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学園にて
自習とあれこれ
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一方でこの一週間は、残った者同士のフィーユとずっと連んでいた。
前からお願いしてたフィーユのお友達のコーニー・チージー嬢とも、交流させてもらった。
放課後だけじゃなく、授業の合間の休み時間も、三人で丸々共有した。
なにせわたしの方は、毎日莫大な量の自習課題が課されるけど、一日の頭にまとめて全部渡されてるのだ。書類仕事を片付ける要領でちゃっちゃとやってしまえば、昼前には暇になってしまう。
(王妃候補の仕事量だとこうはいかないけど)
一地方貴族の子女としてなら十分じゃないかな?
でも毎日時間まで教室に独りでいると、どうしたって人恋しくなってしまうんだよね。
暇にまかせて、今後の学園のスケジュールと傾向と対策をまとめてみる。わたしが教えられるのと、手に余る分を代わりに教えてくれる人の候補を、リストアップ。
そうして放課後に、フィーユにつきっきりで考えてきた攻略法の伝授をした。
そうだ丁度いいや、将来的に王太子を落とした後の教育を今のうちにしておこう。
王太子妃としての作法を、いくつか覚えさせる。
普通の貴族から一個上のマナーだから、特に成り上がりの男爵令嬢では触れられないような知識だ。そのへんのマナー講師だって、対応範囲外だろう。
お金積んだとしても学べない。
それだけに、今後のためにも必要になるはずだ。
フィーユはフィーユで、飽きもせず、わたしの指導をニッコニコの上機嫌で受けてる。
学ぶ事がそんなに楽しいのか、わたしの持ってる知識をどんどん授けてもお腹いっぱいにならずに、むしろ食い気味の興味津々で話を聞いてくれる。
時には鋭い質問もあって、貪欲なまでの向上心だ。
「サリーを独占できて嬉しい」
なんて人誑しな事まで言って、ニカッと笑った。
あぁ可愛い。それにとっても健気で優秀だから、もし彼女が男の子だったら完全に伯爵領に連れて帰ってたわ(笑)
対して、コーニー嬢。
(どこか引っかかる顔してるんだよなぁ……)
年相応に可愛らしくはある。だのに何か気になってしまう。
それも、あまり良くない印象で。
(チージー家……)
ピンとこない。
わたし自身の貴族的傲慢さで、平民への嫌悪が無意識に出ちゃってるのかな?フィーユのお友達相手にとんでもない話だ。自省しないと。
最初、そのコーニー嬢をフィーユの居残り授業に付き合わすのは流石に悪いと思って遠慮してたものの彼女自身フィーユが方針転換してから親しくなったというだけあって、自己研鑽のお手伝いを嫌がりもせずにしてくれた。
お勉強中にフィーユの焼き菓子が差し入れられるから、それ目当てでついて来てくれてる節はあるけど。
「ラフネス様は、これらの知識はどこで学ばれたのですか?」
お茶休憩兼マナー講座をやってる時に、ふと気になったからとコーニーから尋ねてきた。内部生でもないのに、王都のマナーに詳しいのが不思議だと言う。
「ん?ウチは言ってもそれなりの家だからね。幼少期から淑女教育で叩き込まれたのよ」
口の中の焼き菓子をレモンティーで飲み込み、答える。
フィーユが、「あの御方のご指導なのね!」と目を輝かせてたけど、違うから。
「今でこそ僻地に追いやられた田舎貴族でもね、お爺様の代までは一応、王都に屋敷だってあったのよ?」
「あぁ、だからサリーって、内部棟とかの事も詳しいんだね」
フィーユが感心したように手を打った。
「同じ外部生なのに、王都民より王都のしきたりとかに詳しいから凄いな、と思ってたんだ」
こんな風にサリーの事がいっぱい知れて嬉しいよ、なんて言って、ニコニコしてる。
「え?あぁ、そう…かな?」
わたしの方は、ちょっとだけギクリとした。後ろめたい事なんて何もないのに、つい、あっちとの関わりをチラつかせられて不安になる。
(双子の話を聞いちゃったから、知らない間に気になっちゃってるのかも)
口は災いの元、君子危うきに近寄らず、だ。用心用心。
前からお願いしてたフィーユのお友達のコーニー・チージー嬢とも、交流させてもらった。
放課後だけじゃなく、授業の合間の休み時間も、三人で丸々共有した。
なにせわたしの方は、毎日莫大な量の自習課題が課されるけど、一日の頭にまとめて全部渡されてるのだ。書類仕事を片付ける要領でちゃっちゃとやってしまえば、昼前には暇になってしまう。
(王妃候補の仕事量だとこうはいかないけど)
一地方貴族の子女としてなら十分じゃないかな?
