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真相
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「いらっしゃいませ」
店員の中年男性と中年女性はとても忙しそうだ。男性店員は60前ぐらいに見えるが髪は真っ黒でフサフサだ。女性店員も同じぐらいの年齢に見える。髪を茶色く染めているが、染まりきっていない白髪が目立つ。夫婦で経営しているのだろうか?
俺がテーブル席に座ると、女性店員がお水を持ってきた。店員が注文を聞く前に俺は伝える。
「ホットミルクティーとモーニングセットで」
「かしこまりました」
「それと、もう1人来ます」
「分かりました」
俺はスマホでニュースを見ながら考えを整理する。『炎のティアラ』窃盗事件と六角信忠首吊り事件、目隠し殺人事件、それに、六角信雄練炭自殺……。
俺はスマホから目を離し、窓から快晴の空を眺めて五木の事を思い出していた。
「お待たせしました」
女性店員がミルクティーとモーニングセット、それと、水の入ったグラスを持ってきた。その時、男性店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえたので、俺は九十九さんもう来たのか早いな、と思い入り口を見ると九十九さんでは無く恰幅の良い中年男性だった。俺がいるテーブル席に1番近いカウンター席に男性は座り、注文するとタバコを吸いだした。俺は、この店禁煙じゃないのか? とビックリした。昨日、今日と連日この店に来ているが、タバコを吸う客が1人もいなかったので、俺は勝手に禁煙だと勘違いしていた。よく見ると灰皿も普通に置いてある。中年男性の距離は1メートル位だったが、店内の空気の流れのせいでタバコの煙がモロに俺の顔にかかってくる。これはさすがにキツいと思い場所を変えようと周りを見渡す。空いているカウンターへ移動しようかと思っていたところ、個室のスーツの男性が足早にレジへ向かっているのが見えた。急用が入ったように見える。ちょうど良かったと俺は店員に声を掛ける。
「すいません、個室へ移動して良いですか?」
「分かりました、片付けます」
男性店員がレジを終えると手際良く食べ終わった食器とコーヒーカップを持っていった。
俺は自分でミルクティーのカップとモーニングセットの皿を持って移動する。そして、水の入ったグラス取りに行き移動させ、個室席に座った。
「いらっしゃいませ」
ホッと一息ついた時に入り口に目をやると九十九さんがやって来た。
「おはよう」「おはよう」
「一ノ瀬君どうしたの?」
「まあ、飲み物とモーニングでも食べようよ」
「そうね、じゃあ……」
九十九さんはゆっくりと俺の前の席に腰掛け、メニューを持つ。茶色い表紙に透明のビニールを被せた古いタイプのメニュー表。長い間使われている為だろう、温度差によりビニール部分がダルダルになり、九十九さんが机から持ち上げる時に、ネチャネチャと音を立てて剥がれた。九十九さんは焦る事無く、ゆっくりとメニューを見定めた。
「ココアとモーニングセットにしようかな」
「すみません」
俺は男性店員に声を掛けた。
「ココアとモーニングセットお願いします」
「かしこまりました」
店員がテーブルの上にある、斜めにカットされた透明の筒から伝票を取り、ボールペンで記入し、戻して立ち去った後、九十九さんは水を1口だけ飲んで話し出す。
「何か困った事あった?」
九十九さんはニッコリ微笑んで言った。もしかすると、三橋さんへの恋愛相談だと思っているのかも知れない。俺は真面目モードだという感じを出し、九十九さんの目を見て話し出す。
「今日、六角信雄が亡くなったってニュース知ってる?」
先入観のせいかも知れないが、心なしか九十九さんの表情が曇ったように見えた。
「うん、今日のトップニュースだよね」
俺は声のボリュームを下げて話を続ける。
「九十九さんは三橋さんから五木を轢いたのは六角信雄じゃないかって聞いたんだよね?」
「ええ、一ノ瀬君の推理なんでしょ?」
九十九さんも少し小さめの声で返した。
「ああ、じゃあ、その前に『炎のティアラ』事件の真相を言うよ」
「真相って……皆が知らない事を一ノ瀬君が知っているの?」
「ああ、俺は真相を知っている。だって『炎のティアラ』を窃盗したのは俺なんだから」
「え?」
全く意味が分からないといった表情の九十九さんに
俺は丁寧に1から真相を伝えた。
店員の中年男性と中年女性はとても忙しそうだ。男性店員は60前ぐらいに見えるが髪は真っ黒でフサフサだ。女性店員も同じぐらいの年齢に見える。髪を茶色く染めているが、染まりきっていない白髪が目立つ。夫婦で経営しているのだろうか?
俺がテーブル席に座ると、女性店員がお水を持ってきた。店員が注文を聞く前に俺は伝える。
「ホットミルクティーとモーニングセットで」
「かしこまりました」
「それと、もう1人来ます」
「分かりました」
俺はスマホでニュースを見ながら考えを整理する。『炎のティアラ』窃盗事件と六角信忠首吊り事件、目隠し殺人事件、それに、六角信雄練炭自殺……。
俺はスマホから目を離し、窓から快晴の空を眺めて五木の事を思い出していた。
「お待たせしました」
女性店員がミルクティーとモーニングセット、それと、水の入ったグラスを持ってきた。その時、男性店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえたので、俺は九十九さんもう来たのか早いな、と思い入り口を見ると九十九さんでは無く恰幅の良い中年男性だった。俺がいるテーブル席に1番近いカウンター席に男性は座り、注文するとタバコを吸いだした。俺は、この店禁煙じゃないのか? とビックリした。昨日、今日と連日この店に来ているが、タバコを吸う客が1人もいなかったので、俺は勝手に禁煙だと勘違いしていた。よく見ると灰皿も普通に置いてある。中年男性の距離は1メートル位だったが、店内の空気の流れのせいでタバコの煙がモロに俺の顔にかかってくる。これはさすがにキツいと思い場所を変えようと周りを見渡す。空いているカウンターへ移動しようかと思っていたところ、個室のスーツの男性が足早にレジへ向かっているのが見えた。急用が入ったように見える。ちょうど良かったと俺は店員に声を掛ける。
「すいません、個室へ移動して良いですか?」
「分かりました、片付けます」
男性店員がレジを終えると手際良く食べ終わった食器とコーヒーカップを持っていった。
俺は自分でミルクティーのカップとモーニングセットの皿を持って移動する。そして、水の入ったグラス取りに行き移動させ、個室席に座った。
「いらっしゃいませ」
ホッと一息ついた時に入り口に目をやると九十九さんがやって来た。
「おはよう」「おはよう」
「一ノ瀬君どうしたの?」
「まあ、飲み物とモーニングでも食べようよ」
「そうね、じゃあ……」
九十九さんはゆっくりと俺の前の席に腰掛け、メニューを持つ。茶色い表紙に透明のビニールを被せた古いタイプのメニュー表。長い間使われている為だろう、温度差によりビニール部分がダルダルになり、九十九さんが机から持ち上げる時に、ネチャネチャと音を立てて剥がれた。九十九さんは焦る事無く、ゆっくりとメニューを見定めた。
「ココアとモーニングセットにしようかな」
「すみません」
俺は男性店員に声を掛けた。
「ココアとモーニングセットお願いします」
「かしこまりました」
店員がテーブルの上にある、斜めにカットされた透明の筒から伝票を取り、ボールペンで記入し、戻して立ち去った後、九十九さんは水を1口だけ飲んで話し出す。
「何か困った事あった?」
九十九さんはニッコリ微笑んで言った。もしかすると、三橋さんへの恋愛相談だと思っているのかも知れない。俺は真面目モードだという感じを出し、九十九さんの目を見て話し出す。
「今日、六角信雄が亡くなったってニュース知ってる?」
先入観のせいかも知れないが、心なしか九十九さんの表情が曇ったように見えた。
「うん、今日のトップニュースだよね」
俺は声のボリュームを下げて話を続ける。
「九十九さんは三橋さんから五木を轢いたのは六角信雄じゃないかって聞いたんだよね?」
「ええ、一ノ瀬君の推理なんでしょ?」
九十九さんも少し小さめの声で返した。
「ああ、じゃあ、その前に『炎のティアラ』事件の真相を言うよ」
「真相って……皆が知らない事を一ノ瀬君が知っているの?」
「ああ、俺は真相を知っている。だって『炎のティアラ』を窃盗したのは俺なんだから」
「え?」
全く意味が分からないといった表情の九十九さんに
俺は丁寧に1から真相を伝えた。
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