりたいのならば、動きの無駄を無くす事が前提条件となる。
その事を、私は旅の最中、とある山中にて遭遇した、若者にしか見えない老人――肉体一つで竜すら屠ってしまう【仙人】であると後から知った――から教えられた。
あの時は彼が何を言っているのか理解できなかったが、今なら断言できる。
これはこの世界の【真理】の一端に関わる事だ、と。
一般にはあまり知られていない事なのだが、神々の慈悲であり、【世界の理】たる戦技は、必ず一定の軌道を、僅かな狂いもなく描く。
例えば基礎中の基礎である【斬撃】なら、敵の中心を起点とした左右に縦横斜めの八パターン。
【刺突】なら敵の心臓部を狙う直線の一パターン。
【足払い】なら敵の足下を狙う左右横一閃の二パターン、といった具合だ。
戦技から補助を受ければ、未熟な使い手でも自動的に本来以上の速度と威力の攻撃を繰り出せる。
上位の【職業】を得て、より強力な戦技を使えるようになれば、実力だけでは勝てないような相手にも勝ててしまう。
だから多くの者は、大量のモンスターを殺してレベルを上げようとする。より強い戦技を獲得できるように、レベルを上げる事に邁進する。
しかしそんなやり方では、一定の段階を超えて強くなる事は絶対にない。過去、私達もその壁に阻まれ、停滞していた時期があったからこそ分かるのだ。
本当に強くなるには、戦技によって補助された力に振り回されるだけでは駄目なのだ。自分が使える戦技を深く理解し、戦技と同等の、否、それ以上に洗礼された肉体操作技術を自分で会得しなければならない。
肉体に動きが刷り込まれるほど何度も何度も訓練を繰り返した先に、本当の強さがある。
戦技に使われるのではなく、戦技を使いこなす。それこそが、強くなる上で必要な事だった。
それをもう少し早く理解できていさえすれば、アリアを助けられたかもしれない――そんな考えを即座に振り払い、湧き上がる想いすらも吐き出すように力を込める。こうして、絶大な破壊力を得た一撃は、一瞬にも満たない交差の間に護衛フォモールの足首を深々と切り裂いた。
私が駆け抜けた後に、風が渦巻く。護衛フォモールの傷口からは赤黒い血が大量に噴き出し、その口からは苦痛に染まった悲鳴が上がる。そして戦技によって聖剣の刀身に宿っていた灼熱が傷口を焙り、風に舞って血煙が上がる。
ジュゥゥゥゥ、と分厚い肉が鉄板で焼けるのに似た音が聞こえた。振り返り、結果を確認する。
「ッチ。思った以上に分厚いな」
再生力の強いフォモールとて、傷口が焼かれれば、普通に斬られた時とは比べ物にならないほど回復に時間を要するだろう。
尤も、私の攻撃を受けた敵が回復してしまうのを心配する必要はない。
【不治の傷を刻む聖剣】には常時発動型の【不治の斬痕】という能力が付いている。
コレによって、この護衛フォモールの足首は私が解呪しない限り、どんな魔法や魔法薬を使っても癒える事はない。このまま放置しても、この護衛フォモールは失血死するだろう。とはいえ、まだ死んではいないので油断はできない。
しかしそれにしても、岩さえ容易く切り裂ける【不治の傷を刻む聖剣】の一撃でも足を完全に切り離す事ができなかったとは。思わず舌打ちが漏れた。
そもそもフォモールの足首が巨大過ぎたからというのもあるのだろう。しかしそれに加えて高密度の肉や太い腱、屈強な筋繊維や特殊な形状をした骨が、思っていたよりも強靭だったようだ。
私が得意とする戦技の中でも高い威力を誇る今の一撃でさえ、護衛フォモールの足首の四分の三ほどまでしか斬る事ができていない。
護衛フォモールですらこれなのだ。それより強く巨大なバロールの防御力は、想像を絶するだろう。
ただ厄介ではあるが、まだ対処できるレベルなのが救いだった。
