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外伝
外伝-16
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「鋭い尖端、向けられてぇ」
ところで毒薬は、食糧とする獲物に使用する類の毒ではない。
毒性が強過ぎて、喰う事が出来なくなるからだ。
獲物の死後も毒は分解される事無く全身の筋肉や臓器に溜まり、熱してもなかなか分解されない。
以前それを知らずに毒殺した獲物を喰った老ゴブリンの同胞は、全身を激しく痙攣させ、泡を吹いて死んでしまった。
呆気ない最期であった。しかしそれが、ただ茫然と見る事しかできなかった老ゴブリンに一つ知識を与えた。
この毒を塗布した矢で仕留めた獲物は喰ってはならない、という教訓だ。
「命をぅ守るにゃぁ、隙ぁみせねぇ」
ならば、わざわざ何故こんな毒を造ったのか。
喰う為ではなく、殺す為である。
「隙を見つけりゃぁ、突っ込めよい」
今回群れで狙う獲物は、街道を行き交うヒトである。
街道を行き交うヒトの中には、【行商人】や【商人】などと言われる存在が居る。
普通のヒトよりも多彩な品物を運び、売買する【行商人】や【商人】は、ゴブリン達にとって宝を運んで来てくれる恩人のような存在だ。
ただし彼らは武装した人間や亜人に守られながら進んでいる事が圧倒的に多く、正面から攻めれば呆気なく返り討ちにされ、ゴブリンは全滅してしまう。
だがもし狩りに成功すれば、ゴブリンでは到底造れないような物が手に入る。
それは危険を踏まえても大き過ぎる利点だった。美味い肉を喰う事ができ、美味い酒を飲む事ができ、上等な武具を手に入れて次の狩りの成功率を高める事ができる。
他にも役立つ道具は多く、一度成功の味を知ってしまえば止める事などできない。それにゴブリンの大半は非常に頭が良くないので、我慢する事はそもそも難しいだろう。
死の危険が高くとも、それでも成功した時の戦果はそれを忘れさせるほどのものなのである。
「鳴けば鳴かせぃ、女ぁの歌よぉ」
ゴブリンはヒト種を食糧とは見ていない。雑食であるヒトの肉は、あまり美味しくはないからだ。喰えない事もないが、あえて喰うほどでもない。ヒトがゴブリンの肉を好まないように、ゴブリンもヒトの肉は好まないのだ。
だからこその毒だった。ヒト狩りの時、獲物を一刻でも早く殺す為、毒矢は非常に効果的なのだ。
塗布された毒はヒトからは【ゴブリンの矢毒】と呼ばれ、少しでも早く殺す事だけを目的とされた強力な毒、掠るだけで死に至る猛毒として恐れられている。
毒を使うゴブリンの多くはヒトを積極的に狙い、殺害し、物資を略奪する。彼らは知性がやや高く討伐が困難なゴブリン――【山賊ゴブリン】と呼ばれる。ヒトに見つかれば即座に巣ごと殲滅される。
毒を使うからには、ゴブリン側も敵を殲滅する気なので、戦いは激化しやすいのだ。
補足すると、氏族によって毒の造り方が違うし、効果も大きく異なる。老ゴブリンの造った毒は、その中でもトップクラスの強力なモノだった。
「歌い、歌わすのんがぁ雄ゴブリンってなぁもんだぁ」
「ゴブ爺、できてっか?」
「いぃよぉさぁー……なんじゃ、ホブ剣かい」
呑気に歌いながらも最後の工程を終えようとしていた老ゴブリン――ゴブ爺に、一匹の中鬼が後ろから声をかけた。
ホブゴブリンの全身には無数の傷跡があり、非常に痛々しく見える。どれ程の血を流し、どれ程の激痛に耐えてきたのか。
だがそれは数々の死線をかい潜ってきた勲章だった。このホブゴブリンがそれを誇りに思っているのは、傷跡を隠す事無く晒している事からも窺える。
そして傷つきながらも鍛え抜かれた身体に宿る筋肉の鎧は、ホブゴブリン種の中でも飛び抜けていた。丹念に練り込まれた筋繊維の一本一本はしなやかでいて強靭。発揮される膂力はホブゴブリンの枠を超えているに違いない。
そんな肉体を包むブレストプレートと革鎧は血で黒く汚れ、腰に下げたショートソードの柄は手の形にすり減っている。
戦士としての風格を纏うホブゴブリンは、粗暴な顔に獰猛な笑みを浮かべ、黄色く汚れた歯をゴブ爺に見せた。
ゴブ爺に慣れ慣れしく近づいてくるホブゴブリンの名は、ホブ剣という。
ゴブ爺からすれば孫や曾孫、あるいはそれよりも歳が離れているが、彼が現在の【小鬼の集落】のリーダーを務めている。ゴブ爺が努力しても越えられなかった壁を越え、ホブゴブリンとなった若く優秀な存在だ。
「後は矢にぬりゃ終わりなんよぉ」
そう言って、ゴブ爺は用意していた矢を幾つか手に取り、完成した毒薬の中に鏃を入れた。
ネチョリと粘性を帯びた毒薬はすぐ鏃の表面を覆い、垂れる事無く付着した。鉄で造られた鏃は毒薬によって青く染まり、いかにも毒々しい。
この矢によって掠り傷の一つでもつこうものなら、それだけで死んでしまう。その為、毒薬を塗った後は毒を蓄える特性を持つ〝毒袋鼠〟というモンスターの皮で造られた、専用の矢筒に入れておく。
その様子を眺めていたホブ剣は、最終的に三十五本用意できた毒矢を入れた矢筒を肩に担ぐと、額に滲んだ汗を拭うゴブ爺の肩を叩いた。
「流石やーなー。んじゃま、行ってくらぁ。楽しみに待ってての」
「ええけん、無事帰ってくんやでぇ」
そしてホブ剣はゴブ爺に背を向けると、さっさと他のゴブリン達が待つ場所へと戻っていった。
毒矢の完成を待っていたのだろう、すでに支度を終えていたゴブリン達はリーダーであるホブ剣に率いられ、大森林の外へと出発した。
頭上を覆う樹の隙間から光が差し込み、その一団を照らしている。三十を超える武装したゴブリンの集団の中には、雌のホブゴブリンが二体居る。
ホブゴブリン・メイジであるホブ星。ローブを着て、愛用の魔杖を持つ、本好きの勉強家。メイジ故に高い知性を持ち、総合的な戦闘能力ならホブ剣を軽く超えているが、リーダーには向かない性格なので、群れの頭脳という立場に収まっている。
ホブ剣と同じように剣で戦うホブ里。性別の違いによってホブ剣と比べ体格などでは劣るが、剣技においては群れ随一の使い手である。戦闘時は多少暴走してしまう悪癖があるものの、それは斬り込み役として長所にもなっている。
一つの群れのリーダーになれるだけの能力を持つホブゴブリンが三体も居るというのは、かなり戦力的なアドバンテージを持っている事になる。
実はホブゴブリンが三体も居た事など、ゴブ爺も今代になるまで経験が無い。せいぜい一代に一体居るか居ないかといった具合だった。
ゴブ爺はその原因に心当たりがあるのだが、それはともかく。
「さんて、今回はどんなん持って帰っかなぁ」
ホブゴブリンの多さを考えれば、今回のヒト狩りの成功率はかなり高い。
野心家のホブ剣は幾度も襲撃を繰り返す事で経験を積み、戦果を持って帰って群れを大きくしてきた。
リスクはあるが生活も段々と楽になり、若い世代の平均レベルも上昇している。
今回の成果はどうなるだろうか、新しい人間の雌を捕まえる事ができればいいのだが、と楽しみにしながらゴブ爺は去っていく群れの後ろ姿をしばし眺めた後、後始末に取り掛かった。
毒を扱う関係上、事故を防ぐ為ゴブ爺は洞窟からやや離れた場所で作業をしていた。といっても洞窟から姿が見える程度しか離れていないのだが。
とにかく、下手な処理では何かしらの問題が発生する可能性が高いので、後始末は大切だ。
「まんずぁ、薄めんとなぁ」
まず、木桶に用意していた〝バッテラ〟という樹の樹液を臼の中に注ぎ込んだ。
〝バッテラ〟の樹液には強い解毒効果があり、それを毒薬と混ぜると、シュワシュワと小さく弾けながら白煙を上げる。
発生した煙を吸うと眩暈や吐き気を催すので、ゴブ爺は薄汚れた布で鼻と口を押さえつつ、次に臼の中に残してあった川の水を注いでいく。
矢に塗布した事で毒薬は減っているが、それでも大量に入れた樹液と水で臼から溢れそうになる。
ゴブ爺はギリギリを見極めて注ぐのを止め、更に勢いよく立ち上り始めた煙を見守った。上空で煙を吸った鳥が落下してきたので、頭から齧って小腹を満たす。
煙の毒性はそこまで強くないので、鳥の味は劣化していない。口の周りを血で汚しながら、ゴブ爺は満足そうな笑みを浮かべた。
「うんめぇなぁー。おっこってくるたぁ運がええのぉ」
ゴブ爺が鳥を貪る間、時が経つにつれて立ち昇る煙の勢いは弱くなり、やがて収まった。
後に残るのは、青色から水色に薄まった毒液だ。煙になった事で三分の二程度に減っている。
こうなると毒性の大半が失われ、触れてもせいぜい肌がヒリヒリする程度の効果しかない。もはや毒薬としての使い道は殆ど無くなっている。
食糧にする獲物に使うには弱過ぎるし、使っても肉の味が落ちるだけ。
なので本来これは川や土中に捨て、臼を洗って終わりとなる、はずだった。
だがゴブ爺は臼の中に、用意していた数十匹の芋虫を入れた。
入れたのは洞窟の土壁からボコリと飛び出してくる芋虫だ。生まれたてのゴブリンによく食べさせている。臼に入れた芋虫は白くぶよぶよとした胴体をくねらせ、毒薬の中で悠々と動く。
「大きく大きく育てぇよぉ」
その様子を、ゴブ爺は慈しむように見守っている。
この芋虫は、何故か毒で死ぬ事がない。薄める前の【ゴブリンの矢毒】に全身を沈めても死なず、むしろより活発に動き始めたくらいだった。
以前全くの偶然でそれを発見したゴブ爺は、なぜそうなったのかと疑問に思い、調べる事にした。
流石に竜の毒など大森林に無い素材を試す事は出来ないが、ゴブ爺は既に狩りに出かける事は無く、住処である洞窟で日々過ごしており、時間はタップリとあった。ポイズンマンティスの毒液やナイトバイパーの毒袋など多種多様な毒物を採取しては調査材料にした。
結果として芋虫を殺せる毒は発見できなかったのだが、その副産物として、何故そうなるかは判明していないが、薄めた【ゴブリンの矢毒】に芋虫を入れると、美味しくなる事を発見したのだった。
狩りに出る事のない老いたゴブ爺にとって、毒薬の製造、という大仕事を終えた後に待つ、もう一つの仕事である。
「そんろぉ、ええかんなぁ」
ゴブ爺の目の前で臼に入れられた芋虫達は、毒薬を栄養として急速に成長していた。
目に見えて大きくなる様は、まるでゴブリンの赤ん坊のようである。
臼の中が芋虫で溢れるようになると、毒薬は殆ど残っていなかった。
「さんて、どおけぇなっと」
手近な一匹の尻を摘まんで、木漏れ日で明るい眼前に持ち上げる。
尻を摘まむのは、以前頭部を摘まんだ際に、極めて小さい鋸歯によって皮膚を容易く裂かれ、肉を喰われたからだ。
摘まみ上げられた芋虫の体表は、薄くなったとはいえ毒薬に濡れている。そのまま食べるとやや刺激的で、元々よりも劣化した味となるのだが、残しておいた水につけて洗い流せば問題ない。
毒薬の粘着性も既に失われているので、さほど手間もかからず綺麗な状態になった。
「ほぅむ、ほぅむ」
木漏れ日に照らされた芋虫は非常に美味しそうだった。見るだけで涎が溢れたゴブ爺は、一気にそれを口に入れた。
ぶよぶよの胴体はプリプリとほど良い弾力を備え、口内を満たすジューシーな体液は脳髄を震わせる。極上の御馳走を少しでも長く味わおうと全身の神経を集中させ、ゴブ爺は微動だにしない。
芋虫の味を例えるなら、新鮮なエビが近いだろうか。大海を泳いで鍛えられ引き締まったプリプリの身を持つ、新鮮なエビの味である。
「ほぅぉぉぉ……堪らんのぉ」
恍惚とした表情で、だらしなく笑うゴブ爺。
暫くするとゴブ爺は二匹目の芋虫に手を伸ばし、また食べた。今度は一口ではなく、少しずつ少しずつ噛んで溢れる体液を啜りながらだ。
それも食べ終えたゴブ爺はまだ食べたい、という欲求をようやく振り払い、臼の中の芋虫達を水で洗った後、木で編まれた籠に移す。
籠も略奪品の一つだ。そこそこの大きさがある上に頑丈なので使い勝手がよい、ゴブ爺のお気に入りだ。
やがて全て移し終えると籠はズッシリと重くなった。杖を持つゴブ爺には持ちにくそうだが、それでも何とか洞窟まで抱えていく。
臼と竪杵は放置したままだ。毒が染みつかないようにさっさと洗うべきなのだが、それよりも先にやる事があった。
