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学舎と姉妹と
23 姉妹、意外な人物と邂逅する
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迷宮潜行において、階層を跨ぐ前には必ず休憩を取り疲れを癒す必要がある。
それは迷宮に限ったことではなく概ね全てに通じることだが、ともかく。
当然、現在ナディとレオノールが潜行しているこの【爬虫巌穴】でも、同じであるのは変わらない。
特に五層以降はより過酷な環境となり、棲息する魔物もより凶悪に、より強大になる。ついでに文字通り巨大にもなる。
よって六層以降に潜行する冒険者の階級は限られており、最低でも【金級】程度の実力が必須だ。そして可能なら、六名以上が在籍している三パーティ以上のレイドが望ましい。
少人数での潜行となると、能力が別次元になる【真銀級】以上の実力がないと不可能である。
そんな過酷な環境である【爬虫巌穴】の六層に、面倒ごとはゴメンだと言わんばかりに休憩など一切取らずに逃げるように入った二人は、階層に通じる竪穴にほど近い場所にある、高さ十メートルくらいの大岩の上で周囲を見渡しながら休憩を取っていた。
例によって周囲に地雷原のような魔法を仕込んだうえに、【認識阻害】と【静寂】で姿を隠しているが。
「あーしんど。魔物相手がじゃなくて、主に冒険者たちの相手が」
「邪魔な魔物を一掃しただけなのにみんなで騒ぎ過ぎ」
大岩の上で身体を伸ばし、愚痴る姉妹である。
その邪魔な魔物を一掃しているのが原因であり、更に言うなら瞬殺なのが問題なのに気付いていない。
そもそも冒険者たちは概ね情に厚く、総じて脳筋であるため行動が衝動的で熱く、そして暑苦しい。
よって目の前で瞬殺劇を見せられれば、感極まって相手の状況など全無視でそんな行動に出るのは仕方のないことだ。
「まったく……なーんだってそんなに騒ぐのかな。相手の特性とかを観察すれば、どう倒せば良いのかなんて分かるじゃない。もっと考えればいいのに」
「竜種じゃない限りヘビもトカゲもカメも爬虫類。総じて寒さに弱い。あと魔法耐性が低ければ生物全てに落雷は有効」
「だよねー。そんなのフツーに生活してれば分かるよねー。ちょっとみんな、視野が狭過ぎない? 日常生活をより良くするために、普段から全てに疑問を持っていればなんてことはないじゃない」
言っていることは正しいのだろうが、この世界に住む多くの人々の発想ではない。余程の識者か学者か、もしくは変人ならば考えるかもしれないが。
世の一般的な人々があんまり考えないことを疑問視している自覚がないナディである。
そしてレオノールも、そんな姉の教育の賜物か悪影響か、それに賛同していたりする。
ツッコミ要員の不在は、時として勘違いのスパイラルを生む。
「さっきご飯食べたからお腹すいてないよね? とりあえず一休みしようか」
「賛成。さすがに疲れた」
【収納】からマットを取り出して敷き、二人で横になる。ほぼ同時にあくびをして、仲良く仮眠をとった。
――そして約一時間後。ナディは目を覚ました。
仮眠前と同様に大きなあくびをし、背伸びをしてから周囲を見回す。
地雷原のように設置した魔法に引っ掛かった魔物はいないようだ。もしかしたら、この階層は魔物の個体数がそれほど多くないのかもしれない。もしくは階層内で食物連鎖が完結しているか。
どちらにせよ、好都合ではある。休憩を取れると言う意味で。
「お姉ちゃんおはよう」
そんなことを考えていると、レオノールも目を覚ました。だがまだ眠気が残るのか、ちょっとフワフワしている。
それはそうだろう。強大な魔法を操り、その実力は既にナディ以上だったとしても、まだ十二歳である。この状況下で疲れないはずがない。
(一旦撤退するべきかなー。でもそうすると、きっとここには来ないよね)
レオノールの体調を鑑み、そう判断するべきか悩み始めるナディ。それを察したレオノールは、同じく背筋を伸ばしてから身支度を整え始めた。
「大丈夫。余裕で行ける」
言いつつ、サムズアップする。
「それに一度戻ったら絶対にここには二度と来ないと思う」
そしてそう続けた。考えていることが全く同じである。
「そう? レオが大丈夫ならこのまま行くけど」
念押しはしない。本当にダメだと判断した時は無理はしないのを分かっているから。
「じゃあ身体をほぐしてから行こうか。えーと、この階層はどんなのがいるのかなーっと」
立ち上がり、周囲を見回す。遠くに大きな口と細長い体躯、腕は小さいがその分足が発達した、長い尾の二足歩行なトカゲの一群が見える。
(ん~、なんだろあれ。恐竜っぽいけど、遠くて判断に困るなぁ)
背伸びをしながらそう考える。だがそうしていても埒が開かないのも事実。
「【魔法範囲極大化】【望遠視】【広角視】」
見えないのなら、見えるようにすればいいじゃないとばかりに、視力強化魔法で観察し始める。情報収集は大切なのだ。
(ん~……まんま恐竜っぽいなー。巨大化する爬虫類の進化って、結局はアレに行き着くのかな?)
