睡恋―sui ren―

桜 詩

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15, 戸惑い (Joel) ☽

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 フィリスが、ウィンスレットにやって来た日、彼女はまだ少女みたいにふっくらとした頬とそれからふんわりとした手をしていた。

彼の腕で泣いたときも、小柄ながらも柔らかい………太っている訳じゃなかったが、ちょうど女性らしい可愛らしさがあった。

 そして、久しぶりに会った時、顔は小さくなり肩は細く腕はあっさり折れそうに見えた。

アデラやルナは、少し痩せたように見えた位だった様だが、ジョエルには彼女がとても痩せてるとわかった。
なぜなら、それはジョエルほどみんな間近で見ていないからだ。

離婚を何でもない風に装うフィリスは、その内心は深く傷ついている。普段なら、ジョエルも気にも留めなかっただろうが、奇遇にも自分もまた、恋した相手の結婚を知ったばかりだった。
だからだろう、なぜか他人事のように思えなかった。

 しかし、今の自分の立場と彼女の立場を考えれば、何にもなれない自分を相手に、ある意味深い関係になった事は、傷ついた彼女をより追い詰めている一人かも知れない、と思えた。

しかしまるで、時をかけてゆっくりと死のうとでも言うようなフィリスを放っておくことなんて出来なかった。

この感情はなんだろう。
分からない、ただ、例えるならフィリスのいうように何もない。名前を知らない、そんなものだった。


*** 


 欲望を解き放ち、彼女の肌を汚す。
細い体が、まるで断末魔のようにがくがくと震え、官能に潤んだ瞳が閉ざされガクリと力なくシーツに横たわった。
ジョエルもまた、くぐもった息を吐き、彼女の横に体を横たえた。

 しばらくの時を経て、自分の呼吸が落ち着くと、フィリスの様子が気になる。

 閉ざされた瞳の睫毛の影の落ちる頬に触れ、ふっくらとした唇は薄く開いて呼吸をしていた。

「フィリス」

う、んと軽く声をあげて、フィリスは横向きに体勢を変えた。
ジョエルの胸とフィリスの背中が触れ合い、半身を起こして様子を見る。
細いウエストのそれに対比して、女性らしい豊かな乳房がふんわりといかにも柔らかそうに二つある。
その乳房に薔薇色の先端の先にツンと小さく勃っている。その乳首をピンっと弾くと甘い吐息を吐いて紫色の瞳を薄く開いた。
「や………」
甘いその声に、たちまち余韻の残る欲望が再び熱を持つ。

 手に収まりきらない膨らみをやんわり揉みながら、指先で乳首をきつくつねるととフィリスの唇からは切ない声がこぼれ、体が揺れる。
「………んっ……」

下へ手を伸ばし、繁みの奥へ指を入れれば潤みきって柔らかくほぐれたあわいが、まるで指に吸い付くみたいに歓迎する。

花弁を開き、奥を探ると胸と同じく小さくぷっくりとした花芯に触れる。ぬるぬるとした愛液をそれにまぶすように転がすと、フィリスの息は荒く次第に切なくなっていく。
声と指の感触で一度は満足したはずの欲望が、勢いよく力を取り戻していく。

ちょうど丸いヒップのすべすべとした割れ目にぴったりとあたるそこが、再び彼女の中へ入りたいと、そして、欲望を放ちたいと叫ぶ。

 セックスを覚えたての若造は、狂ったように求める、と聞いた事があるが、まさか自分がそうなるとは思ってもいなかった。
自制心は強い方だし、これまでもそうだった。
しかし、フィリスとベッドにいる間じゅう猛ぶるなんて、誰が想像した?
しかも……かなり好きな方なのかと思うほど、一度欲望を解き放てば、何度も高ぶり、そして休みなく求めてしまう。

 ジョエルがフィリスをなぶるその動きに、喘いで腰が揺れる、その度にヒップに擦られ、その蜜で濡れて、ぬるついた感触は彼女の中と少しだけ似ている。
太股の隙間にするりと入ってしまうと、その感触はより近くなり、どんどん溢れる愛液がジョエルを濡らし滑る速さが加速していく。

「っあ、っあ、っあ……」

フィリスの唇から喘ぎが大きくなり、ジョエルは膝を腕に抱え上げてそのまま中へ埋めた。
「は………ぁ…んっ……」

濡れていたが、一度達したその中はきつくジョエルを締め付ける。浅いところを先端で擦るとフィリスの喘ぎはさらに高まり、次第に奥へと貪欲に呑み込まれて行く。
乳首と花芯とそれから中を同時に攻めているからか、蠢く蜜壺がビクビクと震え、そしてあっという間に絶頂が近づくのがわかる。

「………んっ………………や………そこっ………」
ビクンと震えると、フィリスのそこから愛液が溢れてぐちゅぐちゅと激しい音と共に、ジョエルの太股もぬるりと濡れていく。

