嫉妬が憧憬に変わる時

ジャメヴ

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郷原

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■3年前……
  永遠の出身中学のある数学男性教員は授業の指導の良さに定評があり、生徒からも人気があった。だが、その性格の優しさ故に、苦手とする分野が2つあった。それは、不良への対応とイジメの問題だ。その年も、担任を務める2年2組に札付きの不良、郷原が居た。そう、後の吉谷高校柔道部エース、郷原だ。郷原は成績も悪く、他校と揉め事を起こしたり、タバコも隠れて吸っている様で、ほとほと困っていたのだが、1点だけ素晴らしいところがあった。それはイジメを許さないという事だった。中学時代であれば、イジメと呼ばれないぐらいのイタズラや仲間外れなどは良くある。それがエスカレートするとイジメになってしまう。ただ、郷原はその前段階から許さない。郷原に怒られるという恐怖心で抑え込んでしまうのだ。郷原は何故イジメを許さないのか?  正義感が強い……訳は無い。小学生の頃に自分がイジメをしていて、それを止めさそうとした同級生と揉めた後、ボコボコにされトラウマになった苦い想い出があるからだ。そう、その相手が刹那だった。郷原はそれ以来、イジメを絶対に許さないようになった。これは郷原がプライドを保持する為、無意識に行なっているのだが、実は人間心理的に、嫌な想い出を忘れるのには真逆の行動なのである。この行動により、郷原は自分がイジメをしていて、刹那にボコボコにされた記憶が強く残ってしまう事になる。その為、郷原は高校生になっても、イジメに対して過剰な反応をしたのだった。
  郷原は刹那にやられてから、空手を始めていた。刹那に仕返しをする為とかでは無く、自分の精神を鍛え直す為に。そう、中学卒業まで郷原は空手をしていたのだ。だから、柔道部にも拘わらず、先輩を殴るという行動をとったのだった。■

  俺は1年生の間、2部リーグに残留するのがやっとで、1部に上がる事無く3年生が引退した。3年生が引退しても1部リーグには上がれなかった。俺は2年生になり、100人程の新入部員が入ってきて、半分以上が辞めさせられる頃になってもまだ1部リーグには上がれない。
  その年のインターハイでは、エース郷原さんの活躍が際立った。郷原さんは180ぐらいの身長がありながら、柔道部にしては細身の体型だ。73キロ以下級ながらチームの大黒柱になっている。さらに、2年生の層の厚さで、吉谷高校柔道部創部以来最高となる、全国大会ベスト8という快挙を成し遂げた。さらに、エース郷原さんは個人戦全国準優勝という華々しい成績を収めた。
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