視覚に捉えた魔物にそんな感想を漏らし、レオノールに説明する。そして出た結論は、結局はいつも通りにする、だった。
そんなわけで。
設置している地雷型の魔法を全て解除したナディは、全身に冷気を纏って氷結魔法を展開する。レオニールは雷を纏って雷撃魔法を展開した。
二人とも【条件発動化】と【遅延発動化】はもちろん、【持続発動化】まで展開しているのはいつものことだ。
そして再び、飛行しながら空爆のように狩り始める二人。サイズがデカくなっている魔物を相手に、真正面から馬鹿正直に対峙するほど、二人は愚かなではない。
それができる選択肢があるのが、二人の最大の強味でもある。
もっといえば、現在のナディの実力ならば物理攻撃でも全く問題はない。ただ【貪食曠野】に突貫したときよりも、明らかにモチベーションが上がらないからやらないだけだ。
食材、特にお肉が出ないから……。
「このでっかいトカゲからはお肉が出ても良いと思うんだけど」
「レオもそう思う。明らかに可食であろう部位があるのにお肉にならない。何度でも言うけど明らかにデザインミス」
誰に対しての文句なのかは謎だが、二人でそんなことを言っている。もしかしたら、ここにもダンジョン・マスターがいるのかもしれないという一縷の望みで、そんな文句を言っているのかもしれない。
そうして、落ちるのが例によって硬いがしなやかな皮革品だったり鋭利な牙や爪だったり、丈夫な骨格だったりするのを根こそぎ回収しながら奥へと進む。
出現する魔物は前述のとおりであり、だが体色や体型、サイズが若干違うのがポツポツと出現する。やはりその絶対数は少ないようだ。
この階層は棲息するそれらに比例して、広さも相当であるようで、遥か遠くで十メートルを超える魔物と派手なレイド戦を繰り広げている冒険者たちもいる。
(レイド戦かー、そういうのもあるんだよねー。私は一度たりとも経験したことないけど)
自慢ではないが、繰り返してきた人生でパーティを組んだりレイドを組んだりした経験が、ほぼ無いナディである。本当に自慢ではない。
そんな寂しいことを考え、しみじみと感傷に浸るナディであった。
(あ、でも最初のときに右も左も分からなかった私を拾ってくれた人たちがいたなぁ。ハーレムパーティだったけど。一年と経たずに別れたし、再会したときは戦場だったけどね)
拾われただけだから、アレはパーティとは言わないのだろう。またしても感傷に浸るナディであった。
そういう余計なことを考えつつ、だが出現する魔物を的確に殲滅する。何度も人生を繰り返していたためか、マルチタスクがわりと得意なナディであった。
一面に広がる草原に低木林が点在し、所々にシダ類らしき高木林が乱立している【爬虫巌穴】の六層。目標物が乏しいために、方向感覚を研ぎ澄まさなければ確実に迷う。
そんな【階層型】なのに【領域型】のような通称『巨竜爬虫類階層』を飛びながら、【地図巡行】を展開してシレッと一直線に下層へのセーフエリアへ向かう二人であった。
他の冒険者たちも、戦闘に集中しているために気付かない。それだけこの階層は過酷なのである。
ナディとレオノールが、世の人々がいうところの「一般的ではない」だけだ。
シュルヴェステルには、きっと「頭がおかしい」と言われるだろう。
そしてその後はナディと親子喧嘩のようになるのは容易に予測できる。
そんな世の常識から外れた二人は、セーフエリア前に到達した。そしてその前をウロウロしている、二十メートル弱はあろう金色な巨体の爬虫類を目にして互いに顔を見合わせる。
「でっかいね」
「うん。大きい」
「どうする? レオがやる?」
「ううん。実はちょっと疲れてて休みたい。お姉ちゃんお願い」
「おっけー。じゃあこいつを片付けたら、今度は誰に何を言われても無視して休もう」
「賛成。休養は大事」
ナディは地面に降り立ち、展開中の魔法を全て破棄する。レオノールは、邪魔にならないように空中に留まっていた。
