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セレブ川島
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翌日
朝9時半に俺は出掛けた。五木は、俺がパチンコに行くと思って2度寝をしたようだ。少し歩いたところで俺は川島に電話を掛けた。
「もしもし、一ノ瀬さん?」
「そうです、昨日はどうも。御依頼の件ですが……引き受けさせて頂きます」
川島は『オリオン』で待つように言ってきた。俺はどうせなら駐輪場で待ってみようと駐輪場へ向かう。
駐輪場に着き、周りを見渡すが、川島が言ったように防犯カメラは無いようだ。今は朝なので気にならないが、街灯が無い。恐らく、犯行予定時刻は夜遅いので真っ暗になるだろう。
そこに、川島が黒光りした高級車に乗りやって来た。窓はスモークガラスで外からあまり見えない。スーっと助手席の窓が開く。川島はサングラスを掛けている。もちろん、今日の川島はジャージではない。高級そうなワイシャツを着ている。
「では、乗ってください」
俺は助手席のドアを開け、座りながら話す。
「本当、何されてる方なんですか? 『炎のティアラ』欲しかったら買えるんじゃないですか?」
川島にそう言った後、自然と敬語で話している自分にビックリした。本能が川島を自分より格上だと判断したのだろう。
「金持ちになると金より欲しいものが出来るんですよ。盗品を眺めてワインを嗜《たしな》むんです。至上の愉悦ですよ」
「そんなもんですか? 一般人の19歳には分かるレベルじゃ無いですね」
「さて、聞かれてはまずいので、車の中で話しますか」
パチンコ屋の駐車場は広く、開店前だが車もソコソコあり、警備員が巡回しているものの、高級車とはいえ特別目立つものではない。
「2日後の3月31日火曜夜9時決行でどうでしょう?」
「了解です」
「では、おさらいです。当日の動きをあなたの口から説明してください。メモとかは、しないでください」
俺は目をつぶって話し出した。
「当日までに、工事現場か何かで、金属製でガラスを割れる物を拾う。そして、当日の夜は帽子にマスクで店向かって左側から歩いてきて、全力でショーウインドウを殴る。全力で! もし、割れなかったら逃げるが必ず割る! そして、『炎のティアラ』を盗み、そのまま真っ直ぐ逃げる。そして、交差点を左へ。それから直ぐの細い道を右へ。後は『オリオン』の駐輪場であんたの部下から2,000万を貰い、無作為に抜き取った2枚を『オリオン』の両替機等に入れ、確認後、部下に『炎のティアラ』を渡す」
パチパチパチパチ……
俺が拍手の音で目を開くと、川島は微笑みながら手を叩いていた。
「素晴らしいです。記憶力が良いですね。交遊関係が狭く、ガタイの良い人であれば誰でもよかったのですが、あなたを選んで大正解でしたよ」
「因みに部下の格好は?」
「まあタイミング良く駐輪場に他の人がいるとは思えませんが、黒のスーツで2,000万円の入ったスポーツバッグを持たせます。その男に『炎のティアラ』を見せてください」
「分かりました」
「ところで、五木さんには話しましたか?」
「いや、話してないけど、少し変に思っているのは間違いないですね。一緒に住んでるんで」
「まあ、彼にバレるのはしょうがないですね」
「出来るだけ、バレないようにします」
「それでは、当日の昼にもう1度だけ確認の電話をいれます。その後、当分連絡をとりません。もしかしたら2度と連絡しないかも知れません」
「分かりました。じゃあ、今日はここから歩いて帰ります。工事現場を探さないといけないんで」
「承知しました。それでは2日後、宜しくお願いします」
そう言うと、川島はパンパンに詰まった銀行の封筒を渡してきた。恐らく100万円が入っているのだろう。
「口止め料です。それを逃走資金にしてください」
俺は封筒を両手で受け取り、ショルダーバッグに入れた。俺は100万円貰ったので、一仕事終えたという感じで車を降りた。
