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横浜七音
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他の参加者が俺に似ている? 確かに、背格好は俺を含めた全員が似ていた。ちょっと話でもして来ようと、俺は部屋を出て鍵を閉めた。すると、ちょうど男性が1人、階段を上って来た。筋肉質で落ち着きのある男性だ。確かに、言われてみれば俺の顔に少し似ている。
「どうですか? 1875って分かりました? あっ、俺、速水って言います」
俺は軽く頭を下げてから言った。彼も会釈をしてから話す。
「ササキです。いやあ、全く分からないね」
「その割には余裕そうですね」
「ああ。2泊3日の無人島生活を満喫してるんだよ。冷凍とは言え、旨そうなご飯があったからな。1億円は諦めてそっちで回収するよ。今晩はローストビーフだな」
「ローストビーフ? 旨そうですね」
「まあ、ストレスが掛かると飯が不味くなるから、食後に1875の謎を考えるとするよ。じゃあ」
筋肉質のササキは俺に背を向けてから、右手を軽く振った。1番奥の部屋のようだ。ササキが部屋に入るのを見届けてから、俺は1階に向かった。
階段を下りたところで、参加者の1人とバッタリ目があった。彼の顔を見て、俺は鏡でも見ているのかと思った。同じ顔だ! そして、彼は驚いた感じで言う。
「もしかして、双六か?!」
「えっ?! まさか・・・七音?!」
「そうだよ! 凄い偶然だな!」
彼は小学校の時の同級生、横浜七音だ。当時から、双子じゃないかと言われるぐらいそっくりで、低学年の頃はよく遊んでいた。当時、俺の家も七音の家も母子家庭で、同じ環境だったからか、ウマがあったのだろう。俺の母親は、その後、直ぐ再婚したけど、七音の家はどうだったんだろう? 高学年になると、クラスが違ったり、クラブが違ったりであまり会う事もなくなった。そして、頭の良かった七音は、有名私立の中学校に通う為、引っ越したのだ。それ以来の再会になる。
「こんなとこで会うなんて・・・。全然変わってないな。声は全然違うけど・・・」
「お互い様だよ。双六も全然変わってない。まあ、声変わりのせいで、喋ると違和感があるけど、子供の頃を思い出すよ」
「七音、何か食べながら近況を話そうか」
「そうだな、ちょっと早いけど小腹も空いたし・・・」
俺達はキッチンに移動した。正面に時計がある。午後6時だ。俺は冷凍庫を覗く。マッチョのササキとの話でローストビーフの口になっている。冷凍のローストビーフとオムライスを手に取り、電子レンジ2台にそれぞれ入れ、スイッチを押した。七音の方は、ハンバーグと鳥飯を食べるようだ。電子レンジは、ちょうど4台ある。
「旨いなこれ。冷凍でも高級品は旨いんだな」
「確かに、ハンバーグも旨い」
ローストビーフなんて、食べる機会が滅多に無いからか、今年1旨いと感じられた。
「七音って大学生?」
「ああ」
「どこ?」
「西京」
「えっ?! 凄いな! 頭良いとは思ってたけど・・・」
「ギリギリ滑り込めたよ」
西京大学は日本で2番目に頭が良いとされている大学だ。俺なんて受ける事すら出来ない。
「双六は?」
「俺は常態大に通ってるんだ」
「そうか。どう? 大学生活は?」
「まあ、楽しんでるよ。友達も出来たし。勉強は全くだけどね、ハハハ」
「おばさんは元気してる?」
「ああ、ピンピンしてるよ。昔から変わってない。七音のお母さんは?」
「ああ、病気もせずに元気だよ」
昔は、七音が俺の家によく来ていたから、七音と母さんはそこそこ話もしていた。俺は七音の家に数回しか行ってないので、七音のお母さんと喋った記憶はほとんど無い。
「そう言えば、双六は今日の他の参加者と喋ったか?」
「ああ。さっき、マッチョのササキって人と喋ったよ。何か余裕ぶっこいてた。諦めたんだってさ」
「そうか。それより他の参加者見たか?」
「見たけど、どうかした? 特に違和感は無かったけど・・・」
「いや、違和感ありまくり! 俺達にそっくりだぞ!」
「そっくり?」
俺はヨツバに言われた事を思い出した。参加者全員が俺に似ているという事を。七音が似ているのは昔から知っていたけど、他の参加者も、となると確かにおかしい。ヨツバが言うように、遠い親戚だから今日集められたという説が有力なのかもしれない。ただ、七音が親戚だという話なんて聞いた事が無い。遠い親戚だから知らないだけなのか?
