神官にはなりたくないので幼馴染の公爵様と下剋上します

だるま

文字の大きさ
5 / 11
一章

5

しおりを挟む
 

  神官長がここを出て、どのくらい経った?

  3日…?いや、まだ1日か?それにしても、なんで誰も来ないんだ。

 元々ろくに飯など食べれていやしないが、このままでは餓死してしまう。喉もカラカラだ。
 神官長は、あれから一度も部屋に訪れていない。

 なぜ来ない。まさか…いや、これしか考えられない。この仕打ちは、確実に俺への"断罪"だ。なんか…年々趣味が悪くなってきてないか?最近は俺を断罪する時あいつずっとアソコが…いや、やめよう…

 ここから抜け出してみせると覚悟を固めたものの、体を拘束されたままでは何もできない。ユリウスは己の情けなさを嘆いた。

 どうせ、俺1人じゃ何もできない、出来損ないだ。


 ドンッッ!!!


 急に音がして、ユリウスは驚いた。音がした方向から推測するに、どうやら扉が開いたらしい。
 ようやくここから出してくれるのか。と一安心した、その矢先だった。

 ものすごく強い力で腕を掴まれ、そのまま乱暴に仰向けにされる。見ると、神官長が何故か目を血走らせてこちらを睨んでいた。呼吸も浅く、酷く動揺しているようだ。こめかみからは汗が滲んでいる。

 どうしたんだ?俺は何もしてないよな?ずっと閉じ込められていたんだから。まあ、理屈が通用するような奴だったら俺はこんなになってないか。

 ー嫌な予感がする

 流石に何日も飯と水を抜かれている状態で鞭を打たれてしまってはひとたまりもない。それに今日は、いつも汚いからと言って一度もユリウスに直接触れてこなかったあの神官長が、素手でユリウスの腕を鷲掴みにしている。これはまずい。

 絶対に何かとんでもないことが起きる。と、ユリウスが悟るには、少し遅かった。


 ゴッッ


 鈍い音がなった。神官長が、遂にユリウスの顔を殴ったのだ。6年間、神官長が汚さなかった数少ない場所。初めて受ける衝撃に、ユリウスは脳が揺れるのを感じた。


「お前のせいだ…お前のせいだ!!!これはお前が引き起こした不幸だ!!!断罪だ!!いいか!?、お前は私のやることに不満を覚えてはならないし、疑問を持つことも許されはしない!!!」


 何が起こっているんだ。俺の知らないところで一体何があれば、このイカれ野郎がこんな化け物になるんだよ。とにかく今日はまずい。どんな間違いも許されない。間違えたら、俺は死んでもおかしくない。


「いいか…?お前は私の物だ。所有物だ。奴隷だ!!主人である私に逆らおうなどと思うなよ。逆らった瞬間、お前を殺してやる。」


 ユリウスは頷いた。とりあえずこの場を乗り切ることだけを考えたが、頭を殴られたせいか、思考がうまくまとまらない。

 神官長は、今度はユリウスの腹を殴ってきた。吐き気を催したが、逆流してくる胃液を必死に飲み込んだ。暗くてよくわからなかったが、涙目になったユリウスを見て、神官長はニヤリと笑ったように見えた。

 なんだ…なんなんだよこいつ…!


 ー怖い


 ユリウスの胸が恐怖で染まり始めた。ここから先には、確実に地獄が待っている。


「フフフ…ハハ…フハハハハハ!!!そうだ、私はお前のその顔が見たかったのだ!私の許しが欲しいか?欲しいよなあ!?なら、お前のすべき事はなんだ?」


そんなこと、俺にわかるわけないだろ!!!