『ギガァァアアアアアアッ』
『中々速いじゃキン、でもリスクは有りソウな技みタイヤンナァァァアアアアアア』
周囲を囲う岩壁に、足首を斬られた護衛フォモールの悲鳴と、バロールの怒声が反響する。
それはもはや音の攻撃ともいえる。私は今度こそ耐えきれずに耳を手で塞いでしまった。
その隙を敵が見逃す事は無く、反撃も防御もままならない私に護衛フォモールの蹴りが迫る。先ほど棍棒で攻撃してきた二体の片割れだ。
残念な事に、既に戦技【我が身は光となりて】の効果は切れていた。身体は普段の速さに戻り、代償として幾らか筋繊維が断裂している。
身体全体に拡がる鈍痛と熱感が集中力を削いでいく。何より、蹴りを避けるにも体勢が悪過ぎた。
完全に回避できる可能性は三割程度だろうか。下手に回避を選択する方が被害は大きくなりそうだ。
だから回避を諦め攻撃を受け止めようと、超重の衝撃に対する覚悟を決め――
「うわッ」
――しかし蹴りは軌道を逸らし、私のすぐ横を通り過ぎた。
直撃しなかったとはいえ、生じた轟風が襲いかかる。咄嗟に手で顔を守り、流されかけた体勢を整える。何が起きたのかと顔を上げると、遠くにセレスの姿と、顔を押さえて苦悶する護衛フォモールの姿が見えた。
どうやら蹴りを繰り出した護衛フォモールの顔――恐らくは眼球だろう――にセレスが放った矢が深々と突き刺さり、その痛みで巨躯が大きく揺らいだようだ。
「ありがとうセレスッ」
私は大声で感謝の意を伝え、足首を押さえて悶絶している護衛フォモールに止めを刺そうと狙いを定める。ここで先んじて一体を殺せば、戦況は少しコチラに優位になる。
だが、咄嗟にバックステップ――その直後に振り下ろされたバロールの棍棒。
私という標的は逃したが、振り下ろされた棍棒は地面を砕いて大きなクレーターを造り、まるで地震のような揺れを発生させた。更に土石が周囲に飛び散り、雪混じりの土煙が巻き起こる。
何という馬鹿力だろう。あんなモノを受ければ一撃で肉片になるどころか、ただの地面のシミになってしまうのは間違いない。直撃は回避しているというのに、生じた轟風だけでも私の肉体が数メルトルほど空を泳いだのだから。
背筋を伝う冷たい汗。心臓を締め付けるような悪寒。迫る死の臭いを嗅いだ気がした。私は確かに、フォモールに対する【恐怖】を抱いた。
【恐怖】は心身を蝕み、行動を阻害する状態異常の一つだ。
一瞬だけ身体が強張るが、しかしそんな負の感情に起因した状態異常は、【職業・勇者】が備える【不屈なる精神】の効果によって自動的に消し去られる。
恐怖で固くなっていた身体から無駄な力が抜け、弱まった力は戻り、やる気も鼓舞される。胸の奥底から、マグマのように熱い何かが湧き上がってくるような感覚を抱く。
大丈夫、私はまだまだ戦える。
――ならば、前へ。敵の喉を斬り裂き、心臓を貫く為に。
再び疾走する私に向けて、再度振り下ろされた棍棒。ただ今回はバロールの連撃ではなく、隙を窺っていた護衛フォモールの一体が繰り出した一撃だった。
バロールの一撃の後で間髪入れずに振り下ろされた棍棒を、私は回避するのではなく、真正面から迎え撃つ事を選ぶ。
聖剣の刃に、恐るべき破壊を宿した淡く黒い光が灯った。
[ルーク・イルダーナ・エドモンドは戦技【飛翔する光重刃】を繰り出した]
聖剣を横一閃に振ると、刀身から黒混じりの黄金色の、飛翔する斬撃が発生した。
私が使用可能な遠隔攻撃系の戦技の中でも、特に一撃の重さに優れた【飛翔する光重刃】と巨大な棍棒が衝突。一瞬の拮抗、その後に衝撃波を撒き散らしながら光重刃は砕け散ったが、棍棒の破壊という役目は見事に果たす。
砕けた棍棒の残骸が周囲に飛散し、護衛フォモールの顔が驚愕に歪んだ。
