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籠る※
しおりを挟むできることなら、蓮に負担はかけたくなかった。
苦無、手裏剣、刀。これは全て蓮の暗殺道具だ。それらを置いていくことで瘴気を減らした。しかし、結局は蓮の元に戻ってくる。瘴気も何倍にも膨れ上がり持ち主であった蓮に戻った。
蓮は抑えきれない瘴気にやられて寝込んだ。蓮の中にある禍々しい瘴気に、七生ですら近寄れない。
宵藍は言葉少なく、火焔、氷雨、紫水に「あとは任せた」とだけ言って奥院へと籠った。
「あ、ぅ、きゃ、う、ん」
すでに、宵藍の気を何度も受け入れて柔らかくなっていたが、まだ足りないというように腰を動かして奥へと擦り付ける。
「しょうら、ん、しょうらん、くるしい、こわい」
「我が側にいる。我の声は聞こえるだろう?」
「ん、きこえ、りゅ、ぁっは、もっと、ちかくが、いい」
たっぷりと混ざり合い、口付け合った。しどけなく綻んだ身体は美味で、何度も気を欲しがる蓮は愛らしい。
「瘴気がなくなるまで、こうしてやろう。お前が苦しむことがないよう、我が昇華する。少し時間はかかるだろうがな」
「いく、いく、また濡れ、やぁっっ」
「我慢する必要はない。恥じることもない。我以外はおらぬ。2人だけだ」
「ふ、っく……おなか、いっぱいで、くるし」
「すまない、少しずつがいいのだったな」
「口ほし」
口づけをねだり、舌をねだり、腰を動かして、また気をねだった。
「拙の、なか、すごい」
「あぁ、上手だ」
「これ、孕む?」
「…………そういうのは好まないと思っていたが」
「宵藍なら、好きにしていいよ?」
「そうか。なら、まずは昇華してからだ」
「ん、たくさん、気をもらう。拙の気もあげる」
「そうだ。良い子だ」
「拙、ほめられた」
きゅうきゅうと気を搾り取りながら、ふふふと笑う。理性が緩み、性格が幼児化しているのは面白い。一番楽な時代の精神がこれなのだろう。何も考えずに、ただただ享受するだけだ。
少し経てば何をしても嫌がるようになる。
「も、やだ、つかれたの」
「そうか。そうは見えないが。ちゃんとここは食いついてる」
「だって、それ、ばっかり」
仕方がないと抜いてやれば、逃げ出そうとしたが腰が立たず転けた。
宵藍が宙に浮かして捕獲する。
「蓮は何が良い?」
「どれもいや」
「そうか」
「いや!」
「そうか」
頬をくすぐってやれば、ふふふと笑い始める。
眼を覗くと、宵藍を真っ直ぐに見る。眼は正直だ。
宵藍の口に口づけして、舌で舐める。口の中で舌を探して絡ませて、笑う。最初は遊びだったそれが、徐々に角度を変えて深いものになっていくと、己の雄を擦り始めた。勃ち上がりはするが、そこではもうほとんど達かないはずで、涙を流して蜜壷に手をやった。
「いきたいのに、いけない」
「我に乗るか?」
「ん、のる」
あまり自分の良い所には当てられないようで、蜜を垂らしながら困っている。
「拙、おく、ついて」
「承知した」
結局、泣きながら懇願された。
「宵藍、聞いてる?拙、こういうの好きじゃないんだってば」
多分これは、自分と会った頃の蓮だと思った。
「ねえさんもにいさんも、というかみんなこういうこと、よくしてるけど、何が良いかわからない」
「ふむ」
「ヤクと酒で頭ぶっ飛んでるから、何やってるかもわかってないかもだけど」
「そうか」
「宵藍、ねぇ、気持ちいの?これ」
「悪くはない」
「えー」
蓮は宵藍の雄を握り、指で扱っていた。好きではないというわりには興味はあるようだった。
「宵藍のじゃなきゃ、絶対やらないんだからね」
「そうか」
「ん。口でする?」
「好きにしろ」
「ん」
蓮の口の中は熱い。舌を使い、指で遊ぶ。
「物好きだな」
「気持ち良くない?やっぱりねえさんにコツ聞いておけばよかった」
「………………」
おかしなところで負けず嫌いだ。
「良くないわけが、ない」
誉めてやれば、嬉しそうに頬を緩ませた。
「………………どんだけ、やったの?」
時間が経てば精神が現在に追いついた。起きている間は常に交わって気を与えていた。夜もぴったりと寄り添い離れることはない。寝台は清潔で、肌触りの良い衣をまとっていたが、身体の満足感からして、ずっとこうしていたのだろうということはわかった。
