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「魔法」
それは、誰もが使えるものではなく。
絵空事でしかないという国がほとんどだ。
けれど、現実の問題として、使われる国もあれば、異端と差別、迫害される国もある。
「私たちの中で、『魔法』は持って生まれた能力、あついは、鍛えて力を得た能力の一つです。ただ、どうしても、みなさまが使えるものではないので、この国では、口伝として伝わっているものがほとんどです。けれど、やはり能力者もいますし、未知へのあこがれもあります故、図書館もございますし、訓練場もございます。悪用されましたら、それこそ罰せないほどのものもございます。証拠を残さないように魔法を応用する者もおります。なので、管理をすべきものとの判断。通称『魔法局省』その局長代理を不肖の息子、晟雅が務めております」
だから、今回の一件で晟雅が動いたのだと、王妃はいった。
「ただ、ツィスニル国では、魔法を現実として考えていないのが、事実」
「だから、個人的にタカを呼んだ、ということですか?」
王妃も王女も、首を縦に振る。
「あたしは、タカの能力をはっきり言ってよく理解できてないけど、兄さんにも壊せないとなるともう、国外を頼るしかない、って感じだったからね」
「この国での一番の能力者は、晟雅王子なんですか?」
王妃は、困ったように眉を寄せた。
「そう、ですね。自分の能力を知らない能力者もいますから、一概にそうだと断定はできないところもありますし、やはり、こちらの都合ですので、王宮にたてつくような人間に頼むことはできません。まして、こちらの不祥事として持ち上げられても困りますからね」
「クレオード国王陛下は?」
「え、っと………」
「申し訳ございません。機密事項なので。それ以上は」
「………?」
歯切れの悪さに、ヤナは首を傾げた。ただ、ヤナ自身、王が魔力があろうがなかろうが興味がないので、深く追求する気はなかった。
「一応、簡単な説明としては以上です。ほかに何か聞きたいことは?」
ヤナは首を傾げて、考えた。
えー、と………とと言いかけて。
「根本的なことは分かりました。ちなみに、これは単なる興味なので、お答えいただけなければ、仕方ないかと思うのですが」
なんでしょう?と、王妃が尋ねた。
「あなた方が得意なのは、何の魔法ですか?」
ああ、そうでしたね。彼女はそう言って、手を握る。
手を開いた瞬間に、真っ赤な炎が灯った。
「私は、晟雅と同じ、『炎』」
ごうごうと響く、炎を手のひらを握れば瞬時に、消えた。
「もう一つは、言霊や、占いですね」
はい、はーい、と霄が続く。
「あたしは、ハートゥと同じ、占いと、言霊、『音」かな」
「音?」
「うん、音と一緒に、言霊を強くするんだよ。言霊は、言った言葉に力を宿すってかんじ?かな~」
えーと、そうだなぁ、と霄は周囲を見渡し、籠を指さした。
「そこにあるクッキーにご注目!」
「は?」
「まぁまぁ、みてて☆」
霄に言われた通り、とりあえず籠を見る。
『一、浮け!』
クッキーがぴょこん、と宙を浮いた。
「えっ!?」
『移動!』
しゅるしゅる、クッキーが三人の周りを移動する。
『回転!』
三人の周りをくるくると、回り始めた。
ぱちん、と音が響いた。
ハートゥが、クッキーに宙に手をかざす。
『そは、ヤナの元へ』
クッキーは、ヤナの目の前で宙に浮かんだままとまった。
「どうぞ、お召し上がりください。ヤナ」
ぽかん、としていたヤナだったが、はっとして、クッキーを受け取った。
「あ゛――――!!」
「うるさいですよ、王女」
「いいとことったぁー!!!」
「っていうか、クッキー振り回してどうするんですか」
ため息交じりにそう言えば、霄は唇をとがらしてぷんぷん怒っている。
さてと、とハートゥが席を立った。
「ん?」
霄は、首を傾げる。
「ヤナ殿は、タカのために何がしたいです?」
さぐる瞳に、ヤナはまっすぐよどみのない瞳で答えた。
「私にできることが、何かはわからないから。どのように、魔法がつかわれているか。元来持っている力が必要だというのなら、私はその力でタカを護ることはできない。だけど、今まで以上に、彼に役立つ方法を、私は考えてる。帰る場所は大事だけど、私は、タカのそばで一緒に戦いたい」
