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第4章 不穏な気配の訪れ
第1話 敵の出現
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神殿内、薬草調合室にて神官達は黙々と作業に追われていた。
「ラリーや、今日は精がでるのぅ~。何が良きことあったらようじゃの~」
御隠居が髭を触りながらリーリラの作業を褒めるとサーラの手が止まった。
「やっぱり、やっぱりよね!更にウキウキしてるわよね~。とうとうチューしたの!」
とサーラに的を突かれ顔を真っ赤にすると、
「分かり易っ!もしかして、もしかして、最後までした?!」
と盛り上がるサーラをマルクスが止めた。
「うるさーい!今日は静かに作業してると思ったらまた雑談か!!」
「いやぁねぇ~、きっとマルクスの当て馬攻撃で上手くいったんでしょ。私達、ナイスアシストじゃない??」
「やっぱりわかって私に街へ行かせたんだな。あのタイミングであいつが現れた時、君の策に嵌ったと気付いたよ」
「マルクス、気付くのおそ~い!」
とイチャイチャしている二人を軽蔑した眼差しで見つめる少年がいた。
「やっぱり姉さんのせいか…」
調合室に不機嫌な表情のエドモンドが入っていた。リーリラの元へ来ると話があるからと外に連れ出される。
神殿の庭を歩く二人。
「姉さんにリーリラのこと諦めろっていきなり言われてさぁ。まさか自分の姉が弟の恋路を邪魔してくるなんて思わなかったよ」
「違うよ、サーラは悪くない。私が兄さんのこと好きなのにイジイジしてたから見ていられなかったんだよ」
「で、あいつもプロポーズしてきたんだ」
「えっ…、うん」
「あいつ、本当に卑怯な奴だな。煽るんじゃなかった。クソッ」
「私、エドモンドのプロポーズは受けれない。本当にごめんなさい」
「もう一度考え直してよ。もし君が暴走したらあいつは止めれるのか?止められないだろう?俺と結婚して神殿側にいればなんとかなるだろう?」
「私は兄さんの傍にいたいの……。ごめんね…、エド」
「わかった。でも、俺は諦めないから」
「エド……」
「そうだ、今日、不審者情報が上がって来た。リーリラの耳にも入ると思うけど、くれぐれも注意しろよ」
「ありがとう、エド」
エドモンドは名残惜しそうにリーリラを見るとじゃあなと立ち去った。
◇◇◇
不審者情報が出た森に何人かの騎士達が鎌を持って森に入り生い茂る雑草を刈っていた。何人かの騎士達はリチャード率いる王都騎士団に不満を抱いていた。
「クソッ、我ら騎士がどうして草刈りなどせねばならないのだ」
リチャードが不審者を発見しやすいように草を刈るように命じたのだ。勤務を怠りつつある騎士が草刈りを命じられたのだ。
「あー、やってられない!あのカイルの弟に関わってから雑用ばかりだよ!」
リーリラを虐めたカイルの同僚騎士は常々、勤務態度も悪く上司から目をつけられ雑用ばかり押し付けられていた。
「あのカイルも成人した女の子をお持ち帰りしたらしいぞー。世の中は不公平だ」
「最近入った神殿長の息子も生意気なんだ。なぜあいつは草刈りをしないんだ?」
騎士達はそうだ、そうだと怒り出す。
「やっぱり、リチャードには団長が早かったんだよ。自分は玉の輿に乗れたからか我らに過酷な仕事ばかり押し付けて腹立だしい」
やってられるかと鎌を放り出し休憩をしていると一人の男が近づいて来た。
「騎士様方、お疲れ様です。宜しければ私が作りました酒でもいかがですか?」
「喉が渇いていたんだ。くれ、くれ」
「勤務中だぞ?まっいっかぁ」
騎士達はごくごくと喉を潤すと頭がボーっとしてほろ酔い気分となる。
「男よ、この酒、旨いな」
「ありがとうございます。実はこの酒、南の山を越えたゾーン国の物でございまして、私はゾーン人なのです。我が国はこちらの国と友好を結びたいと考えているのです。しかし、騎士様方のお話を聞き、あまり良くない国かと思いました。もし、騎士方がこの国に不満があるのでなら、我が国には聖騎士と言いまして、神殿、民を守る騎士隊がございます。宜しければご紹介致しましょう。騎士様方の腕があればかなら上層部に上がれます」
「その話、本当なのか?」
「はい。しかし、お手伝い頂きたいことがございます。神秘的お力を持つ方がいらっしゃると聞きました。ご紹介頂き、我が国に招待して友好を深めたいと思っております」
「うーむ、そうだ!神殿長の娘のサーラ様は話がわかる方だ。薬草摘みによく足を運ばれるからその際に声をかけてはどうだ」
