9 / 13
第2章:横浜で空に一番近いカフェ
9.
しおりを挟む
千晴はシャワーから上がると、鏡の前で自分の姿を確認していた。
――気のせいかな?
頬をつまみ、お腹の肉をつまむ。
「やっぱり、ビールを飲み過ぎかなぁ」
仕事で体を動かすが、どうにもそれ以上に飲み食いしている気がした。
仕事帰りには早番メンバーと一緒にファストフードで遅い昼食。
これも不規則な食生活に拍車をかけている。
「運動、しないとかなぁ」
下着姿のまま脱衣所を抜け、そのままローテーブルのそばに座る。
一人暮らしもすっかり板について、気が緩み切っていた。
湯冷めするのも気にせず、濡れた髪をタオルで乾かしつつスマホで周辺を検索する。
近所にはスポーツジムが結構あるようだ。
「会費はこれくらいならまぁ、なんとか?」
だがまだ給料日前で、ジム通いに必要な一式を揃えられない。
公園なら近くに横浜公園も山下公園もある。
ジョギングするには困らないだろう。
だが外を走るような服は、手持ちにはないように思えた。
「高校の体操服……いや、ないな」
横浜のベイエリアをジャージで走るのは、さすがに早朝でも嫌だった。
ため息をついた千晴は、スウェットを着込んで缶ビールのふたを開けた。
****
出勤した千晴は手早く着替えると、テキパキと清掃を進めていった。
先に清掃に入っていた天流が、にこやかに告げる。
「おや? 随分と張り切ってるね」
「いえ、お気になさらず」
汗を流してベンチを拭いている千晴に天流が告げる。
「そうだ、悪いんだけど明日は遅番になってもらえるかな」
千晴が振り向いて尋ねる。
「いいですけど、何かあったんですか?」
「うん、ちょっとシフトに穴が開いちゃってね。
明日は忙しい日だから、人数が減ると厳しいんだ」
――ふーん? 明日って何かあったっけ?
「何かのイベントですか?」
「花火大会だよ。毎年恒例の」
千晴が顔をしかめて応える。
「あー、いつものあれですか。
なんで花火ごときに、桜木町駅前に集まるんでしょうね」
学生時代は自分も集まる側だった千晴は、そのことも忘れてぼやいていた。
天流は微笑ましげに千晴を見つめて応える。
「展望カフェにもお客さんが来るからね。
ここから見る花火は、一味違って面白いよ」
千晴がため息をついて応える。
「仕事が忙しいなら、見る暇なんてないじゃないですか」
「そんなことはないさ。
波が途切れる瞬間になら、よそ見をしたっていい。
見るタイミングは、あるはずだよ」
――そんなもんなのかな。
入場客も、花火が目当てで登ってきている。
それならばずっとカウンターに客が殺到することにはならないだろう。
ホールに出て清掃している合間にも、見るタイミングはあるかもしれない。
そんなことを考えて、千晴はうなずいた。
「わかりました。楽しみにしておきます」
「うん、よろしく」
天流は満足げに頷いていた。
****
客足が途切れ、カウンターの中で暇を持て余した千晴が、横山に尋ねる。
「なんで早番はいつも同じメンバーなんですか?」
「人気がないのよねー。
みんな朝出勤が嫌みたい。
中番が一番人気で、次が遅番ね」
千晴がきょとんとした顔で尋ねる。
「なんで遅番が人気なんですかね?」
隣で天流が微笑みながら告げる。
「夜は大学生が多いんだよ。
学校が終わった後のバイトに選ぶんだ。
必然的に、朝のメンバーが限られるってことさ」
「正社員は増やさないんですか?」
天流が困ったように唸り声をあげた。
「声はかけてるけど、やっぱり飲食業は嫌われてるね。
観光地だと忙しい。
バイトからの正社員登用もしてるんだけどね。
慣れると退屈になるのか、割とすぐやめちゃうんだ」
千晴が眉をひそめて天流を見た。
「お給料を上げればいいんじゃないですか?」
天流がフッと笑って応える。
「ここはテナント料が高いし、リーズナブルな価格帯でメニューを提供してる。
他より魅力的な給与を提示する余裕は、あんまりないかな。
『ここで働くことに魅力を感じる』――そういう人が居着くんだ」
「そっか、昇給が苦しいんですね。
じゃあ私も転職を――」
「わあ、待って広瀬さん!