ハートゥは、自然と笑っていた。
よどみなく、まっすぐな瞳と、言の葉に。
そして。
「私にできる最大限のことをあなたへ。しばし、おまちを」
そういって、彼女は席を外し、戻ってきた彼女の手には、小さな袋が握られていた。
「? それは?」
ハートゥは、その袋を開き、机に転がした。
ころころとそれは、ころがり。
「………いし?」
「ええ。私の得意分野ですよ。この先の未来は、「占い」だけで決まるものではありませんが。あなたに一番適した方法を考えさせてください。あなたの素質をみたいのもありますし、わたには、これが一番、やりやすいのです」
からん、ころん。
じゃらじゃらと石をころがし、ヤナに促す。
ばらばらの大きさの石。
ただ、丸みを帯びているのだけは一緒だった。
「この石には、文字があるわけではないので。あなたからすると、何をしているのかと思うでしょう。わたしも、この子たちの声が聞こえな変えれば、そう思うでしょうし」
「声?」
「私は、そういっています。タロットみたいな、カード占いはご存知ですか?」
「はい。ただ……、占いは現実とは違うので、勇気はもらいますけど、現実とイコールで考えられないのはあります」
「ふふ、現実的ですね。私もそう思いますよ」
「? 得意分野なのに?」
「確かに、得意だと自負しています。けれど、占いは先の道しるべにはなりますが、その選択を選ぶのはいつでも、当事者であり、カードや石、占いは手助けの一つです。幾重にも分かれた選択肢、最善をお話しはしますが、それが現実になるかどうかはその人次第です。本当に魔力の強い人は、占ったこと自体に力が生じ、その人の未来を変えるだけの力を持っているといいます」
数十ある石を、平らにならしたところで、ハートゥは手を止めた。
「この中で、あなたが気になる石を選んでください」
宝石のようなキラキラした石もあれば、原石のようないしもある。
ヤナは気になる石を、手に転がして考えた。
「これかな」
そういって、選んだ石をハートゥへさしだす。
その石は黒っぽい、どこにでもおちていそうな石だった。
頷いて、受け取ったハートゥは、石とヤナを見比べ、優しく微笑んだ。
「あなたに、案内したいところがあります」
それは、誰もが使えるものではなく。
絵空事でしかないという国がほとんどだ。
けれど、現実の問題として、使われる国もあれば、異端と差別、迫害される国もある。
「私たちの中で、『魔法』は持って生まれた能力、あついは、鍛えて力を得た能力の一つです。ただ、どうしても、みなさまが使えるものではないので、この国では、口伝として伝わっているものがほとんどです。けれど、やはり能力者もいますし、未知へのあこがれもあります故、図書館もございますし、訓練場もございます。悪用されましたら、それこそ罰せないほどのものもございます。証拠を残さないように魔法を応用する者もおります。なので、管理をすべきものとの判断。通称『魔法局省』その局長代理を不肖の息子、晟雅が務めております」
だから、今回の一件で晟雅が動いたのだと、王妃はいった。
「ただ、ツィスニル国では、魔法を現実として考えていないのが、事実」
「だから、個人的にタカを呼んだ、ということですか?」
王妃も王女も、首を縦に振る。
「あたしは、タカの能力をはっきり言ってよく理解できてないけど、兄さんにも壊せないとなるともう、国外を頼るしかない、って感じだったからね」
「この国での一番の能力者は、晟雅王子なんですか?」
王妃は、困ったように眉を寄せた。
「そう、ですね。自分の能力を知らない能力者もいますから、一概にそうだと断定はできないところもありますし、やはり、こちらの都合ですので、王宮にたてつくような人間に頼むことはできません。まして、こちらの不祥事として持ち上げられても困りますからね」
「クレオード国王陛下は?」
「え、っと………」
「申し訳ございません。機密事項なので。それ以上は」
「………?」
歯切れの悪さに、ヤナは首を傾げた。ただ、ヤナ自身、王が魔力があろうがなかろうが興味がないので、深く追求する気はなかった。
「一応、簡単な説明としては以上です。ほかに何か聞きたいことは?」
ヤナは首を傾げて、考えた。
えー、と………とと言いかけて。
