Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐

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4巻

4-11

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《百七十六日目》

 外には深々しんしんと白雪が降り積もる闇夜が広がっている。
 日付が変わったのは一、二時間ほど前で、陽が昇るまであと数時間といった頃合だが、今日も元気に王城で暗躍を始める。
 前回と同じく、下忍コボルドと同年代ゴブリン達が王城の物陰や夜闇に紛れ、警邏けいら中の兵士に紛れた【貴族派】にくみする私兵のみを徐々に削っていくだけの簡単なお仕事だ。
 勿論そんな面倒で迂遠うえんな事をせず、この秘密の地下室にて分体を量産したり、消耗品扱いできる駒――ブラックスケルトンやブラックオーガといった存在を生成し続ければ、圧倒的な数で大孫達を圧殺できるだろう。
 俺は【魔力吸収】によって闇から魔力を補給できるので、よっぽど無茶をしない限り体内魔力オドは枯渇しないし、そもそも自前の体内魔力だけでもブラックスケルトンなら約五千体用意できる。
 分体の量産に必要な水も確保できているので、材料に困る事はない。
 それに【中位アンデッド生成】を持つカナ美ちゃんと、ブラックスケルトン・コマンダーを数体生成して手伝ってもらえば、万を超える兵を用意する事すら十分可能だ。
 コマンダーが生成したブラックスケルトンは俺が生成した個体と比べて全体的に劣化した能力値だし、アンデッド族なので太陽が昇れば消滅してしまう。
 ただ使い捨てとしては十分戦力になるし、太陽が昇るまではあと数時間もある。それだけあれば、圧倒的物量で敵を磨り潰す事は非常に容易い。
 もちろん【炎熱】や【神聖】、鈍器による【打撃】など、スケルトン種特有の弱点をついて即座に対応されるだろうが、数はそのまま力になる。
 ブラックスケルトン級のモンスターが万単位で奇襲すれば、陥落しない要塞などそうは無いのだ。
 だから敵の中核である大孫や蛇爺達が一ヶ所に集まっている今は、襲撃する絶好の好機であるのは間違いない。
 ミノ吉くんやスペ星さん、アス江ちゃんといった主力組の殆どが居ないとはいえ、一定以上の戦力はある。戦力の量産・補給もできる。
 という訳で、ほぼ確実に勝てる状況が揃っているのだが、俺が選んだのはゆっくりと内部から浸食するような作戦。
 それを選択した最たる原因は、雇い主であるお転婆姫にあった。
 曰く――

『城の被害はできるだけ抑えて欲しいのじゃ。あれでも王国の象徴であってな、血でけがれ、お主の馬鹿げた力で壊されてしまうのは、出来るだけ避けたい。それにここまで来ると大孫達だけを暗殺してハイ終わり、とはいかんでな。きちっと正面から……でなくともよいが、とにかく、我が彼奴等を叩き潰したと内外に知らしめる必要があるのじゃ』

