嫉妬が憧憬に変わる時

ジャメヴ

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王の行方

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  俺は背の低い男の事をどうも好きになれない。多分、向こうも俺の事を嫌っている。いや、嫌っているというより避けられている。俺とペアじゃなくて良かった。いや、逆に、あの男も監視できるという意味でペアの方が良かったか?  俺が見ていない時に何か盗みを働くかも知れない。この館にも高級品が沢山あるからな。まあ、黒髪パーマとペアで良かったかな。下痢止めは無駄に終わったけど。あっ!  しまった!  俺は何て事を……。

  俺は自分のしたミスに遅ればせながら気付いた。黒髪パーマの男がトイレに行っている時、俺は下痢止めの薬を取りに自分の部屋に戻ってしまった。その時、王の部屋のドアの監視はゼロだ。1分程度だったけど、監視者として失格だ。その時に王の部屋のドアが開けられてたら大問題だ。
  後悔先に立たず。俺は反省しながら監視を続けた。

午前8時半
ガチャ……バタン
  ロマンスグレーの髪の執事が部屋から出て来た。
「おはようございます。監視お疲れ様です」
「おはようございます」
黒髪パーマの男も会釈をする。
コンコンコン
  ロマンスグレーの髪の執事は王の部屋のドアをノックした。
「失礼します」
ガチャ……バタン
  ロマンスグレーの髪の執事が部屋に入っていく。

  そう言えば、王は部屋を1歩も出ていないんじゃないのか?  俺が部屋に入っている時に出てきている可能性もあるけど……。まあ、体調不良なら普通か?  そもそも、あの部屋にはトイレから何から全部揃っているだろうし、出る必要が無いな。

ガチャン!
  ロマンスグレーの髪の執事が勢いよくドアを開けて言った。
「いません!  王がいません!」

  何だって?!

  俺よりも早く、黒髪パーマの男が王の部屋へ入る。そして、ロマンスグレーの髪の執事に質問する。
「トイレは見ましたか?」
「見ましたがいません!」
俺も部屋に入った。当たり前だけど、やたら広い部屋だ。40畳ぐらいか?  そう考えると、ドアを開けた位置にベッドがあるのは変な気がする。部屋にトイレも風呂も冷蔵庫もある。だけど、王はどこにもいない。ロマンスグレーの髪の執事が言っていたように、窓は防弾シャッターらしき物で閉められていて誰かが侵入したような形跡は無い。茶髪の男と丸刈りの男は監視の後からずっと起きていたようで、慌ただしい雰囲気を感じて、部屋から駆けつけた。
「どうしました?」
「王がどこにもいないんです!」

  その後、皆で、背の低い男、色黒の男を起こし、色黒の男の部屋の前で俺は話す。
「そもそも、王が部屋を出たのを見た人はいるんですか?」
全員、顔を見合わす。
「王は昨日、体調が優れない様でしたので、ずっと横になっていましたから……」
ロマンスグレーの髪の執事が話した。他のメンバーは喋らないけど見ていないという雰囲気だ。続けて俺は質問する。
「秘密の抜け穴みたいなのが有るんですか?」
「いや、そんなのは無い筈ですが……」
「あの部屋はどうなっているんですか?」
俺は2階の真ん中の部屋を指差した。当然気になるところだ。ロマンスグレーの髪の執事が答える。
「皆さんの部屋と同じで客室です。今回は使っていませんが……。中を見ますか?  特に鍵も掛けていません」
全員で2階の真ん中の部屋へ移動する。真ん中の部屋は1度も開いて無いような気がする。王の部屋を監視していたら、自然と目に入る位置にある。
ガチャ
  ロマンスグレーの髪の執事がドアを押し開けた。が、途中で何かに引っ掛かっているようで、少ししか開かない。
「あれ?  ん?  何かある」
ロマンスグレーの髪の執事は少しの隙間から部屋の中に入った。
「うわああああ!!!」
「!!」
ロマンスグレーの髪の執事は狭い隙間から出て来て尻もちをついた。俺は、ただ事では無いと感じ、最悪の状況が頭を過った。
「どうしました?!」
俺はロマンスグレーの髪の執事に問いかけた。
「王が!  ……王が!」
黒髪パーマの男が1番に部屋へ入った。俺も続いて入る。

  うっ!

  衝撃!  死んでいる……。俺は思わず目を逸らした。金髪の老人が目を見開いて、苦悶の表情で息絶えていた。
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