【収納】から【凍花】と【灼花】を取り出し、左右に持つ。
「実はねぇ、ちょっと実験したい魔法があるんだなー」
「お姉ちゃん!」
呟き、自身の魔法を練り上げる。その過程が、アデライドの【固有魔法】の発動に似ていた。それを感じたレオノールは、珍しく声を荒げる。
「大丈夫だよー、レオ。これは【神装魔法】じゃないから。……そうね、あえて名付けるなら――」
ナディの全身が白金色に輝いた。
それは【理力】と【霊力】を同時発動させたことにより、生成された光色。
「【天装魔法】」
ナディの前世であるアデライドの【神装魔法】。本来であれば、魔力をベースにしてもう一つの同時発動が限界である【覚醒能力】を複数同時に発動させ高めることで、効果を発揮する常識外の『能力』。
発動に魔力が含まれるため【固有魔法】と呼んでいるが、厳密には魔法ではない。【特殊能力】と呼ぶのが適当だろう。
ナディの【覚醒能力】は四つ。
魔法や魔術を行使させる最も基本的な【魔力】。
身体能力を強力に強化させる【気力】。
全能力を均一に強化させる【理力】。
そして、自身の存在すら刹那の瞬間のみ非物質化させ透過し、また同様に破壊不能とする、この世界には存在しない【霊力】。
【神装魔法】はこれらを同時発動させる、常識の埒外な魔法だ。その効果は、全盛期に災害級の実力を誇った魔王ヴァレリアを圧倒したほど。
そのせいで、色々な意味で幾つになっても思春期な魔王に別の方向で圧倒されちゃったが。
現在の実力と身体能力では、四つの同時発動を必要とする【神装魔法】は負荷が大き過ぎて常用は難しい。
ならば同時発動させる能力を減らせばいいと、当たり前だが多くの者はわりと気付かないだろう判断をしたナディ。
二回目の人生で、無意識だが【魔力】と【気力】を同時発動させていたのを思い出し、試しにやってみたのである。
【理力】と【霊力】を同時発動させる、【天装魔法】を。
何故その二つなのか。理由は単純で、全能力を均等に強化させる【理力】は汎用性が高いため第一選択となる。
そして【霊力】は、複数回生まれ変わった人生で一番慣れ親しんでいるからだ。
それにナディの【覚醒能力】の中で、最も強力。
だが【霊力】本来の性質は、自身の強化ではない。もっと凄まじく、そして恐ろしいものだ。そのうち語る機会があるだろう。
「――できちゃった……」
あくまでお試しであったためか、意外とできるもんだと感心しつつ、だがとてもいい笑顔で丹田――下腹を押さえながらそう呟くナディ。
「お姉ちゃん。それ絶対にお兄さまの前でやっちゃダメだからね」
ある意味で不適切な行動と発言をするナディに、レオノールがそう言う。
重ねて、絶対にヴァレリーの前ではそのセリフを言わせないようにしようと心に誓った。理由は謎だが、確実に鬱陶しいことになるから。
「うん、おおー。思ったより負荷がない。いいねぇいけるなぁ、これ」
身体の動きや負荷の有無を確認しながら、左右それぞれに持つ【凍花】と【灼花】を高速で振りながら満足げに頷く。
「どうしても【神装魔法】の劣化版なのは仕方ないけどね」
肩をすくめて自虐しながら、どこか不満げにそう呟く。だが何事にも段階があるのが当然で、現状ではこれで満足しようと自分に言い聞かせるナディ。
それにアデライドも、最初から【神装魔法】が使えたわけではないのだから。
「さて、ちょっと強化してみますかねー」
そう言い、【理力】と【霊力】を練り上げる。
「【熾天使の強躰】【熾天使の祝福】【熾天使装身】【熾天使の抱擁】。続けて【理力刃】【霊力刃】発動。【刃の翼】展開!」
全身を包む白金色の光がより強くなり、続けて黄金と蒼白の刃が、それぞれ二十四枚出現して翼となる。
二十四対、計四十八の刃の翼を背に宿して大きく広げた。それにより白金色の光が乱反射し、あたかも羽毛が舞い散っているかのような効果を生んだ。
ちなみに、その効果は意図してやった。
(よしよし。良いわぁ、格好良い!)
