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学園にて
フェアネス侯爵家の双子
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そして迎えた体験学習の日。皆んなが「残念だね」と欠席のわたしに同情の言葉くれるけど、言葉とは裏腹に、楽しみでウキウキな表情があちこちで花咲いてる。
言うほど良いものだったっけ、王都幼学院?
特に懐かしいとか思い出とか無いから、そんな気に全然ならない。
まぁわたしの知る幼学院は、あくまでわたしが勝手に夢の中で見ただけの架空の建物だけど。
皆んなに心配させないようニッコニコ顔で手を振って見送り、わたしはひとり自習の形で学園に残った。
「どうせならお休みくれたらいいのにさ」
病欠なら寮でゴロゴロしてたらいいけど、理由が理由だけにそうもいかないらしい。もっと融通きかしてよ、ホント。
朝にちゃんと登校して放課後まで、与えられた課題を自習しとけとのお達しだ。
(スーフィフル・ホスタイル氏の嫌がらせらしいけど……)
課題用意する先生方にもいい迷惑だよね、申し訳ないわ…。
まぁこの期間は、同じく居残り組のフィーユに相手してもらおう。
わたしの欠席の枠は、王太子たちが埋める事なく、結局空けたままになった。
一年生はほぼ二年三年の補助か年少組との遊び相手だろから、外部生で初参加のあの子達でも問題ないでしょう。
と、案の定初日の初等部幼学院の可憐さ可愛さに大興奮の同じ寮生のクラスメイトたちが、戻るなりどれだけ素晴らしかったかわたしを囲んで口々に教えてくれた。
うんうん、分かった分かった。建物、オシャレだったんだね。可愛い子供達、いいよね。生意気な感じもむしろ可愛らしく感じるよね。
初日から飛ばしてるとバテちゃうから気をつけてね~。
なんてめんどくさくも微笑ましく思ってたのに、二日目は寮に帰ってきても誰も一切話題にしなくて、なんだかちょっとやさぐれたみたいになって妙に静かだ。
不思議なので、適当に同じ寮生のクラスメイトを一人捕まえて、訊ねてみる。すると、ちょっと嫌な顔しながら何があったか教えてくれた。
クラスの子たちが椅子の運び込みとかの雑用をしてたら、話題のフェアネス家の末っ子が揃って近づいてきたらしい。
噂通りの美貌にみんなが色めきたってドギマギしてたら、ズカズカと皆んなの輪の中に入ってくるなり、
「ラフネス家の縁者というのは、どいつだ?」
と男子の方が言い出したという。
件の『負け犬ラフネス』って奴を見てやろうとやってきた様子で、そのフェアネス侯爵令息の後ろにゾロゾロと、幼学院の子供達がニヤニヤ顔でつづいた。
「あの気持ち悪さは、ちょっとね……」
と、事情を教えてくれたその子も、顔をしかめてた。結局わたしはとんずらこいて逃げてたわけだけど、それを知って嘲笑して戻っていったそうな。
「フェアネス家って貴族の中の貴族って誰からも褒められてるけど、そこの子供があんなんだったなんて幻滅もいいとこだよ」
けしかけたのは学園の上級生たちっぽいけど、直接やってきたのはフェアネスの双子だ。
特にアンバーやエルサたちが、それで不快感に腹を立てて黙り込んでるらしい。
「ちょっと怖いくらいだったよ」とそのクラスメイトは、わたしに小声で囁いてくれた。
自分のために怒ってくれてるんだなと喜ばしい一方で、わたしは逃げて正解だったと冷や汗かいた。
わざわざ笑うためだけに会いに来られていたのなら、自分の事に気づかれていたかもしれない。
さすがに七年も離れてる。当時幼児だった双子はわたしの顔なんて忘れているだろうと思いながらも、用心に越したことは無いわ。
よし、この行事が終わるまで息を潜めておこう。クラスメイトの皆んなにも、絶対に暴走しないようにしてね、とお願いする。
言うほど良いものだったっけ、王都幼学院?
特に懐かしいとか思い出とか無いから、そんな気に全然ならない。
まぁわたしの知る幼学院は、あくまでわたしが勝手に夢の中で見ただけの架空の建物だけど。
皆んなに心配させないようニッコニコ顔で手を振って見送り、わたしはひとり自習の形で学園に残った。
「どうせならお休みくれたらいいのにさ」
病欠なら寮でゴロゴロしてたらいいけど、理由が理由だけにそうもいかないらしい。もっと融通きかしてよ、ホント。
朝にちゃんと登校して放課後まで、与えられた課題を自習しとけとのお達しだ。
(スーフィフル・ホスタイル氏の嫌がらせらしいけど……)
課題用意する先生方にもいい迷惑だよね、申し訳ないわ…。
まぁこの期間は、同じく居残り組のフィーユに相手してもらおう。
わたしの欠席の枠は、王太子たちが埋める事なく、結局空けたままになった。
一年生はほぼ二年三年の補助か年少組との遊び相手だろから、外部生で初参加のあの子達でも問題ないでしょう。
と、案の定初日の初等部幼学院の可憐さ可愛さに大興奮の同じ寮生のクラスメイトたちが、戻るなりどれだけ素晴らしかったかわたしを囲んで口々に教えてくれた。
うんうん、分かった分かった。建物、オシャレだったんだね。可愛い子供達、いいよね。生意気な感じもむしろ可愛らしく感じるよね。
初日から飛ばしてるとバテちゃうから気をつけてね~。
なんてめんどくさくも微笑ましく思ってたのに、二日目は寮に帰ってきても誰も一切話題にしなくて、なんだかちょっとやさぐれたみたいになって妙に静かだ。
不思議なので、適当に同じ寮生のクラスメイトを一人捕まえて、訊ねてみる。すると、ちょっと嫌な顔しながら何があったか教えてくれた。
クラスの子たちが椅子の運び込みとかの雑用をしてたら、話題のフェアネス家の末っ子が揃って近づいてきたらしい。
噂通りの美貌にみんなが色めきたってドギマギしてたら、ズカズカと皆んなの輪の中に入ってくるなり、
「ラフネス家の縁者というのは、どいつだ?」
と男子の方が言い出したという。
件の『負け犬ラフネス』って奴を見てやろうとやってきた様子で、そのフェアネス侯爵令息の後ろにゾロゾロと、幼学院の子供達がニヤニヤ顔でつづいた。
「あの気持ち悪さは、ちょっとね……」
と、事情を教えてくれたその子も、顔をしかめてた。結局わたしはとんずらこいて逃げてたわけだけど、それを知って嘲笑して戻っていったそうな。
「フェアネス家って貴族の中の貴族って誰からも褒められてるけど、そこの子供があんなんだったなんて幻滅もいいとこだよ」
けしかけたのは学園の上級生たちっぽいけど、直接やってきたのはフェアネスの双子だ。
特にアンバーやエルサたちが、それで不快感に腹を立てて黙り込んでるらしい。
「ちょっと怖いくらいだったよ」とそのクラスメイトは、わたしに小声で囁いてくれた。
自分のために怒ってくれてるんだなと喜ばしい一方で、わたしは逃げて正解だったと冷や汗かいた。
わざわざ笑うためだけに会いに来られていたのなら、自分の事に気づかれていたかもしれない。
さすがに七年も離れてる。当時幼児だった双子はわたしの顔なんて忘れているだろうと思いながらも、用心に越したことは無いわ。
よし、この行事が終わるまで息を潜めておこう。クラスメイトの皆んなにも、絶対に暴走しないようにしてね、とお願いする。
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