白い結婚でしたので、裏切り夫とはお別れいたします

鍛高譚

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第1章:求められた結婚のはずが

5話

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 そして私は、とうとう運命を変える出来事に遭遇する。
 ある日、ギルバートの書斎の一角を整理するよう頼まれたときのことだった。私も多少の事務作業は慣れていたので、彼の仕事を手伝うつもりで書類の山を丁寧に分類していた。そこには騎士団の報告書や軍備に関する書類、王都での警備計画などが混在しており、扱いには慎重を要するものも多かった。
 だが、その中に、明らかに公的なものではない手紙を見つけてしまったのだ。
 「これは……」
 最初は無意識に手に取っただけだったが、その封筒には封印もなく、半分ほど口が開いていた。その差し出し人の名は「リリアン」となっている。私は聞き覚えのない名前だった。
 何気なく、中を取り出してみる。すると、そこには信じられないような言葉が綴られていた。

 「——私たちの愛が揺らぐことはないわ。あなたは私と一緒になるために、あの公爵令嬢との結婚を利用したんだから」
 「……早く彼女と縁を切れるように、あなたの出世を私も手助けする。私たちがこの王国で出世していくためには、彼女が必要だものね。あなたは我慢していて偉いわ」

 私は頭が真っ白になった。
 手紙には、もっと具体的な言葉も書かれていた。結婚前から二人が愛人関係にあったこと、そして彼女がギルバートの出世を支援する形で繋がっていたこと。私との結婚はあくまで“ローランド公爵家”という強大な後ろ盾を手に入れるための手段にすぎないということ——。
 すべてが書面に残されている。隠しようもない証拠だった。
 「嘘……。嘘、でしょう……?」
 私は震える手で、その手紙を何度も読み返す。そこに書かれている内容が現実だとは到底思えなかった。ギルバートが私を“出世の道具”にしていた? それでいて、結婚前から別の女性と深く結びついていた?
 結婚してから一度も夫婦としての愛を感じられなかった理由が、これですべて繋がったと言っていいのかもしれない。私の存在は、彼にとって“手段”であり、“利用価値”のある道具にすぎなかったのだ。
 思わず、その場にへたり込みそうになる。けれど、なんとか踏みとどまった。胸の奥に押し寄せる怒りと悲しみがぐちゃぐちゃに混ざり合い、頭が痛いほどだ。私はその手紙をしっかりと握りしめ、ギルバートを問い詰めることを決心した。
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