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25話
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闇の終わり、そして光へ
アリオンとガーレン将軍は、そのまま帝国の管理下で身柄を拘束され、軍による裁判を待つ身となる。王国の反乱分子ではなく、自国の利益を優先した末に帝国からも見放された形――何とも皮肉な結末だった。
レイナーは父や夫と行動を共にしていたが、軍施設へ連行される際、コーラルの姿を見て憎々しげに叫んだ。
「……あなたのせいで、アリオン様はこんな目に遭っているのよ! なぜ! なぜ、あなたばかりが幸運に恵まれるの!」
コーラルは答えない。ただ、その瞳はどこか悲しみを宿したまま、目の前を連れ去られていく人々の背中を見つめていた。アリオンがほんの少しだけ振り返ったようにも見えたが、その表情は絶望と後悔に染まっていた。
(もし、あのとき婚約を破棄せず、二人で支え合っていたら……)
そんな想像をしても、もはや意味がない。あの日、アリオンが彼女の手を振りほどいた時点で、運命は変わり始めていたのだろう。
帝国軍がこれから王国をどう扱うかはまだ未知数だが、少なくともコーラルの目の前に横たわる腐敗の闇は、一つの決着を見たと言える。
やがて、ハウザーがコーラルに歩み寄り、その肩にそっと手を置く。
「貴女が背負わなくてもいい重荷だ。……これから、王国は帝国の保護下で再建を図ることになる。どうか、これまで通り人々を支えてあげてほしい。私もできる限り手を貸すつもりだ」
その言葉は、コーラルに安堵と不安を同時にもたらす。帝国の保護下――それは、言い換えれば王国の主権を奪われることでもある。だが、ハウザーが言うように、いずれにせよ王国には自力で再起するほどの余力は残されていない。少なくとも、当面は帝国の助力に頼るしかないのだ。
コーラルはゆっくりと頷き、ハウザーの手を見つめる。かつて敵国の将官と名乗ったときは恐れと警戒しか感じなかったが、今は違う。彼の手には、冷酷な支配ではなく、優しさと守る意志が感じられる。
(私と同じように、彼も苦しんでいる。帝国という大きな組織の中で、どうにか正しい道を探そうとしている。ならば……)
もしかすると、この人となら、国や立場を越えて歩むことができるのではないか――そんな淡い希望がコーラルの胸に芽生える。
こうして、再び勃発した戦争は王国の完敗という形で幕を閉じ、帝国の支配が始まろうとしていた。アリオンたちの行く末は、帝国の軍法会議次第。彼らが積み重ねた罪と裏切りの果てに、どのような結末が待ち受けるのかは明らかだ。
そしてコーラルは、廃墟となりかけた王都で必死に人々を支えながら、ハウザーとともに新たな再建への道を探っていくことになる。そこには、ほんの小さな光が差し込んでいた。
心を抉るような戦乱の爪痕と、敗北の痛み。けれど、その中で芽生えた絆と希望が、コーラルの胸を確かに温めている。今はまだ形をはっきりとは言葉にできないけれど、それはかつての偽りの愛よりも、ずっと力強いものに思えた。
――そんな予感とともに、王都の長い夜が明けていくのだった。
アリオンとガーレン将軍は、そのまま帝国の管理下で身柄を拘束され、軍による裁判を待つ身となる。王国の反乱分子ではなく、自国の利益を優先した末に帝国からも見放された形――何とも皮肉な結末だった。
レイナーは父や夫と行動を共にしていたが、軍施設へ連行される際、コーラルの姿を見て憎々しげに叫んだ。
「……あなたのせいで、アリオン様はこんな目に遭っているのよ! なぜ! なぜ、あなたばかりが幸運に恵まれるの!」
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そんな想像をしても、もはや意味がない。あの日、アリオンが彼女の手を振りほどいた時点で、運命は変わり始めていたのだろう。
帝国軍がこれから王国をどう扱うかはまだ未知数だが、少なくともコーラルの目の前に横たわる腐敗の闇は、一つの決着を見たと言える。
やがて、ハウザーがコーラルに歩み寄り、その肩にそっと手を置く。
「貴女が背負わなくてもいい重荷だ。……これから、王国は帝国の保護下で再建を図ることになる。どうか、これまで通り人々を支えてあげてほしい。私もできる限り手を貸すつもりだ」
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コーラルはゆっくりと頷き、ハウザーの手を見つめる。かつて敵国の将官と名乗ったときは恐れと警戒しか感じなかったが、今は違う。彼の手には、冷酷な支配ではなく、優しさと守る意志が感じられる。
(私と同じように、彼も苦しんでいる。帝国という大きな組織の中で、どうにか正しい道を探そうとしている。ならば……)
もしかすると、この人となら、国や立場を越えて歩むことができるのではないか――そんな淡い希望がコーラルの胸に芽生える。
こうして、再び勃発した戦争は王国の完敗という形で幕を閉じ、帝国の支配が始まろうとしていた。アリオンたちの行く末は、帝国の軍法会議次第。彼らが積み重ねた罪と裏切りの果てに、どのような結末が待ち受けるのかは明らかだ。
そしてコーラルは、廃墟となりかけた王都で必死に人々を支えながら、ハウザーとともに新たな再建への道を探っていくことになる。そこには、ほんの小さな光が差し込んでいた。
心を抉るような戦乱の爪痕と、敗北の痛み。けれど、その中で芽生えた絆と希望が、コーラルの胸を確かに温めている。今はまだ形をはっきりとは言葉にできないけれど、それはかつての偽りの愛よりも、ずっと力強いものに思えた。
――そんな予感とともに、王都の長い夜が明けていくのだった。
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