「来いッ。私はコッチだッ。私を殺しに、かかって来いボンクラ共ッ!!」
降ってくる破片を弾きながら、敵の意識を前衛である私に引きつける為に大声で挑発し、それと同時に手頃な場所に居た護衛フォモールの脛を深く抉る。
噴き出す鮮血を避け、敵の攻撃を退け弾き、それによって生まれた隙をついて幾度も剣を振った。血飛沫が上がり、怒りの咆哮が轟く。
(やれるか……いや、やるんだッ)
神によって課せられた最後の試練を、誰一人として犠牲を出さず突破する。誰も死なず、誰も欠けずに終わらせてやる。
そう決意を新たにすると共に、私達とバロール達は激突した。
◆◆◆
私達がどれほどの時間をバロール達と戦っていたのかは分からない。
全身に刻まれた傷から流れた血が多過ぎて私の意識は朦朧とし、体力を失い過ぎて身体が重い。戦技の反動で体内にも無数の損傷が発生しており、それに加えて折れた左腕に宿る熱によって思考が定まらず、能力は大きく低下している。
しかしそんな私の状態などとは無関係に、刻々と決着の瞬間は迫っていた。
『コレでオッツダルジャッキン。ワイが最高の魔術ニヨッテ滅びシャインなってヨオオオオオオオ!!』
バロールは嬉々とした声で高らかに宣言する。
まるで既に勝利しているかのように、何があろうとも己は死なぬと確信しているかのように。笑みさえ浮かべながら朗々と詠唱を開始した。
ギリリ、と歯を食いしばる。それはバロールが言っている事が現実になるのだと、私が正確に理解しているからだ。
「くそ。死ぬ訳には、いかないのに。ここまで来て、あと少しのところで」
届かないのか、と歯噛みした。
現在、戦力差はそれほど無い。バロールは健在だが、護衛フォモールは四体とも殺している。
最初に死んだのは私が足首を切断した護衛フォモールで、もう片方の足首をアイオラが切り裂き、転倒した隙に身体を駆け上がった私が首を刎ねて止めを刺した。
アイオラが片足を斬り落とした二体目は、チェロアイトの全力突撃が額を穿ち、周囲に脳漿をぶちまけた。
クレリアが練り上げた雷光系統第五階梯魔術〝焦がし尽くす雷鳴〟による雷の乱舞によって肉も魂も纏めて焼き尽くされた三体目は、全身から肉が焼き焦げる臭気を発して転がっている。
そして最後の四体目は、セレスの矢による援護を受けながら私とチェロアイトで両腕を斬り落とし、最終的に私が首を刎ねた。
ココに至るまでの旅を通して、私達は強くなっている。
旅立った最初の頃の私達では、到底バロールには敵わなかっただろう。だが、今なら護衛フォモール四体を殺し、バロールに大怪我を負わす事もできている。
試練を乗り越える度につけていった力は、存分に発揮されていた。
しかし、敵もそう甘くはなかった。コチラの被害も、大きい。
まず最初にアイオラがやられた。
彼は二体目の片足を斬り落とした後、バロールに狙われたコライユを護る為、バロールの馬鹿げた威力を秘めた棍棒の乱打を真正面から受け止め続ける事になった。
地面を陥没させるほどの攻撃を十数発以上もたった一人で防ぎ、しかしついに愛用の大盾を失ったその直後、側面から襲いかかった護衛フォモールの棍棒によって殴り飛ばされた。
パーティー内で最高の防御力を誇るアイオラも、疲労困憊の上に大盾を失った状態では、流石に本来の実力を発揮できなかった。
殴り飛ばされたアイオラの身体は岩壁にめり込んだが、それでも全身を護る鎧と持ち前の頑強さのお陰か、ギリギリ死んではいない。
意識は無いようだが、治療すれば十分助かるだろう。しかし、回復する間をバロールが与えてくれるはずがなかった。
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