孤独な聖獣は愛しき王女の為に舞い戻る!!

京極冨蘭

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第2章 旅立ち

4 孤児院への来訪-3-

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続いて孤児院長兼代表のローランが挨拶を始めた。

「この度、皆さんのご協力により院を港町から丘へと移動することができました。港町は子達が過ごすには良い環境ではなく、この地の移転は子供達が自由に遊べより良い環境を与えることが出来るでしょう。
 この孤児院はご存じの通り、北の地から救った子達を保護しています。
 かつて奴隷制度があった頃は北の地から子を買取り厳しい労働を課していました。しかし、時代は変わり我が国では奴隷解放の運びとなりました。しかし、我が国は変わりましたが北の地では相変わらず幼い子達が売り買いされている現状です。私は自身の財を使い、子供達を救う活動しています。
 私の活動に賛同頂けた王家を始め、皆様の協力で多くの子達が救われています。1人でも多くの子を救い、幸せに暮せる生活を与えましょう、彼らが大人になった時に、この王国を支える立派な民の1人になるはずでしょう」
と一礼すると皆から拍手が起こった。

「おーっあの、おっさん、なかなか良いことするな」
俺は関心するとナディアも横で頷いた。

「素晴らしいですわ、我々も1人でも多く救っていかねば」
ナディアは手をぎゅっと握りながら自分に課せられた責務を重さを感じでいるようだ。

「では、続きまして、子供達から歌のプレゼントです、さぁ、おいで」
と孤児院長ローランが子供達を呼んだ。

 年齢層がバラバラでこの国とは違う白銀色の髪を持ち、翠色の瞳をした子供達が会場に入り歌い始める。

♩♫♬~冬が来ると白い雪がふる~
   ~降り始めると楽しくなる~

「あら、北の地の歌かしら?」
ナディアは手拍子を打ちながら可愛らしい子達の歌を喜びながら聴き入る。

手拍子が記憶を呼び起こす…

パン、パン、パン、パン、パン、

——あの歌…どこかで…

はっ?!

俺は忌々しいあの出来事を思い出した。

 あの城で、白銀色の髪をした兵士達が酒を片手に手拍子を打ちながらこの歌を歌っていたのだ。そして、嫌がる女の髪を引っ張り、部屋に連れていくと女達の上に乗り乱暴していたのだ。

——あ、あの兵士達の瞳の色は翠色だっ   
  た…
 
 今は幼き姿だが成長すればあの時、ナディアが囚われの身になっていた城の兵士達と同じになる、幼き姿の兵士達の姿が重なっていく。

「こ、こいつら、てきだ……」

「ガルダナ様、どうされました?」
呼吸が荒くなる俺を心配そうにナディアは覗き込む。

「ナ、ナディア、コイツらは敵だーッ!!」
俺はナディアを守るように立ち上がると剣を抜いた。
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