睡恋―sui ren―

桜 詩

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22,微睡み ☽

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 結局、体調を心配されフィリスはその日一日ゆっくりとすることになってしまった。

なんとなく眩暈がしてきた気がする、という程度のほとんど仮病だったというのに、やはり慣れない王都での生活で、知らず知らずの内に無理をしていたのか、うとうと寝ては起きて、寝ては起きてと夜までそうして過ごしてしまった。

夕方にはバスルームを使い、好きな金木犀ベースのエッセンスオイルを使いいい香りを纏った所で気分がずいぶんとすっきりとした。

 慌ただしく過ぎていく日々で、買ったまま読めていなかった小説を読んでいると、さんざん眠ったはずなのに時々かくん、と首が落ちてしまいまた、欠伸をして続きを読む。

そんな意識があるか無いかの狭間で微睡んでいるタイミングで、隠し扉が開いたのが分かった。
眠ったふりをしたつもりはないけれど、意識は起きてきているのに、目は開いてくれない。
キシ、とベッドが軋み少しだけ体が傾ぐ。影が差した感じとそれから………近頃すっかり馴染みとなったフローラルムスクの男性的な香りが鼻腔を擽る。

そっと手のひらから小説が抜かれ、ベッドサイドのテーブルに軽く音を立てて置かれた気配がした。
軽く髪を撫でられて、またベッドが軋み、体の傾ぎがなくなり気配が薄れて行く。

「……まって……」
口がようやく動いて、そう言葉を発していた。

「起こしてしまったか」
薄目を開けるも、まだ視界は戻らない。それでもその声は誰のものか、フィリスにははっきりと分かる。
「いいえ、うとうとしてしまっていただけなの」
フィリスは、体を起こし彼を見た。

今、まさに帰ってきた風の彼は夜の正装のテールコート姿。手にはコートを掛けまるで絵画のよう。

側の椅子にコートと上着を掛け、ジョエルはベッドの上に座った。
「具合は?」

「ずいぶんと寝すぎてしまった気分。仮病みたいなものだわ」
フィリスがそう言うと、ジョエルは軽く笑った。

「ねぇ……今日の朝食。全部食べたの」

「そうか、凄いな」
「そうでしょう?」
フィリスはクスクスと笑った。

ありがとう、なんて何となく言いづらい。

ジョエルはタイを外して、ベストを脱ぐと靴を床へ放り
「疲れた、少しだけここで寝ていく」
「隣に入って」

同じ一枚の上掛けの中に、二人寄り添って向かい合った。
ジョエルの体は外気に冷えていて、フィリスの体をひんやりとさせた。

「ジョエル」
「今日は……このまま寝よう、毎晩二人とも………」
とそこでおかしそうに笑う。
「俺も少し寝不足だ」
彼はそう言って軽くキスをすると、おやすみと声をかけた。

「おやすみなさい」
フィリスもそう返して、互いの体温で温まるベッドに再び瞼が重くなる。


**** 


 フィリスは、自分が今淫らな夢を見ているような気分で、目を覚ますと、体に回された腕に気づく。
眠っている内に、回された腕が乳房に触れてしまっていて、彼の愛撫に慣れた体がどうやら反応してしまった。触れられてもいないのに先端がツンと立ち上がってしまっていた。

寝起きで、思わず甘い吐息が出てしまってフィリスは慌てて口を閉じた。一度反応してしまうと、背中にジョエルの気配があるために、あちこちに飛び火するみたいに熱が高まってしまった。

身動ぎしたヒップに硬いものが触れた。
(これって………)

そっと手を後ろに回すと、引き締まった太股に触れてそこの場所との関係を考えると……。それは正しく彼の男の証があるはずだった。
そのままどうしようかと身動ぎをしていると、ヒップでその感触を確かめてしまう事になってしまった。
「こら」
くるん、と体が上向きにされて上からジョエルが覗きこんでいる。
「せっかく今日は我慢していたのに、誘って来られたら………無理だろ」
「誘ったなんて」
見上げた彼の顔はけだるげで淫らな気配がする。
「……勃ってる、ここ」
ジョエルが顔を鎖骨の下に寄せて、自然な手つきでネグリジェが捲り上げられ晒された。さらりと乱れた前髪が肌に触れ、薔薇色の先端が更に固くなりそこを彼の歯が甘く噛んだ。