独白しながら、すごく良い笑顔で満足げに頷いてる。某ガチムチな誰かさんが聞いたら、間違いなく「うるせぇわ」と言われること請け合いだ。
「二つまでなら問題なし、と。さて、行ってみようかな」
全身を白金に染めたナディが、巨体の爬虫類へと歩み寄る。
そのただならぬ気配に気付いたそれも、ナディの方に向き直った。
互いにその存在を確認するかのように対峙する。
先に動いたのは巨体の爬虫類、タルボサウルスのレア種であるタルボ・アウルム。
対峙するナディへと、大口を開いて威嚇の咆哮をあげ――
「うっさい」
だがその口目掛けて黄金と蒼白の刃が殺到する。
威嚇が意味を成さないのを瞬時に察したタルボ・アウルムは、その巨体に似合わぬ素早い動きで頭を振り払い、ナディが放ったそれらを弾く。それは完全な防御とはいかず、表皮を深く切り裂いた。
それにより滲み出た血を撒き散らせ、だがタルボ・アウルムは構わずナディを噛み砕こうとする。
その行動は予想の範疇であり、ナディは逸早く【刃の翼】をはためかせて宙を舞う。
「【魔法構築高速化】【氷結領域】」
そして魔法を高速化させ、一帯に氷結の領域を展開する。
「【五十重詠唱】【魔法多重化】【魔法残響】【氷結短矢】【魔法待機化】」
続けて、多重詠唱により発動魔法の基本数を設定する。そこから多数化と残響とで発動する絶対数を増加た。次いで氷の短矢を無数に出現させ、待機させる。
その工程は魔法の高速展開が必須であり、そして維持させるための魔法行使精度が高い高等技術。
ちなみに、ナディよりもレオノールの方が精度が高いし、より強力だ。
なにしろ開発者ですら満足に扱えなかった次元魔法【鏡躰】を、完璧に使いこなしているのだから。
その開発者は約八百年前の、自身をあくまで薬師と言い張っていた冒険者である。
宙を舞いながら自身の周囲に無数の氷の短矢を待機させ、地面へと頭から降下しそして――
「【発動】」
待機させていた氷の短矢を一斉に放つ。
それは多数化と残響の効果で百を優に超えてタルボ・アウルムへと突き刺さる。
だが分厚い表皮を完全に貫けなかったようで、痛みに咆哮を上げながらも巨体に似合わないほど俊敏な動きで距離を取った。
「うわ、わりと丈夫」
呟き、舌打ちをしてゆっくりと地面に降り立つナディ。【刃の翼】をはためかせて光を乱反射させるのも忘れない。
「うーん、思うように通らない。【神装魔法】の超過強化ばかり使ってた弊害かなぁ。強くてニューゲームは、いつか限界が来るってことよねぇ」
(だからといって、油断はしていないけど)
呟き、次いで独白する。そして真正面で様子を伺っているタルボ・アウルムから目を離さず、
「【魔法全復唱】」
魔法を全て復唱して待機させる。
それを見たタルボ・アウルムは、それが脅威だと理解したようで、息を多く吸って喉を膨らませた。
「お、ブレスかな? 【絶対障壁】」
躱すのは簡単だが、射程がどの程度かが分からない。射線上で他の冒険者たちがレイド中だという可能性もある。
だから、ナディはあえて真正面からの防御を選択した。
「お姉ちゃん!」
展開した【絶対障壁】は、竜種のブレスをも防ぐ最高の防御障壁魔法。それは見ればわかる。
だが相手は二人にとって初見であり、その攻撃も威力も未知数だ。わずかでも防ぎ切れない可能性がある以上、その選択肢は取るべきではないとレオノールは思う。なぜならレオノールにとって、他の冒険者などどうでもいいのだから。
ならばと、さらに防御魔法を重ね掛けしようとした時、
「【真紅の強撃】!!」
七層へと続くセーフエリアから真紅の鎧を身に付けた金髪碧眼の美丈夫が飛び出し、同じく真紅のウィングドスピアを投擲した。
それは真紅の光の軌跡を描きながらタルボ・アウルムの側頭に直撃し、突き刺さらずにまるで鈍器をぶつけたかのような破砕音を轟かせる。
その衝撃によりブレスがキャンセルされ、口の中で弾けた。炎やその他が漏れ出ていないところを見ると、どうやら竜種とは別種のブレスだったらしい。
ただ衝撃が凄まじかったようで、悲鳴のような咆哮を上げて悶絶している。非常にレアな光景だ。
「おい! 今のうちにこっちへ来い!」
セーフエリアから出て来た男は二人にそう叫び、弧を描いて戻る槍を掴んで手招きする。どうやらナディが何らかの理由で戦わざるを得ない状態だと判断して行動に出たようだ。
「……あー、いい気分が台無し」
長い溜息を吐きながら呟き、展開した障壁を解除して氷の短矢を全て放つ。それは悶絶しているタルボ・アウルムに残らず突き刺さり、さらに悲鳴を上げさせた。
「実験してんだから文字通り横槍を入れてんじゃないわよ!」
ナディが纏っている光が、白金色から赤紫になる。
それは使用する【覚醒能力】が、変化したことを意味していた。