苦労して土肌が剥き出しになっている洞窟に入ったゴブ爺は、まず近くに居たゴブリンを呼んだ。現在巣に残っているのは年寄りとされる年齢のゴブリンで、戦いに行く事もなく住処内の仕事を担当している。
「ほんれぇ、子に配るべぇ」
急いでやって来たゴブリンに重い籠を持たせ、ゴブ爺は杖を突きながら奥に進む。
それに付き従うゴブリンは籠の中から一匹だけ芋虫を取り出し、頬張った。ゴブ爺と同様に恍惚とした表情を見せる。
「やっぱぁ、うまかー。んでも、がまんさー。がまん、がまん……ジュルリ」
思わず、といった感じで籠を持つゴブリンは声を洩らす。
次にしなければならない事を分かっているのでこれ以上摘まみ食いする事はないが、未練はあるらしい。チラチラと腕の中の籠を見て、諦めたように頭を振った。
「ほんれ、さっさと喰わせなぁ」
その様子に苦笑を浮かべたゴブ爺は、急くように籠から一匹の芋虫を取り出した。
自分が食べる為ではない。足元で寝かされている、ボロ布で包まれたゴブリンの赤ん坊達に食べさせる為だった。
その数は軽く三十を超えている。一度にこれだけ産まれたのは久しぶりの事である。ただ、繁殖用に捕らえていた人間の女達の多くがこの時の出産で死んでしまったのは誤算だった。
まだ生き残りは居るが、それらも虫の息といったところなので、早急に新しい女を用意する必要がある。
先程ホブ剣達がヒト狩りに出かけたのも、これが理由の大部分を占める。
「ほれ、喰いなぁ」
ゴブリンの赤ん坊のほとんどは眠っていた。しかし急激に成長する身体は常に栄養を欲しているので、眠っていても口元に芋虫を近づければパクリと噛みつく。
芋虫も抵抗しようと鋸歯を動かすが、頭部を丸ごと噛み潰されれば呆気ないものだ。
そうして次々と餌をやっていくと、ゴブ爺は気になる赤ん坊を見つけた。
姿形が特徴的である、という訳ではない。
生まれながらのメイジである、という訳でもない。
どこも周囲の赤ん坊と変わらないのだが、薄らと目を開けて見つめてくる瞳に、吸い込まれるような何かを感じたのだ。
眠いのだろう、すぐにその赤ん坊は瞼を閉じたが、それでも暫くの間ジッとその寝顔を見つめる。芋虫を近づければ他の赤ん坊同様噛みつき、食べた。
何故こんなに気になるのだろうか、とゴブ爺は小首を傾げ、試しにもう一匹食べさせてみる。
本来なら一匹で十分なのだが、単なる気紛れだ。
二匹目も即座に喰った赤ん坊は、どこか満足げな表情を見せる。
「ふむ……そうじゃのぉ、コイツの名前は……」
ゴブ爺は顎に手を添え、しばし沈黙。
そして何かを思いついた表情を見せ、眠った赤ん坊を両手で頭上に掲げ上げた。
寝ながら口を動かしているその赤ん坊は、ややむず痒そうな顔を見せる。だが暴れる事はなく、腕の中に収まっている。
「ゴブ朗、としようけぇ。うんむ、オメぇはゴブ朗やんでぇ」
この子を見た時に、何故かゴブ爺の脳裏を過った〝鬼の王〟という考え。
流石に〝王/オウ〟とするのは憚られるので、一文字違いの〝朗/ロウ〟としたのだ。
ゴブ爺としてはなかなか自信のある名付け方だったのだが、本鬼である赤ん坊は眠っているにもかかわらず不服そうに身を捩った。
赤ん坊にしては力強い反抗だったが、ゴブ爺はしっかりと持っていたので落とす事はない。ただその力強さに慈愛の笑みを浮かべ、そっと地面に下ろす。寒くないように全身をボロ布で包み、目についた石は蹴っ飛ばしてどけた。
もう少しこの赤ん坊を観察したかったのだが、まだ芋虫を食べさせなければならない赤ん坊は多く、臼と竪杵の後片付けなどの仕事も残っている。
「元気に育てぇよぉ」
ゴブ爺は次代を担う赤ん坊達に期待を込め、ゴブ朗の頬を撫でてから洞窟の外へと出向く。
外はまだ明るく、日が沈むまではまだ時間があった。
老齢のゴブ爺は身体の節々が痛むものの、休んでいるヒマは無い。
ふんむ、と気合を込めて、生活の為に動き出した。
ゴブリンの生活は、歳をとっても色々と忙しいのだ。