「根本的なことは分かりました。ちなみに、これは単なる興味なので、お答えいただけなければ、仕方ないかと思うのですが」
なんでしょう?と、王妃が尋ねた。
「あなた方が得意なのは、何の魔法ですか?」
ああ、そうでしたね。彼女はそう言って、手を握る。
手を開いた瞬間に、真っ赤な炎が灯った。
「私は、晟雅と同じ、『炎』」
ごうごうと響く、炎を手のひらを握れば瞬時に、消えた。
「もう一つは、言霊や、占いですね」
はい、はーい、と霄が続く。
「あたしは、ハートゥと同じ、占いと、言霊、『音」かな」
「音?」
「うん、音と一緒に、言霊を強くするんだよ。言霊は、言った言葉に力を宿すってかんじ?かな~」
えーと、そうだなぁ、と霄は周囲を見渡し、籠を指さした。
「そこにあるクッキーにご注目!」
「は?」
「まぁまぁ、みてて☆」
霄に言われた通り、とりあえず籠を見る。
『一、浮け!』
クッキーがぴょこん、と宙を浮いた。
「えっ!?」
『移動!』
しゅるしゅる、クッキーが三人の周りを移動する。
『回転!』
三人の周りをくるくると、回り始めた。
ぱちん、と音が響いた。
ハートゥが、クッキーに宙に手をかざす。
『そは、ヤナの元へ』
クッキーは、ヤナの目の前で宙に浮かんだままとまった。
「どうぞ、お召し上がりください。ヤナ」
ぽかん、としていたヤナだったが、はっとして、クッキーを受け取った。
「あ゛――――!!」
「うるさいですよ、王女」
「いいとことったぁー!!!」
「っていうか、クッキー振り回してどうするんですか」
ため息交じりにそう言えば、霄は唇をとがらしてぷんぷん怒っている。
さてと、とハートゥが席を立った。
「ん?」
霄は、首を傾げる。
「ヤナ殿は、タカのために何がしたいです?」
さぐる瞳に、ヤナはまっすぐよどみのない瞳で答えた。
「私にできることが、何かはわからないから。どのように、魔法がつかわれているか。元来持っている力が必要だというのなら、私はその力でタカを護ることはできない。だけど、今まで以上に、彼に役立つ方法を、私は考えてる。帰る場所は大事だけど、私は、タカのそばで一緒に戦いたい」
ハートゥは、自然と笑っていた。
よどみなく、まっすぐな瞳と、言の葉に。
そして。
「私にできる最大限のことをあなたへ。しばし、おまちを」
そういって、彼女は席を外し、戻ってきた彼女の手には、小さな袋が握られていた。
「? それは?」
ハートゥは、その袋を開き、机に転がした。
ころころとそれは、ころがり。
「………いし?」
「ええ。私の得意分野ですよ。この先の未来は、「占い」だけで決まるものではありませんが。あなたに一番適した方法を考えさせてください。あなたの素質をみたいのもありますし、わたには、これが一番、やりやすいのです」
からん、ころん。
じゃらじゃらと石をころがし、ヤナに促す。
ばらばらの大きさの石。
ただ、丸みを帯びているのだけは一緒だった。
「この石には、文字があるわけではないので。あなたからすると、何をしているのかと思うでしょう。わたしも、この子たちの声が聞こえな変えれば、そう思うでしょうし」
「声?」
「私は、そういっています。タロットみたいな、カード占いはご存知ですか?」
「はい。ただ……、占いは現実とは違うので、勇気はもらいますけど、現実とイコールで考えられないのはあります」
「ふふ、現実的ですね。私もそう思いますよ」
「? 得意分野なのに?」
「確かに、得意だと自負しています。けれど、占いは先の道しるべにはなりますが、その選択を選ぶのはいつでも、当事者であり、カードや石、占いは手助けの一つです。幾重にも分かれた選択肢、最善をお話しはしますが、それが現実になるかどうかはその人次第です。本当に魔力の強い人は、占ったこと自体に力が生じ、その人の未来を変えるだけの力を持っているといいます」
数十ある石を、平らにならしたところで、ハートゥは手を止めた。
「この中で、あなたが気になる石を選んでください」
宝石のようなキラキラした石もあれば、原石のようないしもある。
ヤナは気になる石を、手に転がして考えた。
「これかな」
そういって、選んだ石をハートゥへさしだす。
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