それは迷宮に限ったことではなく概ね全てに通じることだが、ともかく。
当然、現在ナディとレオノールが潜行しているこの【爬虫巌穴】でも、同じであるのは変わらない。
特に五層以降はより過酷な環境となり、棲息する魔物もより凶悪に、より強大になる。ついでに文字通り巨大にもなる。
よって六層以降に潜行する冒険者の階級は限られており、最低でも【金級】程度の実力が必須だ。そして可能なら、六名以上が在籍している三パーティ以上のレイドが望ましい。
少人数での潜行となると、能力が別次元になる【真銀級】以上の実力がないと不可能である。
そんな過酷な環境である【爬虫巌穴】の六層に、面倒ごとはゴメンだと言わんばかりに休憩など一切取らずに逃げるように入った二人は、階層に通じる竪穴にほど近い場所にある、高さ十メートルくらいの大岩の上で周囲を見渡しながら休憩を取っていた。
例によって周囲に地雷原のような魔法を仕込んだうえに、【認識阻害】と【静寂】で姿を隠しているが。
「あーしんど。魔物相手がじゃなくて、主に冒険者たちの相手が」
「邪魔な魔物を一掃しただけなのにみんなで騒ぎ過ぎ」
大岩の上で身体を伸ばし、愚痴る姉妹である。
その邪魔な魔物を一掃しているのが原因であり、更に言うなら瞬殺なのが問題なのに気付いていない。
そもそも冒険者たちは概ね情に厚く、総じて脳筋であるため行動が衝動的で熱く、そして暑苦しい。
よって目の前で瞬殺劇を見せられれば、感極まって相手の状況など全無視でそんな行動に出るのは仕方のないことだ。
「まったく……なーんだってそんなに騒ぐのかな。相手の特性とかを観察すれば、どう倒せば良いのかなんて分かるじゃない。もっと考えればいいのに」
「竜種じゃない限りヘビもトカゲもカメも爬虫類。総じて寒さに弱い。あと魔法耐性が低ければ生物全てに落雷は有効」
「だよねー。そんなのフツーに生活してれば分かるよねー。ちょっとみんな、視野が狭過ぎない? 日常生活をより良くするために、普段から全てに疑問を持っていればなんてことはないじゃない」
言っていることは正しいのだろうが、この世界に住む多くの人々の発想ではない。余程の識者か学者か、もしくは変人ならば考えるかもしれないが。
世の一般的な人々があんまり考えないことを疑問視している自覚がないナディである。
そしてレオノールも、そんな姉の教育の賜物か悪影響か、それに賛同していたりする。
ツッコミ要員の不在は、時として勘違いのスパイラルを生む。
「さっきご飯食べたからお腹すいてないよね? とりあえず一休みしようか」
「賛成。さすがに疲れた」
【収納】からマットを取り出して敷き、二人で横になる。ほぼ同時にあくびをして、仲良く仮眠をとった。
――そして約一時間後。ナディは目を覚ました。
仮眠前と同様に大きなあくびをし、背伸びをしてから周囲を見回す。
地雷原のように設置した魔法に引っ掛かった魔物はいないようだ。もしかしたら、この階層は魔物の個体数がそれほど多くないのかもしれない。もしくは階層内で食物連鎖が完結しているか。
どちらにせよ、好都合ではある。休憩を取れると言う意味で。
「お姉ちゃんおはよう」
そんなことを考えていると、レオノールも目を覚ました。だがまだ眠気が残るのか、ちょっとフワフワしている。
それはそうだろう。強大な魔法を操り、その実力は既にナディ以上だったとしても、まだ十二歳である。この状況下で疲れないはずがない。
(一旦撤退するべきかなー。でもそうすると、きっとここには来ないよね)
レオノールの体調を鑑み、そう判断するべきか悩み始めるナディ。それを察したレオノールは、同じく背筋を伸ばしてから身支度を整え始めた。
「大丈夫。余裕で行ける」
言いつつ、サムズアップする。
「それに一度戻ったら絶対にここには二度と来ないと思う」
そしてそう続けた。考えていることが全く同じである。
「そう? レオが大丈夫ならこのまま行くけど」
念押しはしない。本当にダメだと判断した時は無理はしないのを分かっているから。
「じゃあ身体をほぐしてから行こうか。えーと、この階層はどんなのがいるのかなーっと」
立ち上がり、周囲を見回す。遠くに大きな口と細長い体躯、腕は小さいがその分足が発達した、長い尾の二足歩行なトカゲの一群が見える。
(ん~、なんだろあれ。恐竜っぽいけど、遠くて判断に困るなぁ)
背伸びをしながらそう考える。だがそうしていても埒が開かないのも事実。
「【魔法範囲極大化】【望遠視】【広角視】」
見えないのなら、見えるようにすればいいじゃないとばかりに、視力強化魔法で観察し始める。情報収集は大切なのだ。
(ん~……まんま恐竜っぽいなー。巨大化する爬虫類の進化って、結局はアレに行き着くのかな?)
