10番目の同級生

ジャメヴ

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作戦会議

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3月30日午前8時
  俺は目を覚まして回りを見たが、五木は帰ってきていないようだ。パチンコを打つ気分ではないと感じ、ジムに行く準備をする。

9時50分
  ジムでトレーニングをしていると五木から電話があった。俺は電話に出るなり直ぐに話す。
「やあ、九十九さんと上手くいったみたいだな」
「まあな、それより今日は、打たないのか?  今、並んでるんだけど……」
「ちょっと、今日はやめておくよ」
「了解。飯時に連絡する」

  俺は川島からの窃盗依頼について、静かなところで考えようと図書館に行く事にした。五木のアパートから二キロ程度坂道を登ったところに大きめの図書館がある。建設されてまだ10年ぐらいの綺麗な図書館だ。ガラス張りでお洒落な見た目の為、利用者は多い。
  図書館に着き、本も借りずに1人掛けの席に座ると、目を瞑って考える。
  1つ目の問題点は犯行時間。夜9時ならまだ人目もある。最悪でも、ショーウインドウ前に人が居ない時でないとダメだ。まあ、後は俺の足で逃げ切れる。
  2つ目の問題点は2,000万を貰った後どう逃げるか。難しい……。自転車がいるか?
  3つ目、最大の問題点だが、五木に伝えるか否か。やはり、伝えずに去る事は難しいだろう。そもそも、2,000万円は五木への恩返しの為だ。俺は別に大金なんていらない。やっぱり、今晩伝えよう。川島には五木に言わないと言ったけど、五木にバレるのは仕方無いと言っていたし問題無いだろう。

  夜9時を過ぎると五木から電話が掛かってきた。
「いや~、大勝大勝。俺の奢りでどっか行こうぜ」
「そうだな、個室があるところがいいな」
「じゃあ、『北極星』にするか、サイコロステーキ奢ってやるよ!」
「分かった、向かうよ」
こないだ食べたばっかりだけど、と鼻でため息をついた。まあ、あれは毎日でも食べられる。

『北極星』に着くと、五木は既に待っていた。店内に入り、店員に席へ案内されると、五木は即注文した。
「サイコロステーキセット2つ、焼鳥セット1つ、それから……」
店員がその場を去ると、五木が意を決した様子で話し出した。
「どうしたんだ?  最近おかしいぞ。三橋さんと九十九さんに会う前に何かあったのか?」
「……さすがだな。やっぱり分かるか」
「一緒に暮らしてるんだ、さすがに気付くさ」

  俺は川島との出会いを五木に話した。話の途中で店員が来て料理を置いていく。
「まあ、折角高い肉頼んでるんだ。温かい内に食べよう」
無言のまま食事をする。まだ、少しサイコロステーキが残っているが、俺は話し出した。
「……川島の依頼は……宝石窃盗だったんだ」
「……なるほど、それであの時、ジュエリー西川の話に乗ってきたんだな」
「そういう事」
「それで……犯行予定も聞いて良いのか?」
「そうだな。本当は俺1人で逃げるつもりだったんだけど、五木に何も言わず出ていくのは違うと思ったんだ」
「そうか……」

  俺は五木に当日の動きを話した。
「9時か、ちょっときついな。あと、偽札確認のタイムロスもきつい」
「俺もそれは思ったがどうしようもない。川島がそこで偽札を用意するとは思えないが、信用はできない」
「そうだな、それで……2つ提案がある」
「2つ?」
五木が真剣な顔になった。俺は重要な提案だと理解した。
「1つ目は……その窃盗の役目、俺に代わってくれ」
想定通り、重要な提案ではあったが、想定外の内容に俺は衝撃を受けた。
「何を言ってる?!」
「そもそも、お前に窃盗をするメリットがない。2,000万円は自分の為じゃなく、多分俺の為だろう?  お前は大金を欲しがったりしない。じゃあ、俺がリスクを負わないとおかしい」
「気持ちは分かるが駄目だな。俺が引き受けた依頼だ」
五木は少し考えて話す。
「じゃあ、せめて共犯にしないか?  俺がノーリスクなのは納得いかない」
「共犯?」
「今回の計画の問題点は午後9時という、まだ人目がある時間帯だという事。だから、お前が盗んだ後、細い路地には入らず、その細い路地に俺が待っておくから俺に渡してくれ。そして、お前は当分真っ直ぐ逃げる。少し人目につく方がいい。そうなれば俺はノーマークだ」
「なるほど……。それより、五木ってそんなに賢かったか?  そんなに考えられるタイプだとは思っていなかったよ」
「俺は大金を得る犯罪を常に計画している。パチンコを打っている時なんかはずっとだ。毎日10時間も考えられるんだぞ?  当然『炎のティアラ』を盗む方法も考えていた、何10時間も」
「そうか、俺みたいな、にわか野郎に負けるはずがないな」
「もちろん」
「大金を手にいれて、何かしたい事があるのか?」
「まあな、大金があれば大抵の事は解決する」
「そうだな。で、もう1つの提案は?」
「2つ目の提案は……『炎のティアラ』は、そいつには渡さない」
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