今日ゴブ朗と命名した赤ん坊こそが、群れの運命を大きく変える存在になるとゴブ爺が知るのは、ほんの少し後の出来事である。
ところで毒薬は、食糧とする獲物に使用する類の毒ではない。
毒性が強過ぎて、喰う事が出来なくなるからだ。
獲物の死後も毒は分解される事無く全身の筋肉や臓器に溜まり、熱してもなかなか分解されない。
以前それを知らずに毒殺した獲物を喰った老ゴブリンの同胞は、全身を激しく痙攣させ、泡を吹いて死んでしまった。
呆気ない最期であった。しかしそれが、ただ茫然と見る事しかできなかった老ゴブリンに一つ知識を与えた。
この毒を塗布した矢で仕留めた獲物は喰ってはならない、という教訓だ。
「命をぅ守るにゃぁ、隙ぁみせねぇ」
ならば、わざわざ何故こんな毒を造ったのか。
喰う為ではなく、殺す為である。
「隙を見つけりゃぁ、突っ込めよい」
今回群れで狙う獲物は、街道を行き交うヒトである。
街道を行き交うヒトの中には、【行商人】や【商人】などと言われる存在が居る。
普通のヒトよりも多彩な品物を運び、売買する【行商人】や【商人】は、ゴブリン達にとって宝を運んで来てくれる恩人のような存在だ。
ただし彼らは武装した人間や亜人に守られながら進んでいる事が圧倒的に多く、正面から攻めれば呆気なく返り討ちにされ、ゴブリンは全滅してしまう。
だがもし狩りに成功すれば、ゴブリンでは到底造れないような物が手に入る。
それは危険を踏まえても大き過ぎる利点だった。美味い肉を喰う事ができ、美味い酒を飲む事ができ、上等な武具を手に入れて次の狩りの成功率を高める事ができる。
他にも役立つ道具は多く、一度成功の味を知ってしまえば止める事などできない。それにゴブリンの大半は非常に頭が良くないので、我慢する事はそもそも難しいだろう。
死の危険が高くとも、それでも成功した時の戦果はそれを忘れさせるほどのものなのである。
「鳴けば鳴かせぃ、女ぁの歌よぉ」
ゴブリンはヒト種を食糧とは見ていない。雑食であるヒトの肉は、あまり美味しくはないからだ。喰えない事もないが、あえて喰うほどでもない。ヒトがゴブリンの肉を好まないように、ゴブリンもヒトの肉は好まないのだ。
だからこその毒だった。ヒト狩りの時、獲物を一刻でも早く殺す為、毒矢は非常に効果的なのだ。
塗布された毒はヒトからは【ゴブリンの矢毒】と呼ばれ、少しでも早く殺す事だけを目的とされた強力な毒、掠るだけで死に至る猛毒として恐れられている。
毒を使うゴブリンの多くはヒトを積極的に狙い、殺害し、物資を略奪する。彼らは知性がやや高く討伐が困難なゴブリン――【山賊ゴブリン】と呼ばれる。ヒトに見つかれば即座に巣ごと殲滅される。
毒を使うからには、ゴブリン側も敵を殲滅する気なので、戦いは激化しやすいのだ。
補足すると、氏族によって毒の造り方が違うし、効果も大きく異なる。老ゴブリンの造った毒は、その中でもトップクラスの強力なモノだった。
「歌い、歌わすのんがぁ雄ゴブリンってなぁもんだぁ」
「ゴブ爺、できてっか?」
「いぃよぉさぁー……なんじゃ、ホブ剣かい」
呑気に歌いながらも最後の工程を終えようとしていた老ゴブリン――ゴブ爺に、一匹の中鬼が後ろから声をかけた。
ホブゴブリンの全身には無数の傷跡があり、非常に痛々しく見える。どれ程の血を流し、どれ程の激痛に耐えてきたのか。
だがそれは数々の死線をかい潜ってきた勲章だった。このホブゴブリンがそれを誇りに思っているのは、傷跡を隠す事無く晒している事からも窺える。
そして傷つきながらも鍛え抜かれた身体に宿る筋肉の鎧は、ホブゴブリン種の中でも飛び抜けていた。丹念に練り込まれた筋繊維の一本一本はしなやかでいて強靭。発揮される膂力はホブゴブリンの枠を超えているに違いない。
そんな肉体を包むブレストプレートと革鎧は血で黒く汚れ、腰に下げたショートソードの柄は手の形にすり減っている。
戦士としての風格を纏うホブゴブリンは、粗暴な顔に獰猛な笑みを浮かべ、黄色く汚れた歯をゴブ爺に見せた。
ゴブ爺に慣れ慣れしく近づいてくるホブゴブリンの名は、ホブ剣という。