でも毎日時間まで教室に独りでいると、どうしたって人恋しくなってしまうんだよね。
暇にまかせて、今後の学園のスケジュールと傾向と対策をまとめてみる。わたしが教えられるのと、手に余る分を代わりに教えてくれる人の候補を、リストアップ。
そうして放課後に、フィーユにつきっきりで考えてきた攻略法の伝授をした。
そうだ丁度いいや、将来的に王太子を落とした後の教育を今のうちにしておこう。
王太子妃としての作法を、いくつか覚えさせる。
普通の貴族から一個上のマナーだから、特に成り上がりの男爵令嬢では触れられないような知識だ。そのへんのマナー講師だって、対応範囲外だろう。
お金積んだとしても学べない。
それだけに、今後のためにも必要になるはずだ。
フィーユはフィーユで、飽きもせず、わたしの指導をニッコニコの上機嫌で受けてる。
学ぶ事がそんなに楽しいのか、わたしの持ってる知識をどんどん授けてもお腹いっぱいにならずに、むしろ食い気味の興味津々で話を聞いてくれる。
時には鋭い質問もあって、貪欲なまでの向上心だ。
「サリーを独占できて嬉しい」
なんて人誑しな事まで言って、ニカッと笑った。
あぁ可愛い。それにとっても健気で優秀だから、もし彼女が男の子だったら完全に伯爵領に連れて帰ってたわ(笑)
対して、コーニー嬢。
(どこか引っかかる顔してるんだよなぁ……)
年相応に可愛らしくはある。だのに何か気になってしまう。
それも、あまり良くない印象で。
(チージー家……)
ピンとこない。
わたし自身の貴族的傲慢さで、平民への嫌悪が無意識に出ちゃってるのかな?フィーユのお友達相手にとんでもない話だ。自省しないと。
最初、そのコーニー嬢をフィーユの居残り授業に付き合わすのは流石に悪いと思って遠慮してたものの彼女自身フィーユが方針転換してから親しくなったというだけあって、自己研鑽のお手伝いを嫌がりもせずにしてくれた。
お勉強中にフィーユの焼き菓子が差し入れられるから、それ目当てでついて来てくれてる節はあるけど。
「ラフネス様は、これらの知識はどこで学ばれたのですか?」
お茶休憩兼マナー講座をやってる時に、ふと気になったからとコーニーから尋ねてきた。内部生でもないのに、王都のマナーに詳しいのが不思議だと言う。
「ん?ウチは言ってもそれなりの家だからね。幼少期から淑女教育で叩き込まれたのよ」
口の中の焼き菓子をレモンティーで飲み込み、答える。
フィーユが、「あの御方のご指導なのね!」と目を輝かせてたけど、違うから。
「今でこそ僻地に追いやられた田舎貴族でもね、お爺様の代までは一応、王都に屋敷だってあったのよ?」
「あぁ、だからサリーって、内部棟とかの事も詳しいんだね」
フィーユが感心したように手を打った。
「同じ外部生なのに、王都民より王都のしきたりとかに詳しいから凄いな、と思ってたんだ」
こんな風にサリーの事がいっぱい知れて嬉しいよ、なんて言って、ニコニコしてる。
「え?あぁ、そう…かな?」
わたしの方は、ちょっとだけギクリとした。後ろめたい事なんて何もないのに、つい、あっちとの関わりをチラつかせられて不安になる。
(双子の話を聞いちゃったから、知らない間に気になっちゃってるのかも)
口は災いの元、君子危うきに近寄らず、だ。用心用心。
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