10番目の同級生

ジャメヴ

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川島

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  俺は小さく会釈をしながら話す。
「一ノ瀬です。俺の知っているパチンコの知識を話せば良いですか?」
「はい、お願いします」
「まあ、先に注文しておこうかな。あなたの奢りなら国産黒毛和牛のサイコロステーキでも食べようっと」
俺はチラッと川島の顔色を伺いながら言った。
「どうぞどうぞ。私は焼鳥5本セットとお茶で」
川島は俺の視線を気にする様子もなく呼び出しボタンを丁寧に押した。店員が来て注文を済ますと俺は貰う物は貰ったと上機嫌で話し出す。
「俺が知っている限り、パチプロ、スロプロは4種類存在します。1つ目は、モーニングと言って、朝、直ぐに大当たりが出るように設定された台を狙って打つプロ。これは店員と仲良くなれば可能だと思いますが、露骨にモーニング台だけを打つと直ぐにバレてしまいますけどね。2つ目は、高設定のスロット台を何らかの方法で見つけ打つプロ。こちらも店員と仲良くなるか、あるいは、根気よくデータを収集すれば可能なんでしょうか?  3つ目は、チューリップが開くタイミングでテクニックを駆使して打つプロ。これは禁止行為なので、バレないように行動しないと出禁をくらってしまいます。4つ目は、俺のように換金率の低い店で良く回る台に座り、朝から晩まで打つプロです。換金率の低い店が人気になる筈が無いと思われがちなんですが、その分、よく回るように設定されています。さらに、長時間打つ傾向になるので常に出玉が多い状態になり、この店は良く出ると思わせる事が出来ます。他にも色んなプロがいるんでしょうけど俺の知識はここまでです」
川島は静かに頷いている。
「ここまで分かります?」
「はい」
「ホントに理解できました?」
「はい、大丈夫です」

  いや、絶対理解できていないだろ! と俺は思った。50半ばぐらいに見える川島は真新しいジャージで髪の毛も整っており、ちゃんとしている。パチンコの常連客には全く見えない。むしろ、パチンコをする人といえばジャージだなと考え、新品のジャージを今日買ってきたような感じだ。それなのに今の専門用語を理解出来ていると言う。素人には理解出来ない内容も入っていた筈なのに……。俺は試すように質問した。
「因みに換金率って分かります?」
「出玉を店が買い戻すパーセンテージですよね?  最近は、全国的に等価交換禁止の動きがありますよね」
「!」
何ぃ~。何故か詳しい。そんな風には見えないぞ。パチンコはやらずに攻略本だけ読むタイプなのか?  お金はもう手にいれたので気にする必要もないが、ボロをださせてやろうと続けて質問する。
「因みにさっきの『オリオン』って店の換金率知ってます?」
「2円50銭ですよね?」
「川島さん『オリオン』で勝った事あるんですか?」
「まあ、多少は……」
ボロを出させる為、出来る限り間髪入れずに続けて質問する。
「川島さんて月何回ぐらいパチンコ行ってます?」
「週2回ぐらいですかね」
「朝から晩までですか?」
「まあ、気分によりますけど、昼からとか、夕方からとか……朝からは行かないですね」
朝、並ばないから見た事無いのかなと考えながら続ける。
「他の店も行きます?」
「行った事はありますけど、あまり行かないですね。ほとんど『オリオン』です」
「へー」
俺は感心したようなバカにしたような適当な返事をした。よく分からない。何か嘘っぽいが、川島が言っている事の辻褄は合っている。という事は、自分の先入観のせいなのだと渋々納得した。
  ふと時間が気になり、俺は質問する。
「ソロソロ30分ぐらい経ちますけど、もう少し話します?  何か川島さんに興味が出てきたんで俺は別に大丈夫ですよ」
「では、もう少し良いですか?  もう1万円お渡しします」
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