「ほほぉー。どの辺りで薬草摘みを?」
「それは……」
この騎士達の裏切りにより国は大きく変わるきっかけとなるのだった。
「ラリーや、今日は精がでるのぅ~。何が良きことあったらようじゃの~」
御隠居が髭を触りながらリーリラの作業を褒めるとサーラの手が止まった。
「やっぱり、やっぱりよね!更にウキウキしてるわよね~。とうとうチューしたの!」
とサーラに的を突かれ顔を真っ赤にすると、
「分かり易っ!もしかして、もしかして、最後までした?!」
と盛り上がるサーラをマルクスが止めた。
「うるさーい!今日は静かに作業してると思ったらまた雑談か!!」
「いやぁねぇ~、きっとマルクスの当て馬攻撃で上手くいったんでしょ。私達、ナイスアシストじゃない??」
「やっぱりわかって私に街へ行かせたんだな。あのタイミングであいつが現れた時、君の策に嵌ったと気付いたよ」
「マルクス、気付くのおそ~い!」
とイチャイチャしている二人を軽蔑した眼差しで見つめる少年がいた。
「やっぱり姉さんのせいか…」
調合室に不機嫌な表情のエドモンドが入っていた。リーリラの元へ来ると話があるからと外に連れ出される。
神殿の庭を歩く二人。
「姉さんにリーリラのこと諦めろっていきなり言われてさぁ。まさか自分の姉が弟の恋路を邪魔してくるなんて思わなかったよ」
「違うよ、サーラは悪くない。私が兄さんのこと好きなのにイジイジしてたから見ていられなかったんだよ」
「で、あいつもプロポーズしてきたんだ」
「えっ…、うん」
「あいつ、本当に卑怯な奴だな。煽るんじゃなかった。クソッ」
「私、エドモンドのプロポーズは受けれない。本当にごめんなさい」
「もう一度考え直してよ。もし君が暴走したらあいつは止めれるのか?止められないだろう?俺と結婚して神殿側にいればなんとかなるだろう?」
「私は兄さんの傍にいたいの……。ごめんね…、エド」
「わかった。でも、俺は諦めないから」
「エド……」
「そうだ、今日、不審者情報が上がって来た。リーリラの耳にも入ると思うけど、くれぐれも注意しろよ」
「ありがとう、エド」
エドモンドは名残惜しそうにリーリラを見るとじゃあなと立ち去った。
◇◇◇
不審者情報が出た森に何人かの騎士達が鎌を持って森に入り生い茂る雑草を刈っていた。何人かの騎士達はリチャード率いる王都騎士団に不満を抱いていた。
「クソッ、我ら騎士がどうして草刈りなどせねばならないのだ」
リチャードが不審者を発見しやすいように草を刈るように命じたのだ。勤務を怠りつつある騎士が草刈りを命じられたのだ。
「あー、やってられない!あのカイルの弟に関わってから雑用ばかりだよ!」
リーリラを虐めたカイルの同僚騎士は常々、勤務態度も悪く上司から目をつけられ雑用ばかり押し付けられていた。
「あのカイルも成人した女の子をお持ち帰りしたらしいぞー。世の中は不公平だ」
「最近入った神殿長の息子も生意気なんだ。なぜあいつは草刈りをしないんだ?」
騎士達はそうだ、そうだと怒り出す。
「やっぱり、リチャードには団長が早かったんだよ。自分は玉の輿に乗れたからか我らに過酷な仕事ばかり押し付けて腹立だしい」
やってられるかと鎌を放り出し休憩をしていると一人の男が近づいて来た。
「騎士様方、お疲れ様です。宜しければ私が作りました酒でもいかがですか?」
「喉が渇いていたんだ。くれ、くれ」
「勤務中だぞ?まっいっかぁ」
騎士達はごくごくと喉を潤すと頭がボーっとしてほろ酔い気分となる。
「男よ、この酒、旨いな」
「ありがとうございます。実はこの酒、南の山を越えたゾーン国の物でございまして、私はゾーン人なのです。我が国はこちらの国と友好を結びたいと考えているのです。しかし、騎士様方のお話を聞き、あまり良くない国かと思いました。もし、騎士方がこの国に不満があるのでなら、我が国には聖騎士と言いまして、神殿、民を守る騎士隊がございます。宜しければご紹介致しましょう。騎士様方の腕があればかなら上層部に上がれます」
「その話、本当なのか?」
「はい。しかし、お手伝い頂きたいことがございます。神秘的お力を持つ方がいらっしゃると聞きました。ご紹介頂き、我が国に招待して友好を深めたいと思っております」
「うーむ、そうだ!神殿長の娘のサーラ様は話がわかる方だ。薬草摘みによく足を運ばれるからその際に声をかけてはどうだ」
「ほほぉー。どの辺りで薬草摘みを?」
「それは……」
この騎士達の裏切りにより国は大きく変わるきっかけとなるのだった。
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