10番目の同級生

ジャメヴ

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社長信忠殺害実行

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3月31日午後9時
  シアタールームは5人掛けのソファーが1つ置いてあり、映画館を小さくした感じの部屋だ。何も無い真っ白な壁に映像が映し出される。画面は縦3メートル横4メートルぐらい。
  信忠は食べ物も飲み物も持ってきていない。映画鑑賞やスポーツ観戦に、飲食は邪道だと考えているようで、2時間程度ならいつも飲まず食わずだ。
  信孝はシアタールームのサイド扉からゆっくり侵入した。これまで二岡と何度も犯罪をしてきたせいか、初の殺人というのに緊張していないのか、全く震えたりはしない。サイド扉と言っても、ソファーの斜め後ろにあるのでソファーに座って映像を見ていれば視界には入らない。
  信孝が近づいても信忠は全く気付く素振りが無い。音声もやや大きめで映像に集中している。信孝は信忠の背後から、ロープの輪っかを信忠の首に掛けた。
「ん?  ううう……」
信孝は元野球部のエースピッチャーだ。チューブを引っ張るトレーニングをずっと行っていた。全く同じ動きで信忠社長を締め上げる。念押しにもう1度握り直して締め上げる。死んだだろうが、意識が戻る事を警戒し、約1分絞めあげた。信孝は信忠の顔を見る事無く、練習通り自殺工作を遂行した。時刻は9時5分。信孝は車へ急いだ。
  信孝にとって、信忠は母親の違う兄にあたる訳だが、40近く離れており、一緒に生活した事もほとんど無い。兄とは言え、親戚のおじさんのような存在だった。殺した事によって、今までの思い出が甦ってくるような事も無いだろうし、何の感情も抱かないのだろう。

午後8時55分
  信雄は現場についた。
(暗闇に目を慣らせておかなければ……。瞳孔が開いていないと、一ノ瀬に気付くのが遅くなる)
路地を塞ぐ形で待機した。軽トラの左右に1人ぐらいしか通れない狭さだ。
(そろそろ、3分前くらいか?  一ノ瀬がフライングの可能性もある。そろそろ集中しよう)
正面をずっと見る。徐々に先まで見えてきてるような気がする。30メートル、40メートル、50メートル……見える距離が広がっていく。
(距離がないと速度が上がらない。出来れば一撃で轢き殺したい。2度轢くと言い訳がしんどくなる)

(そろそろ9時だな、集中……)
路地は100メートルぐらい続き、それから車が入れない狭さになっているが、その壁がうっすら見えている。集中しているせいもあり、100メートル先まで見えた。 その時!
(見えた!)
帽子とマスクの確認が出来なかったが、マスクをしている様な感じだったので、迷わず急発進!
  違う人だったら止まる事も出来るが、このタイミングでこんな細い路地を走ってくる奴なんかいない。
(躊躇はしない!)
アクセル全開!
  軽トラの振動と極度の緊張で、信雄は後ろから背中を何度も殴られているような感覚に襲われながらハンドルを握る。
  時速20キロと時速60キロが一気に近づく。五木が咄嗟に避けようとするのが目に入ったが……
ドカーン!  キキー!……ドゴ!  ……バラバラバラ……
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