せっかく捕まえた君に逃げられると、私が怒られちゃうよ!」
千晴がクスリと笑って応える。
「冗談ですよ。
一度就職した以上、簡単に辞める気はないですから。
――もっとも、今はバイトですけどね」
天流が困ったように笑って告げる。
「今のところ問題はないようだし、夏を過ぎるまでには正社員登用できると思うよ。
そうしたら少しは給料もあげられるから」
「期待してますからね?」
楽し気に笑っている千晴たちの前に、客がやってきてオーダーを出した。
千晴は笑顔で接客し、オーダーの軽食をキッチンに伝えに行った。
****
千晴がファストフード店で、いつものメンバーとチーズバーガーを食べていた。
その頬を横山が指先でつつく。
「最近、ちょっと可愛らしくなってきたわね」
千晴が横山の手を払いのけて応える。
「ほっといてください!
動き回るからお腹が減るんですよ!」
宮城がニヤリと笑って告げる。
「あー、もしかして気にしてるのか?
だからセットじゃなく、バーガーとシェイクだけなのか?」
磯貝がぽつりとつぶやく。
「気にするならチーズバーガーなど頼まなければいいのに」
千晴が声を上げて応える。
「チーズ好きなんだからいいじゃないですか!
――ほんと、チーズって魔性の味ですよね。
なんでこう太る物って美味しいんでしょうか」
天流はダブルチーズバーガーを食べながら応える。
「美味しいものは食べ過ぎてしまう。
食べ過ぎるから体の毒になる。
簡単な理屈だね」
「ダブチ食べながら言われても説得力がないですよ!
なんで天流さんはそれで太らないんですか!」
天流がニコリと微笑んだ。
「特異体質かな?」
――狐の『あやかし』だからかー!
千晴が射殺すような眼差しで天流を睨み付けていると、横山が穏やかに告げる。
「広瀬さん、エクササイズでもしてみたら?
普段は早番なんだし、仕事が終わってから汗をかけばいいじゃない」
千晴が怯みながら横山に振り向いた。
「いえ、それは考えたんですが、服が……」
宮城が不敵な笑みで告げる。
「ああ、スポーツウェアがないって話か?
まぁ転職してから給料もらってないしな。
でも大して高いもんでもないだろ?」
「そうなんですか?」
天流が微笑みながら千晴に告げる。
「じゃあこのあと、一緒にスポーツ用品店に見に行こうか。
そこで一式買って、スポーツジムに行ってみよう。
駅前に評判がいいジムがあるよ」
千晴が財布の中身を思い出しながら応える。
「まぁ、お金が足りそうなら構いませんけど」
「大丈夫、足りないなら私が出してあげるよ」
「――悪いですよ! 結構です!」
宮城が千晴と天流を見比べて告げる。
「前から思ってたんだけど、チーフと広瀬っていつも一緒に行動してないか?」
千晴がきょとんとした顔で応える。
「あー、言われてみればそうですね」
「あんたら、付き合ってるのか?」
小首をかしげて千晴が応える。
「なんでそういう結論になるんですか?」
「だってチーフがこんなにつきっきりなるの、見たことないぞ?」
千晴が複雑な顔で眉をひそめた。
「それは事情があるというか、なんというか」
言いたいが口止めされている千晴は、言葉を濁していた。
天流がニコリと微笑んだ。
「今夜のビールの買い出しもある。
そろそろ行こうか。
それともワインとかも試してみるかい?」
千晴が天流を見て応える。
「ワインよりカクテル系を試してみたいですね。
甘いお酒って飲んだことなくて」
横山がぽつりと告げる。
「仕事のあと、一緒に飲んでるの?」
天流が嬉しそうに横山に応える。
「毎日、広瀬さんの部屋で飲んでるだけだよ」
磯貝がぼそりとつぶやく。
「宅飲みか」
宮城がうなずきながら告げる。
「これで付き合ってないとか、無理がないか?」
横山は楽しそうに微笑んでいた。
千晴が必死に声を上げる。
「違いますって! そういうのじゃなくて!」
天流が立ち上がり、千晴の手を取った。
「さぁ行くよ広瀬さん。
そろそろ日が暮れてしまう」
「ちょっと天流さん、そういう誤解される行動しないでください!」
「カクテルなら美味しいお店を知ってる。
ジムのあと、そこに行ってみないかい?」
千晴が目を輝かせて天流に応える。
「ほんとですか! 行きます行きます!」
足取り軽く天流と一緒に店を出ていく千晴を見て、宮城が告げる。
「……なーんであれで否定するのかねぇ」
横山が嬉しそうに微笑んだ。
「いいじゃない、初々しくて」
宮城たちは、笑顔で歩いて行く千晴たちを見送った。
――気のせいかな?