ゴブ爺からすれば孫や曾孫、あるいはそれよりも歳が離れているが、彼が現在の【小鬼の集落】のリーダーを務めている。ゴブ爺が努力しても越えられなかった壁を越え、ホブゴブリンとなった若く優秀な存在だ。
「後は矢にぬりゃ終わりなんよぉ」
そう言って、ゴブ爺は用意していた矢を幾つか手に取り、完成した毒薬の中に鏃を入れた。
ネチョリと粘性を帯びた毒薬はすぐ鏃の表面を覆い、垂れる事無く付着した。鉄で造られた鏃は毒薬によって青く染まり、いかにも毒々しい。
この矢によって掠り傷の一つでもつこうものなら、それだけで死んでしまう。その為、毒薬を塗った後は毒を蓄える特性を持つ〝毒袋鼠〟というモンスターの皮で造られた、専用の矢筒に入れておく。
その様子を眺めていたホブ剣は、最終的に三十五本用意できた毒矢を入れた矢筒を肩に担ぐと、額に滲んだ汗を拭うゴブ爺の肩を叩いた。
「流石やーなー。んじゃま、行ってくらぁ。楽しみに待ってての」
「ええけん、無事帰ってくんやでぇ」
そしてホブ剣はゴブ爺に背を向けると、さっさと他のゴブリン達が待つ場所へと戻っていった。
毒矢の完成を待っていたのだろう、すでに支度を終えていたゴブリン達はリーダーであるホブ剣に率いられ、大森林の外へと出発した。
頭上を覆う樹の隙間から光が差し込み、その一団を照らしている。三十を超える武装したゴブリンの集団の中には、雌のホブゴブリンが二体居る。
ホブゴブリン・メイジであるホブ星。ローブを着て、愛用の魔杖を持つ、本好きの勉強家。メイジ故に高い知性を持ち、総合的な戦闘能力ならホブ剣を軽く超えているが、リーダーには向かない性格なので、群れの頭脳という立場に収まっている。
ホブ剣と同じように剣で戦うホブ里。性別の違いによってホブ剣と比べ体格などでは劣るが、剣技においては群れ随一の使い手である。戦闘時は多少暴走してしまう悪癖があるものの、それは斬り込み役として長所にもなっている。
一つの群れのリーダーになれるだけの能力を持つホブゴブリンが三体も居るというのは、かなり戦力的なアドバンテージを持っている事になる。
実はホブゴブリンが三体も居た事など、ゴブ爺も今代になるまで経験が無い。せいぜい一代に一体居るか居ないかといった具合だった。
ゴブ爺はその原因に心当たりがあるのだが、それはともかく。
「さんて、今回はどんなん持って帰っかなぁ」
ホブゴブリンの多さを考えれば、今回のヒト狩りの成功率はかなり高い。
野心家のホブ剣は幾度も襲撃を繰り返す事で経験を積み、戦果を持って帰って群れを大きくしてきた。
リスクはあるが生活も段々と楽になり、若い世代の平均レベルも上昇している。
今回の成果はどうなるだろうか、新しい人間の雌を捕まえる事ができればいいのだが、と楽しみにしながらゴブ爺は去っていく群れの後ろ姿をしばし眺めた後、後始末に取り掛かった。
毒を扱う関係上、事故を防ぐ為ゴブ爺は洞窟からやや離れた場所で作業をしていた。といっても洞窟から姿が見える程度しか離れていないのだが。
とにかく、下手な処理では何かしらの問題が発生する可能性が高いので、後始末は大切だ。
「まんずぁ、薄めんとなぁ」
まず、木桶に用意していた〝バッテラ〟という樹の樹液を臼の中に注ぎ込んだ。
〝バッテラ〟の樹液には強い解毒効果があり、それを毒薬と混ぜると、シュワシュワと小さく弾けながら白煙を上げる。
発生した煙を吸うと眩暈や吐き気を催すので、ゴブ爺は薄汚れた布で鼻と口を押さえつつ、次に臼の中に残してあった川の水を注いでいく。
矢に塗布した事で毒薬は減っているが、それでも大量に入れた樹液と水で臼から溢れそうになる。
ゴブ爺はギリギリを見極めて注ぐのを止め、更に勢いよく立ち上り始めた煙を見守った。上空で煙を吸った鳥が落下してきたので、頭から齧って小腹を満たす。
煙の毒性はそこまで強くないので、鳥の味は劣化していない。口の周りを血で汚しながら、ゴブ爺は満足そうな笑みを浮かべた。
「うんめぇなぁー。おっこってくるたぁ運がええのぉ」
