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第三章 知令由学園 後編

第二百五話 持ち味を活かせ

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 レギオン金貨二枚を支払った俺たちは、ジオから一通り型を習った上で
今後の適切な動きを指導してもらう。この辺は武器の特化性だろう。
 シーザー師匠より剣の扱いに長けてる。

「まずルイン君からだ。予定しているスタイルと武器の重さ、防具の重さは?」
二本で一振り、重さはゼロに等しい。恐らくは意思で動かせるとだけ言っておこう。
最大で三剣一拳と考えていたが三剣暗器や二剣暗器か……不確定が多い。
今のところ二剣で考えよう」
「……恐ろしいが想定する形になった時に戦ってみたいな」
「おいおい、あんたと戦う気は毛頭ないぞ」
「ああごめんよ、それで防具は?」
「今の所未定だが軽装。この籠手は友に譲る事を考えてる」
「そんないいもの上げてもいいのかい? 相当な代物に見えるけどねぇ」
「ああ。俺がこの世界で二番目に大切にしてる友達だから」
「私じゃないのショックっしょ……一番になってやる」

 そりゃ無理だぞベルディア。一番はメルザ以外考えられない。

「それじゃ思いっきり垂直に跳躍してくれるかい? 装備付与効果ありきでいい。
着地はその足具なら平気だろう?」
「本当何でもお見通しだなジオ。今知ってる地上の相手を除けば一番怖いな」
「そっちはいいから。はい!」

 俺はびよーんと垂直に飛び上がる。色んな生徒が俺を指さしてみているのがわかる。あーあ。
 天井まで手を触れてから着地する。ベルディアも茫然としているようだ。
 バネジャンプと併用すればもっと飛べるけどな。頭ぶつけるわここだと。

「そうなるよね。君の事だからまだ裏隠ししてるだろうし空中戦はいけるのかい?」
「いや、出来ても滑空までだ。今のところは」
「今のところは……ね。伸びしろがありすぎて僕の方が恐怖するけどねぇ……それで結論からいうと
今の君に向いているのは二剣暗器。格闘じゃ上空から攻撃するのには向いていない。
術を織り交ぜるにしろ慎重な君は多少距離を取りながら戦う方がいい。
無詠唱での術も使えるだろうしねぇ」
「恐怖合戦なら俺の完敗だわ。あんたとは絶対敵対したくないもんだ」
「僕もそう思うよ。懐に潜り込まれた場合の対策は、ベルディアちゃんの方が終わってからだ」
「ついていけないレベルの話っしょ。まじ怖凄」

 そりゃそうだよな。ついこないだまで格闘一筋だった子にはマニアックすぎる。

「ベルディアちゃんは元々格闘の二拳ね。どんどん前に出るスタイルで
自前の瞬発力を用いての肉弾戦。好きだけどねぇ。フー以外
そこまでの使い手がいない。あれは別次元だが」
「あの人知ってるのかい? 俺も一度だけ見たことあるけど」
「ああ。同期だよ。昔色々とねぇ。それは置いといて。
君の思い切りの良さと突撃力なら間違いなく一刀一拳。迷いない跳撃との連撃で
相手に攻撃する隙を与えなければ、接近戦はルイン君を上回るかもしれないね」
「まじやったっしょ! 勝ったらあたしのもの」

 おーい勝手に決めないでくれ! その話の展開はよくない。

「そうだね。ただ一剣一拳はガードが甘くなる。だからこそルイン君は
ガントレット部に回避用盾を装着しているんだ。特殊すぎてこの世界じゃ笑うやつも
いるってわけ。僕からすりゃとてつもない優秀な発想だけどねぇ……」

 その話よりベルディアの話の流れを肯定するのはやめてくれ! 

「それじゃどうするっしょ。私あんなの持ってないし作れない」
「君は足で攻撃をガードする術を学ぶべきだ。一剣一拳一脚。
これからしばらくはとことん、利き足の強化と足技の練習だね。
それこそ瞬発力も伸びる。美しい足が更に綺麗になるぞ」
「まじっしょ。やるわ。見ててルイン」
「おい、俺は足を見てる暇ないんだが」
「ルイン君は暗器の練習ね。本当は僕、剣しか教えないんだけどねぇ。
君ら二人だけ特別ね。暗器コースと格闘跳撃コースで金貨二枚ね!」
「また払うのかよ! 本当この学園、ちゃっかりしてるな」
「仕方ないさ。入学費用が安いからねぇ。こうしないと僕らにお金が入らないのさ。
それじゃ今日はここまでにして、明後日またここへ。
明日は調べものするんだろう? なんとなくだけど顔に書いてあるよ」
「……ベルディア、怖いからさっさと帰るぞ」
「まじ何予見っしょ? 見えてるの?エッチ」
「何も見てないのにエッチっていわれた……」

 俺とベルディアは礼をいい、外に出た。ベルドとミリルがいるか見に行ったが
槍術の講義は終わったようで二人はいなかった。先に戻ったようだ。

「んじゃ俺達も一旦領域に戻るか。あの宿行くとまた金とられるし」
「そうするっしょ、行こルイン」

 俺の腕を組んで走るベルディア。本当に突撃タイプで元気だな。
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