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デート
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◆一方その頃、五木と九十九はバッティングセンターにいた。
キィーン……キィーン……キィーン
「やっぱり元野球部は凄いね」
九十九は五木のバッティングを眺めながら言った。
「いやいや、ウチのチームは一ノ瀬と六角だけって感じだったけどな」
「へぇ~、そうなんだ」
キィーン
五木は打ちながら話す。
「一ノ瀬が打って走って、六角が抑える。まあ、そこまで強くはなかったけど、あの2人は別格だったな」
キィーン
九十九が「懐かしいね」と言うと、五木は九十九の方を振り返り言う。
「九十九さんも打ってみなよ」
「え~、無理だよ」
「まあ、ちょっとだけ」
キィーン
五木は打ち終わると直ぐにドアを開けて、九十九を無理やりバッターボックスに立たせた。九十九は嫌々感を出しながらも右手1本でバットを振る。
キン!
「あっ! 当たった」と九十九は軽く喜びながら言った。
「おお~! 凄い。いけるいける。もう1球来るよ」
五木はピッチングマシーンを指差しながら言った。九十九もそちらを見て集中する。
コッ!
「痛~い」
バットの先端付近に当たった為、手への振動が強めだったようだ。
「でも凄いな、右手1本で……」
「あ、終わったみたい」
「九十九さん華奢だし、運動神経無いのかと思っていたけど意外な一面を見たよ」
「小学生の時にちょっとだけテニスやっていたの」
「なるほど、だから片手でね……」
「そうそう、でもまあ楽しかった」
「……あっ! 九十九さん、確か向こうに雑貨屋があったよね」
「うん、よく行くよ」
「折角だから見に行こう」
五木は九十九の手を握り、雑貨屋へと向かった。
「へ~、こうなっているのか」
五木は雑貨屋というものに初めて入った。茶色を基調とした部屋に品物が所狭しと並べられている。あまり動き回ると売り物を壊してしまいそうだ。慎重に動きながら回りを見渡すと、五木は九十九の目がキラキラと輝いているのに気付いた。そう言えば昨日、夢は雑貨屋と言っていたな、と思い出していると、九十九が五木に話し掛ける。
「これ、凄く可愛いと思わない?」
「どれ?」
九十九の指先を見ると、ピンク系の糸で編まれ、少し黄緑も入った小さなポーチだった。
「いいね。九十九さん似合いそう」
「嬉しい。どんな服に合うのかな?」
五木は、控え目な九十九が自分から話し出すところを見るのは初めてかも知れないなと感じていた。
その後、五木は少し飽きてきた。既に1時間弱経っている。その様子に九十九が気付いたようだ。
「あっ! ごめんなさい。夢中になっちゃって……」
「良いよ良いよ。幸せそうな九十九さんを見られて良かったよ」
「ごめんなさい、ちょっとトイレに行ってくるね」
「はいよ」
九十九がトイレに向かうのを確認した五木は、先程のポーチを店員に渡し、プレゼント包装してもらうと素早く会計を済ませる。
九十九がトイレから帰って来た。
「お待たせ」
「そろそろご飯にしようか。ちょっと行きたい店があったんだ」
「あ、うん」
雑貨屋を出て、2人で歩きながら話す。
「ところで九十九さんって今月誕生日だったよね?」
もちろん、五木は来る前に三橋から聞いている。
「あ、よく知ってるね。でも、もう1週間も過ぎちゃった」
「じゃあ、1週間遅れのプレゼント!」
五木は先程買った、プレゼント包装されたポーチを渡した。
「え~! 何? 何? サプライズが凄い~! 何かな~? 凄く嬉しい。えっ!」
九十九は驚いて理解出来ていない。少し考えてようやく意味が分かった。
「凄い、色んな意味で嬉しい!」
九十九はポーチを肩から掛け、ポーズをとった。
「似合う?」
ファッション雑誌の、雑貨特集の表紙のような、今日1の笑顔を見せてくれた。
キィーン……キィーン……キィーン
「やっぱり元野球部は凄いね」
九十九は五木のバッティングを眺めながら言った。
「いやいや、ウチのチームは一ノ瀬と六角だけって感じだったけどな」
「へぇ~、そうなんだ」
キィーン
五木は打ちながら話す。
「一ノ瀬が打って走って、六角が抑える。まあ、そこまで強くはなかったけど、あの2人は別格だったな」
キィーン
九十九が「懐かしいね」と言うと、五木は九十九の方を振り返り言う。
「九十九さんも打ってみなよ」
「え~、無理だよ」
「まあ、ちょっとだけ」
キィーン
五木は打ち終わると直ぐにドアを開けて、九十九を無理やりバッターボックスに立たせた。九十九は嫌々感を出しながらも右手1本でバットを振る。
キン!