視覚に捉えた魔物にそんな感想を漏らし、レオノールに説明する。そして出た結論は、結局はいつも通りにする、だった。
そんなわけで。
設置している地雷型の魔法を全て解除したナディは、全身に冷気を纏って氷結魔法を展開する。レオニールは雷を纏って雷撃魔法を展開した。
二人とも【条件発動化】と【遅延発動化】はもちろん、【持続発動化】まで展開しているのはいつものことだ。
そして再び、飛行しながら空爆のように狩り始める二人。サイズがデカくなっている魔物を相手に、真正面から馬鹿正直に対峙するほど、二人は愚かなではない。
それができる選択肢があるのが、二人の最大の強味でもある。
もっといえば、現在のナディの実力ならば物理攻撃でも全く問題はない。ただ【貪食曠野】に突貫したときよりも、明らかにモチベーションが上がらないからやらないだけだ。
食材、特にお肉が出ないから……。
「このでっかいトカゲからはお肉が出ても良いと思うんだけど」
「レオもそう思う。明らかに可食であろう部位があるのにお肉にならない。何度でも言うけど明らかにデザインミス」
誰に対しての文句なのかは謎だが、二人でそんなことを言っている。もしかしたら、ここにもダンジョン・マスターがいるのかもしれないという一縷の望みで、そんな文句を言っているのかもしれない。
そうして、落ちるのが例によって硬いがしなやかな皮革品だったり鋭利な牙や爪だったり、丈夫な骨格だったりするのを根こそぎ回収しながら奥へと進む。
出現する魔物は前述のとおりであり、だが体色や体型、サイズが若干違うのがポツポツと出現する。やはりその絶対数は少ないようだ。
この階層は棲息するそれらに比例して、広さも相当であるようで、遥か遠くで十メートルを超える魔物と派手なレイド戦を繰り広げている冒険者たちもいる。
(レイド戦かー、そういうのもあるんだよねー。私は一度たりとも経験したことないけど)
自慢ではないが、繰り返してきた人生でパーティを組んだりレイドを組んだりした経験が、ほぼ無いナディである。本当に自慢ではない。
そんな寂しいことを考え、しみじみと感傷に浸るナディであった。
(あ、でも最初のときに右も左も分からなかった私を拾ってくれた人たちがいたなぁ。ハーレムパーティだったけど。一年と経たずに別れたし、再会したときは戦場だったけどね)
拾われただけだから、アレはパーティとは言わないのだろう。またしても感傷に浸るナディであった。
そういう余計なことを考えつつ、だが出現する魔物を的確に殲滅する。何度も人生を繰り返していたためか、マルチタスクがわりと得意なナディであった。
一面に広がる草原に低木林が点在し、所々にシダ類らしき高木林が乱立している【爬虫巌穴】の六層。目標物が乏しいために、方向感覚を研ぎ澄まさなければ確実に迷う。
そんな【階層型】なのに【領域型】のような通称『巨竜爬虫類階層』を飛びながら、【地図巡行】を展開してシレッと一直線に下層へのセーフエリアへ向かう二人であった。
他の冒険者たちも、戦闘に集中しているために気付かない。それだけこの階層は過酷なのである。
ナディとレオノールが、世の人々がいうところの「一般的ではない」だけだ。
シュルヴェステルには、きっと「頭がおかしい」と言われるだろう。
そしてその後はナディと親子喧嘩のようになるのは容易に予測できる。
そんな世の常識から外れた二人は、セーフエリア前に到達した。そしてその前をウロウロしている、二十メートル弱はあろう金色な巨体の爬虫類を目にして互いに顔を見合わせる。
「でっかいね」
「うん。大きい」
「どうする? レオがやる?」
「ううん。実はちょっと疲れてて休みたい。お姉ちゃんお願い」
「おっけー。じゃあこいつを片付けたら、今度は誰に何を言われても無視して休もう」
「賛成。休養は大事」
ナディは地面に降り立ち、展開中の魔法を全て破棄する。レオノールは、邪魔にならないように空中に留まっていた。