「……っん」
舌で転がされ、そしてきつく吸われる。
吸われている右と反対の左は、指で転がされ、時々きつく摘ままれあっという間に閉じた太股の間が湿り気を帯びていく。
「……………あ…、……んっ……」

「エロい声」
フィリスの手はジョエルに導かれて、彼のものに触れさせられた。それはもう、熱く猛々しく硬くなり、力がみなぎっていた。

「昨日はしないと決めてきたけど、今朝は駄目だな」
思わず色気の塊みたいなその顔に、フィリスはこくんと唾を飲み込んだ。

「わたしも……」
恥ずかしく思いながら、左手で顔を隠し膝を立てて開いた。
「もう……」

「朝から煽ってどうする。夜明けは間近なのに」
キスを受けながら、フィリスは彼の屹立に濡れた花弁を擦り付けた。擦れるそこから、くちゅっくちゅっと音がなり、恥ずかしさと淫らさですぐに達してしまいそうだった。

「すごく濡れてるから、すぐに挿入はいりそう」
その言葉の通り、ずぷりと浅い所まで埋められた。
「あ、………」
きゅうっとその瞬間彼を締めつけフィリスは、恍惚の表情で見つめた。
「そんな顔して、そんなに俺の……気持ちいい?」
「ええ…………そう、気持ちいい、の」
フィリスは答えて、ぎゅうっと背に手と脚を回し体を絡み付けた。

「こんなにあっさり飲み込んで、俺を覚えたみたいだな」
腰を揺らし、ジョエルは蜜壺をかき混ぜるように動かした。
「………っん……覚えたわ、ねぇ………だから」
フィリスがそう言うと、ジョエルは軽く微笑んだ。

「ああ…………そうみたいだ。熱くて絡み付いて締めつけてくる」

起き抜けのせいか、なぜかいつもよりも声が艶っぽくて………ぞくぞくしてしまう。当然体も反応してしまうわけで……。
なんてことないはずの動きさえ震えるほど感じてしまって、ジョエルもまた息を乱し、声が……出ていて………。

耳を寄せたくてフィリスは彼の首に手を回して膝の上に座るようにして腰を揺らめかせた。
耳を刺激する呼吸とかすかな彼の感じてる声が。

―――もう………ダメ。

「………あ……もぅ……」
「……く…っ」
掠れた刹那的な声がして、ジョエルが蜜壺から出ていき、フィリスのお腹へと情熱を放った。

体重をかけたキスをされながら、彼の熱く早い呼吸を唇に浴びた。キスをしながら、ジョエルは手を伸ばしひくつく蜜壺を愛撫する。

「………っ……ね……ジョエル。もう……朝」

「分かってる………」
「んっ………ねぇ……っ」

フィリスの太股の間に顔を寄せて舌と指でフィリスを立て続けに一度どころか何度か……達するまで愛撫を続ける。
確かに、いつもよりも短い交合だったけれど、もしかしてそれを気にしてる?
だとしたら、なんだか年相応な彼を見た気がして、そんな恥ずかしくも、熱くされられた気持ちのままに、脚の間の褐色の髪を撫でてしまう。
「フィリス」
色艶のにじむ声で名前を呼ばれて、深いキスをされると眠らせないといけない心が、なんだか疼いて仕方ない。
こんな風に、呼ばれると名前が特別な響きに思える。

―――今あなたが呼ぶのは、わたしの名前。ただそれだけ

結局、ジョエルが急いで服を身に付けてから姿を消すのと、メイドがやって来るのが間一髪の差となってしまった。

だから………。
フィリスは気づいていなかった。
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