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第三章 知令由学園 後編

第二百四話 神級の講師ジオ

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「早かったね、待っていたよ。お茶でもどう?」
「貰おうかな。少しのどが渇いたのとイライラしたから」
「私も貰うっしょ。まじうざここ」
「いやー、悪いねぇ。この国は武器の扱いに長けるものが少なくてね。
君ら講師やらない? それなりにお金になるよ?」
「御免だね。生徒を選べないなんて大変だろう? くそ野郎とかにも
指導しないといけないだろうし」
「いや? 僕は教えないよ。気に入った奴しか。多分僕だけだけど」
「……それが許されるってことはあんたは特別なんだろうな」
「あんたは嫌だな。ジオって呼んでくれ。呼び捨てで構わないよ」
「わかった。それでジオは俺達に武芸を教えてくれるのかい?」
「そもそも君、先生いるんだよね。ベルローゼっていうんだっけ? 彼はいないの?」
「試験官に聞いてたのか。先生は別行動中だ。それなら目的も何となく気づいてるのか」
「ああ、そうだね。視察だろ? この国の実力を見るための」

 やっぱ気づいてる奴いたか。俺の目的に。

「そうなの? 知らなかったっしょ。まじ驚」
「仲間にも伏せてるのかい? その冷静さにも驚かされたな」
「この国っていうよりこの大陸はモンスターが強い。だから武器の扱いも
上手いやつがいるのかと思ったんだけどな」
「強いやつはいるけどね。多くはない。術使いも魔術師がほとんどだしね。
さて、そろそろ話はやめて、すこーしだけ戦おうか」
「いいのか? 神級がいきなり手合わせしても」
「いいよ。その代わりその武器じゃなく、木刀にしよう。
真剣だと殺し合いたくなっちゃうしね」
「それでいいが、二本借りていいか?」
「へぇ、二刀流かい? 君」
「いいや、一刀一拳だがちょっとね」

 話し終えた俺たちは、戦う配置につき武器を構える。
 相手は一刀片手持ち。構えはない。こいつはやばいな。
 俺は二刀で右手を前に伸ばしもう一方は坂手持ちで後ろ構え。

「なるほどね。一刀一拳の型戻しか。悪くない。
右手に持つ武器の見当はついているのかい?」
「そこまでわかるのかよ。本当何者だ、あんた」
「神級講師ジオ。別名は……」
「ああ、今はいいや。始めようぜ、ジオ」
「そうだな。開始!」

 俺は低い姿勢から右回りに進む。木刀二本は
装備として重いが練習はしていたので十分動ける。
 奴は……動いていない。目だけ追ってるな。
 
 間合いにはまだ入っていないが俺は回転切りの構えを行う。
 遠心で後ろ構えの左手で持つ剣を相手に浴びせる方向にして……投げた。
 ソードアイの視野があってこそ正確に投げれる位置。

「シッ!」

 予見していたのか木刀ではじく。
 そのまま右手の木刀を相手に突き刺しつつはじいた木刀を
 左手で受け取る。

「器用だね君。だけど……瞬剣!」
「うお、まじかよ!」

 一瞬で俺の右手の木刀を弾き飛ばした。
 しかもそれだけじゃない。左手の木刀もはじかれている。

「まだだ!」
「おっとそこまで。これ以上はダメダメ。確かに剣のみだったら
僕に分があるけどね。君、色々やれすぎて手数が多すぎだよ」
「っ! なんでそれを」
「いいかい。パターンが豊富なのは戦闘にとって大きな利点だ。
だがやれることが多いってことは迷いも生じやすい。
二刀にしたのはいずれ使用する心当たりがあるんだろうけど
慣れてないね。まずは一本に集中して戦おうか。
それと格闘術より君は暗器の方があってるんじゃない? 
あっちの可愛い彼女より、思い切りが足りないね」
「そうそう私彼女っしょ。思い切り大事」
「そっちの思い切りじゃない! はぁ。その通りだ。もとは
剣格闘と暗器スタイルだよ。あんたの言う通り思い切りがいい方じゃない。
慎重な方だ」
「君の危惧しているのは至近距離での剣の弱さだろう? 
今かなり至近距離で僕に剣をはじかれたよね。なぜだかあかるかい」
「いや、見えなかった。瞬剣とかいってたよな」
「ああ。僕の技の一つ瞬剣。僕より早く腕を動かせる人はいないと思うよ、ほら」
「ほらって、見えないんだが。音しか聞こえないぞ……」

 ソードアイの俺で見えないなら誰にも見えないだろ、これ! 

「まぁ見切られても困るか。それより君。型にはまらないのはいいけど
型自体は好きなんじゃない?」
「そこまで分かってると君が悪いぞ、ほんと」
「これでも剣一筋だからねぇ……一刀二刀の型、見せるとしよう」
「頼む。俺独自のスタイルを構築したいんだ」
「私も気になるっしょ。教えて」

「それじゃ神級講師ジオ、君ら二人の専属講師となろう。
受講料は金貨二枚にしといてあげるよ!」

 あー、やっぱお金はかかるのかーい! 
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