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10話
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皇宮での暮らしの始まり
皇帝から直接の「歓迎」を受けたフローラは、その後、皇宮内の一角にある客殿へ案内された。ここは、正式に皇太子妃として迎え入れるまでの間に滞在する場所だという。
半ば強引に送られてきた王国の荷物――といってもわずかではあったが――は、すでに部屋へ運び込まれていた。彼女専用の侍女や世話役も数名ついており、フローラは早くも戸惑いを隠せない。
(まさか、こんなに広い部屋を与えられるなんて……)
天井が高く、窓からは中庭が望める。ベッドはフローラが今まで見たことのないようなふかふかな仕様で、調度品も高価そうなものばかり。王国の公爵家でも、ここまで贅沢な部屋はそうそうなかっただろう。
「フローラ様、本日からはこちらに滞在していただきます。ご不便がありましたら、どうぞお申し付けくださいませ」
そう言って頭を下げるのは、侍女長のような女性だ。やや年配ながら凛とした雰囲気を持ち、初対面のフローラにも丁重に接してくれる。
「は、はい。ありがとうございます。私、こんな立派な部屋……本当に、よろしいのでしょうか」
「もちろんでございます。あなた様は皇太子妃となられる方です。私どもにとっても、大切なお客さまですから」
それはエドガーと同じような言い方――「大切なお方」という響きが、フローラの胸をじんと温かくする。王国では決して得られなかった扱いだ。
侍女長は続けて、明日の予定について簡単に説明してくれた。まずは宮廷内の簡単な案内、そして衣装や礼法などの確認があり、その後はクラウスと共に正式な「仮祝宴」へ出席することになるという。
「仮祝宴……ですか?」
「はい。皇太子妃を迎えるにあたって、いきなり大規模な式典を行うのは双方にとって負担が大きいと、殿下がお考えのようでして。まずは身内やごく近しい重臣だけをお招きし、簡単な披露をされるとのことです」
フローラはその言葉に、正直なところホッと安堵する。王国で催される夜会など、彼女にとっては心が休まるものではなかった。大人数を前に緊張するのはもちろん、何よりアルベルトが他の女性と堂々と踊り、フローラを邪魔者扱いしていた記憶が強く残っているからだ。
(……でも、今回は違う。ここでは、私が……私を歓迎してくれる人がいるかもしれない……)
期待と不安が入り混じった複雑な気持ちだったが、それでも「邪魔者扱い」されるよりははるかにマシだろう。
皇帝から直接の「歓迎」を受けたフローラは、その後、皇宮内の一角にある客殿へ案内された。ここは、正式に皇太子妃として迎え入れるまでの間に滞在する場所だという。
半ば強引に送られてきた王国の荷物――といってもわずかではあったが――は、すでに部屋へ運び込まれていた。彼女専用の侍女や世話役も数名ついており、フローラは早くも戸惑いを隠せない。
(まさか、こんなに広い部屋を与えられるなんて……)
天井が高く、窓からは中庭が望める。ベッドはフローラが今まで見たことのないようなふかふかな仕様で、調度品も高価そうなものばかり。王国の公爵家でも、ここまで贅沢な部屋はそうそうなかっただろう。
「フローラ様、本日からはこちらに滞在していただきます。ご不便がありましたら、どうぞお申し付けくださいませ」
そう言って頭を下げるのは、侍女長のような女性だ。やや年配ながら凛とした雰囲気を持ち、初対面のフローラにも丁重に接してくれる。
「は、はい。ありがとうございます。私、こんな立派な部屋……本当に、よろしいのでしょうか」
「もちろんでございます。あなた様は皇太子妃となられる方です。私どもにとっても、大切なお客さまですから」
それはエドガーと同じような言い方――「大切なお方」という響きが、フローラの胸をじんと温かくする。王国では決して得られなかった扱いだ。
侍女長は続けて、明日の予定について簡単に説明してくれた。まずは宮廷内の簡単な案内、そして衣装や礼法などの確認があり、その後はクラウスと共に正式な「仮祝宴」へ出席することになるという。
「仮祝宴……ですか?」
「はい。皇太子妃を迎えるにあたって、いきなり大規模な式典を行うのは双方にとって負担が大きいと、殿下がお考えのようでして。まずは身内やごく近しい重臣だけをお招きし、簡単な披露をされるとのことです」
フローラはその言葉に、正直なところホッと安堵する。王国で催される夜会など、彼女にとっては心が休まるものではなかった。大人数を前に緊張するのはもちろん、何よりアルベルトが他の女性と堂々と踊り、フローラを邪魔者扱いしていた記憶が強く残っているからだ。
(……でも、今回は違う。ここでは、私が……私を歓迎してくれる人がいるかもしれない……)
期待と不安が入り混じった複雑な気持ちだったが、それでも「邪魔者扱い」されるよりははるかにマシだろう。
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