ゴブ爺が鳥を貪る間、時が経つにつれて立ち昇る煙の勢いは弱くなり、やがて収まった。
後に残るのは、青色から水色に薄まった毒液だ。煙になった事で三分の二程度に減っている。
こうなると毒性の大半が失われ、触れてもせいぜい肌がヒリヒリする程度の効果しかない。もはや毒薬としての使い道は殆ど無くなっている。
食糧にする獲物に使うには弱過ぎるし、使っても肉の味が落ちるだけ。
なので本来これは川や土中に捨て、臼を洗って終わりとなる、はずだった。
だがゴブ爺は臼の中に、用意していた数十匹の芋虫を入れた。
入れたのは洞窟の土壁からボコリと飛び出してくる芋虫だ。生まれたてのゴブリンによく食べさせている。臼に入れた芋虫は白くぶよぶよとした胴体をくねらせ、毒薬の中で悠々と動く。
「大きく大きく育てぇよぉ」
その様子を、ゴブ爺は慈しむように見守っている。
この芋虫は、何故か毒で死ぬ事がない。薄める前の【ゴブリンの矢毒】に全身を沈めても死なず、むしろより活発に動き始めたくらいだった。
以前全くの偶然でそれを発見したゴブ爺は、なぜそうなったのかと疑問に思い、調べる事にした。
流石に竜の毒など大森林に無い素材を試す事は出来ないが、ゴブ爺は既に狩りに出かける事は無く、住処である洞窟で日々過ごしており、時間はタップリとあった。ポイズンマンティスの毒液やナイトバイパーの毒袋など多種多様な毒物を採取しては調査材料にした。
結果として芋虫を殺せる毒は発見できなかったのだが、その副産物として、何故そうなるかは判明していないが、薄めた【ゴブリンの矢毒】に芋虫を入れると、美味しくなる事を発見したのだった。
狩りに出る事のない老いたゴブ爺にとって、毒薬の製造、という大仕事を終えた後に待つ、もう一つの仕事である。
「そんろぉ、ええかんなぁ」
ゴブ爺の目の前で臼に入れられた芋虫達は、毒薬を栄養として急速に成長していた。
目に見えて大きくなる様は、まるでゴブリンの赤ん坊のようである。
臼の中が芋虫で溢れるようになると、毒薬は殆ど残っていなかった。
「さんて、どおけぇなっと」
手近な一匹の尻を摘まんで、木漏れ日で明るい眼前に持ち上げる。
尻を摘まむのは、以前頭部を摘まんだ際に、極めて小さい鋸歯によって皮膚を容易く裂かれ、肉を喰われたからだ。
摘まみ上げられた芋虫の体表は、薄くなったとはいえ毒薬に濡れている。そのまま食べるとやや刺激的で、元々よりも劣化した味となるのだが、残しておいた水につけて洗い流せば問題ない。
毒薬の粘着性も既に失われているので、さほど手間もかからず綺麗な状態になった。
「ほぅむ、ほぅむ」
木漏れ日に照らされた芋虫は非常に美味しそうだった。見るだけで涎が溢れたゴブ爺は、一気にそれを口に入れた。
ぶよぶよの胴体はプリプリとほど良い弾力を備え、口内を満たすジューシーな体液は脳髄を震わせる。極上の御馳走を少しでも長く味わおうと全身の神経を集中させ、ゴブ爺は微動だにしない。
芋虫の味を例えるなら、新鮮なエビが近いだろうか。大海を泳いで鍛えられ引き締まったプリプリの身を持つ、新鮮なエビの味である。
「ほぅぉぉぉ……堪らんのぉ」
恍惚とした表情で、だらしなく笑うゴブ爺。
暫くするとゴブ爺は二匹目の芋虫に手を伸ばし、また食べた。今度は一口ではなく、少しずつ少しずつ噛んで溢れる体液を啜りながらだ。
それも食べ終えたゴブ爺はまだ食べたい、という欲求をようやく振り払い、臼の中の芋虫達を水で洗った後、木で編まれた籠に移す。
籠も略奪品の一つだ。そこそこの大きさがある上に頑丈なので使い勝手がよい、ゴブ爺のお気に入りだ。
やがて全て移し終えると籠はズッシリと重くなった。杖を持つゴブ爺には持ちにくそうだが、それでも何とか洞窟まで抱えていく。
臼と竪杵は放置したままだ。毒が染みつかないようにさっさと洗うべきなのだが、それよりも先にやる事があった。
苦労して土肌が剥き出しになっている洞窟に入ったゴブ爺は、まず近くに居たゴブリンを呼んだ。現在巣に残っているのは年寄りとされる年齢のゴブリンで、戦いに行く事もなく住処内の仕事を担当している。