「あっ! 当たった」と九十九は軽く喜びながら言った。
「おお~! 凄い。いけるいける。もう1球来るよ」
五木はピッチングマシーンを指差しながら言った。九十九もそちらを見て集中する。
コッ!
「痛~い」
バットの先端付近に当たった為、手への振動が強めだったようだ。
「でも凄いな、右手1本で……」
「あ、終わったみたい」
「九十九さん華奢だし、運動神経無いのかと思っていたけど意外な一面を見たよ」
「小学生の時にちょっとだけテニスやっていたの」
「なるほど、だから片手でね……」
「そうそう、でもまあ楽しかった」
「……あっ! 九十九さん、確か向こうに雑貨屋があったよね」
「うん、よく行くよ」
「折角だから見に行こう」
五木は九十九の手を握り、雑貨屋へと向かった。
「へ~、こうなっているのか」
五木は雑貨屋というものに初めて入った。茶色を基調とした部屋に品物が所狭しと並べられている。あまり動き回ると売り物を壊してしまいそうだ。慎重に動きながら回りを見渡すと、五木は九十九の目がキラキラと輝いているのに気付いた。そう言えば昨日、夢は雑貨屋と言っていたな、と思い出していると、九十九が五木に話し掛ける。
「これ、凄く可愛いと思わない?」
「どれ?」
九十九の指先を見ると、ピンク系の糸で編まれ、少し黄緑も入った小さなポーチだった。
「いいね。九十九さん似合いそう」
「嬉しい。どんな服に合うのかな?」
五木は、控え目な九十九が自分から話し出すところを見るのは初めてかも知れないなと感じていた。
その後、五木は少し飽きてきた。既に1時間弱経っている。その様子に九十九が気付いたようだ。
「あっ! ごめんなさい。夢中になっちゃって……」
「良いよ良いよ。幸せそうな九十九さんを見られて良かったよ」
「ごめんなさい、ちょっとトイレに行ってくるね」
「はいよ」
九十九がトイレに向かうのを確認した五木は、先程のポーチを店員に渡し、プレゼント包装してもらうと素早く会計を済ませる。
九十九がトイレから帰って来た。
「お待たせ」
「そろそろご飯にしようか。ちょっと行きたい店があったんだ」
「あ、うん」
雑貨屋を出て、2人で歩きながら話す。
「ところで九十九さんって今月誕生日だったよね?」
もちろん、五木は来る前に三橋から聞いている。
「あ、よく知ってるね。でも、もう1週間も過ぎちゃった」
「じゃあ、1週間遅れのプレゼント!」
五木は先程買った、プレゼント包装されたポーチを渡した。
「え~! 何? 何? サプライズが凄い~! 何かな~? 凄く嬉しい。えっ!」
九十九は驚いて理解出来ていない。少し考えてようやく意味が分かった。
「凄い、色んな意味で嬉しい!」
九十九はポーチを肩から掛け、ポーズをとった。
「似合う?」
ファッション雑誌の、雑貨特集の表紙のような、今日1の笑顔を見せてくれた。
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