10番目の同級生

ジャメヴ

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五木の陰謀

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「何だって?」
「俺は『炎のティアラ』を換金する術を持っている」
「そうなのか?!」
「ああ。ここから100キロぐらいとかなり遠いが、宝石商の知り合いがいて、そいつがかなりの脱税を行なっているのを知っている」
「その程度で盗品を買い取るか?」
「まあ、そこは賭けだ。交渉決裂しても、自分に負い目もあるし、警察に言ったりはしないと思う」
「そうか……知り合いが直ぐに払わないなら逃げれば良いな」
その時、俺達は店員がやって来る足音に気付き話を止める。
「そろそろラストオーダーになりますが、ご注文は宜しいでしょうか?」
「ああ、大丈夫」
「かしこまりました」
店員は食べ終わった食器を片付けてキッチンへ戻る。
「もう10時半か」
「よし、いったん家に帰って整理しよう」
五木は会計伝票をとり、レジへ向かった。五木は話を聞かなくても窃盗するぐらいの勢いだったなと俺は感じた。そんなに大金を欲しがる理由は分からないが、もちろん何らかの理由があるのだろう。自分の為に使うだけってタイプでも無いような気がしていた。
『北極星』から徒歩で帰り、家に着くなり五木は切り出した。
「俺達の当日の格好だが、黒の帽子、黒のパーカーにジーンズでどうだろう?」
「分かった。五木から『炎のティアラ』を受けとる場所はどこにする?」
「いや、2,000万円は俺がそのままもらいに行く」
「バレないか?」
「帽子にマスクなら見た目が殆《ほとん》ど一緒だから、俺かお前かなんて分からない。そもそも、その部下はお前に会っていないんだろ?  『炎のティアラ』を見せれば信用するさ」
「……そうだな。じゃあ、整理するぞ」
「ああ」
「明日……と言うか、もう直ぐ今日だな。夜九時にジュエリー西川の左側から、『炎のティアラ』がある事と、ショーウインドウ前に人がいないのを確認し、真っ直ぐ進み、全力でバールで殴る。割れなかったら諦めて逃走する。ここまでは良いか?」
「ああ、絶対割れる」
「そして、『炎のティアラ』を盗んで、真っ直ぐ進み交差点を左へ、すぐの右手に五木が待っているので『炎のティアラ』を渡す、そして、俺は当分直進、五木は『オリオン』へ向かう。まあ、俺の仕事は以上だ。あとは逃げるだけ」
「俺は『オリオン』駐輪場の黒スーツでスポーツバックを持った男に『炎のティアラ』を見せ、2,000万円のバッグを受け取り、鞄の中を確認し、『オリオン』店内を抜け、そのまま逃走する」
「ん?  偽札の確認をしないのか?」
「偽札でないのは明らかだ。逃げるのは一刻を争う。信用しよう」
「そうだな、偽札なら『炎のティアラ』を受け取れないので意味が無いもんな」
「後は適当に2人とも東へ逃げる。落ち合うのは1時間後。それから連絡を取り合おう」
「分かった。じゃあ明日、自転車を買いに行こう。100万円貰ったしな」
「4,000万の仕事だ。良いやつを買おう」
「よし、じゃあ、風呂に入って寝るか」
「そうだな、明日は人生最大の記念になる」
そうだ。失敗なんて無い。捕まるまでの成功の日々がどれだけ続くか……。
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