「ほんれぇ、子に配るべぇ」
急いでやって来たゴブリンに重い籠を持たせ、ゴブ爺は杖を突きながら奥に進む。
それに付き従うゴブリンは籠の中から一匹だけ芋虫を取り出し、頬張った。ゴブ爺と同様に恍惚とした表情を見せる。
「やっぱぁ、うまかー。んでも、がまんさー。がまん、がまん……ジュルリ」
思わず、といった感じで籠を持つゴブリンは声を洩らす。
次にしなければならない事を分かっているのでこれ以上摘まみ食いする事はないが、未練はあるらしい。チラチラと腕の中の籠を見て、諦めたように頭を振った。
「ほんれ、さっさと喰わせなぁ」
その様子に苦笑を浮かべたゴブ爺は、急くように籠から一匹の芋虫を取り出した。
自分が食べる為ではない。足元で寝かされている、ボロ布で包まれたゴブリンの赤ん坊達に食べさせる為だった。
その数は軽く三十を超えている。一度にこれだけ産まれたのは久しぶりの事である。ただ、繁殖用に捕らえていた人間の女達の多くがこの時の出産で死んでしまったのは誤算だった。
まだ生き残りは居るが、それらも虫の息といったところなので、早急に新しい女を用意する必要がある。
先程ホブ剣達がヒト狩りに出かけたのも、これが理由の大部分を占める。
「ほれ、喰いなぁ」
ゴブリンの赤ん坊のほとんどは眠っていた。しかし急激に成長する身体は常に栄養を欲しているので、眠っていても口元に芋虫を近づければパクリと噛みつく。
芋虫も抵抗しようと鋸歯を動かすが、頭部を丸ごと噛み潰されれば呆気ないものだ。
そうして次々と餌をやっていくと、ゴブ爺は気になる赤ん坊を見つけた。
姿形が特徴的である、という訳ではない。
生まれながらのメイジである、という訳でもない。
どこも周囲の赤ん坊と変わらないのだが、薄らと目を開けて見つめてくる瞳に、吸い込まれるような何かを感じたのだ。
眠いのだろう、すぐにその赤ん坊は瞼を閉じたが、それでも暫くの間ジッとその寝顔を見つめる。芋虫を近づければ他の赤ん坊同様噛みつき、食べた。
何故こんなに気になるのだろうか、とゴブ爺は小首を傾げ、試しにもう一匹食べさせてみる。
本来なら一匹で十分なのだが、単なる気紛れだ。
二匹目も即座に喰った赤ん坊は、どこか満足げな表情を見せる。
「ふむ……そうじゃのぉ、コイツの名前は……」
ゴブ爺は顎に手を添え、しばし沈黙。
そして何かを思いついた表情を見せ、眠った赤ん坊を両手で頭上に掲げ上げた。
寝ながら口を動かしているその赤ん坊は、ややむず痒そうな顔を見せる。だが暴れる事はなく、腕の中に収まっている。
「ゴブ朗、としようけぇ。うんむ、オメぇはゴブ朗やんでぇ」
この子を見た時に、何故かゴブ爺の脳裏を過った〝鬼の王〟という考え。
流石に〝王/オウ〟とするのは憚られるので、一文字違いの〝朗/ロウ〟としたのだ。
ゴブ爺としてはなかなか自信のある名付け方だったのだが、本鬼である赤ん坊は眠っているにもかかわらず不服そうに身を捩った。
赤ん坊にしては力強い反抗だったが、ゴブ爺はしっかりと持っていたので落とす事はない。ただその力強さに慈愛の笑みを浮かべ、そっと地面に下ろす。寒くないように全身をボロ布で包み、目についた石は蹴っ飛ばしてどけた。
もう少しこの赤ん坊を観察したかったのだが、まだ芋虫を食べさせなければならない赤ん坊は多く、臼と竪杵の後片付けなどの仕事も残っている。
「元気に育てぇよぉ」
ゴブ爺は次代を担う赤ん坊達に期待を込め、ゴブ朗の頬を撫でてから洞窟の外へと出向く。
外はまだ明るく、日が沈むまではまだ時間があった。
老齢のゴブ爺は身体の節々が痛むものの、休んでいるヒマは無い。
ふんむ、と気合を込めて、生活の為に動き出した。
ゴブリンの生活は、歳をとっても色々と忙しいのだ。
今日ゴブ朗と命名した赤ん坊こそが、群れの運命を大きく変える存在になるとゴブ爺が知るのは、ほんの少し後の出来事である。
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