今も足が開きっぱなしで、体温が同じなのだ。
「教えてやってもいいが、後悔すると思う」
「聞かない。いまは良い」
そう答えれば、宵藍がふっと笑ったので、蓮が目を丸くした。
「宵藍って笑うの」
「我をなんだと思っているんだ」
体制を変えて、蓮を上にしてやる。腰を浮かそうとしたがうまく力が入らず奥を貫いてしまい、きゃんと鳴いた。
「なに、これ」
「?」
「いや、あの、ずっと、すごい」
「何も伝わらん」
「言わなきゃだめ?」
「好きにしろ」
「ん、する」
慎重に、奥に宵藍の雄を当てて確かめるように腰を動かす。元来探究心はあるが、こうも発揮されると卑猥だった。
奥のある一点が気に入ったのか、そこに自ら擦り付けた。
「宵藍」
絶頂している眼で覗かれて、宵藍もそこに射精した。大きく息を吐く。
「でるの、止まらない」
蓮の雄から、勢いのない蜜がとろとろと溢れてる。宵藍は前の方はほとんど触れてこなかったせいもあるのかもしれない。時間をかけて出し切るまで絶頂しており。その間後ろで宵藍のを搾っていた。
腹を摩ってどの辺まであるかを確認するように押しつぶし、そのまま横に倒れて、這うように抜く。匍匐前進して、そのまま微動だにしなくなった。
「抜いたのに、入ってる感じがする」
「そうか」
「そうか、じゃない。拙、動けないから起こして」
宵藍の膝上に乗せてもらい、啄むように口付けてくる。
「宵藍、宵藍、拙、ほんとはこんなこと言いたくないんだけど」
蓮は遠くの方を見ながらボソボソと言い始めたので宵藍は「なんだ?」と大真面目に尋ねた。
「…………胸が、なんか、張ってる?んだよね」
「あぁ」
「あぁ、じゃなくて。――どうするのこれ」
触ってと言わんばかりにピンと立っている乳首に口付けた。
「――――3年?」
膝に座っていた子ウサギはすっかり大きくなり、2年前に生まれた青い髪の子ウサギが蓮の膝を占領していた。
宝凛は身長が伸びてあどけなさが抜け、美人になり、七生は全く変わらないがどっしり構えているようだった。
「そう、3年だ。オマエと大将が奥に籠って3年。まぁ、あんま変わんねぇよ」
「あぁ、そう、拙、3年もずっと宵藍と一緒だったんだ」
「おかげで瘴気は抜けたようだからよかったじゃねぇか」
「瘴気に関してはほとんど覚えてないよ。身体がすっごい怠いなーくらい」
「大将に感謝しろよオマエ」
のんびり話をしているところにバンと襖が開く。
「蓮。ぼくの言いつけ忘れたのか?」
「宝凛。忘れては、いないと思うよ」
守ってないだけで、というのは口にしない。
「冷たいものは飲まない!ガキを膝の上に乗せない!間食禁止!七生!お前も見てるだけじゃなくてなとか言え!」
「ウルセェ。そんな神経質にならなくったって大丈夫だろ。お前も来いよ。蓮に話したいことが色々あるだろ?」
七生にそう言われればずかずかと部屋に入ってきてぽふんと隣に座った。素直な様子が可愛いので蓮はにこにこした。
「お前らは、ぼくのところに来い」
子ウサギははぁいと素直に宝凛に抱きついた。
「ウルセェのに、何故かガキに好かれるんだよな」
七生が茶々入れると、七生の尻尾を掴んで握る。
「テメェ!それはするな!」
「フン」
「変わらないね。落ち着く」
七生が尻尾をくるんと巻いて撫でるのを横目で見てから、顔を背ける宝凛は、子ウサギに「仲良くしないとメ!」と怒られてる。流石に怒鳴ったりはしないらしく、スルーしていた。
「ぼくは、首席で見習いを卒業した。もう一人前だ。宝家の仙人なことは変わりないが、やりたいことがあるから今はハクノの所で研究調査してる」
「やりたいこと?」
七生がにやにや笑いながら答える。
「瘴気の研究」
「おまえは黙ってろ。――ぼくには戦いは向いてない。でも、頭は良い。治癒ならできる。だから瘴気に関してもどうにかしてみせる。お前の場合はたまたま大師父がいたから助かった。助からない奴はたくさんいる」
七生はぼんやり聞いているが、尻尾が嬉しそうに揺れた。
「だから、出来る限りで良い。協力してほしい」
蓮は「もちろん」と答えた。
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