 ――だそうだ。
 こちらとしては面倒だが、確かに、その言い分は分かる。
 お転婆姫にも、王国の頂点に立つ血族としての面子メンツがある。
 舐められたままで居られるはずもなく、反逆した貴族をじ伏せるだけの武力を持っているのだと、広く見せつける必要があるのだろう。
 クーデターを起こした【貴族派】のトップを俺達傭兵が暗殺しました、それだけでは後々の王国運営にも影響があるだろう。
 それに一度叩き潰してハッキリ勝敗を決しないと、内戦が終わって俺達が去った後、残党によって再度クーデターが発生する可能性も高い。
 それに何より、大規模な戦闘に発展すればその影響で王国の領土が荒れに荒れ、盗賊や蛮族の類が発生したり、挙句の果てに混乱の平定とか色んな理由をねて周辺国が王国を分割統治しに来るかもしれない。
 王国の頂点に君臨しようと目論む、可愛い顔して色々企んでいる幼い腹黒姫にとって、それは回避したい事だろう。
 雇い主の意向ならば仕方ない。という訳で、相手の士気を適度に奪う為に今回の作戦をとった訳だ。
 外部からはお転婆姫が囲い込んだ、精強で知られる公爵家の軍――最も数の多い【歩兵インファントリー】や騎獣に搭乗する【騎兵キャバルリ】など、様々な兵種全て合わせて五千ほど――という脅威がプレッシャーをかける。一方、内部からは俺達が疑心暗鬼の誘発と戦力削減にいそしみ、引っかき回す。
 これを続けて士気が落ちないというのなら驚愕ものだ。そうなったら素直に大孫達の統率力を認めるしかないだろう。
 まあ、現状は問題無く事が進んでいるのだが。
 現在、王城に詰める大孫の手勢は三千ほど。貴族達の領地にはまだまだ予備戦力が待機しているが、王城に居るのはこれくらいだ。
 その中で、大孫や蛇爺といった【貴族派】の重要人物の周囲を常に警備している、精鋭と呼べる者達は三百程度だろうか。
 この三百は個々が三つ以上の戦闘系【職業】を持ち、総合的な戦闘能力がかなり高い。最低でも鈍鉄騎士と同等か、より強い実力者ばかりだ。
【亜神】の【加護】を持っている者も多く、数は少ないが【神】の【加護】持ちもいる。
 良く言えばもう少しで【勇者】や【英雄】に成れるかもしれない【英勇の卵】達。悪く言えば【勇者】や【英雄】に選ばれるほど優れた能力や【神】に好かれる人格、強靭な精神力を持たなかった成り損ない達である。
 そんな人材の集団が、日頃の訓練の賜物たまものにより、一糸乱れぬ動きで一個の巨大な群れとなるのだから、手強いのは必至だろう。
 こいつ等はブラックスケルトンよりも強い団員達が相手しなくてはなるまい。
 連携を取る間もなく攻め立て、個人個人に圧倒的物量を仕向ければ押し潰せる……だろうが、力押しだけでは無駄に被害が拡大しそうなので注意が必要になる。
 まあ、大孫達からそこまで離れないだろうから、動きが読み易いというのはありがたいが。
 残りの約二千七百は常日頃の訓練によって一定以上の水準に達しているが、ブラックスケルトンを一人につき二体以上差し向ければ、簡単に殺せる程度の強さだ。
 コチラは無駄に策など弄さず、真正面から物量差で押し切ってしまえばいい。
 もちろん敵の武装や連携、地形や相性によって苦戦する可能性は無くもないが、よほどの事が無いと脅威にはならないだろう。
 それにもしブラックスケルトン達で殺せなくても、王城の被害を度外視しすれば、人間あるいはヒト型モンスターを爆弾に変えてしまうアビリティ【人間爆弾】という最終手段がある。
 直径数メートル内の人間を高確率で爆殺できる、動く爆弾となったブラックスケルトンの群れ。相手の立場になって考えるとゾッとする。
 ブラックスケルトンの相手だけでも厄介なのに、倒しても唐突に爆発し、周囲に黒骨が飛び散るのだ。
 爆散した黒骨はしばらくすると霧散してしまうが、それは被害者の傷を塞いでいる物が無くなるという事でもある。迅速に手当てしないと失血死するだろう。
 我ながら悲惨としか思えない結果が出せそうだ。
 勿論、やる時は躊躇ちゅうちょなくやらせてもらうが。
 そして敵戦力で最も警戒すべきは、それぞれの理由から【貴族派】に力を貸している二人の【勇者】と、その九人の《仲間/副要人物》達だ。
 個人的には、俺が大臣を殺した犯人的な意味で、亡き大臣に受けた恩を返す為に力を貸している、幾多の戦場を生き抜いた歴戦の【勇者】である岩勇が最も厄介だ。それに、人質にされた家族の為に戦っている水勇の存在も、勿論非常に危険。
 というか、ヤバい。
 水勇は農民出身なのだが、土地が悪かったらしく、幼少の頃からかなり貧しい生活をしていたそうだ。それでも隣人や家族と助け合い、何とか暮らしていた。
 しかし水勇が十歳になった頃、領主が税を普通よりも多く徴収し、私腹を肥やす悪辣な輩に変わってしまった事で、貧困が加速した。
 ただでさえ貧乏だった水勇とその家族はもちろん、協力し合いながら暮らしていた村人達も、その日食う物にも困るような有様で、最も酷い時には枯れた草の根を齧っていたそうだ。
 だがある日【神の加護】を授かって、復讐者と同じように王都の学校に通い始めたのを境に生活は改善されていった。
 家族を養うという目標を掲げて日々邁進まいしんした結果、かなり好成績で卒業。その後は軍に入り、しばらくして正式に【水震の勇者】となった時に、その権力で自分達を苦しめた領主を自らの手で殺害している。
 その際には自分達が味わった苦しみを刻むように、手足を先端からジワジワと斬り落とし、食料も水も最低限度しか与えず、生かさず殺さずタップリ拷問したそうだ。
 つまり平凡な顔に似合わず、水勇はかなり過激な性格をしている。
 繰り返すが、水勇が国に仕えているのは家族を養う為だ。
 だから国や王族に対して忠誠心は無く、むしろ嫌悪している感じですらあり、故に王族殺しもいとわない。
 仕事なら何でもするそうで、陰から邪魔者を消すのが闇勇であるのに対し、水勇は正面から王国の邪魔者を排除する役目を担っているという。
 そんな水勇の性格的に、大切な家族を助ける為に死に物狂いでお転婆姫を殺しにくるのは想像にかたくない。
 ちなみに水勇は水を介した広範囲攻撃を得意としているので、下手にブラックスケルトン達が固まってしまえば、一掃されてしまうに違いない。
 アビリティの出し惜しみは無しで、俺とカナ美ちゃんのペアなら二組の【勇者】パーティと同時に戦っても叩き伏せる自信はあるが、戦いはどうしても長引いてしまうだろう。
 そもそも戦場では何が起こるか分からない。思わぬ出来事に足元をすくわれては面白くない。
 とりあえずこいつ等は俺とカナ美ちゃんで抑えるが、対応は臨機応変として、一先ずこの問題は横に放置する。
【勇者】以外の大孫達の奥の手は、今のところ確認できていないので何とも言えない。
 何となくあるとは思うのだが、普通は【勇者】だけで十分なので、無い可能性も高い。
 とんでもないジョーカーが出なければ概ね予定通りに進行するとは思うが、はてさてどうなる事か。大抵の奥の手なら圧倒的物量でどうにでも出来るが、警戒しておいて損にはならないだろう。
 何も無いのが一番いいのだが、そう安易には進まないだろうな。

