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2話
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あの日から数日後、結婚の話が正式に家中に知らされると、母や姉たちの私を見る目つきがいやに好奇の混じったものに変わった。
――裏でものすごく嫌味を言われるかと思ったけれど、意外や意外、彼女たちは表立っては騒がない。そりゃそうだろう。アルフェイン侯爵家の名を聞いた途端、私を蔑んでいたところで得は何もないことに気づいたらしい。
しかし、私を「おめでとう」と祝福する言葉の裏側に、「どうせあちらにとっては仮の嫁でしかないでしょう」という嘲笑がにじんでいるのを、私は見逃さなかった。
でも気にしない。元々、私は“地味で役立たず”としか見られていなかったのだから、今さら家の評価がどう変わろうと関係ない。
「お嬢様、今度の縁談、お心の準備はよろしいのでしょうか」
そう尋ねてきたのは侍女頭のリコだった。彼女は私にずっと仕えてくれていて、私が家族からないがしろにされても、それなりに親身になってくれる、数少ない存在だ。
夜会に出るときもドレスの裾をさりげなく整えてくれたり、私が一人で読書に耽っているときは暖かいお茶を入れてくれたり。
私は鏡台の前で、軽く髪をとかしながら返事をする。
「うーん、まあ心の準備といっても、私はただ話を受けるだけだし……。ジル・アルフェイン様がどんな方かも、直接お会いしないとわからないものね」
「そうですね。噂では大変ご立派な殿方だとか……。けれども、お嬢様はそれをあまり喜んでいないご様子。やはり、政略結婚というのは……」
「私は家の道具だから。期待はされていないし、家が潤うならそれでいい――そんなふうに思ってきたから、実感が湧かないのよ」
そう呟きながら、私は心の奥底で小さくため息をついた。
リコは申し訳なさそうに視線を落とす。すると私は微笑んで言った。
「でもね、リコ。こういう結婚なら、むしろ都合がいいかもしれないわ」
「え……?」
「お父様やお母様の前では黙っていたけれど、ジル様が“控えめな方がいい”と言ったのなら、私も“お互い干渉し合わない”ということよね」
ここ最近、政略結婚をめぐる物語をいくつか読んでいた。私の趣味は基本的に本を読むことで、歴史書や魔法書に限らず、娯楽小説も割と手に取る。
そこに描かれる“夫婦の駆け引き”やら“愛憎劇”やらは、正直うんざりするほど複雑だった。私はただ静かに本を読んで暮らせるなら、それでいい。
そう思えば、“形式的な夫婦”としてアルフェイン侯爵家に嫁ぎ、何も干渉されない人生も悪くないのかもしれない。
「私は目立つのが嫌いだから。家の中でもひっそりしたい。それに、本当は自由に生きてみたい、という気持ちもあるのよね。もし相手が私に関心を持たなければ、干渉されることもないでしょう?」
「……たしかに、それが実現するなら、お嬢様にとっては幸せ……なのかもしれませんが」
「幸せじゃないかもしれないけど、不幸というわけでもない……という感じかしらね。私は淡々と日々を過ごせればそれで構わないから」
リコは困惑したように首をかしげ、少し微笑んでみせた。
侍女としては、一人の女性として相応の幸せを願ってくれるのだろうが、私からすると“華やかな結婚生活”や“燃えるような恋”などは想像すらできない。
それよりも、仮面夫婦でも何でも、好きなときに図書室にこもって思い切り読書ができるなら、私はそれで十分だ。
そんな私の思考をよそに、部屋の扉がノックされる。
「失礼します、レラお嬢様。旦那様がお呼びです」
訪れた侍女が伝えるところによると、アルフェイン侯爵家の使者が再びやって来ており、私と直接面会をしたいという。