「…………っやぁ―――――」
はあはあと、呼吸の荒いフィリスに、ジョエルは尚も穿ち続け、言葉もないその唇を奪い支配し続けた。

片足を担ぎ上げ、深く挿入しそして、強く乳房を揺さぶる。
荒々しいジョエルの行為にフィリスは、何度も痙攣させて官能の極みに上りつめている。

「あ…………っや…………っあっあっああ――――――――っ……………」

白い喉元を反らし、フィリスは枕をきつく掴んだ。

その瞬間に、持っていかれそうな自分を必死に宥めジョエルは一度深く息を吐いた。一度剛直を引き抜いたジョエルに、

「………あぁ………ん」
フィリスの不満げな鼻にかかった声がする。
ヒップを突き出させると素直に膝立ちになり、充血して花開いた濃いピンク色の花弁と、そしてその上にある後孔のすぼまりまでが顕になりさっきまでジョエルを受け入れていた蜜口がひくひくと急かしている。
「……っ…んぅ……」

思わずその淫らな光景に視線をやった時間が長かったのか、腰を揺らし切ない声をもらす。

両手でヒップを割り開いて殊更ゆっくりと進む。
この体勢だと、フィリスの反応は他の体位よりもかなり悦いらしく、挿入いれるだけで達してしまう。荒い息で、声を抑える為に顔をシーツに押し付けて軽く震えている。
吐息が、唇から掠れて色っぽく耳に到達する。

一度ギリギリまで引抜き、肌を打つ音がなるほど勢いよく穿つ。
「…ああっ………!」
ビクンと跳ね、そして再び愛液が結合部から滴る。
ぐちゅっぐちゅっ、と音を立てジョエルの腰もフィリスの腰も、激しくぶつかり合って動き白いヒップがピンク色に染まる。
「………っやぁ…………っあっ……………あ――……………っ!」
拳を唇に押し付けて、フィリスはがくがくと震わせ膝から力が抜ける。
ジョエルはその双丘に白濁を解き放った。

息を荒くするフィリスを抱きしめ、ジョエルは官能の余韻をキスをして楽しんだ。

金の髪をゆっくりと整えるように手ですいてキスを繰り返した。ぼんやりと目を向けたフィリスはもっと、とキスをせがんで舌を絡ませあった。唇も、舌も唾液も何もかもが甘く感じる。

「……ん………」
唇を、ちゅっと余韻の音をたてて離すと、光る糸で繋がる。

「フィリス、お腹は空いた?」
ジョエルのお腹は空腹を訴えていた。フィリスはどうだろう?
と顔を見ると、気を使ってか本当にかは判別はつかないが、軽く首肯く。

「じゃあ朝は、しっかり食べられるな?」
「………多分……」

「多分じゃダメだ。パンも卵も食べろ」
「わかったわ………でも、太ったらジョエルのせいよ」

「もう少しくらい太ったって、全然。かまわない」
腕に抱いているうちに、フィリスの目が瞼に覆われる。

温かい………。
人の体は温かくて、それだけの事がどうしてか心をも温かくさせる。


****


 どうやら、しくじった。

そう思ったのは、物音で目覚めたからだ。
抱き合いながら、余韻を楽しむうちに、また昂りそしてまた交わり、そしてその最後はついそのまま限界を迎え眠ってしまったらしい。

 早朝に掃除に来たメイドが、ベッドの周りに散らばる男物の服に気がつき動転したらしい。それで、バケツを落としたようだ。
腕の中のフィリスもどうやら、驚いて起きたらしい。

天蓋のカーテンは閉めておらず、体を起こしたジョエルとメイドはバッチリと目があった。名前は知らないが顔は知っている。下級メイドの一人だ。かろうじて上掛けはしてあったが、情事の跡の乱れたシーツとそれから二人して裸であり、そして抱き合ってベッドにいてこの状況で弁明のしようなどない。

「名前は?」

「ウェンディです」
「ここで見たことは一切漏らすな、階下の他の誰にも。仕事を失いたくなければ」

いくら階下しか許されないとはいえ、ジョエルの顔くらいは知っているだろう。

「分かりました、他に何かご用はございますか?」
「いや、いい。それより向こうの部屋から掃除を始めてくれ。暖炉は後だ」

ウェンディは、バケツをもって続き部屋に行った。

「大丈夫なの?」
「俺はね」
フィリスは手早く側に用意されていたネグリジェをかぶり、ジョエルは散らばった服をざっと身に付けた。そして隣室のウェンディに声をかけた。

「ウェンディ、これからは毎朝この部屋には、君が一番にくるんだ。意味は分かるな?」
「はい、わかります」

やり取りを聞いていたフィリスは、心細そうな顔を向けてきた。
「まだ朝は早い。ゆっくりベッドに入って……例え眠れなくても」
「ええ…………」

素早くキスをすると、ジョエルはウェンディの姿が隠れている隙に隠し扉を開けて、通路へと入った。
不安げなフィリスを一人置いていくのは忍びないが、それでもこのまま他のメイドたちに見つかるよりは良いだろうと判断した。

自室の、残りわずかな時間をそこで過ごすために、冷えたベッドに潜り込むとすでに外は白々と明るくなってきていた。
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