10番目の同級生

ジャメヴ

文字の大きさ
44 / 72

刑事小牧の推理

しおりを挟む
  小牧と日吉の2人は警察署に着き、『炎のティアラ』窃盗事件の防犯カメラを確認しながら小牧が日吉に話す。
「ジュエリー西川の防犯カメラには三男信孝らしき人物が犯行を行っているのが映っているな。時間は午後9時。そして、9時10分頃、信孝らしき男から警察へ電話がある」
「少し時間が経っているのは、轢き逃げを考えたからですかね?」
「どうだろう?  そして、9時20分頃、信孝を逮捕」
「何も問題は無いですね」
小牧と日吉は六角家の別荘の防犯カメラの映像を確認する。一通り見終わると小牧が話す。
「六角家別荘の防犯カメラには、午後8時45分に長男信忠と次男信雄が映っている。信忠の死亡推定時刻は午後8時45分から9時半」
「信雄信孝が午後8時45分に一緒に犯行を行って、青山に向かったらギリギリ間に合わないですかね?」
「そうだな……。それより、何故、この五木浩二という男を轢き殺さなければいけなかったんだ?」
「えっ?!   意図的ですか?!」
「土地勘が無く、袋小路に入ってしまったと言うが、軽トラック1台がギリギリ通れるスペースに迷い込んだ上に、かなりの猛スピードでたまたま居合わせた男を轢いたなんて偶然はあり得ないんじゃないか?  五木が何らかの情報を知っていたから殺されたんだ。五木の交遊関係を探る必要があるな」

4月1日午前9時
「この度は御迷惑お掛けし大変申し訳ありませんでした」
ジュエリー西川の事務所で、信雄は深く頭を下げ、『炎のティアラ』と現金1億円をテーブルの上に置いた。
「御迷惑だと存じますが、金融機関を通すと色々面倒ですので……」
「頭をお上げください。全て弁償してもらって、うちは何も損害が無いので、今回の件は水に流します」
「ありがとうございます」
「今回の件をきっかけに、うちと取引頂ければ幸いです」
「前向きに検討させていただきます。パチンコの目玉景品を宝石にさせていただこうと思います」
「いいですねえ。では、この後も今回の件で色々あり、時間も無いと思いますので、今日は、お引き取り頂いて結構ですので」
「御配慮いただき恐縮です。失礼します」

(西川社長が話の分かる人で良かった。この後、宝石を2、3個買っておけば問題無いだろう)

  信雄が帰った後、西川社長は妻に話す。
「即金で1億円置いていくとは、さすが大物だな。これからも取引がありそうだし、今回の事件は、うちにとって得しか無い」
「雨降って地固まるって、こういう事なのかしらねぇ」

4月1日午後7時
  三橋は同級生全員に、明日の五木の葬式とその後の偲ぶ会の連絡をしていた。次は六角の実家へ電話するようだ。
「もしもし、六角です」
「もしもし、私。信孝さんと中学の同級生の三橋と申します。信孝さんは……」
「ああ、委員長の三橋さん?」
「あっ!  六角君?  そう、覚えてくれてた?  元気にしてる?」
「まあ、それなりに(ホントは警察署で勾留されたりして色々大変だったんだけどな)」
「で、急な話でビックリすると思うんだけど、五木君が交通事故で亡くなっちゃったの」
「何だって?!」
「ニュースで知ってるかも知れないけど、昨日のジュエリー西川の窃盗犯に轢かれたのが五木君なの」
「そ、そんな偶然……」
「そうなの!  ありえないでしょ?  ビックリしたと思うけど、明日の午前11時から葬式で、12時頃から私の実家のカラオケ店貸し切って、五木君を偲ぶ会をしようと考えてるの。どうかな?  行けそう?」
「分かった。何とか行けるようにするよ」
「ありがとう。じゃあ私、他の人にも連絡しないといけないから」
「分かった。連絡ありがとう」
「じゃあまた明日ね」
「じゃあまた」

  信孝は電話を切り、呆然とする。兄信雄が轢き殺した男が同級生の五木だとは夢にも思っていなかった。親友という訳では無かったが、仲の良い友達だった。高校時代の五木との想い出がよみがえったのか、涙が流れていた。◆
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

処理中です...