【収納】から【凍花】と【灼花】を取り出し、左右に持つ。
「実はねぇ、ちょっと実験したい魔法があるんだなー」
「お姉ちゃん!」
呟き、自身の魔法を練り上げる。その過程が、アデライドの【固有魔法】の発動に似ていた。それを感じたレオノールは、珍しく声を荒げる。
「大丈夫だよー、レオ。これは【神装魔法】じゃないから。……そうね、あえて名付けるなら――」
ナディの全身が白金色に輝いた。
それは【理力】と【霊力】を同時発動させたことにより、生成された光色。
「【天装魔法】」
ナディの前世であるアデライドの【神装魔法】。本来であれば、魔力をベースにしてもう一つの同時発動が限界である【覚醒能力】を複数同時に発動させ高めることで、効果を発揮する常識外の『能力』。
発動に魔力が含まれるため【固有魔法】と呼んでいるが、厳密には魔法ではない。【特殊能力】と呼ぶのが適当だろう。
ナディの【覚醒能力】は四つ。
魔法や魔術を行使させる最も基本的な【魔力】。
身体能力を強力に強化させる【気力】。
全能力を均一に強化させる【理力】。
そして、自身の存在すら刹那の瞬間のみ非物質化させ透過し、また同様に破壊不能とする、この世界には存在しない【霊力】。
【神装魔法】はこれらを同時発動させる、常識の埒外な魔法だ。その効果は、全盛期に災害級の実力を誇った魔王ヴァレリアを圧倒したほど。
そのせいで、色々な意味で幾つになっても思春期な魔王に別の方向で圧倒されちゃったが。
現在の実力と身体能力では、四つの同時発動を必要とする【神装魔法】は負荷が大き過ぎて常用は難しい。
ならば同時発動させる能力を減らせばいいと、当たり前だが多くの者はわりと気付かないだろう判断をしたナディ。
二回目の人生で、無意識だが【魔力】と【気力】を同時発動させていたのを思い出し、試しにやってみたのである。
【理力】と【霊力】を同時発動させる、【天装魔法】を。
何故その二つなのか。理由は単純で、全能力を均等に強化させる【理力】は汎用性が高いため第一選択となる。
そして【霊力】は、複数回生まれ変わった人生で一番慣れ親しんでいるからだ。
それにナディの【覚醒能力】の中で、最も強力。
だが【霊力】本来の性質は、自身の強化ではない。もっと凄まじく、そして恐ろしいものだ。そのうち語る機会があるだろう。
「――できちゃった……」
あくまでお試しであったためか、意外とできるもんだと感心しつつ、だがとてもいい笑顔で丹田――下腹を押さえながらそう呟くナディ。
「お姉ちゃん。それ絶対にお兄さまの前でやっちゃダメだからね」
ある意味で不適切な行動と発言をするナディに、レオノールがそう言う。
重ねて、絶対にヴァレリーの前ではそのセリフを言わせないようにしようと心に誓った。理由は謎だが、確実に鬱陶しいことになるから。
「うん、おおー。思ったより負荷がない。いいねぇいけるなぁ、これ」
身体の動きや負荷の有無を確認しながら、左右それぞれに持つ【凍花】と【灼花】を高速で振りながら満足げに頷く。
「どうしても【神装魔法】の劣化版なのは仕方ないけどね」
肩をすくめて自虐しながら、どこか不満げにそう呟く。だが何事にも段階があるのが当然で、現状ではこれで満足しようと自分に言い聞かせるナディ。
それにアデライドも、最初から【神装魔法】が使えたわけではないのだから。
「さて、ちょっと強化してみますかねー」
そう言い、【理力】と【霊力】を練り上げる。
「【熾天使の強躰】【熾天使の祝福】【熾天使装身】【熾天使の抱擁】。続けて【理力刃】【霊力刃】発動。【刃の翼】展開!」
全身を包む白金色の光がより強くなり、続けて黄金と蒼白の刃が、それぞれ二十四枚出現して翼となる。
二十四対、計四十八の刃の翼を背に宿して大きく広げた。それにより白金色の光が乱反射し、あたかも羽毛が舞い散っているかのような効果を生んだ。
ちなみに、その効果は意図してやった。
(よしよし。良いわぁ、格好良い!)