 ユリウスの困惑した表情をみた神官長は、そのニヤけた表情は崩さず、あろうことかズボンを下ろして高々と持ち上がった男のそれを、ユリウスの前に突き出してきた。そして


「考えろ。」


 とだけ吐き捨てて、神官長は黙り込んでしまった。
ユリウスは、あまりの衝撃に思考を放棄しそうになっていた。

 まじかよ…。じゃあ最近俺を断罪する時こいつの股間が張ってたのは、やっぱりそういうことだったわけだ。信じられねえ…。

 ユリウスは心から神官長を拒絶したかったが、今日の神官長は逆らえる気迫ではない。
 ユリウスは空腹と頭痛と眩暈でおかしくなりそうだった。こんなところで、死にたくない。

 汚ねえけど、これで生き延びられるなら…。

 覚悟を決めたユリウスは、聳え立った神官長のそれにしゃぶりついた。不味くて臭いが、殴られるよりマシだ。懸命に舌を這わせ、射精を催促する。


「ふっ、お前も少しは頭が回るようになったか。だが、不合格だ!!」

「…!?」


 神官長はユリウスの髪を掴むと、ユリウスの喉に自分の性器を更に奥に潜り込ませた。
 また吐き気を催したユリウスだったが、吐いてはいけない。

 このイカれ親父が!!まずい、臭い、早く終わっちまえ!!


「~~~っ!!」


 程なくして、神官長はユリウスの口の中で果てた。


「飲み込め。一滴たりとも溢すなよ。」


 ユリウスが神官長の精液を飲み込んだのを確認すると、神官長はユリウスの拘束を解いた。神官長はいつもの調子に戻ったようだった。


「今から使いの神官を来させる。身支度を整えて食事を取ったら、21時までに執務室に来なさい。お客様がお待ちだ。お前達!今日はユリウスに治癒をかけなさい。」


 そう言い残して、神官長は部屋を後にした。すると部屋の外で待機してたであろう神官が2人部屋に入ってきて、ユリウスを持ち上げた。どこに連れて行かれるのか見当もつかなかったが、ユリウスが連れて行かれた先は教会の大浴場だった。

 なるほど、"お客様"がいるって話だったな。またどっかのお偉いさんが怪我でもしたんだな。


「体は隅々まで洗え。垢の一つも残すなよ。」


 この状態で風呂に入るのか…。結構痛いんだけど。

 ユリウスが神官をジトっと見つめると、片方がため息を吐いてユリウスに治癒をかけてくれた。

 脱衣所で服を脱いだ後、ユリウスは慎重に湯に浸かった。温かい湯に浸かると、それだけで満たされた気持ちになる。ここ半年は冷たくなった残り湯にしか入れてもらえていなかったので、温かい湯は久しぶりだった。

 俺は、生き延びたんだ…!

 ユリウスは心から自分の生に安堵し、同時に不安を募らせた。しかし、身体に残った6年分の傷跡まで綺麗に完治出来るとは、あの神官の腕も中々のものだ。

神官に感心すると同時に、ユリウスは神官長が言っていた事を思い出した。

 "お客様"

 神官長は、お客様と言っていた。だが思い返してみれば、神官長は客の事をお客様などと呼んだことはない。いつもなら、患者の名前を直接伝えてくるはずだ。

 どうして濁す必要があるのだろうか。神官長が患者の事を恭しく呼ぶ程なのだから、俺には想像もつかない程のお偉いさんなのかもしれない。

 とにかく、考えれば考えるほど気味が悪かった。
 …あんなことをされた理由も気になる。神官長は、明らかに平静を保てていなかった。


 ー『お前のせいだ…お前のせいだ!!!これはお前が引き起こした不幸だ!!!断罪だ!!』ー


 ー"俺が引き起こした"?俺が何をしたっていうんだよ。

 何日も閉じ込めておいて…

ユリウスの不安は募っていくばかりだった。




 ーーーーーー




 ユリウスは風呂から出た後、食事を済ませて正装に着替えた。何日かぶりの食事が味のしないスープと固いパンのみだったのは割と応えたが、これでもまだ豪華な方だ。わがままを言ってはいけない。

 あと5分で、約束の21時だ。ユリウスは早足で執務室に向かった。重厚感のある大きな木製扉の前に立つと、ユリウスは3回、2回、5回と分けてノックをした。これが、ユリウスが来た合図だ。


「入れ」


 神官長の声が聞こえると、ユリウスはゆっくりとドアを開けた。お客様とは…一体、誰が待ち受けているのだろう。ユリウスの予想は、当たっていた。

 顔を上げてまず見えたのは、客用のソファに腰掛けた、ウォルター・レオンハルトの笑顔だった。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...