どうやら、ジル・アルフェインご本人ではなく、また執事長のユーズだという話だ。アルフェイン家としても、まだ正式な婚約を決める前に、あらためて私本人の意思を確認したいという体裁でも整えているのだろう。
「……行ってくるわ、リコ」
「お気をつけて。失礼のないよう、でもご無理はなさらないでくださいませ」
心配そうなリコに微笑みかけ、私はドアを開けて廊下を歩き出す。
果たして、アルフェイン家の執事長はどんな話を持ってくるのか――それによっては、私の今後の暮らしぶりが決まるかもしれない。
けれども、ふと心のどこかで、「少し楽しみだな」と思っている自分に気づいて、私は唇を軽く噛んだ。
応接室のドアを開けると、そこには父と母、そして落ち着いた面持ちのユーズ執事長が座っていた。前回と同じ、まるで無表情にも見える佇まいだ。
私は父の隣にちょこんと腰掛け、目線を下げて挨拶をする。
「先日はお世話になりました。レラ・グランメリーと申します」
「こちらこそ。改めてお時間をいただき、ありがとうございます、レラ様」
ユーズは穏やかに頭を下げ、スッと表情を和らげる。
「さて、本日は少し踏み込んだお話を……と言っても、難しいことはありません。もしレラ様がよろしければ、若様との“白い結婚”を大前提に、関係を確立する形はいかがでしょう」
「……はい?」
白い結婚――つまりは名ばかりの夫婦関係であって、実際には夫婦としての営みを持たない、いわゆる政略だけの結婚。そんな言い方をはっきりされるとは思っていなかった。
父も母も、さすがに一瞬戸惑ったように顔を見合わせるが、ユーズは淡々と続ける。
「若様は、自由を好まれる方です。ご結婚なさっても、それぞれが互いを縛らないことを望まれている。もちろん、レラ様も息苦しい思いをされずに済むというわけです」
「なるほど……」
私は静かに相槌を打ちながら、胸の奥で何かがストンと落ちる音を聞いたような気がした。
――予想通りだ。
ジル・アルフェイン様は私に興味などなく、ただ家同士のつながりだけ確保し、プライベートは勝手に楽しみたいのだろう。私はその“邪魔にならない存在”として打ってつけだ、というわけだ。
決して嬉しい話ではない。けれども、私が先ほどリコに語った「干渉されない生活」を手に入れるには、願ってもない条件だとも言える。
「……レラ、どうなんだ?」
父の声には不安混じりの響きがあった。両親からすれば、“名目だけの結婚”とはいえ、将来孫が生まれず家の血筋に不利益が出ないかなど、気になる点も多いだろう。
けれども、伯爵家としてはアルフェイン侯爵家の後ろ盾が得られるなら、それだけで十分なメリットを享受できる。実子が生まれなくても、向こうの事情で何らかの着地点を見つけるのだろう。
そう考えると、私に断る権利などはやはりない。そう、それでいい。私は思考を巡らせ、そして小さく頷いた。
「私はそれで構いません」
「レラ……!」
父は驚いたように私を見やる。母は唇をへの字に曲げ、どこか不服そうだ。家の体面を取り繕うプライドがあるのかもしれない。が、父はすぐに悟ったのだろう。ここで私が首を縦に振らなければ話は流れてしまう――それは伯爵家にとってあまりに大きな損失になる。
だから父はすぐに態度を翻し、まるで私が大変賢明な判断をしたと言わんばかりに大きく頷く。
「……そ、そうか。レラが納得してくれるなら、わしとしても安心だよ。ユーズ殿、これでよろしいでしょうか?」
「はい。若様もこの話がまとまることを望んでおられます。正式なお披露目は後日、アルフェイン家にて執り行いますゆえ、どうぞよろしくお願いいたします」
そつのない一礼を残し、ユーズはにこやかに立ち上がる。
白い結婚――それは言い換えれば、お互いに最初から愛情を期待しないという契約でもある。普通の令嬢なら、こんな扱いをされれば涙を流すかもしれない。
しかし、私にとっては全く泣く理由もない。むしろ、これほど“楽”な条件はないとさえ思えるのだ。
(けれども、本当にこれでいいの……?)
ほんの少しだけ、自分自身に問いかけた。その答えは見つからない。
だから私は、その疑問を曖昧にかき消すように目を伏せ、ユーズを見送った。
こうしてアルフェイン侯爵家との縁談は、外堀が固められ、ほぼ正式に決定した――。
――裏でものすごく嫌味を言われるかと思ったけれど、意外や意外、彼女たちは表立っては騒がない。そりゃそうだろう。アルフェイン侯爵家の名を聞いた途端、私を蔑んでいたところで得は何もないことに気づいたらしい。
しかし、私を「おめでとう」と祝福する言葉の裏側に、「どうせあちらにとっては仮の嫁でしかないでしょう」という嘲笑がにじんでいるのを、私は見逃さなかった。
でも気にしない。元々、私は“地味で役立たず”としか見られていなかったのだから、今さら家の評価がどう変わろうと関係ない。
「お嬢様、今度の縁談、お心の準備はよろしいのでしょうか」
そう尋ねてきたのは侍女頭のリコだった。彼女は私にずっと仕えてくれていて、私が家族からないがしろにされても、それなりに親身になってくれる、数少ない存在だ。
夜会に出るときもドレスの裾をさりげなく整えてくれたり、私が一人で読書に耽っているときは暖かいお茶を入れてくれたり。
私は鏡台の前で、軽く髪をとかしながら返事をする。
「うーん、まあ心の準備といっても、私はただ話を受けるだけだし……。ジル・アルフェイン様がどんな方かも、直接お会いしないとわからないものね」
「そうですね。噂では大変ご立派な殿方だとか……。けれども、お嬢様はそれをあまり喜んでいないご様子。やはり、政略結婚というのは……」
「私は家の道具だから。期待はされていないし、家が潤うならそれでいい――そんなふうに思ってきたから、実感が湧かないのよ」
そう呟きながら、私は心の奥底で小さくため息をついた。
リコは申し訳なさそうに視線を落とす。すると私は微笑んで言った。
「でもね、リコ。こういう結婚なら、むしろ都合がいいかもしれないわ」
「え……?」
「お父様やお母様の前では黙っていたけれど、ジル様が“控えめな方がいい”と言ったのなら、私も“お互い干渉し合わない”ということよね」
ここ最近、政略結婚をめぐる物語をいくつか読んでいた。私の趣味は基本的に本を読むことで、歴史書や魔法書に限らず、娯楽小説も割と手に取る。
そこに描かれる“夫婦の駆け引き”やら“愛憎劇”やらは、正直うんざりするほど複雑だった。私はただ静かに本を読んで暮らせるなら、それでいい。
そう思えば、“形式的な夫婦”としてアルフェイン侯爵家に嫁ぎ、何も干渉されない人生も悪くないのかもしれない。
「私は目立つのが嫌いだから。家の中でもひっそりしたい。それに、本当は自由に生きてみたい、という気持ちもあるのよね。もし相手が私に関心を持たなければ、干渉されることもないでしょう?」
「……たしかに、それが実現するなら、お嬢様にとっては幸せ……なのかもしれませんが」
「幸せじゃないかもしれないけど、不幸というわけでもない……という感じかしらね。私は淡々と日々を過ごせればそれで構わないから」
リコは困惑したように首をかしげ、少し微笑んでみせた。
侍女としては、一人の女性として相応の幸せを願ってくれるのだろうが、私からすると“華やかな結婚生活”や“燃えるような恋”などは想像すらできない。
それよりも、仮面夫婦でも何でも、好きなときに図書室にこもって思い切り読書ができるなら、私はそれで十分だ。
そんな私の思考をよそに、部屋の扉がノックされる。
「失礼します、レラお嬢様。旦那様がお呼びです」
訪れた侍女が伝えるところによると、アルフェイン侯爵家の使者が再びやって来ており、私と直接面会をしたいという。
どうやら、ジル・アルフェインご本人ではなく、また執事長のユーズだという話だ。アルフェイン家としても、まだ正式な婚約を決める前に、あらためて私本人の意思を確認したいという体裁でも整えているのだろう。
「……行ってくるわ、リコ」
「お気をつけて。失礼のないよう、でもご無理はなさらないでくださいませ」
心配そうなリコに微笑みかけ、私はドアを開けて廊下を歩き出す。
果たして、アルフェイン家の執事長はどんな話を持ってくるのか――それによっては、私の今後の暮らしぶりが決まるかもしれない。
けれども、ふと心のどこかで、「少し楽しみだな」と思っている自分に気づいて、私は唇を軽く噛んだ。
応接室のドアを開けると、そこには父と母、そして落ち着いた面持ちのユーズ執事長が座っていた。前回と同じ、まるで無表情にも見える佇まいだ。
私は父の隣にちょこんと腰掛け、目線を下げて挨拶をする。
「先日はお世話になりました。レラ・グランメリーと申します」
「こちらこそ。改めてお時間をいただき、ありがとうございます、レラ様」
ユーズは穏やかに頭を下げ、スッと表情を和らげる。
「さて、本日は少し踏み込んだお話を……と言っても、難しいことはありません。もしレラ様がよろしければ、若様との“白い結婚”を大前提に、関係を確立する形はいかがでしょう」
「……はい?」
白い結婚――つまりは名ばかりの夫婦関係であって、実際には夫婦としての営みを持たない、いわゆる政略だけの結婚。そんな言い方をはっきりされるとは思っていなかった。
父も母も、さすがに一瞬戸惑ったように顔を見合わせるが、ユーズは淡々と続ける。
「若様は、自由を好まれる方です。ご結婚なさっても、それぞれが互いを縛らないことを望まれている。もちろん、レラ様も息苦しい思いをされずに済むというわけです」
「なるほど……」
私は静かに相槌を打ちながら、胸の奥で何かがストンと落ちる音を聞いたような気がした。
――予想通りだ。
ジル・アルフェイン様は私に興味などなく、ただ家同士のつながりだけ確保し、プライベートは勝手に楽しみたいのだろう。私はその“邪魔にならない存在”として打ってつけだ、というわけだ。
決して嬉しい話ではない。けれども、私が先ほどリコに語った「干渉されない生活」を手に入れるには、願ってもない条件だとも言える。
「……レラ、どうなんだ?」
父の声には不安混じりの響きがあった。両親からすれば、“名目だけの結婚”とはいえ、将来孫が生まれず家の血筋に不利益が出ないかなど、気になる点も多いだろう。
けれども、伯爵家としてはアルフェイン侯爵家の後ろ盾が得られるなら、それだけで十分なメリットを享受できる。実子が生まれなくても、向こうの事情で何らかの着地点を見つけるのだろう。
そう考えると、私に断る権利などはやはりない。そう、それでいい。私は思考を巡らせ、そして小さく頷いた。
「私はそれで構いません」
「レラ……!」
父は驚いたように私を見やる。母は唇をへの字に曲げ、どこか不服そうだ。家の体面を取り繕うプライドがあるのかもしれない。が、父はすぐに悟ったのだろう。ここで私が首を縦に振らなければ話は流れてしまう――それは伯爵家にとってあまりに大きな損失になる。
だから父はすぐに態度を翻し、まるで私が大変賢明な判断をしたと言わんばかりに大きく頷く。
「……そ、そうか。レラが納得してくれるなら、わしとしても安心だよ。ユーズ殿、これでよろしいでしょうか?」
「はい。若様もこの話がまとまることを望んでおられます。正式なお披露目は後日、アルフェイン家にて執り行いますゆえ、どうぞよろしくお願いいたします」
そつのない一礼を残し、ユーズはにこやかに立ち上がる。
白い結婚――それは言い換えれば、お互いに最初から愛情を期待しないという契約でもある。普通の令嬢なら、こんな扱いをされれば涙を流すかもしれない。
しかし、私にとっては全く泣く理由もない。むしろ、これほど“楽”な条件はないとさえ思えるのだ。
(けれども、本当にこれでいいの……?)
ほんの少しだけ、自分自身に問いかけた。その答えは見つからない。
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