10番目の同級生

ジャメヴ

文字の大きさ
38 / 72

自殺? 他殺?

しおりを挟む
  中西が会社に着くと社内はプチパニックになっていた。
「知ってる?  社長自殺したって」
「ニュース見た見た。自殺するような人じゃないよな」
「殺されたんじゃないか?  恨みは滅茶苦茶買ってるぜ」
「第一発見者は信雄専務だって、怪しいよな」
「いや、別荘で自殺ならそうなるでしょ?」
「熊谷次長じゃね~の?」
「やめとけ!  熊谷次長のスパイとか2、3人いるかもよ」

(みんな色々推理してるな。だが、本命は園田店長だ!)
  パニック状態でも、業務は開始された。信雄専務がまだ出勤していないので正式な説明も無い。

  中西は10時の休憩に藤原へ電話を掛けた。
「もしもし、お疲れっす」
「おお、お疲れ」
「仕事中ですか?」
「いや、今日も夕勤だ。どうかしたか?」
「信忠社長の件ですよ」
「ああ、亡くなったみたいだな。ニュースで見たよ」
「園田店長と言い争いしてたって言ってましたよね?」
「ああ、ぶちギレてたな。えっ!  まさか、それだけで園田さん疑ってるのか?」
「昨日、ホームセンターで園田店長がロープ物色してたんですよ」
「ロープ?  何に使うんだ?」
「絞めるんですよ……首を!」
「なるほど、お前面白い事言うな」
「いやいや、本気ですよ」
「分かった。この謎は俺が解いてやるよ。じっちゃんの名に懸けて!」
お前のじいちゃん一般人だろ!  と、中西は自分の事を棚にあげて、心の中で突っ込んだ。

  藤原は午後3時の休憩時に店長園田へ話し掛ける。
「園田さん、休みの日とか何されてるんですか?」
「そうだなあ、今、特に趣味とか無いし、何してるって言われるとこれっていうものは無いかなあ」
「昨日とかって何されてました?」
「昨日も特に……。午前中は家でゴロゴロして、午後はちょっと出掛けて、その辺ブラブラしてたかな」
「因みに園田さんって、包丁とかどこで買うんですか?  職人だから家の包丁も良いの使ってるんですか?」
藤原はホームセンターというワードを出さずに誘導する。
「いや、仕事で使う包丁はこだわってるけど、家で使うのは、そんなに気にしていないな。ホームセンターで買ったのを使ってるよ」
「へ~、そうなんですか。ホームセンターとかよく行きます?」
「あんまり行かないかな。昨日、たまたま行ってきたけどね。包丁は買わなかったけど……」
「何買ったんですか?」
「昨日は何買ったかな?  まあ、色々買ったよ」
藤原はロープというワードを出そうと粘る。
「なるほど……テレビとか何見ます?」
「藤原どうした?  今日はよく喋るな」
店長園田は、いつもそんなに喋ってこない藤原がやたら話しかけてくるのに違和感を覚えたような返事をした。それでも藤原は会話を続ける。
「いや、仕事の話はよくしますけど、園田さんのプライベートの事をあんまり知らないなと思って……」
「そうだな、テレビか……まあ、普通にニュースかな。特にスポーツニュースだな。これっていう好きなスポーツがある訳じゃ無いけどね」
「そう言えば、昨日のボクシングの世界戦は見られました?」
「最後の方しか見れなかったんだ。だから結果は知っているよ」
「凄かったですよね。リアルタイムで見ましたよ。何か別の事してたんですか?」
「ちょっと忘れちゃってて、外で作業していたよ。よし、そろそろ行くか」
「あ、もう時間か」
休憩時間が終わってしまった。藤原は先入観からか怪しすぎると感じていた。ロープの件もそうだが、スポーツ好きが視聴率30パーセントを超えるボクシング世界戦を忘れるのは不自然だと……。だが、藤原も見るのを忘れていた事をスッカリ忘れているようだ。とは言うものの、夜の9時過ぎまで外で作業をしていたというのは客観的に見てもあまりに不自然だ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

処理中です...