婚約破棄された伯爵令嬢は、冷酷公爵に一瞬で囲われました

鍛高譚

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第三章:婚約発表の宴と“聖女”リリアナの横顔

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波乱の序章

 婚約宴は、最後まで大きな混乱なく終了した。
 もっとも、リリアナが“聖女の力”を見せつけた一件は人々の記憶に強烈に焼き付いたようで、あの場面を目撃した貴族たちは皆「リリアナ様こそ真の聖女だ」「彼女がいれば国は安泰だ」と口々に称えている。
 そんな空気の中、ソフィアは“捨てられた令嬢”という立場から一転、“冷酷公爵の婚約者”として、一定の評価を得ることができた。人々の視線は好奇心や羨望、あるいは疑念や妬み……さまざまだが、少なくとも冷遇されることはないだろう。アレクシスがその影響力を持って、ソフィアをしっかり庇護してくれるからだ。
 宴の翌朝。ソフィアは体の疲れを癒やしきれないまま起き上がり、窓から差し込む日の光を浴びながら思う。
(婚約発表は無事に終わった……でも、これで本当に平穏になるとは思えない。リリアナ様の力は本物だし、王子の様子もどこか不安定……。それに、国王の思惑や、公爵様の隠された事情だって、まだ全部を知っているわけじゃない)
 それでも、ソフィアはひとつ確信していることがある。――“わたしはもう、一人で立ち向かうわけではない”ということ。
 彼女の隣には、頼れる公爵がいる。アレクシス・ヴァルフォードという、冷酷と噂されながらも実は優しい男が。
 (わたしは、あの方と共に生きていく。たとえどんな波乱が待ち受けていても、もう迷わない。絶対に、わたしの手で未来を掴んでみせる……!)
 そう心に誓いながら、ソフィアは一歩ずつ歩み出す。
 ――まだ道のりは始まったばかり。リリアナと王子の関係が、この先どのような形で波紋を広げるのか。そして、アレクシスが抱える秘密や、“戦場の悪魔”とまで呼ばれた過去は、果たしてソフィアの未来に何をもたらすのか。
 これから先、さまざまな困難が待ち受けているとしても、もはや彼女は恐れない。かつてのように王家の意向に縛られて絶望する日々はもう終わりだ。
 “冷酷公爵”による、甘くて痛快な“溺愛”と“ざまあ”の物語が、いままさに本格的に動き出していく――。
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