 とまあ、判明している敵の戦力と現状はこんな感じになっている。
 大孫達もこのまま兵士や貴族を暗殺され続ければ士気に関わると理解しているので、色々な対策を採り始めていた。
 王城を巡回する兵士は三人一組に。小心者の貴族の兵士が混じっていると五人、十人と群れて一緒に回っている大所帯もちらほらと存在する。
 これまで彼等の防具は見た目重視の観賞用に近い布系装備だったのだが、金属製の胴鎧や手甲具足などにグレードアップ。指輪やイヤリングなどの装飾品は、防御力アップ系の能力を持つマジックアイテムに入れ替えているようだ。
 兵士の腰には長剣や短剣が吊り下げられ、片手には光を発するランタンと動体センサーの役割を果たすコンパスが融合したようなマジックアイテムが握られている。
 マジックアイテムは少年騎士によれば【ビーコンパス】というらしく、結構高額な品だが性能は折り紙付き。効果は前方百八十度に限定される――持ち主を索敵対象から除外する為――が、生物の生命力にも反応するらしい。なので、隠れるのは困難を極めるという。
 ただ、肝心の兵士はそんな充実した装備に身を包んでいるのに、ビーコンパスの針が僅かに動く度に針先を血走った眼で睨み、それが風に揺れた木の葉だと理解するや否やホッと息を吐き出す有様。しかし常に柄に添えられた手は、恐怖からか微かに震えている。
 そんなザマでは結局狩られる立場の存在にしか見えないし、事実その通りになった。
 自分自身の感覚ではなく、マジックアイテムによる索敵に頼ってしまっている時点で、彼等は決定的な隙を生んでしまっていたからだ。
 こちらは敵の一組の倍になる六体一組で行動させた。
 ビーコンパスは優れモノではあるが、構造からして針は上下に動き難い。
 だから通路の高い天井の片隅に生じた薄影の中に、ブラックスケルトン三体分の黒骨をつなぎ合わせた外装鎧【動く黒骨の鎧ブラックボーン・リビングメイル】の八本脚で張り付いてジッとしていると、その反応はかなり微弱なモノになる。
 弱点さえ知っていれば、奇襲をかけるのは容易な事だった。
 兵士が自分の感覚で索敵していれば、ゴブリン達の吐息や骨鎧がこすれる僅かな音を聞く事ができたに違いない。
 六体一組とした分だけ前と同じ時間で狩れる数は減っているが、それは仕方ない。
 そんな訳で今回の仕事により、王城から私兵が三十六人ほどひっそりと姿を消し、六名ほどの貴族が私邸の自室にて亡き大臣達と同じ毒殺体となった。
 毒殺された貴族はやはり主要な人物ではなく、情勢を読んで身を寄せた者、【貴族派】に属する宗家の命によって加わった者などの、事情によって派閥の末席に加わった者達だ。
 ちなみに貴族の遺体が転がっていた絨毯の敷かれた床やもたれ掛かっていた壁には、血と特殊な素材を混ぜた赤黒い塗料によって『次の毒袋は一体誰か?』と更なる殺人予告が書かれている。
 それは混ぜられた特殊な素材が怪しく光るだけでなく、血が滴り落ちた跡も加わって、より一層猟奇的な雰囲気を出している。
 それを見てしまったメイドや執事達が悲鳴を上げるくらいだ。
 犯人としては、怖がってくれると、気分もいい。

