10番目の同級生

ジャメヴ

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同級生

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  俺は歩いて帰り、五木のアパートに着いた。築20年、木造2階建ての2階で 2LDK の間取りだ。ドアを開けると女性の笑い声が聞こえてきた。
「あははは、リタゆた面白~い。流行語大賞狙えるんじゃない?」
お笑い番組を見ているようだ。今、流行りのお笑い芸人、リターンエース豊を見て笑っているのだろう。玄関には女性用のパンプスが2足ある。誰だろうか?  知っている人かなと思いながら、俺は靴を脱ぎ「ただいま」と言った。
「お帰りなさ~い」「遅かったな」
そこには、中学時代の同級生の女性2人がいた。三橋真奈美と九十九つくも優子だ。
「一ノ瀬君お久し振り」
三橋さんが笑顔で挨拶してきたので、俺も微笑みながら返す。
「こんばんは」
「卒業式以来だね」
九十九さんも笑顔で話した。九十九さんはおとなしめの美人でかなり細身。ロングの黒髪を黄緑のリボンで括っていて、白い長袖ブラウスに緑系のロングスカートを穿いている。五木とは学生時代に仲がよく、今でも時々連絡だけとっているというのは知っている。
  三橋さんは対照的に健康的で活発な美女。学生時代は毎年委員長を務めていた。軽くウェーブ掛かった、やや明るい色のミディアムの髪型。赤紫のフワッとした短めのワンピースに、7分丈のジーンズ姿だ。九十九さんと仲が良いので付いてきたのだろう。
  三橋さんは紙コップにお茶を注いで、俺に渡した後、言う。
「取り敢えず、乾杯しましょう」
この辺りでは、乾杯は地方名産のお茶『緑雲』と決まっている。特徴的なのは、その見た目。暗い緑色をしていて、いかにも苦そうだが、飲んでみると苦味は控え目で、ご飯に良く合う。
「4人の再会にカンパーイ」
「カンパーイ」
三橋さんの乾杯の音頭に合わせて、全員が紙コップを重ねながら言った。お茶を1口飲み、ピザを食べる。俺はサイコロステーキを食べてきたが、時間も少し空いたのでもう少し食べられそうだ。
「明日、2人は仕事休み?」
俺は時間を少し心配して尋ねると三橋さんが答える。
「うん、明日は日曜だし2人とも休み」
「そうなんだ、じゃあ、今日はゆっくりできるな」
「そうね。ところで、今更だけど2人とも見た目似てるよね?」
三橋さんが不思議そうに話す。俺も五木も元野球部で、2人とも身長は180ぐらいあり筋肉質だ。顔以外の体型はほぼソックリ。顔は、彫りが深い目元こそ似ているが、それ以外はそんなに似ていない。俺は短めの黒髪で、やや天然パーマ。五木は俺よりやや長めの黒髪でストレート。自分で言うのもなんだが、どちらもイケメンの部類に入るだろう。
「本当は兄弟なんじゃないの?  お父さんに愛人いるかもよ」
三橋さんが面白がって言ってきたので俺は答える。
「うちは無いな、親父がそういうのしなさそうだ。でも母親は俺を産んで亡くなったんで分からない。父親違いの兄弟って線も無くはないな」
俺は軽く盛り上げようとした。
「雰囲気と見た目がそっくりだもんね。はい、兄弟決定!」
三橋さんも盛り上げようと乗ってきた。
「弟がいたのか~って同い年!」
五木は乗り突っ込みをした。三橋さんは続けて言う。
「同じタイプなんで、これから女性問題で揉めそう」 
「そうなったら、五木に譲るよ」
俺がそう答えると三橋さんはニヤニヤしながら言う。
「本当かな?  実際分からないよ?  それより今日限定で、下の名前を呼び捨てで呼ぶルールになったから、浩二って呼んであげて」
「俺がいない間に決定してるのかよ?!」
「だから、球児も俺の事浩二で!」
「なんか気持ち悪いな!  球児浩二って、お笑いコンビみたいに聞こえるし!」
「それより球児、この美女2人使って結婚詐欺とかいけると思わないか?」
「いつ……浩二はまた、そんな事言っているのかよ」
五木は深い仲になると、銀行強盗だの偽札がどうだのと言い出す。女性2人はさっき聞いたという反応なので、少し前に、その話はしているのだろう。
「何か一発やらないと、このままの人生だと面白くないだろ?」
「じゃあ、私、峰不二子役ね、お2人さんが盗んだものを貰っていくわ」
三橋さんはノリノリだ。五木も負けずに俺へ言う。
「良いじゃないか。よし、ルパン盗んでこい!」
「誰がルパンだ!」
「峰不二子と言えば、ジュエリー西川の2億円の『炎のティアラ』よね」
「!」
おとなしい性格の九十九さんが、ほぼ初めて喋ったかと思う内容がタイムリー過ぎて俺は動揺し、一瞬固まった。
「ルパンと次元、『炎のティアラ』を盗んできてちょうだい」
三橋さんがカッコ良くポーズを決めて言うと、即座に五木が突っ込む。
「誰が次元だ!」
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