追放される前に、迷宮を支配しました ~聖女は王国を見限る~

鍛高譚

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25話:新たな未来

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25話:新たな未来

 王宮への帰還を果たしたサラ・ラップは、かつての自分の部屋に通された。

 そこは、王宮にいた頃と何一つ変わらない——はずだった。

 だが、今のサラにとっては違った。

 この場所は、もはや彼女の居場所ではない。

 それでも、王宮の者たちは彼女を再び迎えようとしていた。

国王の申し出

 王宮の会議室に招かれたサラは、正面に座る国王を見つめた。

 国王は、かつての威厳ある姿とは違い、やつれた顔をしていた。

 「サラ……」

 彼の声には、かすかな後悔がにじんでいた。

 「お前には、改めてこの王国を導いてもらいたい。」

 サラは静かに微笑んだ。

 そして、はっきりと首を振った。

 「申し訳ありませんが、それはお断りいたします。」

 王宮の空気が凍りつく。

 「……なぜだ?」

 国王の問いに、サラはゆっくりと言葉を紡いだ。

 「私はもう、"聖女"ではありません。」

 「しかし、お前が必要なのだ!」

 国王の声には焦りがあった。

 「お前さえいてくれれば、王国は安定する! だから——」

 「それが、"私のため"ではなく"王宮のため"だからです。」

 サラの言葉に、国王は言葉を失った。

サラの選択

 サラは、落ち着いた口調で続けた。

 「私が戻ることで、国民の不安が和らぐことは分かっています。」

 「ですが、私はもう、"利用される存在"にはなりません。」

 貴族たちがざわつく。

 「ですが、サラ様……!」

 「この国を救えるのは、あなたしか——!」

 しかし、サラは静かに微笑んだ。

 「いいえ。私だけがこの国を救えるわけではありません。」

 貴族たちが言葉を詰まらせる。

 「この国には、立ち直る力があるはずです。」

 「それを見極めるために、私はしばらく様子を見ようと思います。」

アルファードの支え

 そんな中、アルファードが前に進み出た。

 「皆、焦るな。」

 その言葉に、王宮の者たちが静まる。

 「サラは、自らの意思で王宮に戻ってきた。」

 「だが、それは"聖女"としてではなく、"一人の人間"としてだ。」

 「俺たちは、彼女の意思を尊重しなければならない。」

 彼の言葉に、国王は深いため息をついた。

 「……分かった。」

 彼は、サラをじっと見つめる。

 「お前が戻るかどうかは、お前の意思に任せよう。」

 サラは、この王国で自由に生きることを許されたのだった。

新たな歩み

 王宮を後にしたサラは、アルファードと共に庭を歩いていた。

 かつては、ここでエクシードと歩いたこともあった。

 だが、今は違う。

 隣にいるのは、彼女の意思を尊重してくれる、誠実な第二王子。

 「これから、どうするつもりだ?」

 アルファードが問いかける。

 サラは、少しだけ考えた。

 「……少しの間、王都を見て回ろうと思います。」

 アルファードは微笑んだ。

 「そうか。」

 「ええ。私は、私の目で、この国がどうなっているのかを見極めたい。」

 彼女は、もう誰かに命令されて動く存在ではない。

 自分の意志で、この国を見つめるために。

新たな未来へ

 サラは、静かに夜空を見上げた。

 かつては、王宮の天井に閉じ込められていた彼女。

 しかし今、彼女は自由だ。

 「サラ。」

 アルファードがそっと彼女の名を呼ぶ。

 「俺は、お前と共に歩みたいと思っている。」

 サラは、驚いたように彼を見た。

 彼の瞳には、まっすぐな誠実さが宿っていた。

 「……ありがとう。」

 サラは微笑んだ。

 これからの未来は、彼女自身が選んでいく。

 そして、その未来には——

 アルファードという、新たな光があった。

第6章 - 第二王子の迎え
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