10番目の同級生

ジャメヴ

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接待

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熊谷社長就任仮決定の2日前
4月3日午前11時

  七瀬はコスモグループ本社1階の受付を先輩に任せて、トイレ休憩に向かっていたところ、熊谷常務に声を掛けられた。
「七瀬さん」
「はい。あ、熊谷常務。お疲れ様です」
「御苦労様、ちょっと急で申し訳無いんだが、今日の夜空いてるかな?  信雄新社長を接待したいんだが……」
「今日は空いています、大丈夫です」
「そうか、ありがとう。もう1人か2人、美女を誘っておいてくれるかな?」
「分かりました。任せてください!」
 七瀬は経験的に美味しい料理を奢ってくれるパターンだと感じたようだ。熊谷は、その近寄りがたい見た目の雰囲気とは逆に、食事会を催す事が多い。会社内の雰囲気を良くしようと考えているのだろう。会社というのは、部署内の親交はあっても違う部署の人とは話す機会が無かったりする。その為、自分の部署さえ良ければどうでも良い、という思考になりがちだ。熊谷は、そういう考えを払拭し、部署間の壁を無くそうと考えていた。
  七瀬は、昼食休憩で先輩、同僚、後輩に声を掛ければ、2,3人掴まるだろうと考えていたようだが、予想に反し、生憎みんな予定有りで1人も行けなかった。七瀬は美女なら誰でもいいなと勝手に判断して、三橋に電話する。
「もしもし?」
「もしもし、三橋さん?  急で申し訳ないんだけど、今日の夜空いてない?」
「急ね?  どうかした?」
「うちの会社の社長さんを接待しないとダメなのよ。どう?  高級料理タダで食べれるよ」
「ごめんなさい、ちょっと今日は、予定が入っていて……」
「そうなんだ、ちょっと急だったもんね。ごめんね」
「こっちこそごめん。また誘って」
「分かった、じゃあまたね」
「は~い」
三橋は急いで九十九に電話する。
「もしもし、三橋さん?」
「もしもし?  九十九さん、七瀬さんから電話あった?」
「いや、無いよ?」
「良かった。今、私に電話があって、コスモグループの新社長六角信雄の接待に来ないかって誘いがあったの」
「で、どうしたの?」
「一ノ瀬君の推理だと、六角信雄が五木くんを意図的に轢き殺した可能性があるって」
「えっ!  どう言う事?  あの、日吉って警察官がミスで言っていたけど、六角君が誤って轢いたんじゃないの?」
「どうも違うって言うのよ。私も詳しくは分からないんだけど、アリバイ偽装だって言っていた。本当は信雄が轢いたんだって。危険だから近寄らない方が良いよ」
「分かった、忠告ありがとう」
「いえいえ、じゃあまた連絡するね」
「うん、バイバイ」
「じゃあね~」

  七瀬は九十九に電話を掛けたが、九十九は三橋と電話中の為、全く繋がらない。七瀬が1人も掴まえる事が出来ないというピンチに陥っていると、逆に九十九から電話が掛かってきた。
「もしもし?」
「もしもし、七瀬さん?  元気してる?」
「九十九さん、良いタイミングね」
「ん?」
「今日の夜空いてない?  うちの社長の接待すれば高級料理がタダで食べれるよ」
「そうなんだ、人見知りであまり喋れないと思うけど、是非御一緒させて」
「ありがとう。トークは私に任せて、美味しいご飯食べていて」
「分かった~」
「じゃあ、6時半にお家に迎えに行くね」
「は~い」
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