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4-3 カイルの胸の内
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カイルの胸の内
ギルドでの打ち合わせを終え、馬車で公爵邸へ向かう帰路。ミアータは緊張の糸が緩んだのか、ふっと力が抜けた表情を見せた。窓から差し込む夕陽が、その銀色の髪を黄金色に染める。
「大きな一歩だけれど、まだまだやることは山ほどあるわね……」
ミアータが小さく息を吐くと、向かいの座席に座るカイルが柔らかな笑みを浮かべる。
「よくやりましたよ、ミアータ様。あのギルド長は少々厳格な方で知られていますが、あなたの真摯な姿に心を動かされたのでしょう。私も驚きました」
「そうかしら……私、うまく話せていたのか自信がないわ。ほとんどカイル様がフォローしてくださったおかげですよ」
照れ混じりの笑みを浮かべる彼女を見つめながら、カイルはしばし言葉を選ぶような沈黙を挟んだ。そして意を決したように口を開く。
「ミアータ様……いえ、ミアータ。もし……あなたが嫌でなければ、少し私の気持ちを聞いていただけませんか?」
ミアータは一瞬目を見開く。カイルがこうして改まって“気持ち”を打ち明けようとするのは初めてのことだった。胸の奥がどくん、と高鳴る。
「ええ、もちろん。お話を聞かせてください」
静かに頷く彼女に、カイルは安堵の息を漏らし、言葉を続けた。
「あなたと孤児院を訪ね、子供たちに勉強の手ほどきをし、支援の計画を立ててきた日々は、私にとってかけがえのない時間でした。笑顔や喜びを分かち合うたびに、私の心は……あなたに惹かれているのだと気づかされてきたのです」
その言葉に、ミアータの頰がほんのり染まる。だが、彼の瞳は決して熱狂的な欲望や衝動を感じさせるものではなく、真摯で誠実な光を宿していた。
「あなたがアレン殿との婚約を解消したのは大変な苦しみだったと聞いています。だからこそ、私はあまり急ぎすぎず、あなたを尊重したいと思ってきました。けれど、いまははっきりと伝えたいのです――私はあなたのことを……深く慕っています」
静かな馬車の車内に、カイルの低く優しい声が響く。言葉を受け止めたミアータは、胸がぎゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。かつて「完璧さ」に囚われていた自分が、誰かにこんなふうに真剣な思いを向けられる日が来るなんて思いもしなかった。
「私……」
彼女は言葉を詰まらせる。アレンとの婚約破棄から日が経ったとはいえ、恋に踏み出す恐怖や不安がまったくないわけではない。だが、カイルの存在はそれらを優しく溶かしてくれるようだ。
「私も、あなたと過ごす時間がとても心地よくて……。あなたが孤児院の子供たちと接するときの真摯さや、私の夢を応援してくれる優しさに、何度も救われてきました」
そう言いながら、ミアータは視線を下げ、両手を握りしめる。恥ずかしさと嬉しさが入り混じっていた。
「アレン様との過去があって、まだ混乱している部分もあります。でも……そんな私でもいいのなら、カイル様のお気持ちを受け止めたいと思います」
ミアータの返事に、カイルの表情が一気に明るくなる。まるで曇り空に一筋の光が差し込んだかのようだった。
「ありがとう、ミアータ。焦らなくていい。ゆっくりで構わないから、あなたの心に寄り添わせてほしい」
二人の間に満ちる静かな想い――それは、かつてミアータが“完璧な貴族令嬢”として築き上げた虚飾の愛とは違う、互いを尊重し合う温かい関係の始まりを予感させた。
ギルドでの打ち合わせを終え、馬車で公爵邸へ向かう帰路。ミアータは緊張の糸が緩んだのか、ふっと力が抜けた表情を見せた。窓から差し込む夕陽が、その銀色の髪を黄金色に染める。
「大きな一歩だけれど、まだまだやることは山ほどあるわね……」
ミアータが小さく息を吐くと、向かいの座席に座るカイルが柔らかな笑みを浮かべる。
「よくやりましたよ、ミアータ様。あのギルド長は少々厳格な方で知られていますが、あなたの真摯な姿に心を動かされたのでしょう。私も驚きました」
「そうかしら……私、うまく話せていたのか自信がないわ。ほとんどカイル様がフォローしてくださったおかげですよ」
照れ混じりの笑みを浮かべる彼女を見つめながら、カイルはしばし言葉を選ぶような沈黙を挟んだ。そして意を決したように口を開く。
「ミアータ様……いえ、ミアータ。もし……あなたが嫌でなければ、少し私の気持ちを聞いていただけませんか?」
ミアータは一瞬目を見開く。カイルがこうして改まって“気持ち”を打ち明けようとするのは初めてのことだった。胸の奥がどくん、と高鳴る。
「ええ、もちろん。お話を聞かせてください」
静かに頷く彼女に、カイルは安堵の息を漏らし、言葉を続けた。
「あなたと孤児院を訪ね、子供たちに勉強の手ほどきをし、支援の計画を立ててきた日々は、私にとってかけがえのない時間でした。笑顔や喜びを分かち合うたびに、私の心は……あなたに惹かれているのだと気づかされてきたのです」
その言葉に、ミアータの頰がほんのり染まる。だが、彼の瞳は決して熱狂的な欲望や衝動を感じさせるものではなく、真摯で誠実な光を宿していた。
「あなたがアレン殿との婚約を解消したのは大変な苦しみだったと聞いています。だからこそ、私はあまり急ぎすぎず、あなたを尊重したいと思ってきました。けれど、いまははっきりと伝えたいのです――私はあなたのことを……深く慕っています」
静かな馬車の車内に、カイルの低く優しい声が響く。言葉を受け止めたミアータは、胸がぎゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。かつて「完璧さ」に囚われていた自分が、誰かにこんなふうに真剣な思いを向けられる日が来るなんて思いもしなかった。
「私……」
彼女は言葉を詰まらせる。アレンとの婚約破棄から日が経ったとはいえ、恋に踏み出す恐怖や不安がまったくないわけではない。だが、カイルの存在はそれらを優しく溶かしてくれるようだ。
「私も、あなたと過ごす時間がとても心地よくて……。あなたが孤児院の子供たちと接するときの真摯さや、私の夢を応援してくれる優しさに、何度も救われてきました」
そう言いながら、ミアータは視線を下げ、両手を握りしめる。恥ずかしさと嬉しさが入り混じっていた。
「アレン様との過去があって、まだ混乱している部分もあります。でも……そんな私でもいいのなら、カイル様のお気持ちを受け止めたいと思います」
ミアータの返事に、カイルの表情が一気に明るくなる。まるで曇り空に一筋の光が差し込んだかのようだった。
「ありがとう、ミアータ。焦らなくていい。ゆっくりで構わないから、あなたの心に寄り添わせてほしい」
二人の間に満ちる静かな想い――それは、かつてミアータが“完璧な貴族令嬢”として築き上げた虚飾の愛とは違う、互いを尊重し合う温かい関係の始まりを予感させた。
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