 そして夜は明け、陽が昇った。
 陽が昇る少し前から、王城と貴族街が活発に動き始めていた。
 王城内を慌ただしく行き交う騎士や近衛兵達の足音、部下に指示を出す武官達の野太く重低音な声、主の朝食を運ぶメイド達が食器で響かす僅かな音色、多数の馬車や兵士が物資を運ぶ作業音。
 そのどれもこれもが、迫るお転婆姫軍に対する準備に関係しているモノだった。
 昨日の内に大方の手配が済んでいたようで、大孫達の準備は予定通りに進んでいるように思われた。命令は順調に消化され、混乱も少ない。
 これは多分、クーデター直後で戦の準備が殆ど終わっていたからこその準備速度だ。
 ちなみに貴族達が領地に残していた戦力にも、飼い慣らされた〝鷲獅子グリフォン〟や〝翼亜竜ワイバーン〟を用いた飛行便によって昨夜の内に召集の指令書が届けられ、かなりの戦力が短期間で整う。
 この準備が終われば兵数もお転婆姫軍を軽く超え、さらに二名の【勇者】が味方している連合貴族軍が完成する。
 闇勇は第一王妃と共に何処かに行ってしまったし、樹勇は静観する様子。【異界の賢者】も音沙汰無し。
 暗殺に対する恐怖はあれど、我等が勝てない道理が存在しない、という雰囲気が敵側に満ちつつあった。
 そんなところに、再び貴族が暗殺された、という情報が広がった。
 俺としては大孫と蛇爺が士気低下を防ぐ為に箝口令かんこうれいでも敷くかと期待していたのだが、そのまま真実を広めたので、情報の広がりは早かった。
 ここにきて情報を秘匿するのは下策と判断したらしい。ただ血の予告状に関しては曖昧に流す程度に抑えられていた。調べれば分かるが、知らないままでいる者もそれなりに居る、という絶妙な調整がなされている。
 これなら後で予告状の件を知っても、それは本人の情報収集能力不足という事になる。
 箝口令が敷かれたら、頃合を見て俺が情報を流布るふしようとしていたので、狙いは外れてしまった。
 だが、一応【貴族派】に流れる空気は重くなっているので、良しとしておこう。
 できれば不安に駆られたメンバーが致命的なタイミングで内乱を起こしてくれるのが一番だったが、多少なりとも疑心暗鬼になれば十分だ。
 流石さすがに大孫達も何かしらの対策を講じるだろうが、その都度裏をかけばいい。分体でいくらでも情報は収集できる。
 大孫達は俺達を警戒して、城壁で覆われた王都で迎え撃つのではなく、王都と公爵軍の丁度中間に当たる平原にて、正面から叩き潰す事にしたらしい。
 策を弄さぬ、純粋な力技だ。そうなればお転婆姫軍はほぼ確実に負けてしまう。
 兵数だけでなく【勇者】という存在によって質も大幅に向上されている【貴族派】と正面から衝突しては、勝てる要素があまりに少ない。
 戦術を駆使してても、軍勢を突っ切っていくだろう【勇者】の前では通用しまい。
 まあ、そもそも俺達は王城奪還を第一に考えればいい役なので、そっちがどうなろうが興味は薄い。
 一応、保険は掛けているから大丈夫だろう。