俺は、七音にヨツバの事を説明しようかという考えが頭を過ったが、時期尚早と思い飲み込んだ。
「まあ、嫌でも会うから楽しみにしときな。まあ、そっくりって言っても、俺と双六程は似てないから」
「へー」
ガチャ
その時、キッチンのドアが開いた。俺と七音は、噂のそっくりさんの誰かが来たと思い、入り口を見る。
ヨツバだ。俺は少しだけガッカリした。ヨツバは会釈をする。七音も会釈をしたので、俺だけしないと変だと思い、俺も遅れて会釈した。ヨツバは冷凍庫から2品を取り、冷蔵庫から飲み物を取ってキッチンを出た。2階の食堂で食べるのだろう。後でヨツバには七音の事を話そう。ヨツバが部屋を出ると、七音は小声で言う。
「彼女知ってる」
「・・・いや、知らない」
俺は、七音にヨツバとチームである事を言うのは時期尚早と考えていたので、咄嗟咄嗟に嘘をついた。
「いや、俺が彼女の事を知ってるって言う事」
「えっ?!」
「彼女の態度からすると、俺の事は知らない感じだな」
「何で知ってるんだ?」
「彼女、西京大だよ」
「えっ?!」
ヨツバは賢いと思っていたけど、まさか西京大生だとは・・・。
「学科が違うから話した事は無いし、すれ違っただけなんだけど、彼女美人だから覚えてる」
「なるほどねぇ・・・」
そう言われればそうだ。あれだけの美女なら、一目見ただけで覚えていてもおかしくない。まあ、言われて意識しているからかもしれないけど、ヨツバも俺の顔に似ているような気がしてきた。もしかして、他の参加者も西京大生? いや、そもそも俺が西京大生じゃないしな。
俺はローストビーフを1枚口に入れて、食べながら本題を話す。
「そう言えば、七音は1875の意味は分かったのか?」
「ああ、俺なりのアプローチはある」
「それは、少し分かった部分もあるって事か?」
「そうだな、その辺は食後に風呂にでも入って話そうか。あまり聞かれたくも無いしな」
「分かった」
俺はそう言って、ローストビーフをもう1枚頬張った。
「どうですか? 1875って分かりました? あっ、俺、速水って言います」
俺は軽く頭を下げてから言った。彼も会釈をしてから話す。
「ササキです。いやあ、全く分からないね」
「その割には余裕そうですね」
「ああ。2泊3日の無人島生活を満喫してるんだよ。冷凍とは言え、旨そうなご飯があったからな。1億円は諦めてそっちで回収するよ。今晩はローストビーフだな」
「ローストビーフ? 旨そうですね」
「まあ、ストレスが掛かると飯が不味くなるから、食後に1875の謎を考えるとするよ。じゃあ」
筋肉質のササキは俺に背を向けてから、右手を軽く振った。1番奥の部屋のようだ。ササキが部屋に入るのを見届けてから、俺は1階に向かった。
階段を下りたところで、参加者の1人とバッタリ目があった。彼の顔を見て、俺は鏡でも見ているのかと思った。同じ顔だ! そして、彼は驚いた感じで言う。
「もしかして、双六か?!」
「えっ?! まさか・・・七音?!」
「そうだよ! 凄い偶然だな!」
彼は小学校の時の同級生、横浜七音だ。当時から、双子じゃないかと言われるぐらいそっくりで、低学年の頃はよく遊んでいた。当時、俺の家も七音の家も母子家庭で、同じ環境だったからか、ウマがあったのだろう。俺の母親は、その後、直ぐ再婚したけど、七音の家はどうだったんだろう? 高学年になると、クラスが違ったり、クラブが違ったりであまり会う事もなくなった。そして、頭の良かった七音は、有名私立の中学校に通う為、引っ越したのだ。それ以来の再会になる。
「こんなとこで会うなんて・・・。全然変わってないな。声は全然違うけど・・・」
「お互い様だよ。双六も全然変わってない。まあ、声変わりのせいで、喋ると違和感があるけど、子供の頃を思い出すよ」
「七音、何か食べながら近況を話そうか」
「そうだな、ちょっと早いけど小腹も空いたし・・・」
俺達はキッチンに移動した。正面に時計がある。午後6時だ。俺は冷凍庫を覗く。マッチョのササキとの話でローストビーフの口になっている。冷凍のローストビーフとオムライスを手に取り、電子レンジ2台にそれぞれ入れ、スイッチを押した。七音の方は、ハンバーグと鳥飯を食べるようだ。電子レンジは、ちょうど4台ある。
「旨いなこれ。冷凍でも高級品は旨いんだな」
「確かに、ハンバーグも旨い」
ローストビーフなんて、食べる機会が滅多に無いからか、今年1旨いと感じられた。
「七音って大学生?」
「ああ」
「どこ?」
「西京」
「えっ?! 凄いな! 頭良いとは思ってたけど・・・」
「ギリギリ滑り込めたよ」
西京大学は日本で2番目に頭が良いとされている大学だ。俺なんて受ける事すら出来ない。
「双六は?」
「俺は常態大に通ってるんだ」
「そうか。どう? 大学生活は?」
「まあ、楽しんでるよ。友達も出来たし。勉強は全くだけどね、ハハハ」
「おばさんは元気してる?」
「ああ、ピンピンしてるよ。昔から変わってない。七音のお母さんは?」
「ああ、病気もせずに元気だよ」
昔は、七音が俺の家によく来ていたから、七音と母さんはそこそこ話もしていた。俺は七音の家に数回しか行ってないので、七音のお母さんと喋った記憶はほとんど無い。
「そう言えば、双六は今日の他の参加者と喋ったか?」
「ああ。さっき、マッチョのササキって人と喋ったよ。何か余裕ぶっこいてた。諦めたんだってさ」
「そうか。それより他の参加者見たか?」
「見たけど、どうかした? 特に違和感は無かったけど・・・」
「いや、違和感ありまくり! 俺達にそっくりだぞ!」
「そっくり?」
俺はヨツバに言われた事を思い出した。参加者全員が俺に似ているという事を。七音が似ているのは昔から知っていたけど、他の参加者も、となると確かにおかしい。ヨツバが言うように、遠い親戚だから今日集められたという説が有力なのかもしれない。ただ、七音が親戚だという話なんて聞いた事が無い。遠い親戚だから知らないだけなのか?
俺は、七音にヨツバの事を説明しようかという考えが頭を過ったが、時期尚早と思い飲み込んだ。
「まあ、嫌でも会うから楽しみにしときな。まあ、そっくりって言っても、俺と双六程は似てないから」
「へー」
ガチャ
その時、キッチンのドアが開いた。俺と七音は、噂のそっくりさんの誰かが来たと思い、入り口を見る。
ヨツバだ。俺は少しだけガッカリした。ヨツバは会釈をする。七音も会釈をしたので、俺だけしないと変だと思い、俺も遅れて会釈した。ヨツバは冷凍庫から2品を取り、冷蔵庫から飲み物を取ってキッチンを出た。2階の食堂で食べるのだろう。後でヨツバには七音の事を話そう。ヨツバが部屋を出ると、七音は小声で言う。
「彼女知ってる」
「・・・いや、知らない」
俺は、七音にヨツバとチームである事を言うのは時期尚早と考えていたので、咄嗟咄嗟に嘘をついた。
「いや、俺が彼女の事を知ってるって言う事」
「えっ?!」
「彼女の態度からすると、俺の事は知らない感じだな」
「何で知ってるんだ?」
「彼女、西京大だよ」
「えっ?!」
ヨツバは賢いと思っていたけど、まさか西京大生だとは・・・。
「学科が違うから話した事は無いし、すれ違っただけなんだけど、彼女美人だから覚えてる」
「なるほどねぇ・・・」
そう言われればそうだ。あれだけの美女なら、一目見ただけで覚えていてもおかしくない。まあ、言われて意識しているからかもしれないけど、ヨツバも俺の顔に似ているような気がしてきた。もしかして、他の参加者も西京大生? いや、そもそも俺が西京大生じゃないしな。
俺はローストビーフを1枚口に入れて、食べながら本題を話す。
「そう言えば、七音は1875の意味は分かったのか?」
「ああ、俺なりのアプローチはある」
「それは、少し分かった部分もあるって事か?」
「そうだな、その辺は食後に風呂にでも入って話そうか。あまり聞かれたくも無いしな」
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俺はそう言って、ローストビーフをもう1枚頬張った。
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