嫉妬が憧憬に変わる時

ジャメヴ

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最有力人物は……

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「死んでるな。警察へ電話を!」
黒髪パーマの男は冷静に言った。今、スマホを持っているのはロマンスグレーの髪の執事だけのようだ。ロマンスグレーの髪の執事は冷静さを欠いている様子ながら警察へ電話を掛けている。そして、全員が部屋を物色し始めた。
「触るなよ!  現場げんじょう現場保存が優先だ!」
黒髪パーマの男が叫んだ。さすがは西大生。少し落ち着いてきた俺も出来るだけ動かずに状況だけ把握する。
  王と見られる男性は口をテープでぐるぐる巻きにされ、両手両足を縛られた上、空気を入れて膨らますタイプの椅子に座り、椅子ごとロープでぐるぐる巻きにされている。ドアを背中にして、ドアの近くに座っていたので、ドアが途中までしか開かない。トレードマークの金色の長髪が邪魔をして少し分かりづらいけど、覗き込んで見ると首にアザが出来ている様だ。恐らく、ロープか何かで絞殺されたのだろう。どう考えても自殺では無い。そして、この部屋も消臭剤が4つ置いてある。後はロープの切れ端が幾つか落ちている。王を縛った余りを切ったのか?  このロープで絞殺するには少し短い様な気がする。それぐらいか?  部屋の中は特に変わった様子も無い。俺の部屋と同じだ。秘密の抜け穴があるかも知れないけど、パッと見では分からない。
  俺は窓から侵入の跡が無いかを確認する。窓の鍵は閉まっている。外部から侵入された形跡は無い。抜け穴って言っても、大掛かりな仕掛けだったら、部外者には分からない。
  10分程部屋を物色した後、部屋の外へ出た。すると、丸刈りの男が1階を覗き込んでいる。何してるんだろうと、俺は丸刈りの男の行動を不思議に思いながら、王の部屋と2階の真ん中の部屋が見れる、玄関フロアへ移動して考える。

  2階の真ん中の部屋のドアに鍵は掛かっていなかったけど、誰も開けた形跡が無い。一般的に言う密室殺人なのか?  普通に考えれば、執事さんが1番怪しい。王の部屋に入ったのは彼だけなのだから。だけど、明らかに違う。ガリガリの老人では、人間1人を2階へ上げるのは大変だし、必ず監視している人がいるのだから不可能だ。そうなると黒髪パーマ以外のどちらかのペアが最有力だ。背の低い男と色黒の男ペアか、茶髪の男と丸刈りの男ペアか……。待てよ……黒髪パーマはトイレに行くと言って、10分程見ていない。だからと言って、その時に、王の部屋も2階の真ん中の部屋も開いていない。う~ん……犯行時刻は0時10分から5時半までか?  ……いや、執事さんが関わっているなら、0時の時点で既に王は王の部屋に居なかった可能性がある。

  すると、丸刈りの男が下りてきて王の部屋のドア付近を触る。ドアを開けて、また触る。現場保存って言われているのに触ったら駄目だろ、と注意しようとした時、満足したのか丸刈りの男はその場を離れた。
  警察は、いつ来るんだろうか?  山奥で雪も降っていたし、1時間以上掛かるのかも知れない。警察が来て確認するのはアリバイだろう。一応ずっと2人体制で監視したんだからアリバイは全員あるって事になるのだろう。ええっと……いや、1人だけアリバイが無い奴がいる。

  それは……俺じゃないか!
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