独白しながら、すごく良い笑顔で満足げに頷いてる。某ガチムチな誰かさんが聞いたら、間違いなく「うるせぇわ」と言われること請け合いだ。
「二つまでなら問題なし、と。さて、行ってみようかな」
全身を白金に染めたナディが、巨体の爬虫類へと歩み寄る。
そのただならぬ気配に気付いたそれも、ナディの方に向き直った。
互いにその存在を確認するかのように対峙する。
先に動いたのは巨体の爬虫類、タルボサウルスのレア種であるタルボ・アウルム。
対峙するナディへと、大口を開いて威嚇の咆哮をあげ――
「うっさい」
だがその口目掛けて黄金と蒼白の刃が殺到する。
威嚇が意味を成さないのを瞬時に察したタルボ・アウルムは、その巨体に似合わぬ素早い動きで頭を振り払い、ナディが放ったそれらを弾く。それは完全な防御とはいかず、表皮を深く切り裂いた。
それにより滲み出た血を撒き散らせ、だがタルボ・アウルムは構わずナディを噛み砕こうとする。
その行動は予想の範疇であり、ナディは逸早く【刃の翼】をはためかせて宙を舞う。
「【魔法構築高速化】【氷結領域】」
そして魔法を高速化させ、一帯に氷結の領域を展開する。
「【五十重詠唱】【魔法多重化】【魔法残響】【氷結短矢】【魔法待機化】」
続けて、多重詠唱により発動魔法の基本数を設定する。そこから多数化と残響とで発動する絶対数を増加た。次いで氷の短矢を無数に出現させ、待機させる。
その工程は魔法の高速展開が必須であり、そして維持させるための魔法行使精度が高い高等技術。
ちなみに、ナディよりもレオノールの方が精度が高いし、より強力だ。
なにしろ開発者ですら満足に扱えなかった次元魔法【鏡躰】を、完璧に使いこなしているのだから。
その開発者は約八百年前の、自身をあくまで薬師と言い張っていた冒険者である。
宙を舞いながら自身の周囲に無数の氷の短矢を待機させ、地面へと頭から降下しそして――
「【発動】」
待機させていた氷の短矢を一斉に放つ。
それは多数化と残響の効果で百を優に超えてタルボ・アウルムへと突き刺さる。
だが分厚い表皮を完全に貫けなかったようで、痛みに咆哮を上げながらも巨体に似合わないほど俊敏な動きで距離を取った。
「うわ、わりと丈夫」
呟き、舌打ちをしてゆっくりと地面に降り立つナディ。【刃の翼】をはためかせて光を乱反射させるのも忘れない。
「うーん、思うように通らない。【神装魔法】の超過強化ばかり使ってた弊害かなぁ。強くてニューゲームは、いつか限界が来るってことよねぇ」
(だからといって、油断はしていないけど)
呟き、次いで独白する。そして真正面で様子を伺っているタルボ・アウルムから目を離さず、
「【魔法全復唱】」
魔法を全て復唱して待機させる。
それを見たタルボ・アウルムは、それが脅威だと理解したようで、息を多く吸って喉を膨らませた。
「お、ブレスかな? 【絶対障壁】」
躱すのは簡単だが、射程がどの程度かが分からない。射線上で他の冒険者たちがレイド中だという可能性もある。
だから、ナディはあえて真正面からの防御を選択した。
「お姉ちゃん!」
展開した【絶対障壁】は、竜種のブレスをも防ぐ最高の防御障壁魔法。それは見ればわかる。
だが相手は二人にとって初見であり、その攻撃も威力も未知数だ。わずかでも防ぎ切れない可能性がある以上、その選択肢は取るべきではないとレオノールは思う。なぜならレオノールにとって、他の冒険者などどうでもいいのだから。
ならばと、さらに防御魔法を重ね掛けしようとした時、
「【真紅の強撃】!!」
七層へと続くセーフエリアから真紅の鎧を身に付けた金髪碧眼の美丈夫が飛び出し、同じく真紅のウィングドスピアを投擲した。
それは真紅の光の軌跡を描きながらタルボ・アウルムの側頭に直撃し、突き刺さらずにまるで鈍器をぶつけたかのような破砕音を轟かせる。
その衝撃によりブレスがキャンセルされ、口の中で弾けた。炎やその他が漏れ出ていないところを見ると、どうやら竜種とは別種のブレスだったらしい。
ただ衝撃が凄まじかったようで、悲鳴のような咆哮を上げて悶絶している。非常にレアな光景だ。
「おい! 今のうちにこっちへ来い!」
セーフエリアから出て来た男は二人にそう叫び、弧を描いて戻る槍を掴んで手招きする。どうやらナディが何らかの理由で戦わざるを得ない状態だと判断して行動に出たようだ。
「……あー、いい気分が台無し」
長い溜息を吐きながら呟き、展開した障壁を解除して氷の短矢を全て放つ。それは悶絶しているタルボ・アウルムに残らず突き刺さり、さらに悲鳴を上げさせた。
「実験してんだから文字通り横槍を入れてんじゃないわよ!」
ナディが纏っている光が、白金色から赤紫になる。
それは使用する【覚醒能力】が、変化したことを意味していた。
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