頬をつまみ、お腹の肉をつまむ。
「やっぱり、ビールを飲み過ぎかなぁ」
仕事で体を動かすが、どうにもそれ以上に飲み食いしている気がした。
仕事帰りには早番メンバーと一緒にファストフードで遅い昼食。
これも不規則な食生活に拍車をかけている。
「運動、しないとかなぁ」
下着姿のまま脱衣所を抜け、そのままローテーブルのそばに座る。
一人暮らしもすっかり板について、気が緩み切っていた。
湯冷めするのも気にせず、濡れた髪をタオルで乾かしつつスマホで周辺を検索する。
近所にはスポーツジムが結構あるようだ。
「会費はこれくらいならまぁ、なんとか?」
だがまだ給料日前で、ジム通いに必要な一式を揃えられない。
公園なら近くに横浜公園も山下公園もある。
ジョギングするには困らないだろう。
だが外を走るような服は、手持ちにはないように思えた。
「高校の体操服……いや、ないな」
横浜のベイエリアをジャージで走るのは、さすがに早朝でも嫌だった。
ため息をついた千晴は、スウェットを着込んで缶ビールのふたを開けた。
****
出勤した千晴は手早く着替えると、テキパキと清掃を進めていった。
先に清掃に入っていた天流が、にこやかに告げる。
「おや? 随分と張り切ってるね」
「いえ、お気になさらず」
汗を流してベンチを拭いている千晴に天流が告げる。
「そうだ、悪いんだけど明日は遅番になってもらえるかな」
千晴が振り向いて尋ねる。
「いいですけど、何かあったんですか?」
「うん、ちょっとシフトに穴が開いちゃってね。
明日は忙しい日だから、人数が減ると厳しいんだ」
――ふーん? 明日って何かあったっけ?
「何かのイベントですか?」
「花火大会だよ。毎年恒例の」
千晴が顔をしかめて応える。
「あー、いつものあれですか。
なんで花火ごときに、桜木町駅前に集まるんでしょうね」
学生時代は自分も集まる側だった千晴は、そのことも忘れてぼやいていた。
天流は微笑ましげに千晴を見つめて応える。
「展望カフェにもお客さんが来るからね。
ここから見る花火は、一味違って面白いよ」
千晴がため息をついて応える。
「仕事が忙しいなら、見る暇なんてないじゃないですか」
「そんなことはないさ。
波が途切れる瞬間になら、よそ見をしたっていい。
見るタイミングは、あるはずだよ」
――そんなもんなのかな。
入場客も、花火が目当てで登ってきている。
それならばずっとカウンターに客が殺到することにはならないだろう。
ホールに出て清掃している合間にも、見るタイミングはあるかもしれない。
そんなことを考えて、千晴はうなずいた。
「わかりました。楽しみにしておきます」
「うん、よろしく」
天流は満足げに頷いていた。
****
客足が途切れ、カウンターの中で暇を持て余した千晴が、横山に尋ねる。
「なんで早番はいつも同じメンバーなんですか?」
「人気がないのよねー。
みんな朝出勤が嫌みたい。
中番が一番人気で、次が遅番ね」
千晴がきょとんとした顔で尋ねる。
「なんで遅番が人気なんですかね?」
隣で天流が微笑みながら告げる。
「夜は大学生が多いんだよ。
学校が終わった後のバイトに選ぶんだ。
必然的に、朝のメンバーが限られるってことさ」
「正社員は増やさないんですか?」
天流が困ったように唸り声をあげた。
「声はかけてるけど、やっぱり飲食業は嫌われてるね。
観光地だと忙しい。
バイトからの正社員登用もしてるんだけどね。
慣れると退屈になるのか、割とすぐやめちゃうんだ」
千晴が眉をひそめて天流を見た。
「お給料を上げればいいんじゃないですか?」
天流がフッと笑って応える。
「ここはテナント料が高いし、リーズナブルな価格帯でメニューを提供してる。
他より魅力的な給与を提示する余裕は、あんまりないかな。
『ここで働くことに魅力を感じる』――そういう人が居着くんだ」
「そっか、昇給が苦しいんですね。
じゃあ私も転職を――」
「わあ、待って広瀬さん!
せっかく捕まえた君に逃げられると、私が怒られちゃうよ!」
千晴がクスリと笑って応える。
「冗談ですよ。
一度就職した以上、簡単に辞める気はないですから。
――もっとも、今はバイトですけどね」
天流が困ったように笑って告げる。
「今のところ問題はないようだし、夏を過ぎるまでには正社員登用できると思うよ。
そうしたら少しは給料もあげられるから」
「期待してますからね?」
楽し気に笑っている千晴たちの前に、客がやってきてオーダーを出した。
千晴は笑顔で接客し、オーダーの軽食をキッチンに伝えに行った。
****
千晴がファストフード店で、いつものメンバーとチーズバーガーを食べていた。
その頬を横山が指先でつつく。
「最近、ちょっと可愛らしくなってきたわね」
千晴が横山の手を払いのけて応える。
「ほっといてください!
