白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚

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第3章:王太子妃となる日はあっさりと、しかし盛大に訪れましたわ

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 その後、祝宴は夜遅くまで続いた。アルベルト様もわたくしも、最後まで来賓との交流をこなし、何とか当日の主要行事を乗り切ることができた。表向きは“幸せな新郎新婦”そのもの。周囲もほとんどが祝福ムードに包まれ、大きなトラブルは起きなかったと言っていい。
 もちろん、水面下ではまだ不穏な動きがあるかもしれない。クラリッサ令嬢のように“探りを入れてくる”相手は他にもいるだろう。それでも、今日のところは派手な暴露を阻止できたのだから、ひとまずは上々だ。

 そんなこんなで、わたくしとアルベルト様は“王太子妃と王太子”として晴れて夫婦になった。夜が更け、関係者が続々と退出していく中、わたくしはようやく自室へ戻り、ドレスを脱いでベッドに倒れ込んだ。隣にはソフィアがおり、疲れたわたくしを気遣いながら「本当にお疲れ様でした」と声をかけてくれる。

「長い一日でしたわ。振り返ると、式や祝宴よりも、あのクラリッサ令嬢とのやり取りが一番疲れた気がします……」

「ですがルチアーナ様、あれは見事でしたよ。周囲の方々も“さすが王太子妃殿下”と感嘆していらっしゃいました。邪推を跳ねのけるうえで、あれほど印象的な振る舞いはありませんわ」

「そう……そうならよかったわ。あの子爵令嬢たちに、あまり余計な口を叩かれないよう、今後も注意が必要ね」

 わたくしは大きく伸びをしながら、肩を回す。ドレスは重いし、高いヒールで踊るのも骨が折れる。久々の大舞台だったが、こうして無事に終わってみれば「もうこれっきりでいいわ」と言いたくなる。
 しかし、この先は公務の場や、正式な晩餐会も数多くあるだろう。今まで以上に人前に立たねばならない機会が増えるのは確実だ。だが、それと引き換えに、わたくしは王太子妃としての特権も手に入れた。王宮図書室を自由に閲覧できるし、侍女や近衛兵に守られながら城外にも出られる。アルベルト様がリリア様にご執心である限り、わたくしは口うるさく干渉される心配も少ない。

 そう考えると、面倒事があっても乗り越える価値はある。今後、どんな陰謀や嫌がらせが待ち受けていようと、わたくしはこの地位をしっかり活用させてもらうつもりだ。

「そうそう、ソフィア。リリア様がお部屋にいるはずなのよね。式が終わったら、いったん顔を見に行こうかしら」

「そうなさいますか? お疲れでしょうから、今夜はお休みになられたほうが……」

「大丈夫。少しだけお声をかける程度よ。わたくしが無事に挙式と祝宴を終えたこと、教えてあげたいもの」

 ソフィアは苦笑しながら「わかりました。では、すぐにお休みになれるよう、お手短にすませましょうね」と応じてくれた。
 わたくしはささっと寝間着に着替え、髪を少し崩しただけで部屋を出る。夜も遅い時間だが、リリア様の部屋は同じ区画にあるというし、せっかくだから様子を見ておきたい。ほんの数分だけでもいい。
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