[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕第四章【王国革命のススメ】の第六節【這終の城】の隠し条件《恐怖の城夜》《這い寄る悪意》がクリアされました]


《百七十七日目》

 どうやら天は大孫達に味方していないらしい。
 空は分厚い黒雲によって覆われて昼間でも薄暗く、立っていても転びそうなほど強い白雪混じりの風。朝の時点で積雪は三〇センチを超え、時間経過と共に更に増していた。
 とてもではないが行軍できる状況ではない。
 何かしらの【魔法】を駆使すれば別だが、凍傷を負う者も多々出るだろうし、士気低下は免れない。
 恐らく明日か明後日にはこの吹雪も止むだろうから、それまで大孫達は行軍を延期したようだ。
 ちなみに公爵率いるお転婆姫軍もそれは同じだが、俺が予め仕込んでいた貴族――〝スパイ〟が領地の町にかくまっているので、吹雪の中でテントを張るような事態にはなっていない。
 お転婆姫軍にはできるだけ損耗の無い状態で貴族軍と衝突してもらいたいから、最低限の援助はするのだ。
 余談だが、こんな天気は昔から稀にあるという。
 なんでも上空を【知恵ある蛇/竜・龍】が住む空飛ぶ大陸が通過する際、空飛ぶ大陸を支える積竜雲せきりゅううん――この世界独特のモノで、積乱雲よりも規模が大きい――のせいで今日のような天候となるらしい。
 空飛ぶ大陸は決まった日に来る訳ではないし、その予兆も無いので予想し難い。
 なので今日この時に来たのは、大孫達からしたら運が無い出来事だった。
 この絶好の機会を逃す手は無い。
 都合良く分厚い雲と雪によって陽光が遮られているので、最下級のアンデッドでも自然浄化されない環境が整っている。
 お転婆姫の意向で『城を出来るだけ破壊しない』という制限があるから、俺は地下室で〝幽霊ゴースト〟とその強化版である〝黒幽霊ブラックゴースト〟を大量に生成した。
 ゴースト系は魔力を纏わない物理攻撃は全て透過して無効化するのだが、その代わりに物理攻撃ができないので城を壊す事がなく、今回の作戦には最適のモンスターだ。
 ゴーストとブラックゴースト達の顔は死んだ貴族や私兵達に似せ、合計で四千体ほど生成する。
 そんな俺の傍らで、カナ美ちゃんも【中位アンデッド生成】を使って〝幽霊〟の強化版である〝紫幽霊パープルゴースト〟を二千体ほど生成していた。
 普通のゴーストは半透明なのに、俺達が生成すると黒や紫などの色が付与される。加護神によって付与される能力の方向性が変わるからだろう。ちなみに黒と紫なら、黒の方が強い。が、【中位アンデッド生成】という一つ高位の能力による補正からか、能力値的にはあまり大差が無いようだ。
 生成した六千の内、黒と紫の四千体を、【魂魄喰いソウルイーター】を使用してチュルチュルと麺類のようにすすり喰ってみた。

[能力名【未練の掌ゴーストタッチ】のラーニング完了]
[能力名【未練の黒掌ブラック・ゴーストタッチ】のラーニング完了]
[能力名【未練の紫掌パープル・ゴーストタッチ】のラーニング完了]
[能力名【幽霊の叫びゴーストクライ】のラーニング完了]

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