動き回るからお腹が減るんですよ!」
宮城がニヤリと笑って告げる。
「あー、もしかして気にしてるのか?
だからセットじゃなく、バーガーとシェイクだけなのか?」
磯貝がぽつりとつぶやく。
「気にするならチーズバーガーなど頼まなければいいのに」
千晴が声を上げて応える。
「チーズ好きなんだからいいじゃないですか!
――ほんと、チーズって魔性の味ですよね。
なんでこう太る物って美味しいんでしょうか」
天流はダブルチーズバーガーを食べながら応える。
「美味しいものは食べ過ぎてしまう。
食べ過ぎるから体の毒になる。
簡単な理屈だね」
「ダブチ食べながら言われても説得力がないですよ!
なんで天流さんはそれで太らないんですか!」
天流がニコリと微笑んだ。
「特異体質かな?」
――狐の『あやかし』だからかー!
千晴が射殺すような眼差しで天流を睨み付けていると、横山が穏やかに告げる。
「広瀬さん、エクササイズでもしてみたら?
普段は早番なんだし、仕事が終わってから汗をかけばいいじゃない」
千晴が怯みながら横山に振り向いた。
「いえ、それは考えたんですが、服が……」
宮城が不敵な笑みで告げる。
「ああ、スポーツウェアがないって話か?
まぁ転職してから給料もらってないしな。
でも大して高いもんでもないだろ?」
「そうなんですか?」
天流が微笑みながら千晴に告げる。
「じゃあこのあと、一緒にスポーツ用品店に見に行こうか。
そこで一式買って、スポーツジムに行ってみよう。
駅前に評判がいいジムがあるよ」
千晴が財布の中身を思い出しながら応える。
「まぁ、お金が足りそうなら構いませんけど」
「大丈夫、足りないなら私が出してあげるよ」
「――悪いですよ! 結構です!」
宮城が千晴と天流を見比べて告げる。
「前から思ってたんだけど、チーフと広瀬っていつも一緒に行動してないか?」
千晴がきょとんとした顔で応える。
「あー、言われてみればそうですね」
「あんたら、付き合ってるのか?」
小首をかしげて千晴が応える。
「なんでそういう結論になるんですか?」
「だってチーフがこんなにつきっきりなるの、見たことないぞ?」
千晴が複雑な顔で眉をひそめた。
「それは事情があるというか、なんというか」
言いたいが口止めされている千晴は、言葉を濁していた。
天流がニコリと微笑んだ。
「今夜のビールの買い出しもある。
そろそろ行こうか。
それともワインとかも試してみるかい?」
千晴が天流を見て応える。
「ワインよりカクテル系を試してみたいですね。
甘いお酒って飲んだことなくて」
横山がぽつりと告げる。
「仕事のあと、一緒に飲んでるの?」
天流が嬉しそうに横山に応える。
「毎日、広瀬さんの部屋で飲んでるだけだよ」
磯貝がぼそりとつぶやく。
「宅飲みか」
宮城がうなずきながら告げる。
「これで付き合ってないとか、無理がないか?」
横山は楽しそうに微笑んでいた。
千晴が必死に声を上げる。
「違いますって! そういうのじゃなくて!」
天流が立ち上がり、千晴の手を取った。
「さぁ行くよ広瀬さん。
そろそろ日が暮れてしまう」
「ちょっと天流さん、そういう誤解される行動しないでください!」
「カクテルなら美味しいお店を知ってる。
ジムのあと、そこに行ってみないかい?」
千晴が目を輝かせて天流に応える。
「ほんとですか! 行きます行きます!」
足取り軽く天流と一緒に店を出ていく千晴を見て、宮城が告げる。
「……なーんであれで否定するのかねぇ」
横山が嬉しそうに微笑んだ。
「いいじゃない、初々しくて」
宮城たちは、笑顔で歩いて行く千晴たちを見送った。
0
あなたにおすすめの小説
後宮一の美姫と呼ばれても、わたくしの想い人は皇帝陛下じゃない
ちゃっぷ
キャラ文芸
とある役人の娘は、大変見目麗しかった。
けれど美しい娘は自分の見た目が嫌で、見た目を褒めそやす人たちは嫌いだった。
そんな彼女が好きになったのは、彼女の容姿について何も言わない人。
密かに想いを寄せ続けていたけれど、想い人に好きと伝えることができず、その内にその人は宦官となって後宮に行ってしまった。
想いを告げられなかった美しい娘は、せめてその人のそばにいたいと、皇帝の妃となって後宮に入ることを決意する。
「そなたは後宮一の美姫だな」
後宮に入ると、皇帝にそう言われた。
皇帝という人物も、結局は見た目か……どんなに見た目を褒められようとも、わたくしの想い人は皇帝陛下じゃない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる