70 / 72
真相
しおりを挟む
「いらっしゃいませ」
店員の中年男性と中年女性はとても忙しそうだ。男性店員は60前ぐらいに見えるが髪は真っ黒でフサフサだ。女性店員も同じぐらいの年齢に見える。髪を茶色く染めているが、染まりきっていない白髪が目立つ。夫婦で経営しているのだろうか?
俺がテーブル席に座ると、女性店員がお水を持ってきた。店員が注文を聞く前に俺は伝える。
「ホットミルクティーとモーニングセットで」
「かしこまりました」
「それと、もう1人来ます」
「分かりました」
俺はスマホでニュースを見ながら考えを整理する。『炎のティアラ』窃盗事件と六角信忠首吊り事件、目隠し殺人事件、それに、六角信雄練炭自殺……。
俺はスマホから目を離し、窓から快晴の空を眺めて五木の事を思い出していた。
「お待たせしました」
女性店員がミルクティーとモーニングセット、それと、水の入ったグラスを持ってきた。その時、男性店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえたので、俺は九十九さんもう来たのか早いな、と思い入り口を見ると九十九さんでは無く恰幅の良い中年男性だった。俺がいるテーブル席に1番近いカウンター席に男性は座り、注文するとタバコを吸いだした。俺は、この店禁煙じゃないのか? とビックリした。昨日、今日と連日この店に来ているが、タバコを吸う客が1人もいなかったので、俺は勝手に禁煙だと勘違いしていた。よく見ると灰皿も普通に置いてある。中年男性の距離は1メートル位だったが、店内の空気の流れのせいでタバコの煙がモロに俺の顔にかかってくる。これはさすがにキツいと思い場所を変えようと周りを見渡す。空いているカウンターへ移動しようかと思っていたところ、個室のスーツの男性が足早にレジへ向かっているのが見えた。急用が入ったように見える。ちょうど良かったと俺は店員に声を掛ける。
「すいません、個室へ移動して良いですか?」
「分かりました、片付けます」
男性店員がレジを終えると手際良く食べ終わった食器とコーヒーカップを持っていった。
俺は自分でミルクティーのカップとモーニングセットの皿を持って移動する。そして、水の入ったグラス取りに行き移動させ、個室席に座った。
「いらっしゃいませ」
ホッと一息ついた時に入り口に目をやると九十九さんがやって来た。
「おはよう」「おはよう」
「一ノ瀬君どうしたの?」
「まあ、飲み物とモーニングでも食べようよ」
「そうね、じゃあ……」
九十九さんはゆっくりと俺の前の席に腰掛け、メニューを持つ。茶色い表紙に透明のビニールを被せた古いタイプのメニュー表。長い間使われている為だろう、温度差によりビニール部分がダルダルになり、九十九さんが机から持ち上げる時に、ネチャネチャと音を立てて剥がれた。九十九さんは焦る事無く、ゆっくりとメニューを見定めた。
「ココアとモーニングセットにしようかな」
「すみません」
俺は男性店員に声を掛けた。
「ココアとモーニングセットお願いします」
「かしこまりました」
店員がテーブルの上にある、斜めにカットされた透明の筒から伝票を取り、ボールペンで記入し、戻して立ち去った後、九十九さんは水を1口だけ飲んで話し出す。
「何か困った事あった?」
九十九さんはニッコリ微笑んで言った。もしかすると、三橋さんへの恋愛相談だと思っているのかも知れない。俺は真面目モードだという感じを出し、九十九さんの目を見て話し出す。
「今日、六角信雄が亡くなったってニュース知ってる?」
先入観のせいかも知れないが、心なしか九十九さんの表情が曇ったように見えた。
「うん、今日のトップニュースだよね」
俺は声のボリュームを下げて話を続ける。
「九十九さんは三橋さんから五木を轢いたのは六角信雄じゃないかって聞いたんだよね?」
「ええ、一ノ瀬君の推理なんでしょ?」
九十九さんも少し小さめの声で返した。
「ああ、じゃあ、その前に『炎のティアラ』事件の真相を言うよ」
「真相って……皆が知らない事を一ノ瀬君が知っているの?」
「ああ、俺は真相を知っている。だって『炎のティアラ』を窃盗したのは俺なんだから」
「え?」
全く意味が分からないといった表情の九十九さんに
俺は丁寧に1から真相を伝えた。
店員の中年男性と中年女性はとても忙しそうだ。男性店員は60前ぐらいに見えるが髪は真っ黒でフサフサだ。女性店員も同じぐらいの年齢に見える。髪を茶色く染めているが、染まりきっていない白髪が目立つ。夫婦で経営しているのだろうか?
俺がテーブル席に座ると、女性店員がお水を持ってきた。店員が注文を聞く前に俺は伝える。
「ホットミルクティーとモーニングセットで」
「かしこまりました」
「それと、もう1人来ます」
「分かりました」
俺はスマホでニュースを見ながら考えを整理する。『炎のティアラ』窃盗事件と六角信忠首吊り事件、目隠し殺人事件、それに、六角信雄練炭自殺……。
俺はスマホから目を離し、窓から快晴の空を眺めて五木の事を思い出していた。
「お待たせしました」
女性店員がミルクティーとモーニングセット、それと、水の入ったグラスを持ってきた。その時、男性店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえたので、俺は九十九さんもう来たのか早いな、と思い入り口を見ると九十九さんでは無く恰幅の良い中年男性だった。俺がいるテーブル席に1番近いカウンター席に男性は座り、注文するとタバコを吸いだした。俺は、この店禁煙じゃないのか? とビックリした。昨日、今日と連日この店に来ているが、タバコを吸う客が1人もいなかったので、俺は勝手に禁煙だと勘違いしていた。よく見ると灰皿も普通に置いてある。中年男性の距離は1メートル位だったが、店内の空気の流れのせいでタバコの煙がモロに俺の顔にかかってくる。これはさすがにキツいと思い場所を変えようと周りを見渡す。空いているカウンターへ移動しようかと思っていたところ、個室のスーツの男性が足早にレジへ向かっているのが見えた。急用が入ったように見える。ちょうど良かったと俺は店員に声を掛ける。
「すいません、個室へ移動して良いですか?」
「分かりました、片付けます」
男性店員がレジを終えると手際良く食べ終わった食器とコーヒーカップを持っていった。
俺は自分でミルクティーのカップとモーニングセットの皿を持って移動する。そして、水の入ったグラス取りに行き移動させ、個室席に座った。
「いらっしゃいませ」
ホッと一息ついた時に入り口に目をやると九十九さんがやって来た。
「おはよう」「おはよう」
「一ノ瀬君どうしたの?」
「まあ、飲み物とモーニングでも食べようよ」
「そうね、じゃあ……」
九十九さんはゆっくりと俺の前の席に腰掛け、メニューを持つ。茶色い表紙に透明のビニールを被せた古いタイプのメニュー表。長い間使われている為だろう、温度差によりビニール部分がダルダルになり、九十九さんが机から持ち上げる時に、ネチャネチャと音を立てて剥がれた。九十九さんは焦る事無く、ゆっくりとメニューを見定めた。
「ココアとモーニングセットにしようかな」
「すみません」
俺は男性店員に声を掛けた。
「ココアとモーニングセットお願いします」
「かしこまりました」
店員がテーブルの上にある、斜めにカットされた透明の筒から伝票を取り、ボールペンで記入し、戻して立ち去った後、九十九さんは水を1口だけ飲んで話し出す。
「何か困った事あった?」
九十九さんはニッコリ微笑んで言った。もしかすると、三橋さんへの恋愛相談だと思っているのかも知れない。俺は真面目モードだという感じを出し、九十九さんの目を見て話し出す。
「今日、六角信雄が亡くなったってニュース知ってる?」
先入観のせいかも知れないが、心なしか九十九さんの表情が曇ったように見えた。
「うん、今日のトップニュースだよね」
俺は声のボリュームを下げて話を続ける。
「九十九さんは三橋さんから五木を轢いたのは六角信雄じゃないかって聞いたんだよね?」
「ええ、一ノ瀬君の推理なんでしょ?」
九十九さんも少し小さめの声で返した。
「ああ、じゃあ、その前に『炎のティアラ』事件の真相を言うよ」
「真相って……皆が知らない事を一ノ瀬君が知っているの?」
「ああ、俺は真相を知っている。だって『炎のティアラ』を窃盗したのは俺なんだから」
「え?」
全く意味が分からないといった表情の九十九さんに
俺は丁寧に1から真相を伝えた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる