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実行
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午後8時20分
「じゃあ、先に行ってくる。9時までには路地にいるが、一ノ瀬は間違っても九時前に犯行に移るなよ。遅いのは問題無い、人がいるかも知れないからな」
五木はアパートの鍵を持たずに出た。この犯罪に対する決意表明かもしれない。
「分かった任せとけ」
俺は少し緊張してきたので、サイクリングでもしようと適当にその辺を走った。だが、直ぐ家の近くまで戻ってきてしまう。そこまで土地勘がある訳でもないので、こんな時に迷子になると面倒だと思ったからだ。知っている道を3周してから自転車を降り、自転車を押しながら現場へ向かった。
午後8時45分
予定より早めに着いてしまった。少し遠回りしてジュエリー西川へ向かう。200万円が入った鞄を自転車にくくりつけたまま、自転車に鍵を掛けて、黒い袋に包んだバールだけを持ち、遠回りして歩く。
実際、9時を回っても問題ないのだが、当然、五木も少し早めに着いているだろうし、長い時間待たせても怪しまれる。そうなると、9時ジャストに犯行を行いたい心理になっていた。
結構遠回りしたがまだ5分前だ。時間を長く感じる。こんなにウロウロしてたら、どこかの防犯カメラに映ってしまう可能性がある。俺はスマホの時刻を確認した。4分前だ。全然時間が経たない……。
とにかく、ここを離れようと俺は、もう1度犯行方法を頭のなかでシミュレーションした。そして、もう1度スマホの時刻を確認する。2分前だ。ここから歩いて行けば、ちょうど9時ぐらいになる。
ジュエリー西川の近くまで来て、再びスマホで時刻を確認する。9時だ! 落ち着いてスマホを上着のポケットにいれ、チャックを閉める。所持品を落とすと終わりだ。落として良いのは身元がバレないバールだけ。ジュエリー西川から、まだ少し離れている。今なら人はいない。俺は、ゆっくりと店に近付いた。
あと10メートル……。ドクンドクンと鼓動が速くなるが楽しみに変える。初めての犯罪だというのに、それ程緊張していないのは五木との共犯だからだろうか?
あと5メートル……。煌々と照らされるショーウインドウのど真ん中に『炎のティアラ』を確認。後ろを振り返った後、全体を見回す。通りに人はいない。俺は大きく息を吸い込んだ後、頭の中で強く思った。 これが2人の記念日になる! と。
一気に加速して、一瞬でショーウインドウの前。
俺のスイングなら絶対割れる!!
俺は暗示を掛けるように、頭の中でそう思い込み、全力でバールを振り切った!
ガッシャーーーン!!! パリンパリン……
ピー! ピー! ピー! ……
ショーウインドウが割れると同時に点滅灯が光って回転し、警報音がなった。俺は『炎のティアラ』を右手で鷲掴みにして逃げる。
走る! 交差点を曲がる。右を見る。マスクに帽子を被っている五木を発見。俺は目配せをする間も無く、無言で『炎のティアラ』を渡した。
走る! 俺は速い! 野球部でもトップだった。
走る! 誰も追い付ける訳無い。俺は速い!
こういう時は時間を長く感じる筈だが、俺は楽しんでいた。五木との記念日を。
「じゃあ、先に行ってくる。9時までには路地にいるが、一ノ瀬は間違っても九時前に犯行に移るなよ。遅いのは問題無い、人がいるかも知れないからな」
五木はアパートの鍵を持たずに出た。この犯罪に対する決意表明かもしれない。
「分かった任せとけ」
俺は少し緊張してきたので、サイクリングでもしようと適当にその辺を走った。だが、直ぐ家の近くまで戻ってきてしまう。そこまで土地勘がある訳でもないので、こんな時に迷子になると面倒だと思ったからだ。知っている道を3周してから自転車を降り、自転車を押しながら現場へ向かった。
午後8時45分
予定より早めに着いてしまった。少し遠回りしてジュエリー西川へ向かう。200万円が入った鞄を自転車にくくりつけたまま、自転車に鍵を掛けて、黒い袋に包んだバールだけを持ち、遠回りして歩く。
実際、9時を回っても問題ないのだが、当然、五木も少し早めに着いているだろうし、長い時間待たせても怪しまれる。そうなると、9時ジャストに犯行を行いたい心理になっていた。
結構遠回りしたがまだ5分前だ。時間を長く感じる。こんなにウロウロしてたら、どこかの防犯カメラに映ってしまう可能性がある。俺はスマホの時刻を確認した。4分前だ。全然時間が経たない……。
とにかく、ここを離れようと俺は、もう1度犯行方法を頭のなかでシミュレーションした。そして、もう1度スマホの時刻を確認する。2分前だ。ここから歩いて行けば、ちょうど9時ぐらいになる。
ジュエリー西川の近くまで来て、再びスマホで時刻を確認する。9時だ! 落ち着いてスマホを上着のポケットにいれ、チャックを閉める。所持品を落とすと終わりだ。落として良いのは身元がバレないバールだけ。ジュエリー西川から、まだ少し離れている。今なら人はいない。俺は、ゆっくりと店に近付いた。
あと10メートル……。ドクンドクンと鼓動が速くなるが楽しみに変える。初めての犯罪だというのに、それ程緊張していないのは五木との共犯だからだろうか?
あと5メートル……。煌々と照らされるショーウインドウのど真ん中に『炎のティアラ』を確認。後ろを振り返った後、全体を見回す。通りに人はいない。俺は大きく息を吸い込んだ後、頭の中で強く思った。 これが2人の記念日になる! と。
一気に加速して、一瞬でショーウインドウの前。
俺のスイングなら絶対割れる!!
俺は暗示を掛けるように、頭の中でそう思い込み、全力でバールを振り切った!
ガッシャーーーン!!! パリンパリン……
ピー! ピー! ピー! ……
ショーウインドウが割れると同時に点滅灯が光って回転し、警報音がなった。俺は『炎のティアラ』を右手で鷲掴みにして逃げる。
走る! 交差点を曲がる。右を見る。マスクに帽子を被っている五木を発見。俺は目配せをする間も無く、無言で『炎のティアラ』を渡した。
走る! 俺は速い! 野球部でもトップだった。
走る! 誰も追い付ける訳無い。俺は速い!
こういう時は時間を長く感じる筈だが、俺は楽しんでいた。五木との記念日を。
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