10番目の同級生

ジャメヴ

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ボクシング鑑賞

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  今日は午後9時からボクシングの世界戦がある。8戦8KO 中の日本人チャンピオンと30戦無敗のアメリカ人ボクサーのカードだ。中西は1ヶ月前から楽しみにしていたので、その時間に間に合うよう、食事や入浴時間を計算しながら帰った。
  食事や入浴を済ませ、酎ハイとポテトチップスを用意し準備万端で9時になった。1人目の選手が入場した時、スマホが鳴る。中西と同期入社の藤原だ。年齢は1つ上で職場は違うが、よく連絡を取り合う仲である。東南アジア系の個性的な顔立ちで色黒、背は中西よりは高いが低め、太くも無く細くも無い。入社時から『アルデバラン』で修行をし、ゆくゆくは自分の店を出したいという野望を持っている。
  試合までまだ5分ぐらいありそうなので、中西は電話に出た。
「もしもし、お疲れっす。中西です」
「やあ、お疲れ。元気してるか?」
「お陰様で。今日は有休でゆっくりしてました」
「そうか、うちも定休日だったから、どっか誘えばよかったな」
いつも通りの会話が続く。中西は思ったより長電話だな、と思いながら話す。だが、電話を始めてまだ2分ぐらいしか経っていない。ボクシングの試合が始まるのを気にしているからそう感じるのだった。
「……で、こないだ信忠社長が来て、園田さんに怒鳴る怒鳴る」
「そうなんですか」
「それで園田さんも言い返して、社長も負けてない」
「へ~」
「結局、社長は捨て台詞を吐いて帰ったんだよ」
「なるほど」
中西は相づちが適当になってきた。と、その時!
「ラウンドワン!  ファイッ!」
試合が始まってしまった。
「園田さんクールにきめてたけど、多分ぶちギレてたよ」
「ふむふむ」
中西は既に上の空だ。
「どうした?  気分悪いのか?」
あんたの長電話のせいだよ!  と中西は突っ込み掛けてやめた。一応、藤原は年上だ。だが、中西はさすがに痺れを切らして伝える。
「藤原さん、ボクシングとか見ないんですか?」
「……あっ!  今日世界戦か!  お前としゃべってる場合じゃないわ!  じゃあまた」
藤原は電話を切った。
  こっちのセリフだよ!  と心の中で突っ込み、少しモヤモヤしていたものの、ボクシングが見れるので、ホッとして缶チューハイを半分ほど飲んだ。

  翌日、中西は起きて、仕事の支度をしながら朝のニュース番組『ハッピーモーニング』をつけた。

「今朝のトップニュースです。昨夜午後10時頃、コスモグループ社長、六角信忠氏が別荘で首を吊って亡くなっているのを、弟で同会社専務の六角信雄氏が発見しました。警察は自殺と他殺、両方の可能性を視野に調べを進めています」

(何だって!  信忠社長が?!  自殺するようなタマじゃないだろ!  首吊り?  ……あっ!!)
中西の中で記憶が繋がった。ホームセンターでロープを物色していた園田店長……。昨日の藤原から聞いた、園田店長が社長にぶちギレてた話……。
(まさか……。でも、辻褄が合う。ホームセンターでロープを物色していたのは俺しか知らない。という事は、俺しかこの謎は解けないって事か。必ず真実を見つけてやる、じっちゃんの名に懸けて!)
中西はノリノリだ。もちろん、中西の祖父は特に名のある人物ではない。
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