川島は「では、また連絡します」と言うと、オリオンの駐車場から大通りへ出ていった。
朝9時半に俺は出掛けた。五木は、俺がパチンコに行くと思って2度寝をしたようだ。少し歩いたところで俺は川島に電話を掛けた。
「もしもし、一ノ瀬さん?」
「そうです、昨日はどうも。御依頼の件ですが……引き受けさせて頂きます」
川島は『オリオン』で待つように言ってきた。俺はどうせなら駐輪場で待ってみようと駐輪場へ向かう。
駐輪場に着き、周りを見渡すが、川島が言ったように防犯カメラは無いようだ。今は朝なので気にならないが、街灯が無い。恐らく、犯行予定時刻は夜遅いので真っ暗になるだろう。
そこに、川島が黒光りした高級車に乗りやって来た。窓はスモークガラスで外からあまり見えない。スーっと助手席の窓が開く。川島はサングラスを掛けている。もちろん、今日の川島はジャージではない。高級そうなワイシャツを着ている。
「では、乗ってください」
俺は助手席のドアを開け、座りながら話す。
「本当、何されてる方なんですか? 『炎のティアラ』欲しかったら買えるんじゃないですか?」
川島にそう言った後、自然と敬語で話している自分にビックリした。本能が川島を自分より格上だと判断したのだろう。
「金持ちになると金より欲しいものが出来るんですよ。盗品を眺めてワインを嗜《たしな》むんです。至上の愉悦ですよ」
「そんなもんですか? 一般人の19歳には分かるレベルじゃ無いですね」
「さて、聞かれてはまずいので、車の中で話しますか」
パチンコ屋の駐車場は広く、開店前だが車もソコソコあり、警備員が巡回しているものの、高級車とはいえ特別目立つものではない。
「2日後の3月31日火曜夜9時決行でどうでしょう?」
「了解です」
「では、おさらいです。当日の動きをあなたの口から説明してください。メモとかは、しないでください」
俺は目をつぶって話し出した。
「当日までに、工事現場か何かで、金属製でガラスを割れる物を拾う。そして、当日の夜は帽子にマスクで店向かって左側から歩いてきて、全力でショーウインドウを殴る。全力で! もし、割れなかったら逃げるが必ず割る! そして、『炎のティアラ』を盗み、そのまま真っ直ぐ逃げる。そして、交差点を左へ。それから直ぐの細い道を右へ。後は『オリオン』の駐輪場であんたの部下から2,000万を貰い、無作為に抜き取った2枚を『オリオン』の両替機等に入れ、確認後、部下に『炎のティアラ』を渡す」
パチパチパチパチ……
俺が拍手の音で目を開くと、川島は微笑みながら手を叩いていた。
「素晴らしいです。記憶力が良いですね。交遊関係が狭く、ガタイの良い人であれば誰でもよかったのですが、あなたを選んで大正解でしたよ」
「因みに部下の格好は?」
「まあタイミング良く駐輪場に他の人がいるとは思えませんが、黒のスーツで2,000万円の入ったスポーツバッグを持たせます。その男に『炎のティアラ』を見せてください」
「分かりました」
「ところで、五木さんには話しましたか?」
「いや、話してないけど、少し変に思っているのは間違いないですね。一緒に住んでるんで」
「まあ、彼にバレるのはしょうがないですね」
「出来るだけ、バレないようにします」
「それでは、当日の昼にもう1度だけ確認の電話をいれます。その後、当分連絡をとりません。もしかしたら2度と連絡しないかも知れません」
「分かりました。じゃあ、今日はここから歩いて帰ります。工事現場を探さないといけないんで」
「承知しました。それでは2日後、宜しくお願いします」
そう言うと、川島はパンパンに詰まった銀行の封筒を渡してきた。恐らく100万円が入っているのだろう。
「口止め料です。それを逃走資金にしてください」
俺は封筒を両手で受け取り、ショルダーバッグに入れた。俺は100万円貰ったので、一仕事終えたという感じで車を降りた。
川島は「では、また連絡します」と言うと、オリオンの駐車場から大通りへ出ていった。
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