mistress

桜 詩

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終章

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そんな中…
久しぶりに外へ誘われ、行き先を知らされないままに馬車に乗りこむと、ブレンダたちに連れていかれたのはこじんまりとした聖堂だった。
「さぁこっちよ」
ブレンダとイーディス、エドナが聖堂の中にある小部屋に連れていくと、室内にはトルソーに着せられて、白のドレスが用意されていた。
「どんなにささやかな式でも良いから、しておくべきよ…」
ブレンダが言い、
イーディスがドレスを着替えさせて、エドナも髪を整えて装いを整えてくれる。
「まさか…」
「その、まさかよ」
ブレンダが笑ってエレナの両頬を手で挟んだ。
「幸せになるんだって、今日、ここで誓うのよ」
「ああ、ほら泣かないの」
くすくすとエドナがハンカチでエレナの顔を拭いた。

エレナはこれまで、友人と呼べる女性はいなかった。ブレンダとイーディスとエドナがどうしてエレナを好いてくれたのか…。
彼女たちから示される友情にエレナは感動してしまった。

ライアンが密かに手配したというドレスは、柔らかな薄いシフォン生地を重ねて可憐なドレスだった。
ブーケの花は、ブレンダが選んだという、愛らしい白のジャスミン(※あなたについていきます)とブルースター(※幸福な愛)
「なんとなくぴったりかなと思ったの」
まさしく、エレナのライアンに対する気持ちと、願いにぴったりな花であったし、エレナの繊細な雰囲気にもよく似合っていた。

エレナの装いを新たにして、部屋を出るとそこにはグレーのフロックコートのライアンが待っていた。
父のいないエレナは、そのままライアンの肘に手をかけてヴァージンロードを進む。エレナとライアンは互いに、2度目の婚礼の儀式だが、その気持ちは全くの別なもの。
これから、共に生きていく、そんな気持ちを抱きながらゆっくりと進んだ。
祭壇の前にたち、厳粛な面持ちで儀式を進める司祭につづいて誓いの言葉をつづける。
「誓います」
とライアンに続いてエレナは口にして、ライアンが微笑んでエレナにキスをする。
エレナもライアンに微笑みを返す。
ライアンが準備していた結婚指輪を緊張しつつ嵌めあうと、ようやくエレナは実感がわいていた。
プラチナに、ダイヤモンドの石がはめ込まれて光がさすとプリズムがキラキラと光った。

この結婚を祝福してくれる人は少ないけれど、むしろ眉をひそめる人が多いくらいかも知れないけれど、エレナは今ほど幸福を感じたことはないと思った。

式を終えると
「ブレンダ、イーディス、エドナ、ありがとう!本当に嬉しい」
と抱き締めた。
「忘れないで、私たちはいつだって貴女の味方でいるわ」
ブレンダの言葉にイーディスとエドナもうなずいて同意する。
「やだ、そんな事言われたら泣いてしまうわ…!」
「はいはい、泣くならあっちでね」
エドナがエレナをライアンの方へ押した。

ライアンがしっかりとエレナを抱き止めて、微笑んで3人にお辞儀をした。胸に飛び込んできたエレナの手を取ると、見惚れるような仕草でエスコートをして、エレナを馬車に乗せる。
そして、馬車は今や自宅となったブルーウィングホールへと向かう。

馬車の扉が閉まると、式の余韻の残る二人は、手を握りあいゆっくりとキスを交わした。
「ありがとうライアン。とても嬉しい…」
「私もとても喜んでいるよエレナ」
そしてそのまま。邸に着くまで、口づけを交わし続けたのだった。


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